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社団法人 日本損害保険協会様

盤石の有事対策で、3.11災害下でも “止まらない”システムを構築

損害保険会社などが共同利用するシステムの開発・運用は、日本損害保険協会の主要業務のひとつ。システム分散と定期的な有事演習、そして震災直後のTISの速やかな対応が、東日本大震災後の円滑な「事業継続」に貢献した。

社名 社団法人 日本損害保険協会
創業 1946年
事業内容 業界共同システムの開発・運用、一般消費者への情報提供活動など
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背景

地震保険の仕組みを支える業界共同システム

社団法人 日本損害保険協会(以下、損保協会)は、国内25社の損害保険会社を会員とする業界団体であり、いわば損害保険業界の“顔”的な存在だ。一般消費者への情報提供活動、業務品質向上に向けた取り組みなどを行っているが、損害保険各社が情報を共有するための共同システムの開発・運用は、主要業務のひとつとなっている。
年々加入者が増え続ける地震保険を支える「地震保険損害処理支援システム」は、中でも特に重要度が高い。毎月1回、損害保険各社からMT(磁気テープ)で送られてくる地震保険加入者の情報をもとに、データベースを更新。国内で大きな地震が発生した場合に、この共同システムを稼働させ、被災地における地震保険加入者の情報をデータベースから抽出する。
本システムの役割について、共同システム開発室の何勁之(か けいし)室長は次のように語る。「平時から、地震保険加入者の膨大な情報をデータベース化しておくことで、有事の際に速やかに必要情報を引き出せます。複数社と地震保険を契約している方を把握することで、審査から支払いまでの期間を短縮できるメリットがあります」。

準備

システム分散化と毎年の演習で有事に備える

1995年の「地震保険損害処理支援システム」立ち上げ時から現在に至るまで、開発・運用を受託しているSIerがTISである。損保協会ではシステム構築にあたり、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、災害対策を特に重視。TISとの協議を重ね、TIS東京データセンターには地震発生の際、優先的に起動させるプライマリサイトを設置し、大阪データセンターにはバックアップ用途のDR(ディザスタ・リカバリ)サイトを置く冗長構成を採用した。平時は、東京のプライマリサイトのデータが大阪DRサイトに逐次複製され、常に東京と大阪で同一の加入者情報データベースが保持される。
「TISに業務を委託した理由は、東京・名古屋・大阪の3カ所に耐震・対災害性に優れた自社データセンターを保有している点。さらに、『地震保険損害処理支援システム』の稼働に必要なメインフレームを運用できる技術力を評価しました」(何室長)。
加えて、損保協会近畿支部は、TISの現地社員と共同で、毎年1~2回の有事演習を行ってきた。実際にバックアップシステムの起動からデータ処理までを実行し、正常に稼働することを確認。連絡手順や運用方法もマニュアル化されており、異動などで担当者が替わっても、確実な対応ルールが引き継がれる体制となっている。

対応

3・11災害直後、安全を考慮し大阪DRサイトの稼働を決断

3月11日の震災当日、千代田区の損保協会では、損害保険各社の担当者が集まり定例会議が行われていた。そして午後2時46分、東京都心も震度5強という地震に襲われ、17階建てビルは数分間にわたって激しく揺れ続けた。共同システム開発室の中村俊一郎氏はこう振り返る。「地震の後、携帯電話のワンセグ放送で被災地の映像を目にして、“これまでにない大きな震災だ”と、会議室は緊張感に包まれました」。
電話がつながりにくい状況の中、TISの営業担当者から中村氏に一報が入ったのは、地震発生の約15分後。「TISの東京データセンターでは目立った被害はないとの報告を受けました。しかし、首都圏でも大きな余震の恐れがあり、大阪DRサイトで『地震保険損害処理支援システム』を稼働させるほうが安全、との提案がありました」(中村氏)。
損保協会の災害対策本部では、このTISの提案を踏まえ大阪DRサイトでのシステム稼働を決定し、翌12日にTISへ正式要請。「後で知ったことですが、TIS側では3月11日時点で、既に大阪DRサイトの調整を終えスタンバイさせていたそうです。この先手先手の対応が、速やかなシステム稼働に結びついたのは間違いありません」(中村氏)。

効果

地震保険の加入者への迅速な支払いに貢献

こうして大阪DRサイトで「地震保険損害処理支援システム」が稼働を開始。データベースから東北・北関東など被災地の地震保険加入者の情報が抽出され、損害保険各社へフィードバックされた。「被災地の加入状況が迅速かつ明確に俯瞰できたことで、損害保険各社では査定・支払い業務をスムーズに行うことができました」(何室長)。
なお、損保協会によると、震災から約4カ月後の7月14日時点で、保険金が支払われた地震保険は約61万件、保険金額は1兆円以上。これは阪神・淡路大震災時の実に13倍を超える規模であった。
今回の有事対応を経験した何室長は、次のように語る。「損害保険は、加入者の方へ安心をお約束するものです。想定外の自然災害でシステムが止まったから保険金の支払いが遅れる、では許されません。今後も、大事を取りすぎるくらいの意識を持ち、TISとの協力のもと、より信頼できるシステム強化と有事対策に努めていきたいと考えています」。

システム構成イメージ

お客さまの声

社団法人 日本損害保険協会
業務企画部
共同システム開発室長 何 勁之(か けいし)氏

今回の3・11災害だけでなく、2007年の中越沖地震の際にも、TISの迅速な対応は印象に残っています。損害保険の加入者の方にご安心いただける、安全・確実な基盤構築と有事対策を実現するパートナーとして、TISには全幅の信頼を置いています。

社団法人 日本損害保険協会
業務企画部
共同システム開発室 中村 俊一郎氏

未曾有の大災害ということもあり、TISには24時間体制で大阪DRサイトのスタンバイおよび稼働に取り組んでいただき感謝しています。TIS担当者の冷静な状況判断と、常に先を予測した行動力を高く評価しています。

TIS担当者から

被災者の方に大きく関わる「地震保険」をサポートするシステムであることから、できるだけ迅速かつ安全に稼働させることを第一義として取り組みを行いました。日本損害協会様からは、TISの震災後の対応について高く評価いただき、担当者として達成感を感じています。
今回、短期間でシステムを稼働できたのは、日頃から大阪DRサイト側で訓練を重ね要員を育成できていたこと、ハードウェア・ソフトウェアともにリソースの準備が万全であったことが実を結んだと実感しています。

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更新日時:2023年10月4日 23時11分