株式会社ワコールホールディングス様

流通BMS対応のEDI(電子データ交換)システムを構築。
共同実証から実稼働まで、最短・最適な工程で実現。

経済産業省が主導する流通システム標準化事業の推進団体である「財団法人流通システム開発センター」が2003年度より進めた「流通サプライチェーン全体最適化促進事業(流通SCMプロジェクト)」。その成果が2007年度、標準仕様・ガイドライン「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」としてまとめられました。アパレルメーカーの大手である株式会社ワコールホールディングスは、主要ブランドの1つである「ウイング」の基幹業務システム再構築の一環で、アパレル業界の代表としてこの流通BMS対応を実現しました。TISは確固とした実績をベースに、この流通BMS対応プロジェクトに大きく貢献しました。

お客様名 株式会社ワコールホールディングス様
創立 1946年6月15日
事業内容 繊維製品製造業
URL
ワコールが提供する 新しいタイプの男性用下着 DAMS「クロスウォーカー」
BROS「クロスウォーカー」

課題

流通BMSプロジェクトの誕生と展開

流通BMSプロジェクトは、小売り・卸間で受発注データなどをネットワーク経由でやりとりするEDIの新しい規格づくり。それまでのEDI規格「JCA手順」(日本チェーンストア協会:J手順)との大きな違いは、データ表現形式にXML、通信回線にインターネット技術を取り入れていること、そして受発注データのフォーマットや意味を定義していることの2つ。
J手順は1980年に制定されたもので、公衆回線の使用を前提としているため、通信速度は2,400bps~9,600bps、送信可能データ量は1件につき256バイトに過ぎなかった。一方、インターネットを利用する流通BMSは、通信速度100MBの回線を使用すれば送信可能なデータ量は1件当たり無制限となり、トータル処理で20倍以上の速度向上になる。またデータ項目や業務プロセスの標準化により、システムの開発・運用コストの削減、汎用ソフトの活用が容易になることが期待されている。
2007年度から流通BMSプロジェクトでは「流通業における業界横断的な企業間情報システムの標準化」「スーパー業界におけるアパレル商材に係る次世代標準EDI実用化のための共同実証」「百貨店業界における次世代標準EDIメッセージ標準化」などの動きが順次スタートしていた。
一方、株式会社ワコールホールディングス(以下、ワコール)では、同社で2番目に規模が大きい「ウイング」ブランドで、受注および物流管理システムを中核とした基幹業務システムを汎用機からオープンシステムへ全面的に切り替えるという大がかりなプロジェクトが予定されていた。ウイングは量販店を対象としたブランドであり、J手順により1,000以上の変換プログラムを使用していた。これを流通BMSで集約することで、開発、保守の工数の負荷、コストの削減が期待できる。ワコールではウイングブランドのシステム再構築を2008年5月と定め、プロジェクトをスタートさせていた。

流通BMSの構造

アプローチ

ACMSコアによる新EDIシステム構築の成功

TISは2006年12月から、化粧品・日用品、一般用医薬品の卸売大手、株式会社パルタックKS(以下、パルタックKS)の流通BMSに対応したEDI システム通信環境構築に取り組んでいた。これは先述の流通BMSプロジェクトの1つ、「流通業における業界横断的な企業間情報システムの標準化」に沿った取り組みだった。データ・アプリケーション(DAL)社のEDIミドルウェア「ACMS」をコアに、TISはACMSを利用したEDIシステム構築の豊富なノウハウを駆使し、既存システムを停止することなく、わずか4カ月でEDIの通信環境を構築し、本番稼働を実現した。
1999年に再構築が始まったワコールのレガシーEDIシステムもまたACMSをコアにしていたが、保守サポートやコストの面で根強い不満を抱えていた。そこでワコールでは、新たな保守サポート先を探す中で、関西地区で多くのEDI保守経験を持ち、パルタックKSへの支援を耳にしていたTISに、レガシーEDIシステムの保守サポートを任せることにした。
同じ頃ワコールは流通BMSプロジェクトの一環として、社団法人日本アパレル産業協会からアパレル向け標準EDIメッセージの検討への参加を要請されていた。流通BMSの将来性、レガシーEDIシステムの限界、そしてウイングブランドのシステム再構築という3つの要素が重なる中、ワコールはシステム再構築のカットオーバー予定だった2008年5月を絶対目標として、ウイングブランドEDIシステムの流通BMS対応へ本格的に舵を切った。「流通BMSが小売業で実現するかどうか、やや懐疑的だったのですが、会議に参加してその真剣さを実感したので、システム再構築のタイミングに合わせて取り組もうと決めました」(尾内氏)。

