三愛石油株式会社様

災害に強いEDIを実現した高信頼性・低コストのクラウド基盤

全国サービスステーションへのガソリン・軽油・灯油の供給は、三愛石油株式会社(以下、三愛石油)の中核事業のひとつ。元売からガソリン等を仕入れるためのデータ交換システム(EDI)が、大規模災害時でも稼働を続けられるよう、BCP対策の強化に着手した。最終的に選ばれたのは、データセンターによる運用で高い安全性を実現する、TISのSaaS型EDI「TIS EDI Ondemand Service by ACMS」(T.EDI.O.S.)であった。

お客様の課題

全国へのガソリン供給を支えるEDI

三愛石油の創業は、まだ日本が高度成長期を迎える前の1952年。羽田空港の航空燃料給油システムの開発で脚光を浴びた同社は、その後、石油、LPガス、化学品、さらには天然ガス、太陽光発電へと事業を展開する。2002年に発表したコーポレートブランド「Obbli(オブリ)」のもと、地域社会へさまざまなサービスを提供するエネルギー総合商社として名を馳せている。
中核事業のひとつである石油事業は、元売(石油精製・販売会社)からガソリン等を仕入れ、全国のサービスステーションへ販売・供給を行うもの。その取引先は約1,300店舗にのぼり、サプライチェーンの規模は国内トップクラスを誇る。
サービスステーションからのガソリン等の注文は、三愛石油の関係会社である三愛石油カスタマーサービスでとりまとめをし、元売へ発注を行う。その後、同社が手配するタンクローリーによって、全国のサービスステーションへと供給が行われる。この元売への発注業務を効率化するため、三愛石油は90年代半ばにEDIを構築。以来、EDIはエネルギー調達の生命線としての重要な役割を担ってきた。

EDIを災害から守るために

エネルギー調達を支えるEDIの重要性について、三愛石油 情報システム部の福井隆義氏は次のように語る。「万一、EDIが災害の影響で長時間停止するような事態になれば、ガソリンの仕入れがストップし、全国のサービスステーションに与える影響は甚大です。東日本大震災を契機に、大規模災害を想定したEDIのBCP対策強化が課題となっていました」。
同社のEDIは社外サイトのメインフレームで運用しており、元売とEDI通信を行う機器については本社で運用する形態。情報システム部では、EDIシステムをメインフレームから切り離し、EDI通信用の機器ごと安全なロケーションに移転する方向で検討を開始した。「オンプレミスで物理サーバを立てる案、ハウジングでサーバ運用を外部委託する案などを検討しましたが、コストと安全性の両方を満たせる選択肢は、なかなか見つからない状況でした」(福井氏)。

選定の決め手

予期していなかったSaaS型EDIとの出会い

EDIのBCP対策を模索するなか、2012年4月に福井氏が受けた1本の電話がきっかけとなり、状況は大きく動き出す。その電話は、既に同社と取引関係があったTISからであった。「内容はTISのソリューション製品をいろいろと紹介したいので時間をもらえないか、という依頼でした。軽い気持ちでアポイントを交わしましたが、この時点では、EDIのBCP対策に結び付くとは、まったく予想していませんでした」(福井氏)。
こうして後日、TIS営業担当者とのミーティングの場が設けられた。説明を受ける福井氏の前には、さまざまな企業のソリューション導入例を紹介したシートが並べられていたが、その中の1枚が福井氏の目にとまった。「それは、EDIをSaaS型EDIへ移行し、低コストでBCP対策に成功したという事例でした。これは使えるかもしれない、と直感し、このソリューションについて詳しい情報を提供してほしいとTISに依頼しました」。

  • ※SaaS:ネットワークを通じて、アプリケーションソフトをサービスとして提供する、クラウドコンピューティングの一種。Software as a Serviceの略。

