昭和日タン株式会社様

海運業特化型のERPパッケージで
航海の収支をタイムリーに可視化

国内の海運業務を手がける内航オペレータの大手、昭和日タン株式会社(以下、昭和日タン)は従来、船舶に係わる収入から支出までの基幹業務に、スクラッチ開発のシステムを利用してきた。月次の収支の数字をタイムリーに把握できない等の従来システムの課題を一気に解決したのが、TISの海運業向けERPパッケージ「MaritimeCube(マリタイムキューブ)」だった。

本社 東京都千代田区丸の内三丁目4番2号新日石ビルヂング
設立 1945年
資本金 4億9,180万5,900円(2015年9月末現在)
事業内容 海運業、海運仲立業 等
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課題

石油製品のタンカー輸送の第一人者

国内の海運業務を手がける大手内航オペレータ、昭和日タン株式会社は、2015年に創立70周年を迎えた。ガソリン、灯油、軽油、重油、潤滑油、ガス、アスファルト、ケミカル製品など石油製品の海上輸送に強みを持ち、国内で数少ない、荷主から直接依頼を受ける一次オペレータの一社だ。同社は、石油元売り会社などの荷主から依頼を受け、国内の製油所で精製されたガソリン等の石油製品を、国内の中継拠点(油槽所)までタンカー船で輸送を行う。
総務部総務グループで情報システムを担当する宇都宮崇氏は、同社が日常的に行う内航オペレータの業務を次のように説明する。「航海に先立ち、荷主と運送契約を交わし、その運賃を請求することから業務が始まります。そして実際の航海では、タンカーの傭船料、燃料費、港の使用料などが発生し、これらの諸費用の支払い処理を実行。荷主にいただく運賃から諸費用を差し引いた金額が営業利益となります」。

タイムリーな収支管理が求められるように

このように、海運業の基幹業務の流れは特殊であり、一般的なERPパッケージ製品では対応が難しく、独自の基幹システムを構築する会社も多いという。「当社の場合、1980年代に自前で開発したMS-DOSベースの業務システムが最初の試みです。次に2000年代初頭、社内環境をWindowsに切り替える際、社外のSIベンダーに基幹システムのスクラッチ開発を依頼しました。荷主との契約から航海が終わるまで、基幹業務全般をカバーするシステムです」(宇都宮氏)。
しかし、同システムでは、航海の収支管理をタイムリーに行えないことが、大きな課題になっていた。「月末に開く社内会議では、その月の収支の数字が必要となります。しかし、月次の正確な数字を確定させるには経理部で集計作業を行う必要があり、やむを得ず、従来のシステムで出せる“速報”の値に基づいて推計を行っていました」(宇都宮氏)。これでは、その月の収支が厳密に把握できないため、具体的なアクションプランを立てることが困難となっていた。
また経理業務では、会計パッケージとの連携に課題があり、作業効率の低下を招いていた。「決算処理は別途、会計パッケージを利用していますが、従来システムには、汎用的な形式でデータを書き出す連携機能がありません。そのため、再度、代理店等の請求書や売上の伝票を見て入力する作業が必要でした」(経理部経理グループ 久保田春平氏)。
他にも細かな使い勝手の不満があり、既存システムを開発したSIベンダーに交渉したが、満足のいく対応は得られなかったという。「そのSIベンダーは海運業界の開発経験が浅く、基本的な業界用語も通じない。意思疎通が難しく、なかなか問題意識を共有してもらえませんでした」。そこで同社は、既存システムのハードウェアの保守切れが近付いた2007年、基幹システムを刷新する意思を固めた。

