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コラム第2回「事業会社は非財務情報にどう取り組むべきか① 事業会社の視点」 - TIS株式会社 企画部コーポレートサステナビリティ推進室 -

企業価値の変化に伴う課題

国連による責任投資原則の提唱に伴いESG投資が本格化し、世界の金融市場では「非財務情報」が企業評価の新しい視点としてクローズアップされています。日本でも2018年頃から「非財務情報」への注目が高まり、企業の持続的成長は「財務情報」と「非財務情報」の二つの観点から評価すべきと認識され始めました。これはESG投資を行う機関投資家のみならず、投資対象となる企業においても共通の認識として定着しつつあります。

しかし、企業の「非財務情報」への取り組みについてはまだ「基準となる取り組み方」が明確ではありません。そのため「非財務情報」をどのようにマネジメントし、どのように開示し、社会と対話していくかは、それらの取り組みを「企業価値の向上」につなげる際の大きな課題となっています。

本コラムでは、実際に企業がどう「非財務情報」に相対しているのか、相対するべきかを、「企業(事業会社)」と「それを支援するコンサル」の2つの立場から、インタビュー形式で2回に渡って取り上げていきます。

企業(事業会社)はどのように「非財務情報」に相対しているのか

今回は企業の「非財務情報」への取り組みの例として、TIS株式会社 コーポレートサステナビリティ推進室(以下、CS室) 室長 砂山 広行、同室 エキスパート 荏原 芳史に話を伺いました。TISでは2019年にコーポレートサステナビリティ推進室(以下、CS室)を設置しています。

■CS室とは何をする部署ですか?

CS室はグループ企業全体の「サステナビリティ推進」を担っています。企業の持続可能性を高める推進活動として、部門・グループ横断的に環境・人事・ガバナンス等の観点から、経営の質を高めるさまざまなサステナビリティ施策の立案・遂行・支援を行っています。
CS室の業務には大きな二つの軸があり、一つはCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)経営の実践、もう一つはグループ全体の企業活動そのものが社会からの要請に応え、循環型社会の貢献を意識した経営の高度化を行う活動です。
具体的には、自社の事業領域でどのように社会価値と経済価値の両立に取り組むかの施策を事業部門と連携しながら推進し、それを対外的にも発信していきます。
また、経営の高度化活動では、社会から関心度が高い世界規模で関心が高まっている脱炭素化社会につながる環境への取り組みやプライバシーを含む人権問題への対応やダイバーシティ&インクルージョンに代表される多様性の確保や働き方改革への対応などのソーシャル(人事)、改訂コーポレートガバナンスコードを含む企業統治など、いわゆるESG視点の施策を推進します。<砂山>

■CS室はどのような経緯で設立されましたか?

CS室は2019年に設立されました。もともとTISの中長期計画で、"サステナビリティの重要性"を探ることは課題となっており、そこを経営施策のひとつとして考え、「サステナビリティ経営」をグループとして確立させていくということがスタートでした。
TISはこれまで社会的責任を果たすためにCSR(Corporate Social Responsibility)を重視した取り組みを行なってきました。CS室は、市場が企業評価の手段として「サステナビリティ」に注目する中、企画部内の一業務であった「サステナビリティ」に関する施策をより経営に近い立場で行う必要性から経営を担う部門の中に専門室を立ち上げてよりその動きを加速させる判断を行ったと言えます。<砂山>

■ここ数年、「非財務情報」に対する意識はどのように変わりましたか?

TISの中では、非財務情報のマネジメントの重要性は年々高くなってきていると思います。
「OUR PHILOSOPHY」と呼ばれるTISの基本理念があるのですが、その中に「質で語られる信頼のブランド」というキーワードがあり、経営の質の向上は全社を通しての目標になっています。「非財務情報のマネジメント」は、今までの「財務的なマネジメント」にはない視点から経営の質を上げることが可能で、私はそれこそが"企業価値向上に資する"と考えています。
他の企業でも同じように財務数値的なものだけでは企業価値を測れないという事に気付いており、「非財務情報」の意識が高まっているのは間違いないと思います。実際に経営統合報告書(財務情報+非財務情報)で無形資産の占める割合が増えており、最近はサステナビリティレポートやブックという形で統合報告書から切り出して情報開示する企業も増えています。<荏原>
非財務情報が注目された背景として、2006年に投資家向けのPRI(国連責任投資原則)の中で投資家も投資を行うことで対象企業がもたらす長期的な社会へのインパクトに関しても責任を持つことが叫ばれていますが、多くの投資家が本原則に賛同していることが考えられます。投資する側で無形資産や非財務価値に対する意識が高まれば、企業もそれに対応しなければ投資家の評価は得られません。さらに、今年6月には東証からコーポレートガバナンスコードが改訂・公示され、財務価値外である「サステナビリティ」の観点を含んだ情報開示が原則として加わり、今後ますます「非財務情報」が注目されることになると思います。<砂山>

■企業はどう「非財務情報」を取り扱うべきでしょうか?