災害時の安全性を高く評価

福井氏が注目したソリューションは、「TIS EDI Ondemand Service by ACMS」(T.EDI.O.S.)。企業向けの高品質なクラウド(IaaS)である「TIS Enterprise Ondemand Service(T.E.O.S.)」を基盤として、SaaS型EDIを提供するものだ。運用は、立地や建物、設備の面から災害時の安全性を確保できるTISの自社データセンターで行うため、BCP対策として大きな効果を発揮する。
情報システム部のメンバーは、TISとのミーティングを重ね、「T.EDI.O.S.」についての評価に取り組んだ。情報システム部の小山茂氏は、次のように語る。「クラウドサービスということで、ミッションクリティカルな用途に使える品質を備えているかが気になりました。『T.EDI.O.S.』の場合、もし仮想サーバ自体に障害が起きたときは、すぐに他の仮想サーバでEDIシステムを自動復旧するという説明を受け、信頼性は十分に確保できると判断しました」。
また小山氏は、社内に設置していたEDI用の通信機器が不要になる点に、災害対策の効果を期待。「これまで、元売とEDIで通信するために、社内のマシンルームには多数の通信機器を設置していました。長期運用していたため、自然故障や、本社ビルが被災した場合の影響が不安材料でした。『T.EDI.O.S.』では、通信機器もデータセンター側のサービスのひとつとして提供されるため、本社ビルの停電等により通信できなくなる心配がなく、障害対策として有効です」(小山氏)。

  • ※ACMS:株式会社データ・アプリケーションが提供するEDIパッケージ。さまざまな通信手順に対応し、国内ではデファクトスタンダードな存在。
  • ※IaaS:システムを動かすためのハードウェア等のインフラをネットワークを通じて提供する、クラウドコンピューティングの一種。Infrastructure as a Serviceの略。
  • ※TIS Enterprise Ondemand Service(T.E.O.S.): TISが提供する、企業ITシステムで利用するサーバ環境やネットワーク/運用機能をオンデマンドで提供するクラウドサービス。

導入までの流れ

タイムリミットはわずか2カ月

初回の提案から約3カ月後の7月20日、「T.EDI.O.S.」導入が決定。決め手になったのは、TISの自社データセンターで運用を行うことによる安全性と、SaaS型ならではのコストの安さだったという。さらに、「T.EDI.O.S.」のもうひとつの評価ポイントは、国内では事実上の標準となっているEDIパッケージ「ACMS」を提供しているという点だった。「今後、石油だけでなくガス関連の取引もEDIへ統合していくことを考えると、ACMSへの対応は重要です。ACMSに対応したSaaS型EDIを提供するシステムインテグレーターはTISのみであり、この点では他に比較検討する製品は存在しませんでした」(福井氏)。
こうしてスタートを迎えた導入プロジェクトだが、三愛石油がTISに提示した納期は、約2カ月後の9月末というタイトなものであった。「ガス取引で利用していたサーバを9月末で撤去し、EDIへ作業を移行する計画が先に決まっていたため、無理をお願いすることになりました。また、石油販売の繁忙期の冬場はEDI利用もピークとなることから、なるべく早期に基盤を完成させておきたいという狙いもありました」(小林信哉氏)。
TISでは三愛石油様向けのサービス提供開始まで、当初3カ月を見込んでいたが、これを受けてスケジュールの見直しを行い、急ピッチで作業に取りかかることとなった。

EDI未対応の取引先にも柔軟に対応

一刻を争う作業スケジュールではあったが、新たなEDI基盤には、既存業務の効率化のために、ひとつの機能が組み込まれることになった。それは、EDIの通信環境を持たない取引先に対しても、取引データを安全に自動送信するというもの。
完成後のEDIには、新たにガス取引業務も統合される予定となっていたが、EDIの通信環境を持たない取引先との通信手段が課題となっていた。「これまでは、社員が月に数回、TISのセキュアメールサービス『Web@Postman』でCSVファイルを送信することで対応してきましたが、EDI化を機会に自動化できないだろうかと考えていました」(小山氏)。
同社が以前から利用している「Web@Postman」とは、ファイルをアップロードすることで、インターネット経由でも安全にファイルを受け渡しできる、“データの宅配便”のようなサービスだ。相手がファイルを受け取ったことも、管理画面で確認することができる。
TISでは三愛石油の課題解決に向け、「Web@Postman」を「T.EDI.O.S.」と連携させる仕組みを提案した。これによってもたらされる効果を、小山氏はこう説明する。「月の決まった日・時間になると、ガスシステム側で作成されたCSVデータが『T.EDI.O.S.』サーバに取り込まれます。そのファイルは『Web@Postman』に渡され、決まった取引先に自動でメール送信されるという流れになります。これまでの手作業が完全に自動化される、理想にかなった仕組みですね」。

