先進企業から学べ!IFRSにおける重要課題

IFRS(国際財務報告基準)の強制適用時期が不透明な情勢となるなか、プロジェクトの継続や計画の見直しなどその対応状況は企業ごとに変化が見られます。しかし、スケジュールが延びたことによって、決算の早期化やグループ全体での基盤強化など、長年懸案となっていた経営課題の解決も同時に行う「効果創出型」へシフトする企業が登場。IFRS導入を単なる制度対応として捉えるのではなく、経営基盤の強化を図るチャンスと位置付けている企業が増えつつあるのです。
そこで今回は、IFRS導入の“目指すべき姿”について改めて振り返りながら、IFRSにおける重要な論点(課題)として気をつけたい“3つのポイント”を、先行してIFRS対応に取り組んでいる先進事例から紐解きます。

チャンス到来!目指すべきIFRS導入“成熟”アプローチ

IFRSは、IASB(国際会計基準審議会)によって策定されている国際的な会計基準です。金融商品を含めた個別の論点は現在でも議論が進められており、適用範囲や適用時期は未確定ながら、いずれ日本企業でも対応が迫られることは間違いありません。
IFRSを導入する場合、制度への対応のみを行うアプローチはもちろん、業務の統一化など個別の業務効率化を目指すアプローチ、そしてグループ全体で行う経理業務のシェアード化などより高い効果を創出するアプローチなど、スケジュールやコスト、導入効果によってそのアプローチ方法は異なります。

IFRS導入のゴールと活用ステップ

ただ、2015年に強制適用とされていたIFRSの適用時期がずれ込んだことで、IFRS導入効果がもっとも高い「効果創出アプローチ」に舵を切るチャンスが訪れています。個別業務の効率化やグループ全体でのシェアード化なども合わせて計画している企業も現れており、経営基盤を強固なモノにする機会が今まさにやってきていると言えるのです。

「効果創出アプローチ」が目指す企業グループの姿

IFRS導入でもっとも効果が高い「効果創出アプローチ」は、個社別に最適化されていた業務プロセスなどを解消し、長期的な視点で全体最適を目指すグループ基盤整備によるマネジメントアプローチです。個社ごとに存在していた会計方針や業務プロセス、システムをグループで共通化・統一することで、経営判断のスピードアップを図ることが可能となるだけでなく、ガバナンス強化や情報の見える化など、グループ経営の意思決定・オペレーションの高度化も実現。経営基盤の強化に向けた理想的なアプローチなのです。

効果創出アプローチによる統合後のイメージ

先進企業はどこで悩んだ!?IFRS対応における論点別インパクト

充分な準備期間や経営投資が確保可能であれば、高い効果を創出するアプローチを目指す事が望ましいですが、まずはしっかりと制度対応としてのIFRS導入をしっかり見据える必要があるのはいうまでもありません。そこで、すでにIFRS対応を進めている先進的な事例を紐解きながら、具体的に検討すべき論点がどんなところにあるのか、その影響度合いとともに見ていきます。今回紹介するのは、ERPを導入している製造業A社です。

IFRSのシステム全体への影響

システム全体に対する影響を見てもわかる通り、財務会計システムを中心に、固定資産や在庫管理、販売管理など課題となる論点は多岐に渡っています。様々なシステムや機能に改修作業が必要となるため、単にERPを導入すれば済むというわけにもいかないのです。
特にA社では、グループ全体のIFRSへの組み替えは連結パッケージで行う予定ですが、検討を重ねた結果、親会社については日本基準とIFRS基準双方の元データを個社ごとに保持する必要があると結論付けています。そのため、総勘定元帳や固定資産などの二重管理がシステム上のインパクトが大きく、結局システムを入れ替えざるを得ませんでした。
なお、上記の図は1社だけで見た論点ですが、グループ全体で考えるとかなり大きなインパクトが発生することになるのは容易に想像できるはずです。

インパクトが大きなIFRS“3大論点”

前述した事例も含めて大きな論点となるのが、連結企業データの収集範囲の拡大や会計方針の統一が必要な「連結会計」や、耐久年数や残存価額の見直しなど資産マスタの二重管理が必要な「固定資産」部分です。システム的な影響度が大きく、小さな改修作業では対応できない可能性があります。
また、金融機関では、連結会計及び固定資産だけでなく、評価方法や貸倒引当金などを日本基準とIFRS双方で算出しなければならない「金融商品会計」についても非常に大きなインパクトがあることが想定されています。これら個別の論点においても特にインパクトの大きな部分はすぐに対応できるものではないため、出来る限り早期に検討をしておきたいところです。

  • • マネジメントアプローチ
  • • 注記項目の増大
  • • IFRS組替プロセス、調整仕訳の検討
  • • 実態に応じた償却方法/耐用年数の見直し
  • • コンポーネント・アカウンティング
  • • 資産除去債務
  • • 減損戻入れ
  • • 公正価値評価の拡大
  • • 貸付金評価方法の変更
  • • 取扱い商品ごとの期待C/F算定モデルの検討

次回予告

次回以降からは、個別論点の中でもインパクトの大きい「連結会計」「固定資産」「金融商品会計」の3つに絞って、その詳細な内容と具体的な対策について見ていきます。具体的な事例も交えながら紹介しますので、ぜひご期待ください。

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更新日時:2018年12月18日 15時51分

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