全国農協食品株式会社様

基幹システムのDRサイトを2カ月半の短期間で構築

JA全農グループの一員として、国内農業の発展に貢献してきた全国農協食品株式会社(以下、全農食品)。首都圏が被災した際にも事業継続が可能となるよう、基幹サーバおよびデータを大阪にバックアップする仕組みづくりに着手した。TISが提案する、仮想化技術をベースとするソリューションの採用により、短期間かつ低コストでのDRサイト構築を達成した。

お客様の課題

遠隔地へのバックアップが急務に

2011年3月に起きた東日本大震災を契機に、業務データ/システムを遠隔地にバックアップする、DR(ディザスタリカバリ)サイトの構築が、いま企業にとって喫緊の課題となっている。
「弊社の主要業務は、国産農産物および加工品の直販事業、生協などへの冷凍加工品販売、食品企業へのでんぷんや大豆加工品の販売、そして学校向け給食事業などです。もし、災害が発生して基幹業務が長期間停止した場合、納品先・販売先への影響はもちろん、仕入れ先でありパートナーでもある農協、メーカーの方に多大な迷惑を及ぼします。企業としての社会的責任を果たすためにも、BCP(事業継続)対策には全社的に取り組んでいます」と、全農食品 管理本部の大久保康成課長は語る。
全農食品では、BCP対策の一環として、数年前より基幹業務サーバのDRサイト構築を検討してきた。このプランが急ピッチで動き出したのは、東日本大震災から間もない、2011年4月1日のこと。同社管理本部のメンバーと、JA全農グループのシステム構築を支援する株式会社全農ビジネスサポートの担当者が集まり、検討のミーティングが設けられた。
議題となったのは、従来のバックアップ対策の安全性。全農食品の基幹サーバ(会計・販売・給与)は、東京都内にある全農ビジネスサポートの本社ビル内で運用されており、全農食品本社とは通信回線で結ばれている。システムおよびデータは、月曜から土曜まで毎日、テープによるフルバックアップが行われていた。「しかし、首都圏直下型地震で建物が被害を受けた場合、テープを持ち出すことすら困難になる恐れがあります。そのため、同時に被災する可能性が小さい遠隔地にバックアップするDRシステムを導入すべき、とメンバーの意見が一致しました」(大久保課長)。

サーバの二重化、クラウドのDRには難題も

まず浮上したのは、関東圏にあるサーバと同タイプのサーバを同じ台数用意し、全農食品の西日本支店(大阪市)に設置するという案だった。「DRの対象となる基幹サーバは合計10台。大阪に設置するには、建物内にスペースを確保することが難しく、日々のレプリケーションにかかる手間・コストも予想以上に大きいことが分かりました」(大久保課長)。
それと並行して検討されたのは、クラウドを利用したDRシステムの構築だった。これは、通常時はクラウドにデータをバックアップし、災害時はクラウド上で仮想サーバを起動させ、基幹サーバとして代行させる仕組み。物理サーバが復旧次第、データをクラウドから書き戻す。
「確かにクラウドは費用面では魅力的でしたが、“顔が見えない”サービスという点がネックとなりました。トラブルが起きたときに個別対応してもらえるのか、という不安は拭えず、基幹業務をクラウドの仮想サーバに任せるのは時期尚早という判断になりました」(大久保課長)。
候補選びが難航するなか、プロジェクトメンバーの一員である全農ビジネスサポートの村島佳巳氏は、情報収集のために2011年7月末に東京国際フォーラムで開催されたIT関連のイベントを訪問。それがTISとのつながりが生まれるきっかけとなった。

