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心理的安全性を高めるには?思考と行動の質を高めて結果の出せるチームに

心理的安全性と結果を出せるチームの関係性

ダニエル・キム氏が提唱する組織開発の実践論「成功の循環モデル」では、チームの関係の質の高さが、チームの結果の質に影響を与えることを示しています。さまざまな施策を実施し、チーム全体の関係の質が高まったのちに、結果の質を高めるためには、チームメンバーの思考の質、行動の質を高める必要があると言います。これはただ、関係の質を高めさえすれば、思考と行動の質が十分に高まるということではありません。関係の質を土台に、思考と行動の質を高めていくチームの仕組が重要です。思考と行動の質を高める仕組みがないチームでは、いくら心理的安全性を高めても、結果の質は変わりません。

心理的安全性を高めるためにチームの関係の質を高める

職場において心理的安全性が高い状態が生まれる時は、社員の思いや意見が生かされ、共通の目標が生まれ、ひとりでは出来なかったことが出来るようになる。そして、成果が生まれ、社員それぞれが評価されたときです。
思考の質、行動の質を高めることが関係の質を高め、心理的安全性をより高めることにもつながります。関係、思考、行動、結果は互いに影響しあっており、一方向の切り離されたプロセス、サイクルではありません。

①思考の質を高める

思考の質を高めるためには、チームの目標やビジョンが、社員ひとりひとりに共有、共感され、メンバー全員が当事者として達成や実現に向けてアイデアや意見を発信し、対話を通じて学びあうことが重要です。
いままでは、チームメンバーの思考はあまり期待されていませんでした。上位層が決めた計画に沿って社員は「考えず」にただ作業の実施に専念してもらうことが社員への期待でした。チームメンバーそれぞれが当事者意識をもって各業務に取り組むことで、深く考え、意見を出し、新たなアイデアの創造などにもつながります。

②行動の質を高める

行動の質を高めるためには、メンバーそれぞれが役割や計画を実行するにあたり、必要な学習や支援や資源を自ら考え、裁量をもって自律的に行動が出来るようにすることが重要です。日々を振り返り、うまくいったこと、うまくいかなかったことから学びを得て、仮説や価値観をアップデートしていく組織文化や、行動するなかで生じた課題を、上司や同僚が検知する仕組みと関係性があり、検知した際には上司や同僚が能動的に課題解決を支援する。こういったそれぞれの「行動」が起こることで価値の創造に繋がっていくことが期待できます。
いままでは、上位層が決めた計画どおりに、作業が進捗していることを管理する仕組み、サイクルを徹底することが重要でした。計画通りに進捗させるために、残業を指示したり、他のメンバーに支援させたり、場合によっては担当者を変更する等、リーダーのアクションの目的は計画通りに作業を完遂させることでした。

思考の質、行動の質を高めていくために、いままでのやり方を見直すことを推奨します。
さらには結果についても、関係の質の向上につなげることができます。チームの目標やビジョンが達成、実現したとき、メンバーの行動や同僚の貢献や支援に見合った評価をきちんと行い、メンバーが納得、満足することがとても重要です。
目標達成に貢献したこと、貢献度合いがきちんと理解されていることを実感してもらうことで関係の質の向上が期待できます。

心理的安全性は育てて高めていくもの

グーグルは心理的安全性を高めたから多くのサービスを生み出すことが出来たのではなく、社員が持つ潜在能力、意見や経験や感情や価値観を最大限活用するプロセスと仕組みがあり、それらを機能させた結果、思考と行動の質が高まり、結果として多くのサービスと高い心理的安全性が生まれました。
 ハラスメントがない、ということと心理的安全性は関係はありません。組織、社会においてハラスメントは不法行為であり、ないことが前提です。ハラスメントの撲滅は心理的安全性の向上や組織目標の達成とは別の文脈で対処するべき事項です。
 心理的安全性は手に入れるものではなく、みなで時間をかけて大事に育てていくものです。
ビジョンの共有、メンバーのビジョンの具体化と組織ビジョンとの融合・統合、対話による役割・責任分担、メンバーの自律的な行動、学習機会の提供、習慣的な対話の仕組み、能動的な他者支援の仕掛け、生まれた成果に貢献したメンバーとその貢献の可視化、というプロセスと仕組みが、ゆるがない心理的安全性を育んでいき、やがてチームの文化となります。
組織において心理的安全性を維持向上させていくためには、組織の目標達成、結果の質がとても重要です。一時的に心理的安全性が高くても、業績の悪い組織では行動に対する評価や対価は下がります。そして、未来に期待できない組織にいつづけたいと思わない社員も当然いるはずです。

