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株式会社明電舎様

紙に依存する部品調達をサプライヤポータルへ集約し業務プロセスの「見える化」を実現

国内有数の重電機器メーカーである株式会社明電舎(以下、明電舎)は、サプライヤから部品を調達する業務の効率化・透明化が課題となっていた。TISは「intra-mart」を開発基盤とするソリューション「FAST購買」により、将来の購買分析にも対応できる拡張性を備えるサプライヤポータルを実現した。

本社 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower
創業 1897年
資本金 170億7000万円(2016年3月末現在)
事業内容 社会インフラ、産業システム、保守・サービス など
URL http://www.meidensha.co.jp/
株式会社明電舎様

課題

設計図面のやり取りで時間のロスが発生

明電舎は、電力会社や鉄道会社に向けた発電・変電設備など、社会・産業インフラとなる重電機器を手がけるメーカーで、2017年には創業120周年を迎える。上下水道の設備や大型モーターなど、産業システム機器でもトップクラスのシェアを持ち、設備の開発・導入から運用保守まで一貫した体制を強みとする。
機器の生産は国内4カ所の工場で行われ、サプライヤ約2,000社から必要な部品の発注先を選び調達する。この調達業務のプロセスにおける課題について、資材グループ企画管理課の小林幹成氏はこう語る。「当社が必要とする部品の3・割は、専用に設計した加工部品で、サプライヤに見積を依頼するには、設計図面や仕様書が必須です。しかし、以前から運用しているWeb EDIはテキスト情報しか送信できないため、設計図面等を紙にプリントし、郵送することで対応していました」。
情報システム部IT企画部の天野純一氏は、その問題点について「サプライヤに到着するまで最短3日は必要。結果として部品調達が遅れ、機会損失につながります。年間の郵送費が数千万円にもなるコスト面での課題もありました」と語る。この、“紙”依存から脱却を目指すことが、システム刷新の最初の動機となった。

属人化する取引先とのコミュニケーション

そして、調達業務の2つめの課題は、サプライヤとの連絡が属人化し、情報を社内で共有できないことにあった。「サプライヤの選定から、見積依頼、納品まで、電話・メール・FAXで何度もやり取りが行われます。この間、取引内容は他の社員から見えず、内部統制強化の観点でも透明化を急ぐ必要がありました」(小林氏)。
加えて、調達業務以外でも、地震等による生産ラインへの影響を調査する際は、電話やメールで1件ずつサプライヤに問い合わせる膨大な作業が発生し、旧来のコミュニケーション手段に限界を感じていたという。
こうした、サプライヤとの連携の課題を解決するため、明電舎は従来のWeb EDIに代わる新たなサプライヤポータルの構築を計画した。「調達業務のプロセスをシステム化できる、スピード時代にふさわしいポータルへの刷新です。機能としては、設計図面等をペーパーレスでやり取りでき、電話・メール・FAXに代わる一元的なコミュニケーションが行えること。さらに、将来的には蓄積された購買情報を分析して、戦略的なサプライヤマネジメントに活用することも目標としました」(小林氏)。

選択

ポータル機能を備える「FAST購買」

明電舎は2014年夏頃より、複数のSIベンダーに打診し、サプライヤポータルの提案を依頼した。TISが参加した経緯を天野氏はこう語る。「以前から当社の基幹システムは、TISのデータセンターで運用しており、ITパートナーとして信頼をおいていました。担当者から購買向けのソリューションを提供していることを聞き、提案参加を依頼しました」。
ここでTISが提案したのが、独自開発のソリューション「FAST購買」であった。企業の購買、調達業務に必要とされる機能を網羅しており、自動車部品メーカーなど大手製造業の導入実績も多い。大きな特長として、企業と多数のサプライヤをつなぐポータル機能を備えており、調達に伴う煩雑な業務を効率化できる。
提案のレビューを行った小林氏は「FAST購買」の印象をこう語る。「サプライヤポータル機能を備えていることに加えて、NTTデータイントラマートの『intra-mart』が開発基盤であり、容易にカスタマイズを行える柔軟さが印象的でした」。