成果

既存システムの拡張によるコストと開発期間の縮小

ワコールはTISのセミナーに参加し、グロサリ分野での流通BMS構築の実績やパルタックKS他数社の導入状況をヒアリングした。その結果、この流通 BMS対応プロジェクトの発注先としてTISを選択することになった。「やはりパルタックKSさんへの導入実績が大きかった。ほとんどトラブルなしに実現しているのは心強い。ACMSについても豊富なノウハウをお持ちだった。それと大阪に拠点があったというのも、保守サポートで苦労していた私たちにはありがたかったですね」(児玉氏)。
関西地区にはEDIに特化した10人以上のスタッフを抱えるSI会社は極めて少なく、TISには導入、運用から周辺開発までのフルパッケージ・サポート能力と、ACMSを活用した100件以上のEDI環境構築の実績があったことも大きく作用した。
ワコールは当初、流通BMS対応への3つのプランを検討していた。(1)新たな別パッケージで対応、(2)ASPの利用、(3)既存システムの拡張、だったが、「コスト、スケジュール的に別パッケージという線はない。ASPと拡張を比較した時、今後の大手GMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)の流通 BMS参加を考えると、将来的に拡張路線がベストと判断しました」(児玉氏)。
こうして2007年12月、プロジェクトが本格的に動き始めた。共同実証のパートナーとして、関西地区を中心に展開する大手GMSが決定した。
構築作業にあたって、TISは開発期間の短さを考慮し、最善のステップで作業が進むようシミュレーションを重ね、慎重にスケジュールを組んだ。その結果、作業は極めて順調に進み、2008年2月にはワコール・GMS間での共同実証での送受信データ完了までこぎつけた。
ここで1つ問題が発生した。共同実証を始めて間もなく、ワコールと共同実証のパートナーの間で新構築プロトコルが通らず、エラーが発生するという事態だ。共同実証作業では、通信定義で互いに取り決めをし、それに従い各々のシステムを設定する。それぞれシステムの開発部隊が別にあり、双方とも、相手側のシステムの詳細が分からないため、通信エラーになった場合、どこに齟齬や設定違いがあったかは判別が非常に難しい。
しかし、TISではこういったときの対処も前年のパルタックKS事例で経験とノウハウを培っていた。いち早く問題部分を特定し、解決に導くことができた。これはTISのACMSに関するこれまでの実績が物を言った場面だった。また、DAL社との密接な連携関係もあり、的確な技術支援をリアルタイムに受けることができたことも、プロジェクトを推進するうえで大きな力となった。「TISさんの対応は充分すぎるほどでした。徹夜の検証作業をやっていただき、常にこちらの立場で考えてくれたことに感謝しています」(松政氏)。

構築システム図

評価

流通BMSはさらなる飛躍へ

その後は大きな問題もなく、共同実証作業は順調に進み、目標の2008年5月を待たずに共同実証作業は終了した。並行して進められていたウイングブランド業務アプリケーション構築プロジェクトの完了後、ただちに本格稼働に入った。実質2カ月ほどですべての構築作業を終えたことになる。アパレル業界代表としての流通BMS本格導入となったが、「プロジェクトが順調だった最大の要因は、やはりTISさんの熟練度でしょう。他社は同じACMS上の開発でかなり苦労されていたと聞いています。弊社も1999年からACMSを導入していますし、TISさんの経験値と合わせて、システムに対する理解度が深かった」(児玉氏)。
流通BMS導入の効果として、従来1~2時間要していた通信時間が数分ほどに短縮された。この短縮により、物流業務の効率化が進むことになる。予定では年明けにGMS最大手企業との共同実証作業に入ることになるが「既にGMSとの実績があるので、全く心配していません」(福田氏)。
今後はそれ以外のGMSとの共同実証を進めていくことになるが、未だEDIシステムを導入せず、旧来の伝票処理で取引をしているディーラーも多く、その導入数が増えていけば流通BMSの効果が一層発揮されることになる。
さらにワコール内では、流通BMSプロジェクトの「百貨店業界における次世代標準EDIメッセージ標準化」をにらんで、ワコールブランドによる百貨店との実証作業も2009年2月から3月のカットオーバーを目標に進められている。ここでもTISの豊富な実績とノウハウは活躍の場を与えられるだろう。

