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株式会社アンテリオ様

BIツールを活用したデータ分析プラットフォームで多様化する市場調査ニーズに即応

医療用医薬品等の市場調査を手がける株式会社アンテリオ(以下、アンテリオ)は、医師のアンケートを分析するASP型システムが旧態化したことから、刷新を計画。TISは、インフラとなるAWS、集計エンジン「Dr.Sum EA」とダッシュボード「MotionBoard」によるBI、さらにデータ加工を行うETLツール「ASTERIA WARP」を組み合わせたデータ分析プラットフォームを提案し、ワンストップで導入を支援した。

本社 東京都千代田区神田練塀町3番地インテージ秋葉原ビル
設立 1994年
資本金 1億4,540万円(2015年9月末現在)
事業内容 医療用医薬品などヘルスケアに特化したマーケティングリサーチ
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課題

製薬企業の戦略を支える市場分析

アンテリオは、医療用医薬品などヘルスケアに特化したマーケティングリサーチを20年以上手がける、インテージグループの企業。全国の医師約4万5千人をモニターとしてアンケートを実施し、その分析データを製薬企業等に提供している。「医薬品が現場でどう使われ、医師がどう評価しているのか。こうした情報を提供し、プロモーション活動や新薬開発に役立てていただいています」(ファーマ・ソリューション事業部 ソリューション開発部長 佐藤暢章氏)。
目的別に複数の調査サービスを提供しており、その一つに、MR(医薬情報担当者)の活動状況の調査がある。「このアンケートに協力する医師は、全国約4,000人。その日、どの製薬企業のMRが何人訪問し、どんな医薬品をどう説明したかといった情報をWebで回答いただきます」(佐藤氏)。アンケートを集計・加工した分析用データは、週に一度更新。製薬企業はインターネットを通じてログインし、MRの訪問回数や対面時間など、求める分析の条件を指定する。その結果はグラフで表示され、各社の動向も容易に比較できる。

柔軟さに欠けるASP型の分析システム

以前、このMR活動調査サービスでは社外ベンダーがASP方式で提供する分析システムとスクラッチで構築した分析システムが利用されていた。Webアンケートをはじめ、分析のソースとなるデータの加工、分析用Webシステムまで一式をカバーするものであったが、スクラッチで組んだシステムがゆえの自由度・拡張性の低さが課題となっていたという。運用管理を担当するソリューション開発部の奥長ひろ子氏は、現場の苦労を振り返る。「たとえば、アンケート項目を一つ追加するだけでも、ベンダー側で月単位での作業時間が必要でした。製薬企業の望む調査内容を、タイムリーに反映できない課題がありました」(ファーマ・ソリューション事業部 ソリューション開発部 奥長ひろ子氏)。
また、分析用データが別会社の管理するデータセンターに置かれていたため運用面での制約があった。「我々にとってシステム内部の設定はブラックボックスであり、データ加工処理の指示がうまく伝わらなかったり、設定ミスが起きていたとしても直接設定の内容を見ることができないため、確認やコントロールに苦労しました」(奥長氏)。
 さらに、製薬企業が分析で使用するWebシステムの画面表示も遅く、ソリューション開発部はシステムの見直しを決定。「我々は情報分析をビジネスとする会社であり、お客様が求めるニーズにタイムリーに応える必要があります。そのためにも、我々が自ら運用できる柔軟性を備えた分析プラットフォームが必要でした」(佐藤氏)。