組織のビジョンとチームメンバーのビジョンの双方をつなぎ、実現していくためには日々の対話が重要です。

Practiceがチームメンバーとの対話を実現

TISではチームリーダーが習慣的にメンバーと対話することを支援するツール「Practice」を提供しています。リーダーのチームに対する想いと行動の効果を最大化するアプリケーションです。Practiceが使われるということは、チームの中でリフレクションと対話が行われているということであり、Practiceを習慣的に使うことでリーダー自身やメンバーの潜在能力、意見、経験、感情、価値観がデータとして蓄積されていきます。対話の質と量がPracticeにより可視化され、ここに書き込まれるリフレクションとフィードバックの件数が、その組織の心理的安全性の「質」と「量」を確かめるための「データ」とすることも可能です。

対話を通じた反省とリフレクションの関係性

Practiceのトライアルを通じてわかったことがあります。ひとはネガティブな感情のときは過去を見ており、ポジティブな感情のときには未来を見ているということです。怒りや悲しみや嫌悪といった感情は、発生した出来事が自分が期待していた結果とはならなかったときに生じる感情です。そのようなとき、ひとは、「なぜあのときにこうしなかったのか」「行動前にこうしておけばよかった」といったような意見を持ちます。発生した出来事が自分が期待していた結果、または期待以上の結果が生まれたときにポジティブな感情が生じます。このような感情のときは、「この行動は継続しよう」とか「次はこんなふうにやってみよう」など、未来の自分や他者に対する期待、計画の意見を持ちます。

これは反省とリフレクションの関係を示していると言えます。反省は足りなかったもの、出来なかったこと、間違ったことを明らかにし、次にやらないことを決める方法、行為です。そのとき失敗した本人は、失敗を後悔し、期待した結果にならなかったことを残念に思っているはずです。この反省を通じたネガティブな感情が、次に進むための準備、しゃがんで力をためる心の姿勢となります。大切なことは、このネガティブな感情を一旦ナチュラル、自然な状態に戻したうえで、冷静に経験を振り返り、学びを見つけ、未来に活かすことです。反省が出来たら、リフレクションを行い、出来たこと、学んだことを明らかにし、次の行動への足場を固め、今回と違った結果を得るための仮説とアクションプランを考えることが大切です。沈んだままの心をそのままにしてはせっかくの反省が生かすことが出来ませんし、せっかくの経験から学びを得ることが出来ません。
このとき重要なことは他者が反省を強要しないことです。失敗した本人が一番落ち込んでいるはずです。そう信じて接してあげることで、本人が安心して、失敗経験から学びを見つけようという気持ちがわいてきます。うまくいかなくて泣きじゃくっている子供に「反省しなさい」といったところで、なにも状況は変わりません。よりそい、泣き止むのを待ち、「残念だったね」と声をかけてあげることが、本人の気持ちを落ち着かせるきっかけとなり、また、そのような声をかけてくれた人に対する感謝や信頼が高まります。感謝や信頼を感じた相手からの言葉はきちんと聞き入れようとするはずです。「どうして失敗したのか教えて欲しい」「次、どうするかは考えられているのか」「なにか手伝おうか」と、失敗した本人こそが、一番この状況を変えたいと思っている、この失敗経験から一番の学びを得ている、この状況を変えるための新たな行動を知っていると信じて、よりそい、対話などの支援を行うことがチームの心理的安全性向上とよりよい結果につなげていくことが可能となります。

心理的安全性を高めて結果の質を高めるために

世の中にはたくさんの方法論やサービスやツールがあります。例えば最近だと、SDG’sを達成するための人材を育成するためのフレームワークやツールをまとめたIDG’sというグローバルスタンダードが、スウェーデンを中心に世界に広がっています。2022年には国連にも認められており、世界に先駆け、日本では書籍が発売されています。(人材育成の新グローバルスタンダード IDG’s 変容する組織)この書籍にはSDG’sを実現するための人材が備えるべき能力を5つのカテゴリーと23のターゲットスキルに整理して書かれています。能力を育てるための具体的なワークも記載されており、この本に書かれているとおりのことを実施すれば、いまの時代が求める人材を育てることが可能そうです。しかし日本では、行動を起こす企業がとても少ないのが現状です。21世紀学び研究所 代表理事 熊平美香氏によると、「日本の企業は自分たちにあったものを提供してくれる人やサービスを待っている」と残念がっています。学習する組織やティール組織といったイノベーションを生む組織マネジメントがすでに存在していますが、これらを「概念」「コンセプト」ととらえています。実際には具体的な実践方法も語られているが、自分たちの考え方を変えようとはせずに、「こうだったら確かに出来るよね」と他人ごととして、自組織に取り込むような行動は起きてきませんでした。
まずはリーダー自身が、世にある方法論や仕組を学習し、自ら取り入れていく行動を起こすことで、チームメンバーの心理的安全性を高め、結果の質を高めていくことが可能となります。チームのリーダーの仕事は、勇気を持って一歩踏み出すことです。また、一歩踏み出したひとは、メンバーがいなくても、勇気あるリーダーです。

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更新日時:2024年1月24日 14時16分