デジタル基盤とは?
DX推進に不可欠な仕組みと導入のポイント・補助金活用まで解説
更新日:2026年3月16日
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で、企業活動の土台となるIT環境、いわゆる「デジタル基盤」の重要性が指摘されています。業務プロセスの効率化、データ活用、新たなサービス創出を実現するには、柔軟かつ安全なIT環境の整備が重要です。
本記事では、デジタル基盤の基本的な考え方や役割、主な構成要素を整理するとともに、導入を検討する際の視点や、活用が進む補助金制度について解説します。
■目次
1. デジタル基盤の定義と役割
デジタル基盤とは、企業や組織がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で欠かせない、IT環境・システムの土台となる仕組みを指します。単にサーバーやネットワークを整備することにとどまらず、業務やサービスを支えるデータを蓄積・管理・連携し、価値ある情報として活用できる環境を整えることが求められています。
また、複数の業務システムや外部サービスをつなぐ通信環境やAPI基盤もデジタル基盤を構成する要素です。これらにより、部門や拠点を超えたデータ連携や業務プロセスの自動化が進めやすくなります。
さらに、クラウドやセキュリティを含むITインフラ全般を対象とし、運用の柔軟性や安全性を確保する点もデジタル基盤の特徴とされています。変化の激しいビジネス環境に対応するための基盤として、その重要性は高まっています。
1-1. ITインフラやデジタルプラットフォームとの違い
デジタル基盤はITインフラやデジタルプラットフォームと混同されがちですが、それらを包含する、より広い概念として整理されます。
ITインフラはサーバーやネットワーク、ストレージなどの物理的・基盤的設備を中心としたIT環境を指し、安定したシステム稼働を支える役割を担います。一方、デジタル基盤はITインフラを前提としつつ、データ活用や業務変革を支える仕組みや運用を含めたIT環境全体を意味します。
APIやクラウド、セキュリティなどを組み合わせることで、システムの柔軟性や拡張性を高めることが可能になります。
また、デジタルプラットフォームはECサイトやアプリなど、顧客や外部サービスとの接点となる仕組みを指し、新たな価値創出の場として位置づけられます。
デジタル基盤は、こうしたITインフラとデジタルプラットフォームを横断的につなぐ役割を担い、企業全体のDXを支える基盤として機能します。
1-2. 総務省の「地域デジタル基盤活用推進事業」とは
総務省が推進する「地域デジタル基盤活用推進事業」は、地域におけるデジタル技術の活用を後押しする取り組みの一つです。行政機関や民間事業者が連携し、地域課題の解決や住民サービスの向上を図ることを目的としています。
本事業では、地域に分散して存在する官民データの連携・活用を進めることで、行政手続きのオンライン化や、防災・見守りといった分野でのサービス高度化が検討・実施されています。
また、自治体におけるデジタル人材の育成や推進体制の整備も支援対象となっており、継続的にデジタル基盤を活用できる体制づくりが重視されています。さらに、スマートシティや地域IoT基盤の導入モデルを実証・展開することで、地域間のデジタル格差への対応や、幅広い住民が恩恵を受けられる環境づくりを目指している点が特徴です。
2. デジタル基盤を構成する主な要素
現代のデジタル基盤は、サーバーやネットワークといった単一の要素だけで構成されるものではありません。業務の高度化やDXを支えるためには、通信、クラウド、セキュリティ、データ活用など、複数の要素が相互に連携する構造が求められています。
ここでは、デジタル基盤を構成する主な要素について整理します。
2-1. ネットワーク環境
ネットワーク環境は、社内システムやクラウドサービス、外部パートナーを安全かつ安定して接続するための基盤です。通信の品質や安定性は、業務の継続性やデータ活用の前提条件となります。
近年では、拠点間接続やリモートワークを前提としたネットワーク設計に加え、通信状況の可視化や冗長構成など、安定的な運用を支える取り組みが重視されています。
2-2. クラウド基盤
クラウド基盤は、必要なITリソースをオンデマンドで利用できる環境を提供します。需要の変動に応じてリソースを調整できるため、初期投資を抑えつつ、システムの柔軟な運用が可能になります。
また、クラウドサービスの活用により、新しいシステムやサービスを比較的短期間で立ち上げることができる点も、DX推進を支える要素の一つとされています。
2-3. セキュリティ
デジタル基盤を検討する上で、セキュリティは重要な要素の一つです。近年は、社内外の境界に依存しない「ゼロトラスト」の考え方を前提に、ID管理やアクセス制御、脅威検知などを組み合わせた対策が検討されています。
複数のシステムやクラウドサービスを利用する環境では、個別対策にとどまらず、全体を俯瞰したセキュリティ設計が求められます。
2-4. データ基盤
データ基盤は、企業内外に分散するデータを収集・蓄積し、分析や業務に活用できる形に整えるための仕組みです。データレイクやDWH(データウェアハウス)を活用することで、構造化データ・非構造化データを含めた管理が可能になります。
さらに、ETL処理などを通じてデータを連携・加工することで、意思決定や業務改善に活用できる情報として利用されるケースが増えています。
2-5. API・連携基盤
API・連携基盤は、異なる業務システムや外部サービスを接続し、データや機能を相互に利用するための仕組みです。これにより、部門ごとに独立して構築されたシステム間の連携や、業務プロセスの効率化が図られます。
また、既存システムと新しいサービスを段階的に連携できる点は、変化に対応しやすいIT環境を構築する上での特徴の一つです。
3. なぜデジタル基盤が必要とされるのか?
