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マイグレーションと基幹システム 共通化を実現する方法とは?

2021/08/12

基幹システムのマイグレーションを検討する際に、アタマを悩ませる問題のひとつに「共通化」があります。マイグレーション対象となるシステムは歴史が古く、基幹システムともなると長年の保守の過程で多くの重複コードを生み出しているケースが多々あります。限られた期間の中で、マイグレーションと「共通化」を同時に実現する手段を解説します。

1.基幹システムのマイグレーションで発生する要件

基幹システムのマイグレーションを検討する際に、同時に取り込みたい要件として「共通化」があります。せっかく新システムにするわけですから、「共通化」も同時に進めて、将来の保守性を向上させたいと考えるのは自然です。
この要件、特にシステム資源量が多い「基幹システム」で発生します。実際に私達へのご相談においても、「共通化」の意識や要件が特に強いのは、規模の大きいシステム、業務の根幹データを扱うシステムなど、いわゆるミッションクリティカルな「基幹システム」と呼ばれるシステムのマイグレーションを検討する企業です。
システム規模が大きいほど、保守開発に費やす時間と労力は増加します。そして、類似のプログラム資源である「重複コード」が多ければ多いほど、保守開発の効率は悪くなります。小さなシステムであれば目をつぶることができる「生産性の低下」でも、それが巨大なシステムになれば「見過ごせない問題」になります。そのため「基幹システム」のマイグレーションでは「共通化」の要件が発生しやすいと考えられます。

2.なぜ、基幹システムでは重複コードが生まれるのか?

それではなぜ、「基幹システム」では「重複コード」が生み出されるのでしょうか?技術者の考慮漏れなども無く、もちろん手抜きなどが無くても、基幹システムには「重複コード」が時系列で増えていきます。ここでは、その原因に迫りたいと思います。

架空の損害保険システムを例に考えます。この会社は、これまで販売していた「自動車保険」に加えて、新たに「火災保険」を取り扱うことになりました。そのため、新たに「火災保険システム」を開発する組織を設立しました。「自動車保険システム」は10年前に開発されたものであり、将来的に「火災保険」を扱う事を想定したものではありませんでした。

販売する保険商品は違いますが、保険契約の内容をデータベースに登録する部分の仕組みは同じです。この場合、以下の2通りの選択肢が考えられます。
A)「自動車保険システム」の一部を、「火災保険システム」でも利用できるように「共通化」し、各システムの固有処理だけを、それぞれ実装する。
B)「自動車保険システム」に影響を与えないように、「自動車保険システム」を複製(コピー)して、「火災保険システム」の固有箇所だけを変更する。
かなり極端な例ですが、皆さまの基幹システムにも、このような背景で作られた「重複コード」があるのではないでしょうか?また、あなたがこの例の開発責任者だった場合、A)を選択したのでしょうか?この選択にあっては、「共通化」に伴う以下の懸案を踏まえて総合的に判断します。

  • 安定稼働している「自動車保険システム」に不具合混入リスクが発生
  • 「火災保険システム」に加えて、「自動車保険システム」に改修コストが発生
  • 「自動車保険システム」の機能を再編成するために分析期間が必要

上記に加えて、「自動車保険システム」と「火災保険システム」の担当組織が異なる場合は、A)を選択する上での懸案事項がさらに多くなります。
基幹システムは規模が大きいからこそ、体制は「縦割り」になりやすく、加えて、上記に挙げた懸案事項が阻害要因となり、A)の選択を困難にします。結局は、「重複コード」を生み出してしまうB)を選択したほうが、リスクもコストも抑えられ、期間も短縮できるという結論になりやすい傾向にあります。
このような背景や組織的な構図が、保守開発のフェーズでも続き、同様の大小様々な選択が重なることで、システムは「冗長化」していくと考えられます。このことから、「重複コード」は特に「基幹システム」に生まれやすい背景がある、と言えます。

3.なぜ、基幹システムのマイグレーションでは共通化が困難なのか?

次に、「共通化」と「マイグレーション」の組み合わせを考えてみます。この2つは、少々相性の悪い関係にあります。それぞれの特性をキーワードで列挙しました。

  • マイグレーション:現行踏襲、コスト・期間短縮、EOL期限の解消
  • 共通化:現行機能の再編成、分析に時間がかかる、将来的な保守効率改善

「マイグレーション」を選択する場合、「スクラッチ」による再構築よりも「期間・コストを圧縮できるから」という判断が背景にあるケースが多いのではないでしょうか。
これに対して、「共通化」というテーマは、現行システムの分析に時間を要します。分析対象のシステム規模が大きいほど、必要な期間は増加します。言い換えると「基幹システム」の分析は、とても大変です。
このように、特に「期間」の観点から「時限性のあるマイグレーション」と「時間のかかる共通化」は、同時に考えることが困難な「組み合わせ」です。

4.基幹システムの共通化を実現する方法

「共通化」の分析にはなぜ時間がかかるのか?それは、膨大なプログラム資源から「似ているコード」を探すのが大変だからです。大変な理由は以下の3点です。

  • 資源量が多ければ、1回あたりのサーチ時間が長くなる
  • 無作為に比較する場合「全プログラム数×全プログラム数(累乗)」の比較回数が必要
  • 「似ている」という判断基準が「あいまい」なため、比較結果の判定に時間を要する

最終的には、「共通化」は「似ているプログラム」を特定して機能を「汎化、もしくは特化する」ことで実現します。これはこれで大変な作業です。その前作業となる、基幹システムを構成する膨大な資源を相手に「似ているプログラム」の候補を抽出する分析作業にも、多くの時間を割かなければいけません。これが「期間」を必要とする主たる原因です。
この問題を解決する方法は、人間の判断が必要な対象を減らすことです。つまり、基幹システムを隅々まで分析する作業が自動化できれば、分析期間の短縮が可能です。
サーチツールやコンペアツールは多くありますが、「共通化」を目的とした分析に特化したものは少なく、思うように 分析期間を短縮出来ませんでした。私たちは、この問題を解決するために独自の分析ツールを作りました。プログラムの「変数定義」と「メソッド定義」を網羅的に比較して、プログラムの類似率を導き出す、わりとユニークな手法です。もちろん、サブシステムや組織的な壁も関係なく、一律比較を行います。これにより、膨大な資源量でも「共通化できる候補」を自動的に短期間で抽出することができるようになりました。
「マイグレーション」に限らず、基幹システムの「再構築」や「保守開発」でも、「共通化」の要望はあります。そして、実現には「期間」の問題がつきまといます。期間を短縮するためには、上記に挙げたような一定の判断基準をもつ「分析ツール」を利用して効率化することが「共通化」を実現する有効な方法の1つになります。

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更新日時:2023年1月6日 13時40分