TISのビジネスモデルへの共感

各社の提案を評価した結果、最終候補はTISと、もう1社のSIベンダーに絞り込まれた。「そのベンダーの提案は、最初から完成された購買向けパッケージを提供するというものでした。標準機能の数だけを比べると、TISの提案を上回っていましたが、ネックとなったのが拡張性の低さでした」(小林氏)。外部と連携させるための仕様が非公開であり、サードパーティのBIツールを組み合わせたり、既存の社内システムと連携させる際、その都度開発を要する点が懸念された。
「2社のビジネスモデルの違いを強く感じました。最終候補のもう一社は、最初から完成品を納めるスタンス。一方、TISは長期的なパートナー関係を継続して機能を拡張していく方針。我々が本当に望んでいることを実現するには、TISのビジネスモデルの方が合っていると感じました」(小林氏)。
また、天野氏は情報システム部の立場で、TISのアドバンテージを感じたという。「TISはこれまでの運用保守で、当社のシステムを知り尽くしています。さらに、新たなインフラとする同社のクラウド基盤『TIS ENTERPRISE ONDEMAND Service』と基幹システムの間を閉域接続すれば済み、新たなネットワークを用意する必要がない点もプラス材料でした」。
こうして、将来の拡張性、インフラを含めた総合力が評価され、TISをパートナーとすることが決定した。

導入

サプライヤが使い慣れた操作性を継承

今回のプロジェクトは第1ステップと位置付けられ、既存のWeb EDIの機能を代替すること、そして調達の業務プロセスを集約する機能を実装することが目標となった。「サプライヤはWeb EDIの操作に慣れています。変更による混乱を招かないよう、TISにはインタフェースや操作性を可能な限り踏襲するカスタマイズを依頼しました。TISが柔軟な対応を行ってくれたことで、サプライヤに抵抗なく受け入れてもらえる結果につながったと考えています」(天野氏)。
2015年1月に始まった要件定義では、現状の購買部門の業務の分析および洗い出しを行い、実装を目指す機能が定められていった。「当社の業務が、どのような流れで行われているか、そこに各種システムがどう関わっているかをTISに理解いただくところからスタートしました」(小林氏)。
開発に着手する直前、明電舎側で開発用サーバの用意が遅れるアクシデントが起きるが、「すぐにTISがクラウド『TIS ENTERPRISE ONDEMAND Service』上に仮想サーバの領域を開発用に確保してくれたので、スケジュールへの影響もありませんでした。このようなインフラ面を含めた対応力は、TISを採用してよかったと感じる点です」(天野氏)。

テスト段階から安定稼働を実現

こうして開発自体は2015年内に完了し、2016年からは移行準備がスタートした。東京・沼津・名古屋の3カ所で、サプライヤを集めた説明会が実施された。「サプライヤには調達業務での“紙をなくしたい”と目的をストレートに伝え、購買担当者との一連の連絡をすべてサプライヤポータルで行ってもらうよう協力をお願いしました」(小林氏)。
2016年1月からはテスト運用が始まり、サプライヤは実業務でのWebEDI利用と並行し、新たなポータルに接続して、使い勝手や機能を確認できるようになった。テスト運用から本番運用に至るまで、サプライヤポータルはほぼトラブルなしで稼働を続け、その安定性を天野氏はこう評価する。「以前はアクセスが集中するとレスポンスが低下し、日中にサーバの再起動をかけることもありました。サプライヤポータルでは速度低下が起きることもなく、我々が状況を監視する手間も不要となりました」。