DXを検討・推進する企業が増える中で、その土台となるデジタル基盤の重要性が改めて認識されています。変化の激しい経営環境に対応するためには、個別施策だけでなく、全体を支えるIT環境の在り方を見直すことが求められています。
ここでは、デジタル基盤が注目される背景や、その必要性が語られる理由について整理します。
3-1. DX推進の土台としての重要性
DXは、業務のデジタル化にとどまらず、ビジネスモデルや価値提供の在り方を見直す取り組みとして捉えられています。そのため、環境変化や新たな要件に対応できるIT環境をどのように整えるかが、検討テーマの一つとなります。
例えば、データを横断的に管理・活用できる環境が整えば、経験や勘に依存しない意思決定を行いやすくなります。また、業務の標準化や自動化を進めることで、一定の効率化や省力化につながるケースも見られます。
さらに、新規サービスの立ち上げや顧客接点の拡充においても、あらかじめ基盤が整備されていることで、検討や展開を比較的スムーズに進められる場合があります。
3-2. 業務効率・意思決定・顧客体験への影響
デジタル基盤は、IT部門だけでなく、企業活動全体に影響を与える要素です。社内外に散在するデータを可視化し、必要なタイミングで活用できる環境が整うことで、意思決定のスピードや精度の向上が期待されます。
また、拠点や部署をまたいだデータ連携が進むことで、業務プロセスの見直しや効率化につながるケースもあります。
さらに、顧客データを活用したサービス改善や対応の高度化は、顧客体験(CX)の向上に寄与すると考えられており、こうした取り組みを支える基盤としてデジタル基盤が位置づけられています。
3-3. デジタル基盤を導入しないことによる経営上のリスク
一方で、デジタル基盤の整備が進まない場合、業務やシステム運用において課題が顕在化することがあります。例えば、老朽化したシステムが残ることで、新たな施策やサービスの検討・展開に時間を要するケースが見られます。
また、データが部門ごとに分断された状態が続くと、情報共有の手間や意思決定の遅れにつながる可能性があります。加えて、セキュリティ対策が十分に行き届かない場合には、リスク管理の観点から課題となることもあります。
このように、デジタル基盤の在り方は、業務効率やIT運用だけでなく、人材確保や組織運営といった経営全体の視点からも検討されるテーマとなっています。
4. 自社にとっての最適なデジタル基盤の考え方とは?