「非財務情報」のマネジメントを”どこから手をつけるか”という点では、広いスコープで情報を収集することがスタートだと思います。しかし、ただ収集するだけではなく、経営に資する情報を見定める必要があり、そこが重要です。また「非財務情報」は他社と比較しその数値の意味を知ることが重要です。しかし、「財務情報」であれば容易に行える比較も、情報の種類も規格も統一されていない「非財務情報」では難しく、「非財務情報」の開示では、投資家がいかに比較可能な定量化した情報を外に開示できるかがポイントになります。
「非財務情報」は、最近ではサステナビリティブックや統合報告の巻末にまとめられているなど、所在が多少わかりやすくなりました。しかし、統合報告でもWeb報告でもバラバラのコンテンツに紛れ込んでいる場合が多く、それを一つ一つ確認して集めて整理することは、途方もない作業でした。PDF等で公開されているものも多く、検索も効かない場合もあり、情報を隅から隅まで確認する必要があります。特に海外のレポートは情報量も多いので、必要な情報を得るのがとても大変でした。以前は非常に工数のかかる、効率が悪い作業を行なっていましたね。<荏原>

■その膨大な作業に、CS室ではどう対処していますか?

他社で公開している情報を集め、比較する作業は全体の業務の一部になりますが、そういった部分をCS室では、弊社の「非財務情報参照・点検サービス」を活用しています。
私が実際に使った感想なので私見が入りますが、他社との開示状況の比較や大まかな調査結果の抽出は非常に簡略化され、情報の収集、整理、比較の面で効率がものすごく上がりました。
深い調査が必要な場合は自身で調べる必要がありますが、初期調査や他社の開示レベルの把握においては、極めて有用だというのが実感です。
簡易的な自社と他社との非財務情報の比較を点検するような一連の業務では、負担は1/100くらいになったような印象です。<荏原>

■「非財務情報参照・点検サービス」はどんな企業においても有用でしょうか?

主に3つの有用な点があると思います。
1つは先ほどもお伝えした通り、「時間を掛けずに比較分析が可能」という事です。「非財務情報」はどのように開示していくことが正しいのかという正解がまだ確立されていません。その為、他の企業がどのような取り組みをして、どのような開示をしているのかを分析しながら、TISならではの非財務への取り組みを検討・推進していく必要があります。「非財務情報参照・点検サービス」を導入したからといって、業務全体の負担が1/100になるわけではありません。しかし、専門的な知識を必要としない、情報の収集や整理において明らかに工数は減り、基礎調査はとても楽になると思います。

2つ目は「情報発信の価値」を数値で確認する事ができるという事です。非財務情報の取り組みを最終的に統合レポートやWebサイトに掲載していくわけですが、市場から見た際に「その情報が非財務情報として発信できているのか」、「非財務情報としての価値が上がっているのか」といった確認をする方法が今まではありませんでした。もちろんステークホルダーとの対話の中で感覚的に受けとる事はできましたが、デジタルな数値で見られる事は大きな一歩だと思います。<砂山・荏原>

3つ目は「誰でも簡単に無料で使える」という事です。有料の部分もありますが、まずは気軽に無料版で使う事ができます。無料版でも使える項目が多いので、最初のトリガーとして触ってみてそのあと有償版の検討でもよいのではないかと思っています。

また、非財務情報参照・点検サービスはESGの観点で数値が見られるようになっていますが、サステナビリティは多様化しており、ホットになるトピックスも変成していくと思っています。そういったホットなトピックスもどのくらいのスコアなのか確認できるようになれば更に使いやすいサービスになるかなと個人的には思っています。<荏原>


◇プロフィール

TIS株式会社
砂山 広行
企画本部 企画部 コーポレートサステナビリティ推進室 室長
CS室の室長として、グループのコーポレートサステナビリティ全体戦略の設計、他部署・グループ会社との合意形成、経営への報告・承認取得を担う。

TIS株式会社
荏原 芳史
企画本部 企画部 コーポレートサステナビリティ推進室 エキスパート
CS室のメンバーとして、各種サステナビリティ施策の実行を担う。具体的には、マテリアリティの設定や、CSV推進、人権対応の推進、環境や人事、ガバナンスを担う部署と連携することにより、その推進と開示を含むステークホルダーとのコミュニケーション強化等。

価値創造プロジェクトとして、ステークホルダーの価値を上げることが企業成長であると定義するTIS株式会社。投資家や株主もステークホルダーと考え、その要望に応え、自社の企業価値も向上する善循環がもたらされることこそが、「非財務情報」開示への一番の成果といえるのではないでしょうか。

◇非財務情報参照・点検サービス紹介

Q1:非財務情報参照・点検サービスとはどんなサービス?

A:企業が公に開示している有価証券報告書や統合報告書などの非財務情報を自動収集し、①主要な評価基準に応じた開示充足率チェック②非財務情報の記載元の確認③開示充足率の経年比較④他社比較などが可能なサービスです。

Q2:登録が大変そう。個人情報は大丈夫?

A:登録はいたってシンプル!新規登録ページから必須項目5つ入力するだけです。
https://score-icebreaker.com/Identity/Account/Register

個人情報の取り扱いにつきましては「利用規約」をご確認下さい。
https://score-icebreaker.com/rule.pdf

Q3:登録しても費用は掛からない?

A:登録頂いても特に費用は発生しません。有償の方のみが利用できる機能もございますがまずは無償版でのご利用をお試し下さい。

Q4:使い方を教えて欲しい。

A:ハンズオンの動画も用意しております。またzoom等での打ち合わせも実施可能です。
その旨お問合せフォームから是非お申込み下さい。

その他詳しいサービスについて、こちらのWeb(https://www.tis.jp/service_solution/non-financial/)もご参照ください。


◇非財務情報参照・点検サービスサイト
https://score-icebreaker.com/


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更新日時:2023年10月4日 20時6分