選定の決め手

自社データセンターを持つTISにコンタクト

クラウドをテーマとしたセミナーに出席した村島氏は、TISが手がける、自社データセンターを中心としたソリューションの守備範囲の広さを知る。「国内では東京・大阪・名古屋にデータセンターを持ち、プライベート/パブリッククラウドの提供から、ハウジングサーバとの連携、アプリケーション開発まで、そのカバー率の高さに驚きました。まさに、“何でもあり”という表現がぴったりでした」。
セミナーから戻った村島氏は、早速TISにDRサイトの構築を打診した。村島氏は当初、TISの心斎橋gDC(大阪)に物理サーバをハウジングすることを考えていたが、コストを試算した結果、予算内では収まらないことが判明。そこでTISが新たな案として提示したのが、ノベル株式会社の「PlateSpin Forge」(以下、Forge)を中核とするDRシステムだった。
Forgeは、1台のアプライアンス(専用機器)内に、10台までのサーバを仮想化でバックアップできる製品。それまでのDRサイト構築期間を大幅に短縮、費用も最大で半額程度まで削減できるのが最大の特長だ。
「実はForgeについては、その1年ほど前に製品を検討したことがありました。当時はまだ、DRの話が具体化しておらず導入には至りませんでしたが、非常にインパクトのある製品でした。そのForgeと、TISのデータセンターによる運用を組み合わせた提案には、大きな魅力を感じました」(村島氏)。
なお、ノベルのForgeを扱う国内システムインテグレーターの中で、データセンター事業にも注力しているのはTISのみ。TISのデータセンターは東京・大阪・名古屋の大都市圏からアクセスしやすいため、機器の再起動や設定で現地へ出向くことも容易。また、オペレーターによる操作代行の依頼ができるのもメリットのひとつだ。

Forgeの柔軟さを高く評価

全農ビジネスサポートの村島氏は、早速ForgeとTISのデータセンターを組み合わせたDRシステムを全農食品に提案。それを受けた大久保課長は、「10台のサーバを仮想化して、1台のアプライアンスのなかで一括管理できると聞き、これはすごいな、というのが第一印象でした。また、同じ台数の物理サーバでバックアップを行う方法と比べて、初期投資費用もランニングコストも抑えられることに魅力を感じました。」と振り返る。
ともに提案内容を検討した全農食品 管理本部の鈴木政彦課長代理は、こう印象を語る。「基幹サーバは、販売管理、会計、人事でメーカーが異なるため、バックアップ用に物理サーバを調達する手間もかかりますし、メーカーごとに設定を依頼する必要もあります。しかしForgeなら、物理的に異なる複数のサーバをそのまま仮想マシンとして格納できる。これまで検討した候補にはなかった、大きな手応えを感じました」。
また全農食品では、基幹サーバが被災し停止した後のRTO(目標復旧時間)を数日と定めているが、それを十分にクリアできるForgeの復旧作業の速さも高く評価された。

導入までの流れ

現地視察で安全性を確信

検討を進めるなかで大久保課長が気がかりだったのは、「DRサイトをどのような場所・設備で運用するのか」という点だったという。「大がかりなDRサイト構築のプロジェクトだけに、慎重を期す必要がありました」(大久保課長)。そこでTISは心斎橋gDCの現地視察を提案し、その直後の2011年12月に実現の運びとなった。
心斎橋gDCの印象について、大久保課長は次のように振り返る。「建物内では、セキュリティ、免震、非常電源などの設備について逐次説明を受け、自分の目でその安全性を確かめられたのは大きな収穫でした」。万一電気の供給が絶たれても、心斎橋gDCは自家発電で72時間稼働できる仕組みが設けられ、電源確保に最大限の配慮がなされている。
「データセンターの設備に不安があれば、他のデータセンターも検討する予定でしたが、現地を見て不安要素はクリアされ、さらに弊社の西日本支店と近距離圏にあるのも、緊急時に駆けつけられるという点で、大きなアドバンテージだと再認識しました」(大久保課長)。

導入のタイムリミットは約2カ月半

こうして2012年 1月中旬に、導入プロジェクトが正式にスタートした。稼働予定日は新年度が始まる4月1日。従来のDRの常識で考えれば、約2カ月半という期間は、ゼロからDRサイトを構築するにはタイトなものであった。
ここで機動力を発揮したのが、コンパクトなForgeならではの可搬性だ。現場の計10台のサーバを仮想化して収納するため、TISがForgeを本社および関東工場に持ち込み、複製作業を実施。「もし物理サーバを利用するDRサイトを構築していたら、サーバの調達からデータの複製作業まで、今回の倍以上の時間がかかったはずです。専用のアプライアンスと、TISのデータセンターでの運用を組み合わせたソリューションで、導入期間を大幅に短縮できました」(鈴木氏)。
こうして、仮想マシンを組み込んだForgeを心斎橋gDCへ持ち込み、ラック内に設置。大がかりなデータ複製作業は初期設定時のみで、通常の運用時は、差分データだけがネットワークを通じてForgeに送信される。限られた回線の帯域でも、十分に運用が可能だ。