導入効果

BCP対策の要となるTISデータセンター

こうして始まった導入プロジェクトは、三愛石油とTISの緊密な協力体制のもと進められ、予定どおり9月末に「T.EDI.O.S.」のサービスの利用が開始となった。従来のEDIで取引を行っていた石油の元売は、順次新たなEDIへと移行し、2013年3月までに全取引先の移行が完了する予定となっている。
今回の導入が成功した要因について、福井氏はこう振り返る。「TISの担当者がEDIに精通していたため、トラブルもなく導入プロジェクトを進められたことが大きいと感じています。移行環境のACMSだけでなく、従来利用していたメインフレーム上EDIパッケージソフトについても深い知識があり、どんな質問をしてもすぐに回答が返ってきたことで、進行が非常にスムーズでした」。さらに、ミーティングの際は、TISが事前に作成したシステム図や表を見ながら説明が行われたことで、お互いの認識がずれることなく作業を進められたという。
今回の新システム移行により解決したBCP対策について、福井氏は次のように語る。「もし、オンプレミスで物理サーバを新規構築してBCP対策を行った場合、半年から1年は要したはずです。一刻を争うEDIのBCP対策を短期間で実現できたことに非常に満足しています」。また、TISのクラウドおよびデータセンターのサービス品質について、次のような感想を語る。「これまで、小規模な業務システム用に他社のクラウドサービスを導入したことがありますが、中にはデータセンターの場所が非公開のものもありました。クラウドはそういうものだろう、と思っていましたが、TISの都内のデータセンターは事前に設備を見学することもでき、違いに驚きました。やはりBCP対策に利用するクラウドには、信頼性が最も重要と考えます」。

機器メンテナンス業務からの解放

福井氏は、SaaS型EDIのコスト面での優位性についても語る。「物理サーバを調達する費用もかからないため、オンプレミスに比べて移行費用を抑えられました。また、新たにサーバを立ててEDIのパッケージを導入した場合、年間の保守費用は数百万円はかかってしまいますが、SaaS型ではそれよりも大幅にコストを節約することができます」。
“ハードウェアを保有しなくて済む”SaaS型EDIへの移行で、これまで通信機器の管理が負担となっていたことを改めて実感したという小山氏。「以前は、ビルの定期点検で停電になった際、通信機器の電源を手動で入れ直して、正常に稼働しているかを確認する必要がありました。そうでなくても、ふだんからマシントラブルが起きていないか気になっていたんです。SaaS化で “心の重荷”がなくなるような感じですね(笑)」。
三愛石油では、基幹業務システム以外の各業務システムの効率的な部分的再配置と、BCP対策強化の両方に取り組んでいる。今回のSaaS型EDI「T.EDI.OS.」への移行も、そのグランドデザインに沿ったものだ。福井氏は、今回のプロジェクトを統括してこう締めくくる。「サプライチェーンの要となるEDIは、比較的に基幹システムと切り離しやすいものであり、しかもBCP対策の優先順位が高いものです。『T.EDI.OS.』というソリューションに出会ったことで、我々の理想に近いかたちでマイグレーションが行われたことに満足しています」。

お客さまの声

左から
三愛石油株式会社
情報システム部 次長 福井 隆義 氏
情報システム部 IT開発課 小山 茂 氏
情報システム部 IT開発課 小林 信哉 氏

これまで何社かのシステムインテグレーターと取引がありましたが、今回のTISの迅速な対応には驚かされました。TISの担当者がEDIに精通していたため、疑問にも的確に回答いただき、導入が非常にスムーズに進められたことに感謝しています。タイトなスケジュールのなか、1日に何十回もメールや電話で連絡をとりあったこともあり、まさに以心伝心の関係を結べたと思います。
(福井氏)

TIS担当者から

TIS株式会社
IT基盤サービス本部 IT基盤サービス第1事業部
プラットフォームサービス推進部
櫻井 杏子

三愛石油様と密接に情報共有ができたことで、2カ月という短納期を達成することができました。ご協力に感謝いたします。従来の環境からACMSへの移行に伴う疑問や不安を少しでも解消できるよう、できるだけ分かりやすい説明を心がけるようにしました。今後も、三愛石油様EDIのさらなるBCP対策強化に向けて、精一杯努めてまいりたいと思います。

  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • ※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

お客様プロフィール

社名 三愛石油株式会社
設立 1952年
事業内容 石油製品・LPガス等の卸販売、航空燃料の取扱、化学薬品の製造、天然ガスの販売 など
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更新日時:2016年10月6日 16時40分

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