システムをAWSへ移行するクラウドマイグレーションとは?脱オンプレミスを実現する方法

2021/11/24
「システムのクラウド化」という言葉を近年よく耳にするようになりました。「システムのクラウド化」とはシステムが稼働する環境を物理的な基盤(オンプレミス環境)からインターネット上の仮想基盤(クラウド環境)に移行することを指します。クラウドマイグレーションは「システムのクラウド化」を実現するための有効な手段であり、DXを進める上で大きく役立つ移行方法です。今回はクラウドマイグレーションによるシステムの移行方法や注意点などについて解説を行った後、移行先としておすすめするAWSについて紹介していきます。
1.クラウドマイグレーションとは?
データセンターなどに設置している物理的なサーバ上で稼働しているシステムを、インターネット上の仮想的な稼働環境に移行(クラウド化)することをクラウドマイグレーションといいます。クラウド化を行えば、物理サーバなどのインフラ機器を自社で購入・管理する必要がなくなるため、インフラに関する購入費用や運用コストなどの削減が期待できます。移行先の候補としては、「Microsoft Azure」や「Amazon Web Services(AWS)」、「Google Cloud Platform」などが挙げられます。
2.クラウドマイグレーションによるAWSへの移行イメージ
実際に物理サーバ上で動いているシステムをどうやってクラウド化していくのかを見ていきましょう。移行先をAWSと仮定して移行イメージを記載していきます。
①事前調査
まずは移行対象となるシステムの情報資産(プログラム・モジュールなど)の棚卸しを行い、全体のボリュームを把握します。マイグレーション作業を進めるにあたり、移行・検証作業にどのくらいの工数が必要となるかを見積もるための重要な作業です。併せて、現在稼働している物理サーバの能力(ハードディスク容量、メモリ、使用ソフトなど)を確認します。これは、AWSで仮想基盤を定義する際に必要な情報となります。AWSでは仮想基盤の能力により月々の使用料金が変動するため、最適なサーバの能力を定義する必要があります。
②計画立て、プロトタイプ開発実施
事前調査が完了したら計画立てを行います。調査結果を元にAWSの設定内容を設計書として定義したり、移行方針(そのまま移行する、改修しながら移行など)を明確にして、マイグレーション全体の計画を立てます。また、AWSへの移行を行えば本来実現したかった目的(コスト削減、運用負荷軽減、BCP対策など)が実現できるのか?などのポイントを、この時点で改めて確認することも重要です。
クラウド化のイメージをいち早くつかむためにはプロトタイプ開発をすることも重要です。プロトタイプ開発でシステムの一部をクラウド環境に移行し、マイグレーションの作業内容や移行後の稼働イメージを開発序盤でつかむことができます。開発序盤なのでイメージと違う場合に立て直しを図ることも容易です。
③マイグレーション作業実施
計画に基づきシステムをクラウド環境へ移行します。現行のシステム環境とは切り離された環境で作業しますので、現行業務を止めることなくシステム移行を進められます。データ移行や本番切替時は、現行システムを止め不整合が起こらないよう確実に移行を行います。全ての移行が完了したらクラウド環境でシステム稼働確認を行い、問題なければ移行完了となります。
3.AWSへ移行する際の注意点
AWSへの移行にあたり、注意すべき点は以下となります。
〇物理的な環境(オンプレミス環境)との違いを押さえておく
業務システムの特性としてオンプレミス環境を前提とした仕様が存在している可能性があります(サーバ間のファイル連携など)。クラウド化するにあたり、このような仕様がクラウド環境でも実現可能か、計画の時点で押さえておく必要があります。
〇セキュリティ強化を意識する
クラウド化することにより、システムへのアクセスはインターネットを介した方法に変更となります。何も対策していないと不正アクセスなどのリスクがあり大変危険です。VPNを利用するなどアクセス方法についてはしっかりと意識して対策をとる必要があります。
〇コスト管理を意識する
AWSでは稼働環境の能力を自由に設定することができます。能力を高くすれば高くするほど性能は上がりますが、合わせて月額の使用料金も上がります。「最大のパフォーマンス」ではなく「最適なパフォーマンス」が出せる能力設定を意識する必要があります。
4.クラウドマイグレーションにおいてAWSを選択する理由
ここまでAWSに移行する前提でお話を進めてきました。AWSをオススメする理由を以下に記載します。
〇クラウド市場で世界No.1のシェアを持つ安定性
AWSは数あるクラウドサービスの中で世界No.1の32%のシェアを誇り、数多くの企業が導入している実績から安定したサービスであることがわかります。(2021年1Q)
また、利用者が多いことや他社との差別化を図るためにサービスの拡充や値下げなどが積極的に行われており、今後もサービスの向上が期待できます。
〇全体的な費用を抑えられる
AWSは使う分だけ費用がかかるので、初期費用はほとんどかかりません。システム稼働後も必要な分だけの費用がかかるので、最適なコストでの運用が実現できます。また、前述したとおり、値下げも積極的に行われているようなので、将来的に運用コストの継続的な低減が実現できるかもしれません。
〇障害に強い環境
AWSは全世界に25ヶ所のリージョンがあります(日本は東京と大阪の2ヶ所)。日本国内でDR対策が比較的容易に実現でき、かつ海外リージョンの使用も容易なので海外展開を低コストで実現することが可能です。また、各リージョンは冗長ネットワークで接続されているため、AWS全体で見たときには高い可用性と耐障害性が実現されています。
〇ハードウェアやOSのメンテナンスが不要
物理的な基盤でシステム運用を行う際は、定期的なメンテナンスや基盤更改が必要でした。AWSではそういった管理を全てAWS上のサービスで実現しているため、基本的にはAWS任せにすることが可能です。
5.まとめ
ここまでクラウドマイグレーションの移行イメージ、AWSの注意点・おすすめポイントを解説させていただきました。昨今、DXの推進は各企業だけではなく、日本全体の課題となっており、クラウドマイグレーションは課題解決の有効な手段のひとつであるといえます。長期的なシステム運用を見据え、一度クラウド化を検討してみてはいかがでしょうか。
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