今後の展望

10台の基幹サーバを低コストでバックアップ

導入プロジェクトの最終段階として、3月下旬に、実際の災害を想定したテストが実施された。本テストは、TISが提供したForgeの作業手順表に基づき、全農ビジネスサポートが行った。村島氏はこう語る。「まず、全農ビジネスサポートのビル内にあるサーバの電源を遮断。その後に全農食品の端末から心斎橋のForgeの管理画面へアクセスし、仮想サーバを起動する手順までを行いました。4~5時間の作業後、バックアップサーバが無事に稼働し、テストは成功しました」。
こうして、4月1日にはDRサイトが本格稼働を開始。ふだん仮想サーバのシステム自体はコールドスタンバイ状態となっており、日々、差分データのみが通信回線を通じて心斎橋gDCへとバックアップされる。
導入から数カ月が経過し、大久保課長はそのランニングコストの低さを評価する。「基幹サーバ10台を大阪にフルバックアップしているにもかかわらず、当初の計画どおり低コストで運用できています。もし、災害が発生しDRサイトが稼働したとしても、追加費用は発生しないため、コストパフォーマンスに優れていますね」。

首都圏直下型地震に備えて

現在、全農ビジネスサポートでは、JA全農グループ各社に対しBCP対策の提案を行っているが、その中のメニューとして、今回のForgeとTISのデータセンターを組み合わせたソリューションも積極的に推奨していく方針だという。「Forgeを利用したDRシステムの実績ができたことで、よりグループ企業でのBCPの意識が高まるのでは、と考えています。」(村島氏)。
全農食品と全農ビジネスサポートの両社は、訓練を兼ねて年1回、DRサイトのテスト稼働を行う計画を立てている。全農食品の大久保課長は、今後のBCP対策への取り組みについて、次のように総括する。
「訓練を通じて、災害時、被災していない拠点においてスムーズに運用再開できる体制作りを進めていきたいと考えています。また、弊社グループ内で対応ができない緊急時には、TISにオペレーションを依頼する方法も、手順のひとつの選択肢として視野に入れ、より強固な安全確保の体制をともに築いていきたいと思います」。
さまざまな企業が取り組むBCP対策のなかでも、基幹業務を速やかに復旧させるため、DRの仕組みは必要不可欠。TISが提供するDRソリューションは、これまで、高額なコストや、災害後のシステム復旧作業の手間など、その導入にハードルの高さを感じていた企業担当者にとって朗報となるはずだ。

  • ※VPN:Virtual Private Network

お客さまの声

左から
全国農協食品株式会社
管理本部 経営管理部 総合課 課長 大久保 康成 氏
管理本部 経営管理部 総合課 課長代理 鈴木 政彦 氏
株式会社全農ビジネスサポート
情報サービス事業本部 グループ関連システム部 
ソリューショングループ グループリーダー 村島 佳巳 氏


重要課題となっていたDRサイトが、無事に稼働できたことに満足しています。今後、グローバル展開を視野に入れつつ新規事業の拡大を図っていく弊社にとって、システム基盤が強化できたことは大きな安心材料です。
これで気を緩めることなく、定期的に全社的なモーションを起こし、社員の危機意識が薄れないようにすることが重要だと思います。今後もTISの協力を仰ぎつつ、IT周りのBCP対策を強化していきたいと考えています。
(大久保 康成 氏)

TIS担当者から

TIS株式会社
IT基盤サービス本部 IT基盤サービス第1事業部
プラットフォームサービス推進部
浅野 千春

全農食品様、全農ビジネスサポート様のご協力のおかげで、期日までにリリースを完了することができました。心より感謝申し上げます。
TISでは、今回の貴重な経験をもとに、2012年7月より「PlateSpin Forge」と弊社データセンターによる運用をパッケージ化した「システム丸ごと災害対策パッケージ」の提供を開始しました。低コスト・短期間でDRサイトを構築できるソリューションとして、BCP 対策に取り組むあらゆる企業のお客さまへ紹介していきたいと考えています。

  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • ※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

お客様プロフィール

社名 全国農協食品株式会社
設立 1974年
事業内容 農畜産物、水産物、米穀等の販売および加工、加工食品の製造・販売、給食事業など
URL

PDF資料ダウンロード

お問い合わせ
お電話にてお問い合わせください
0800-600-9810
050-5816-9805:携帯電話からのお問い合わせ
受付時間 9:00~12:00 13:00~17:00(土・日・祝日を除く)
全国農協食品株式会社様のケーススタディ(事例)です。TIS Direct Webは、ITソリューションによってビジネス課題の解決策をご提供する情報サイトです。

更新日時:2016年10月6日 16時39分

PAGE TOP