株式会社カシックス様
日本政府が掲げる「e-Japan戦略」のもと、新潟県柏崎市役所から情報関連業務のアウトソーシング事業を受注した株式会社柏崎情報開発センター様は、“より多くの人がIT化のメリットを享受できるシステム”というコンセプトで電子印鑑システムを導入。
社名 | 株式会社カシックス |
---|---|
設立 | 1987年4月 |
事業内容 | システム運用アウトソーシング、システム・インテグレーション事業、GISマッピング、文書デジタル化、人材育成事業 |
URL |
日本社会の決裁文化“印鑑”をIT化
日本政府が、2005年までに世界最先端のIT国家を目指す目標を掲げる「e-Japan戦略」を受け、地方自治体で電子化が進んでいる。
そんな中、株式会社柏崎情報開発センター様(以下、KASIX様)では、2003年4月から新潟県・柏崎市役所の情報関連業務のアウトソーシングサービスを開始した。自治体が、情報システムをアウトソーシングするのは、初めてのケースで全国からの注目を集めている。
KASIX様が取り組むのは、日本の文化である“印鑑”のIT化であった。見積書や契約書、決裁、受領など、日常のあらゆるシーンでもっとも重要な捺印という行為を、ITに対応させてしまうというものだった。当時KASIX社長の小林昭義氏はこう語る。
「全国の市町村で、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が導入され、個人情報を記録したICカードが配布されました。柏崎市は高齢者率が高いことから、お年寄りにも理解してもらい、利用してもらえるだろうか、という不安を感じました。」
電子決裁やワークフローシステムは、確かに業務フローを劇的に改善させる。しかし、利用者は一般市民、しかも高齢者となると、それを使いこなせるかが懸念されていた。そこで導入を決めたのが電子印鑑だったという。
「とはいえ、役所などの手続きでは、何らかの個人を認証するものが必要です。そこで、日本の文化として残っている印鑑に注目しました。個人を認める手段として根付いている印鑑を、電子的な手続きに導入することで、利用者にとってわかりやすい仕組みが構築できるのではないかと期待しています。」
IT化による業務スピード・効率の劇的な改善
電子印鑑システムの開発は、まずKASIX様および地域の会社2社様とコンソーシアム(共同事業体)を構築することから始まった。この3社様と市役所の間で日々発生する見積業務に、電子印鑑システムを利用することとした。
このシステムでは、電子印鑑を利用することで、システムへのログイン認証、見積書の起案と承認が、システム上のワークフローシステムで処理されることになる。これにより、ペーパーレス化はもちろん、業務の効率化、セキュリティの強化を目指す考えだ。
「例えば、3社の名前で市役所に見積書を出す時、3社間で書類を持ち歩くことなく、オフィスで処理できます。この効率化は、業務に劇的な変化とスピードをもたらします。」(KASIX 小林社長)
そして2003年7月、KASIX様は電子印鑑システムを利用した“見積もりシステム”を導入することに成功した。
見積もり業務の電子印鑑化に成功したKASIX様は、次のステップとして入札や契約業務への導入など、様々な適用を考えている。
「ただ、安易に“全て電子印鑑で”とは言えません。印鑑証明、印鑑登録の手続き上の問題もあるので、今はユーザーの目的に応じて選択していくことが必要だと思います。もっとも現実的なのは、例えば業務連絡、出張の申請や精算なのでしょう。これらをウェブによって行えると便利です。電子印鑑の運用は、業務改革に大きく寄与すると考えています」(KASIX 小林社長)
最後に、電子印鑑における、今後の展望について、小林氏はこう締めくくった。
「電子印鑑は社会を豊かにします。まずは会社や官公庁、ゆくゆくは住民が利用できるようになるといいですね。住民票を申請する時はICカード、図書館の本を借りる時や公民館を予約する時は電子印鑑、といった使い分けがあってもかまわないと思います。そういった簡便な分野にこそ、電子印鑑を導入し、日本の「ハンコ」の文化を残していきたいですね。」(KASIX 小林社長)
担当者の声
本システムは、電子印鑑を用いてワークフロー的な機能を実現しております。ワークフローの場合例外ケースのシステム化がポイントになるかと思いますが、やはりそれらの点が最も対応に手間取った部分となりました。今回の範囲は見積書ですが、将来的にはお客様で使用されている他帳票にも拡大して使って頂けたらと思います。
- ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
- ※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。