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第一稀元素化学工業株式会社様

中堅企業のERP導入プロジェクトを短期間・低コストかつ
ノントラブルで実現。ハイレベルな業務改革目標を達成。

電子部品、自動車用の酸素センサー・排ガス浄化触媒などに使用されるジルコニウム化合物のトップメーカーである第一稀元素化学工業。高い研究開発力と生産技術力を背景に、お客様の要望にきめ細かく対応したカスタマイズを得意とする世界でも稀な会社です。今回、同社は業務のさらなる変革と日本版SOX法への対応を目指してERPを導入。TISは化学業界向け業務モデル「TCM(TISChemical Model)」をベースに、お客様の業務改革プロジェクトを全面的にバックアップしました。

お客様名 第一稀元素化学工業株式会社様
創立 1956年5月21日
事業内容 ジルコニウム、セシウム、希土類化合物の開発、製造、販売
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化学業界向け業務モデル「TCM(TIS Chemical Model)」

TISはこれまで70社以上の化学系製造業のお客様に対し、ERP導入による業務改革を支援してきた。その実績・経験を基に化学業界に必要な標準業務プロセスフロー、各種データ定義、設計書、カスタマイズ定義書などを体系化し、企業規模に関わらず、短期間・高品質・低コストでのERP導入を可能にしたのが、プロセス産業向け業務モデル「TCM(TIS Chemical Model)」である。
TIS独自の業務モデルであるTCMは、すぐに利用可能な実装システムを土台に、業務プロセスに基づく記述済み設計書、実践的な400の業務シナリオから構成されている。これに豊富な実績とスキルを持つコンサルタントと、業務改革方法論を組み合わせ、三位一体の形でお客様の業務改革を成功に導くという点がTISの強みだ。対応範囲も汎用基礎化学品、応用化学品、可塑剤、医薬中間体、樹脂加工、ゴム、トイレタリー材料など、化学系を中心に広い分野をカバーしている。
また、投資額が大きい反面、投資対効果が事前に把握しにくい業務改革プロジェクトの実態を踏まえ、「TCMワークショップ」も適時開催している。これはTCMのコンセプト、コンテンツを事前に理解してもらい、お客様にERP導入に対する不安要素を払拭し、的確な完成イメージを共有してもらうためのワークショップだ。
今回のプロジェクトでは、1996年のコンサルティング室立ち上げから、現在のビジネスシステムコンサルティング(BSC)事業部に至るまで、10数年にわたるノウハウの集大成であるTCMの威力が十分に発揮された。

化学業界向け業務モデル「TCM」

激変する社会環境に柔軟に対応できる業務システムづくりに挑戦

第一稀元素化学工業では、2001年、業務の全面的な見直しと株式上場の必要性から基幹システムの構築に着手した。市販の基幹業務パッケージをベースにした開発だったが、広範囲にカスタマイズおよび追加・修正開発をしなければならず、結果として追加開発だらけのシステムになった。そのため時間もかかり、カットオーバーは予定より1年遅れた2003年。株式上場は翌2004年12月に無事果たしたものの、予定していた主要機能である工場別・製品別損益管理などの管理会計の充実は間に合わず、実装を断念せざるを得なかった。
2006年、いわゆる日本版SOX法が成立。第一稀元素化学工業では 2010年がその適用年度に当たり、予防統制と発見統制の導入を検討したが、「末期症状のシステムに手を入れるのは無理があり、お金をかけるのもいやだった」(森田氏)ため、対症療法的な部分改修ではなく全面的な基幹システム再構築に踏み切った。
こうして内部統制への対応と以前から懸案だった管理会計の充実を目指したERP導入プロジェクトが2007年3月スタートした。

TISの経営の視点に立った提案力がパートナー選定の決め手に

ERP導入プロジェクトは、基幹業務パッケージや構築パートナーを選定する「検討プロジェクト」と、実際にシステムを構築する「構築プロジェクト」の2つのステップで進められた。「前回の失敗を繰り返さないためには、選定時のリスクをヘッジする検討プロジェクトが必須でした」(森田氏)。
検討プロジェクトは基幹業務パッケージの選定から始まった。ERPパッケージを含む数多くの業務パッケージソフトから予備選定で13本に絞り込み、それを一次選定としてパッケージベンダーにデモや技術者の説明を依頼し、ある程度自社で使えるかどうかを判断した。「結局は、我々の希望にマッチするパッケージは4つしか使えるものがなかったんです。だから絞り込みは早く終わりました」(森田氏)。
次に二次選定を行った。ここでの主な選定基準は2つあった。 1つは自社システム部門の限られた要員数で、メンテナンスできる追加開発プログラム数には限界があるとの認識から、入力系や処理系、帳票類の追加開発ボリュームが少なくて済むこと。もう1つは、過去に導入実績の少ないパッケージソフトを利用して不具合の多さに苦労した経験から、パッケージ自体の導入実績が豊富であることであった。結果、それらの要件をクリアしたのがSAP社のERPパッケージソフトであった。
次に構築パートナーの選定を兼ねた詳細検討が実施された。TISは業務の詳細なFIT&GAP分析を支援するために、検討プロジェクトに参加し、業務モデル「TCM」と業務改革方法論、および業務を熟知したコンサルタントの三位一体の提案を行った。
パートナーの選定では厳しい選定基準が設けられたが、その中でも特に以下の5項目が重要なポイントとなった。