選択

BIを採用した分析プラットフォームを構想

こうして2014年、ソリューション開発部は新たなデータ分析プラットフォームの計画に着手する。構想として、まず、分析用データを置くインフラは、同部の他の調査サービスとともに、AWS(Amazon Web Services)に一本化。製薬企業は、WebブラウザベースのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを利用してAWSにアクセスし、分析作業を行う。「BIツールの利用を考えたのは、製薬企業のお客様で、社内業務にBIを使っている方と会ったことがきっかけです。実際の画面を見せていただき、操作のしやすさ、視覚的な分かりやすさなど、当社の従来サービスを上回っており、衝撃を受けました」(佐藤氏)。
そしてソリューション開発部は、データ分析のユーザインタフェースとなる、BIツールの情報収集を開始した。「BIを紹介してくれたお客様は、ウイングアーク1st株式会社(以下、ウイングアーク)の『MotionBoard』が一番のお勧めとのこと。そこで、まず同社にコンタクトして情報提供を依頼しました」(佐藤氏)。その後、他のパッケージベンダーからも情報を収集し、「MotionBoard」を含む数製品について、各ベンダーに提案を依頼することとなった。
このときウイングアークは、プラットフォーム全般の開発を受け持つTISとの共同で提案に参加。TISは国内80社以上でウイングアークのBIツールの導入実績がある。ウイングアークは、その国内トップクラスの経験と技術力を評価し、TISを共同提案のパートナーとして抜擢した。
TISが行った「MotionBoard」のデモを目にした佐藤氏は「使いやすさ、機能性ともに申し分なく、初めてでも直感的に使える点は期待以上でした」と印象を語る。さらに、同製品のコスト面での優位性について、「利用者数に比例したライセンス料ではなく、サーバ単位の料金体系のため、数百人規模が分析に利用する当社の用途に適していました」(佐藤氏)。

ワンストップ対応が可能なTIS

さらにTISの提案力も、採用を後押しする決め手となった。「今回、SIベンダーと組まずに単独参加したBIツールベンダーは、基本的に“インフラは御社でご用意ください”というスタンス。しかし、TISはSIベンダーだけあって、こちらから要望する前に、AWSの採用から、クラウドのセキュリティ対策、Webアンケートの仕組みまでを提案に盛り込んでいた。ワンストップ対応の総合力は、さすがだと感じました」(佐藤氏)。
またTISは、最終的にシステム運用の完全内製化を目指すアンテリオに対し、積極的に支援する姿勢を示したことも高評価につながった。「TISには、単にシステム導入・開発を行う請負業者としてではなく、一緒にサービスを立ち上げるパートナーとして手伝ってほしいとお願いし、快く同意していただけました」(佐藤氏)。こうして2014年6月末、TISに正式発注となり、翌月からプロジェクトがスタートした。

導入

「ASTERIA WARP」による柔軟なデータ変換

導入開始にあたり、TISはアンテリオが求める“自社による運用”を実現するための工夫として、ETLツール「ASTERIA WARP」の採用を提案した。これは、インフォテリア株式会社(以下、インフォテリア)の製品で、ソースデータに対し何ステップものクレンジングを行う際、アイコンを並べるだけで簡単に加工のフローを開発できるという特長を持つ。「アンケートデータをBIで分析できるかたちに加工するには、100以上の処理が必要。『ASTERIA WARP』なら、プログラミングが不要で加工手順を開発でき、常にフロー図を見て流れを確認できます。専属のITエンジニアを持たない当社にとって、運用の内製化の大きな力になると感じました」(奥長氏)。
この「ASTERIA WARP」は、BIの分析で必要な “拡大推計”の役割も担うこととなった。「製薬企業が最終的に閲覧する分析結果は、アンケートの母数を実際の医師の数に合わせて拡大しています。この計算根拠となる実数は、厚労省がオープンデータとして公開している、エリアや診療科別の医師の数がソース。『ASTERIA WARP』では、アンケートデータとオープンデータのCSVファイルを紐付けることで、より手軽に拡大推計の設定が行えるメリットがありました」(奥長氏)。

AWS上にプラットフォームを構築

TISはインフラの準備にあたって、AWS上に仮想マシンを用意し、BIツール「MotionBoard」を動かすエンジンとなる「Dr.Sum EA」をインストール。そして、分析に必要なアンケート結果、医師の属性マスタ、医薬品マスタなどを「ASTERIA WARP」で集約・変換し、AWS上へ送る連携の仕組みを構築した。同時に、従来の課題のひとつであった分析完了までのスピードを改善するためのチューニングもTISが併せて実施した。
こうしてプロジェクト開始から2カ月後の2014年8月、AWS上にデータ分析プラットフォームが完成し、社内でのテスト運用が可能となった。ソリューション開発部のメンバーは、新システムへの切り替えに備え、ウイングアークおよびインフォテリアの研修にも参加した。「最初のうちは我々が各種操作に不慣れなため、TISには拡大推計のフロー処理やBIの画面など、サンプルの作成でいろいろと協力いただきました。それを参考にしつつ、社内メンバーが、本番サービス用の作り込みを進めていきました」(奥長氏)。
こうして各種調査サービスは、順次AWSの分析プラットフォーム上へ移行され、MR活動調査サービスについては、2015年3月に新システムによる本番提供が開始された。