選択

TISの海運業向けERPパッケージに注目

基幹システムの刷新にあたり、メジャーなERPパッケージ製品の導入も検討したが、やはり海運業界特有の業務ルールへの対応は困難と予想された。「そこで、今回もSIベンダーに開発を依頼する方針としましたが、何より海運業界に精通したパートナーが望ましいと考えました」(宇都宮氏)。そこで有力候補となったのが、2000年代初頭の既存システム導入の際、提案に参加した一社のTISであった。TISは基幹システム構築の打診に対し、「MaritimeCube(マリタイムキューブ)」(当時の名称は「船舶運航管理支援システム」)の導入を提案した。
「MaritimeCube」は、TISの約30年の海運業界の開発経験に裏打ちされたノウハウを盛り込んだ、海運業向けERPパッケージ。TISが独自に一からスクラッチ開発した製品だ。荷主との成約から、タンカーの手配およびタンカー船主への運賃支払い、港の使用料支払い、船員の給与管理まで、配船から航海完了までのあらゆる業務領域をカバーする。主要機能はモジュールとして実装されており、必要なものだけを選んで導入できる。「TISによれば、既に同業の大手内航オペレータでも導入実績があるとのことで、パッケージの品質面での信頼性は申し分ないと思いました」(宇都宮氏)。

海運業を熟知するTIS開発担当者への信頼感

最終的にTISへの発注を決めた大きな理由は、開発担当者が海運業務に極めて明るい点であったと宇都宮氏は振り返る。「海運業務に精通しており、初対面でもいきなり踏み込んだ会話ができました。聞くと、もう30年弱もこのパッケージの開発に携わっており、TISのなかでも海運業界の知識と経験はトップクラスとのことでした」(宇都宮氏)。
従来システムのSIベンダーは、意思を伝えるだけで一苦労だっただけに、「まさに、一を言えば十を知る、という言葉どおりの印象。われわれユーザーの目線での提案も期待でき、ここなら長く付き合えそうだと感じました」(宇都宮氏)。
それから意見交換を重ねた結果、課題となっていた収支管理の即時性、会計パッケージとの連携に関しても、「MaritimeCube」にカスタマイズを加えることで対応可能と、TISの開発担当者は判断。こうして、昭和日タンは2007年10月、正式にTISに次期基幹システムの開発を依頼した。

導入

現場の声をもとに要件を抽出

導入プロジェクトはまず、実際にERPを業務に利用する各部署の具体的な要望を洗い出すことからスタートした。総務部のシステム担当者が各部署へ足を運び、ヒアリングを実施。その内容をTISとともに協議してシステムに実装させる要件を整理していった。
内航第2部業務グループの高橋寛子氏は、要件定義フェーズについて、こう振り返る。「私の主な業務は、港費や燃料費の請求伝票の入力です。月に2,000件ほどの大量の伝票を処理するため、インタフェース画面は非常に重要。その仕様や使い勝手について、幾つか要望を出しました」。具体的には、数字の端数についての画面表示の取り決めや、メニューを選んでから画面が切り替わるレスポンスの改善など。「TISは、現場の担当者しか気付かないような小さな課題にも、耳を傾けてくれたのが印象的でした」(高橋氏)。

さまざまな要望にカスタマイズで対応

「MaritimeCube」はパッケージでありながら、TISによるカスタマイズの自由度が高く、海運事業者ごとの特殊な要件にも対応できる。今回も、昭和日タンが求める要件を満たすカスタマイズを行うため、2007年10月から約1年半をかけて開発プロジェクトが実施された。この工程でも、昭和日タンサイドが全面的に協力する。「当社で簡単な画面設計図を描き、TISと膝をつき合わせて、細かい改善や機能追加を行いつつ、仕様を詰めていきました」(宇都宮氏)。
こうして開発プロジェクトはほぼ当初の予定どおり進み、2009年4月にサービスインを迎えた。「プロジェクトを円滑に進められたのは、業務知識に長けたTISが、こちらが抱える課題や細かな要望を受け止めていただいたおかげだと思います」(宇都宮氏)。こうして「MaritimeCube」による昭和日タンの新基幹システムは無事に本番稼働を開始した。

