地域住民の幸福度を可視化する「地域幸福度可視化アプリ」を成功に導いたUXデザイン支援

概要

TISのUXデザイン専門チーム「XD Studio」(以下XDS)は、定量調査だけでは見えにくい地域の個性を可視化し、住民参加型のまちづくりを促進する「地域幸福度可視化アプリ」のデザイン支援を行いました。本プロジェクトでは、当初の課題であったUIの見づらさや使いづらさといった表面的な問題にとどまらず、「サービスビジョンの再構築」から着手。ワークショップやユーザーリサーチを通じてコンセプトを検証し、「継続的な利用を促すUX/ UIデザイン」を一貫して担当することで、サービスの本質的な価値をアプリに反映させ、本格的な事業化に向けた土台を構築しました。

課題

行政や国との連携を担うTISデジタル社会サービス企画部が企画・開発を進めていた「地域幸福度可視化アプリ」は、PoC(概念実証)を経て、サービス改善フェーズへと移行していました。当初の相談内容は「UIの改善」でしたが、詳細なヒアリングを通じて、「アプリに込められた想いが、ユーザーに十分に届いていない」という課題が見えてきました。社会的意義の高いサービスであるにもかかわらず、その魅力がユーザーに伝わらず、継続利用につながらない可能性があると判断し、表面的なUI改善にとどまらない、本質的なアプローチが必要だと考えました。

XD Studioの主な取り組み

・サービスビジョンの再構築

プロジェクトの本質的な課題はUI改善ではないと考え、プロジェクトの出発点をサービスビジョンの再構築とすることを提案。ワークショップを通じて、企画開発メンバーが持つ強い想いを言語化し、「誰にどのような体験を提供したいか」といったサービスコンセプトを明確化しました。

・コンセプト受容性を検証するユーザーリサーチ

言語化されたビジョンやコンセプトの妥当性を検証するため、過去のPoC参加者へのインタビューを実施。ユーザーの利用状況やニーズを深く分析し、サービス改善の方向性を明らかにしました。

・継続的な利用を促すUX/UIデザイン

ユーザーリサーチの結果に基づき、利用者がアプリを使い続けたくなる体験をデザインしました。特に「自己決定理論」(E.デシ&R.ライアン 1985年)に基づき、地域の魅力を発見する体験が内発的な動機から生まれるよう、「自律性」「有能性」「関係性」といった要素をUXに盛り込みました。また、地域の魅力の可視化方法を見直すことで、一覧性と操作性の向上を図りました。

  • 地域幸福度可視化アプリのビジョンと事業ストーリーイメージ図

  • ワークショップによるサービスビジョンの言語化イメージ図

結果

サービスビジョンとUX/UIデザインの再構築を経て、「地域幸福度可視化アプリ」はより多くの地域への導入を目指す本格的な事業化フェーズへと進みました。明確なビジョンに基づいた体験設計により、サービスの意義や活用イメージが明確になり、導入を検討する企業への訴求力も向上しました。

このプロジェクトを通じて、社会性・公共性の高い事業にこそ、表面的な改善だけでなく、本質的なビジョンに基づくUXデザインが不可欠であることを証明できました。私たちは今後も、お客様の強い想いを形にし、持続可能な価値創造を支援してまいります。

  • 地域幸福度可視化アプリイメージ図

  • 地域幸福度可視化アプリ紹介資料の一部イメージ図

外部リンク

本プロジェクトの詳細は、こちらの記事をご覧ください。
COCODA:https://cocoda.design/uotrk/p/p7bf5357cc1d7

プロジェクトメンバー

プロデューサー: 加藤 有通
ディレクター/UXデザイナー: 伊藤 一樹
リサーチャー/UXデザイナー: 藥師寺 真奈
  • 加藤有通のプロフィール写真

    加藤 有通

    XD Studio責任者/デザインマネージャー

    そもそも、どんな日本の姿を目指し、そのために何をすべきなのか。なぜこのソリューションが必要なのか。――そうした問いに立ち戻り、「誰に、どんな価値を届けるのか」を、企画側の皆さんと膝を突き合わせて考えてきました。こうした本質的なアプローチが少しずつ形になりつつあることを、とても嬉しく思いますし、これがこれからのTISの強みにつながっていくと感じています。

  • 伊藤一樹のプロフィール写真

    伊藤 一樹

    ブランドデザイナー/ワークショップデザイナー

    本質から議論できる環境や、方向性を柔軟に見直せる姿勢に支えられ、学びと楽しさに満ちたプロジェクトでした。オーナーの方の強い想いに惹かれ、社会に本当に必要な事業だと信じて進められたからこそ、デザイナーとしても熱を込めて取り組めました。社会的意義あるサービスに携われることを喜びに、そのビジネスゴールとユーザゴールをつなぐデザインを引き続きお手伝いしていきたいです。

  • 藥師寺真奈のプロフィール写真

    藥師寺 真奈

    デザインリサーチャー

    目指すべき日本の姿について企画側の皆さんと議論を進めつつ、「明らかにする課題とニーズ」を明確にし、その結果をもとに「アプリで何ができるのか」をUXデザイナーとして考えました。このプロジェクトは皆さんの日本をより良くしていきたいという強い想いがあったからこそ成功したと考えております。これからも皆さんの生活をより良いものにできるよう、デザイナーとしてお手伝いしていきたいです。