デジタル基盤の在り方は、企業の事業内容やIT環境、将来の方向性によって異なります。そのため、自社の状況を踏まえながら、無理のない範囲で検討を進めていくことが重要とされています。
ここでは、デジタル基盤を設計・検討する際に意識される主な観点について整理します。
4-1. 企業規模や業種に応じた視点
デジタル基盤は、すべての企業に同一の形が当てはまるものではありません。例えば、製造業では生産管理やIoTデータの活用、小売業では在庫情報や顧客データの連携、サービス業では顧客接点の高度化など、業種ごとに重視される領域は異なります。
また、中堅・中小企業の場合、初期段階から大規模な基盤を構築するのではなく、必要な機能から段階的に導入するケースも多く見られます。将来的な成長や事業拡大を見据え、拡張しやすい設計を意識することが、一つの考え方となります。
4-2. 社内システムとの連携・段階的導入の視点
デジタル基盤の検討にあたっては、既存の社内システムとの関係性を踏まえた進め方が重要になります。すべてのシステムを一度に刷新するのではなく、段階的にモダナイゼーションを進めることで、業務への影響を抑えながら対応する方法が採られることもあります。
既存資産を活かしつつ、API連携などを通じて統合を進める考え方は、「リプレイス」だけに依らない選択肢の一つです。小規模な取り組みから始め、効果や課題を確認しながら範囲を広げていく進め方が選ばれるケースもあります。
4-3. 既存資産を活かしながらのモダナイゼーションの考え方
既存のIT資産についても、すべてを置き換えるのではなく、新旧システムを併用・連携する形で活用する考え方があります。レガシーシステムをAPI化し、クラウド環境と接続することで、既存資産を活かしながら機能拡張を図る取り組みも見られます。
その際には、短期的な投資対効果だけでなく、中長期的な運用負荷やコストの変化も含めて検討することが求められます。また、IT部門だけでなく業務部門とも連携しながら進めることで、実運用を意識した形でのデジタル基盤整備につながると考えられています。
5. デジタル基盤改革支援補助金をはじめとする補助金制度をチェック
デジタル基盤の整備には一定の投資が必要となるため、国や自治体による補助金・支援制度の活用が検討されるケースもあります。こうした制度を活用すれば、初期費用の一部を抑えながら取り組みを進められる可能性があります。ただし、補助金制度は年度ごとに内容や要件が変更されることが多いため、自社の目的や状況に合致するか慎重な確認が必要です。
ここでは、デジタル基盤整備に関連して活用が検討される代表的な支援制度の例と、確認時のポイントを整理します。
■デジタル分野に関連する主な補助金・支援制度(例)
- IT導入補助金
中堅・中小企業等を対象に、業務効率化やデジタル化を目的としたITツールの導入を支援する制度です。対象となるツールや補助要件は年度ごとに定められています。 - 事業再構築補助金(デジタル活用を含む類型)
事業転換や業態転換を伴う取り組みを支援する制度で、DXやIT活用を含むケースもあります。 - 地域デジタル関連施策(自治体独自制度を含む)
自治体によっては、スマートシティ施策や地域DXの一環として、独自の支援制度を設けている場合があります。
※ 制度名称や内容は変更される可能性があるため、最新情報は各省庁や自治体の公式情報をご確認ください。
補助金活用時の留意点
補助金制度を活用する際は、補助対象となる範囲や要件、申請スケジュールなどを事前に確認し、自社の取り組み内容と合致しているかを慎重に検討する必要があります。
また、補助金はあくまで支援策の一つであり、制度ありきで取り組みを進めるのではなく、目的や将来像を整理した上で活用を検討することが重要です。
6. デジタル基盤の導入はTISの「デジタル基盤オファリングサービス」におまかせ
デジタル基盤の構築や刷新を検討するにあたっては、技術力だけでなく、業務理解やプロジェクト推進力を備えたパートナー選びが重要になります。
TISが提供する「デジタル基盤オファリングサービス」は、企業のDX推進を支援するためのITサービスです。要件整理から設計・構築、運用までを一貫して支援し、複雑化しがちなIT環境に対して、企業ごとの状況に応じたデジタル基盤の整備をサポートします。
本サービスでは、これまでのプロジェクトで蓄積してきた知見やテンプレートを活用することで、検討・構築フェーズの効率化を図り、スケジュールや負荷に配慮した導入を目指します。
また、クラウド/オンプレミス双方の環境に対応し、既存システムを活かしたモダナイゼーションにも対応可能です。金融分野をはじめとしたミッションクリティカルな領域で培ったノウハウを活かし、セキュリティや運用面にも配慮したデジタル基盤の構築を支援します
7. まとめ
DXを検討・推進する企業が増える中で、自社に適したデジタル基盤をどのように整備していくかは、重要な検討テーマの一つとなっています。デジタル基盤は、業務効率化やデータ活用にとどまらず、新たなサービス創出や事業の持続的な成長を支える土台として位置づけられます。
企業規模や業種、既存システムの状況はそれぞれ異なるため、一律の正解はありません。自社の現状や将来像を踏まえながら、段階的かつ計画的に取り組みを進めていくことが、デジタル基盤整備における一つの考え方と言えるでしょう。
デジタル基盤の構築や刷新を検討するにあたり、具体的な進め方や選択肢について情報収集を進めたい場合には、TISが提供する「デジタル基盤オファリングサービス」に関するコラムやホワイトペーパーも参考としてご活用いただけます。
【コラム・ホワイトペーパー一覧】デジタル基盤オファリングサービス
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