効果

調達業務のポータル集約でスピード・精度が向上

テスト期間を経て、サプライヤポータルは2016年7月に本番稼働を開始した。明電舎の各工場の購買部約90名、そしてサプライヤは全2,000社のうちインターネット接続環境を持つ約1,700社が利用している。
これまで、郵送でやり取りしていた紙の設計図面は、電子ファイルをダウンロードする方式に変更。また、購買部とサプライヤが電話・メール・FAXで行っていた連絡は、すべてサプライヤポータル上で行うルールが設けられた。サプライヤが見積や納期を回答する際は、Web画面のフォームに入力し、購買担当者への伝達事項もメッセージとして加えることもできる。「スピードと正確さが向上したことを実感しています。また、業務プロセスが透明化され、内部統制は大幅に強化できました。すべてのサプライヤが新しいシステムに慣れるまでに時間が必要ですが、早急に浸透させるよう活動しています」(小林氏)。
また、アンケート機能の追加も予定しており、全サプライヤへのヒアリング調査での利用も構想している。「例えば、大規模災害が発生した際、ポータルを通じて生産への影響を一斉に聞き取り調査することで、迅速にサプライチェーンの状況を把握することができます」(天野氏)。

分析機能でサプライヤマネジメントが加速

今後の第2ステップ以降では、蓄積された購買情報を分析する機能の追加が予定されている。「その目的のひとつが、見積価格を査定する際の精度向上です。基幹の受発注システムには、過去の取引情報から適正価格を算出する機能がありますが、これを分析基盤を利用した査定へ移行。適正価格のベンチマークを得る精度を高めるとともに、使いたい人が自由に情報を取り出せる仕組みを実現したいと考えています」(小林氏)。
また、分析結果はサプライヤマネジメントにも活用したいと、小林氏は構想を語る。「当社が取引する品目は、ネジから半導体、大型のユニット製品までさまざま。かねてより、購入品目によって一社集中がよいのか、複数社への分散がよいのかといった戦略的な購買に取り組んできました。購買分析を行うことで、あるサプライヤが過去にどれだけの発注量に対応でき、納期や品質はどうだったのかといった『評価』を自動化できる部分が増え、サプライヤとの最良の付き合い方を見出すために役立つと期待しています」。
最後に小林氏はこう語る。「明電舎の成長は、サプライヤとの”つながり力”を強化したWin-Winの関係があってこそ。今回のサプライヤポータルは、その関係構築の基盤として重要な役割を担っています。TISとは協力体制を継続し、今後の高度化に向け臨んでいきたいと思っています」。

システム概要

システム概要

お客さまの声

天野純一氏

株式会社明電舎
情報システム部
IT企画部長
天野純一氏

小林幹成氏

株式会社明電舎
資材グループ
企画管理課長
小林幹成氏

「既に明電舎グループの数社が、今回構築したサプライヤポータルを購買業務に導入する予定となっており、グループ全体の成長への寄与も期待されています。『FAST購買』の開発基盤である『intra-mart』は連携を強みとしており、今後、分析機能を強化していくにあたり、BIツールの連携といった部分で優位性を発揮するでしょう。我々の最終目標を達成するには、サードパーティーのツールやミドルウェア、社内の業務システムと連携させてつくり上げていく必要があります。TISには今後も継続的な支援をお願いしたいと思っています」。(小林氏)

TIS担当者から

明電舎様から「本番稼動開始後も非常に安定している」と、品質を高く評価いただけたことに満足しています。開発の難所となった、基幹システムとサプライヤポータルをつなぐインタフェースの開発では、既存のWeb EDIの仕様に不明点が多く試行錯誤の連続でした。明電舎様と協力し、一緒に手探りの状態で開発を進め、何とか乗り切ることができ感謝いたします。今回の開発は、サプライヤポータルの最初のステップであり、今後は分析基盤の構築など拡張について貢献していきたいと思います。

※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。


※本資料掲載の「FAST購買」は機能が拡充された後継ソリューション「LinDo購買」にリニューアルされました。

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更新日時:2023年10月4日 23時20分