効果

分析システムを自らの手で運用可能に

新プラットフォームに切り替えられたMR活動調査サービスは、製薬企業等約40社が利用し、BIツールのID発行数は約200ユーザ。AWS上には毎週約2万件のペースで、医師のアンケートを分析用に加工したデータが新規登録されている。
移行の効果について佐藤氏はこう語る。「最大の目標であった運用の柔軟性は、従来に比べて飛躍的に向上しました。社内で運用できるようになったことで、分析画面の仕様変更、分析用データのクレンジングの追加・変更など、必要なときにタイムリーな対応が可能になりました」(佐藤氏)。
一方、製薬企業にとってのユーザビリティも大きく改善されたという。「以前は、見たい条件を選んでからグラフ表示まで1分以上待つ必要がありましたが、数秒~20秒以内へと高速化されました。また、表示できるグラフも多種多様となり、視覚的な分かりやすさも向上して好評をいただいています」(奥長氏)。

複数調査をクロスさせた高度な分析を

AWS上に構築したデータ分析プラットフォームは、アンテリオの事業戦略上、重要な意味を持つと佐藤氏は語る。「従来、調査サービスによって異なっていたデータセンターを、クラウドのAWSに一本化。加えて、『ASTERIA WARP』により、これまで属人化していたデータ加工のプロセスも標準化の道が見えてきました。これで全社一元的なデータ分析プラットフォームの下地が整い、次のステップとして調査サービスの高度化に取り組んでいきます」(佐藤氏)。
具体的な目標のひとつが、複数の調査サービスのデータを掛け合わせたクロス分析だという。「調査サービスによってアンケート内容は異なっても、回答する医師はかなり重複しています。今回構築したプラットフォームがあれば、医師の属性と、複数の調査結果を組み合わせた分析を実現できると考えています。これで、よりお客様の要望に応えられるようになり、当社リサーチ事業の大きな転換になるでしょう」(佐藤氏)。
最後に佐藤氏は、TISへの期待をこう語る。「我々は情報分析のプロフェッショナルであっても、ITのエンジニアリングの知識は不足しています。お客様に満足いただける調査サービスを提供するには、速度の改善やセキュリティ強化など、常にシステムを進化させていく必要があります。これからも、TISの支援には大いに期待しています」(佐藤氏)。

分析システムを自らの手で運用可能に

お客さまの声

左から
株式会社アンテリオ
ファーマ・ソリューション事業部
ソリューション開発部長
佐藤暢章 氏
ソリューション開発部
奥長ひろ子 氏

提案に参加したベンダー各社には、「最終目標は自分たちの手による運用であり、その実現のための支援をしてほしい」旨を伝えていて、この考えに最も共鳴し、具体的な案を提示してくれたのがTISでした。運用を内製化しようとしても、最初にITインフラの整備など、どうしても技術的なハードルを越えなければいけません。その部分をTISが代行し、各種ツールの初期導入を支援してくれたことで、ようやく運用を軌道に乗せることができ感謝しています。

TIS担当者から

TIS株式会社
ITソリューションサービス本部
エンタープライズソリューション事業部
データマネジメントソリューション部 主査
橘木 直也

アンテリオ様の収益の根幹となる分析基盤構築という、非常に重要な案件に参加させていただき感謝いたします。分析の仕組みやユーザインタフェースの要件が特殊であり、その実装は容易ではありませんでしたが、無事にサービスインを迎え、大きな達成感を得ることができました。これからも、製薬・医療業界におけるアンテリオ様の強みと、TISの得意分野をうまくコラボレーションして、エンドユーザの皆様へ提供するサービスの質を高めていきたいと思います。

  • TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2023年10月4日 23時10分