効果

航海ごとの収支の可視化が実現

「MaritimeCube」導入による最大の効果について、宇都宮氏はこう語る。「月次の収支が迅速に把握できるようになったことは、営業戦略や経営判断を立てる上で非常に有効ですね。速報値ではなく、実績ベースの正確な数字をもとにして、『その月の営業収益はどの程度か?』『赤字となった要因は、天候なのか?燃料費なのか?』といった具体的な議論をタイムリーに行えるようになりました」。また航海ごとの収支や、船舶ごと、油種ごとといったさまざまな切口で収支データが可視化できるようになり、「より一歩踏み込んだ、多角的な収支の分析を行えるようになりました」(宇都宮氏)。
経理を担当する久保田氏は、会計パッケージとの連携により、課題となっていた重複入力や入力ミスが軽減したと語る。「今回導入したシステムでは、現場が金額データを入力すると自動的に仕訳され、その情報をCSVファイルに書き出し、会計パッケージに渡すことができます。結果的にPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)のアウトプットが容易に行えるようになり、親会社であるJXホールディングス株式会社への決算報告の早期化にもつながっています」(久保田氏)。

海運業界の経営課題に応えるパッケージ

港費や燃料費などの請求伝票をシステムに投入する業務現場でも、新システムの評判は上々だという。「入力作業がしにくいと感じていた画面の配置が改善され、入力チェック機能など細かな使い勝手が向上しました。一つひとつの作業時間が少しずつ短縮されたことで、トータルでは作業効率がアップしたと実感しています」(高橋氏)。
TISは現在、保守契約に基づき、現場からの要望や業務上の課題をヒアリングしつつ、細かな機能のアップデートを行っている。
昭和日タンでは今後、さらに広い業務への「MaritimeCube」適用も検討中だ。「当社は、内航に比べると規模は小さいのですが外航(海外との輸送)も手がけており、ここでも『MaritimeCube』の利用を考えています。外航オペレータ業務は英語表記、海外通貨対応などが求められますが、TISによればモジュールを加えた上でカスタマイズを行えば、当社業務に対応可能とのことで、検討を行っている段階です」(宇都宮氏)
最後に宇都宮氏は、海運業における「MaritimeCube」の意義を次のように語る。「経済環境が厳しくなるなかで、鮮度が高い『情報』の経営戦略への活用が極めて重要になることは間違いありません。タイムリーな収支情報の把握を求めていた当社にとって『MaritimeCube』は最適な選択肢。市販のパッケージでは、ここまでの当社業務への対応は困難だったでしょう。これからもTISには、システムの機能拡張などを通じて、当社の成長に協力いただければと思います」。

「MaritimeCube」による内航オペレータ業務のイメージ

お客さまの声

左から
昭和日タン株式会社
総務部 総務グループ 担当マネージャー 宇都宮崇氏
経理部 経理グループ 久保田春平氏
内航第2部 業務グループ 高橋寛子氏

TISとの顔合わせの際、開発担当の方の、海運業に関する業務知識の豊富さに驚きました。この業界は基幹業務の流れが特殊なためIT化を図りにくい土壌がありますが、業務内容を熟知するTISの働きで、現場にとって真の使いやすさを備えた基幹システムを完成させることができました。今後も、海運業界の頼れるITパートナーとして、一層の強力な支援を期待しています。

TIS担当者から

左から
TIS株式会社
産業事業本部
流通サービスビジネス事業部
流通サービスビジネス第2部主任
青木勝

要件定義フェーズのヒアリングで関わったすべてのお客様が、プロジェクトが円滑に進行するよう、積極的にご協力いただいたことに感謝いたします。特に、情報システムのご担当者が、社内各部門との調整を行っていただいたおかげで、ご要望をもれなく開発に反映することができました。今後も「MaritimeCube」に限らず、昭和日タン様の海運業務に関する、どんなお困りごとでも相談いただけるITパートナーを目指したいと思います。

  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • ※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2016年10月6日 17時14分

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