お客さまからの声

流通BMSのさらなる浸透を

株式会社ワコール
執行役員 情報システム部部長
尾内啓男氏

「今回のプロジェクトでは、事前にセミナーなどでこちらの不安を完全に払拭していただいたのが大きかったですね。私たちもこれを実績として、さらにGMS各社、そして百貨店業界にこの流通BMSの浸透を図っていきたいと考えています。」

TISの今後の提案に期待

株式会社ワコール
ウイングブランド事業本部 システム開発推進チームマネージャー
福田康二氏

「ACMSに対する理解度の深さ、流通BMS導入の実績で、弊社にとっても業界にとってもエポックとなるプロジェクトを支えていただき、大変感謝しています。今後もこれに関連したプロジェクトがいくつも控えていますので、ぜひ力を貸していただきたいと思います。」

レスポンスの良さがうれしい

株式会社ワコール情報システム部 児玉英一氏

「以前のACMSの保守サポートで苦労していた時に、非常にいいタイミングでTISさんから様々なご提案をいただきました。大阪に拠点を持つ保守サポート会社を探していたのですが、TISさんは期待以上のレスポンスの良さとコストパフォーマンスで応えてくれました。」

豊富な実績とノウハウに感謝

株式会社ワコール情報システム部 松政孝英氏

「アパレル業界でまだどこも手を付けていない、流通BMS導入という大きなプロジェクトが滞りなく終わったのは、TISさんの豊富な実績とノウハウの賜物だと思っています。新しい分野なので、TISさんの経験値は私たちにとって何よりも心強いものでした。」

TIS担当者から

流通業への足がかりに

TIS株式会社
産業事業統括本部産業第2事業部 産業システム営業部 主査
相河宏

「TISはACMSの導入実績があり、代理店契約もDAL社と結んでいますので、このノウハウがプロジェクトに活きましたし、今回の経験を流通業への営業展開の足がかりにしたいと考えています。今後、ワコール様には、百貨店対応の流通BMSや他の開発案件でもお役に立てるよう活動を続けていきたいと思います。」

パルタックKS様での経験が活かされた

TIS株式会社
産業事業統括本部産業第2事業部 基盤ソリューション部 主査
仲矢靖之

「今回、パルタックKS様での苦労がすべていい形で報われて、本当によかったと思います。開発コストがシビアな時の対処法もつかめました。この成功に安心せずに、さらに自分たちの得意分野である、基幹システム連携まで視野に入れて活動をしていきたいですね。」

計画どおりの結果が自信に

TIS株式会社
産業事業統括本部産業第2事業部 基盤ソリューション部 主査
中村辰司

「新しい分野で、かつ、短期構築を要求された厳しいプロジェクトでしたが、前年度の経験を活かして、事前に最適な工程を検討できたことが功を奏したと思います。計画どおりの結果が得られて自信にもなりました。」

ACMSをきっかけにさらに広がりを

TIS株式会社
産業事業統括本部産業第2事業部 基盤ソリューション部 主任
間英雄

「ワコール様のご担当の方々がACMSを熟知し、役割も明確だったため、とてもスムーズに対応させていただくことができました。今後は業務を絡めてACMSが活躍できるフィールドを考えていきたいです。」

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  • ※本資料に掲載された情報は、弊社情報誌「シスナビ Vol23」発刊当時のものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があることをご了承ください。
  • ※作成日 シスナビ発刊日 : 2009年1月5日

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更新日時:2016年10月6日 16時5分

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