  • 1. 企業規模
  • 2. 導入実績
  • 3. 導入時の体制
  • 4. コンサルタントの数を含めた技術力
  • 5. 対応の柔軟性

TISはこれらの評価項目において競合他社を上回った。詳細検討の中で、TISは「TCMワークショップ」を実施し、実機によるTCMデモなどで第一稀元素化学工業の不安を解消し、個別トピックについてもディスカッションを重ねていった。これがパートナー選びの決め手になった。「SAPパッケージの標準機能が豊富で最少の追加開発でできると自信を持ちました。何よりもTISさんの経営の視点に立った提案力が大きい。セッションを重ねる中で、コンサルタントのスキルの高さや質、層の厚さも分かりとても良かった」(森田氏)。
6カ月に及ぶERP導入検討プロジェクトを経て、TCMをベースとしたSAP社のERPパッケージソフトによるシステム構築方針に決定し、2007年9月、第2ステップの新基幹システム構築プロジェクトがスタートした。

TCMワークショップ実施イメージ

TCMワークショップでの周到な準備が、早期の安定稼働を実現

今回のERP導入プロジェクトの最重要課題は、計画・実績データによる具体的な情報活用方法。中でも特に工場別・製品別損益を出すための「原価管理」においては、現行の実際原価計算を継続するか、標準原価計算に切り替えるかという検討に多くの時間が費やされた。このような大きな改革を実行する場合、要件定義だけで数カ月の時間を要することもある。
そこでTISは、先だって実施された7月から9月の詳細検討期間を有効利用した。その時点ではTISはまだパートナーとして決定していなかったが、構築プロジェクトが正式にスタートしたあとのことを見越して、要件定義でも活用できるようにこのプロセスを進めていたのだ。
TISの原価管理スペシャリストを核としたTCMワークショップを開いて原価計算についての徹底的なセッションを繰り返し、議論の深堀りを行った。
さらに、プロジェクト開始前からの懸案だった管理会計と生産管理や販売管理など様々なモジュール間のデータ連携については、実機を使って業務とデータの流れを説明し、業務プロセス全体の理解を促した。こうして、詳細検討の間にグランドデザインの核となる部分はほぼ固まっていった。
そのため構築プロジェクトはそれらを現場に確認させることからスタートすることができ、大幅なシステム構築期間の短縮につながった。TISがこれまで数多くの企業に ERP導入を支援してきた経験を体系化してまとめた業務改革方法論と、それに基づく質の高いコンサルテーション力が遺憾なく発揮された結果だった。
最も労力を要するマスタ整備では、TISから第一稀元素化学工業のマスタ整備作業を明示し、整備の方法を一緒に煮詰めていった。TISは稼働後にユーザがシステムを実際に使いこなし有効活用するには、マスタ整備が重要なポイントになると熟知しており、この点に注力したのは当然だった。第一稀元素化学工業もまた、マスタ整備の重要性については当初から強く認識していたこともあり、各部署から専任の要員をアサインし集中的に作業を行うことができた。この難関を乗り越えたことで、プロジェクトのゴールが見えてきた。
稼働2カ月前からは社内に向けたユーザ教育も行われた。TISはマニュアルの製作とトレーニングの一部、第一稀元素化学工業の社内専任担当に対するトレーニングを主にサポートした。新システムのプロトタイプ完成段階から各部署の専任担当と TISスタッフがマニュアル製作などの作業を協業することで、専任担当者に新システムを深く理解してもらい、ユーザ教育の実施時にはそのメンバーがトレーナーになっていくという手法をとった。新システムでは、従来の業務プロセスからの対応変更が求められたが、この手法が功を奏し、ユーザの習熟度は稼働前にして大いに高まっていた。
詳細検討からの入念な準備と業務改革方法論に基づいた綿密なプロジェクト進行により、構築は順調に進み、本稼働前の徹底的なチェックで軽微な不具合も事前に修復した。こうした周到な準備をもって、予定したスケジュールから遅延することなく2008年9月、無事に本番稼働を迎えることができた。稼働後、業務に支障をきたすトラブルが起こらなかったのはもちろん、ユーザの新システムへの進んだ理解や操作への高い習熟度もあり、本番稼働から1カ月で新システムへの問い合わせがほぼ収束するなど、安定した船出となった。

お客様とTISの緊密チームワークがプロジェクトの成功をもたらす

今回のプロジェクトの大きな成功要因は、第一稀元素化学工業の経験値とTISの実績・コンサルティング能力だった。第一稀元素化学工業は過去の経験を糧とし、基幹システム構築に対する深い知識と高い意識を持っていたため迅速な意思決定を行うことができ、幾多の大きなハードルを無事に乗り越えることができた。
TISはERP標準機能のポテンシャルを引き出すTCM、業務改革方法論、コンサルタントという三位一体のプロジェクト推進でそれをサポートした。
TISは契約上の役割に必ずしもこだわらず、様々な局面で第一稀元素化学工業と一緒になって汗をかいた。お客様とTISとのチームワークこそがプロジェクト成功のカギを握ることをこれまでの経験から知っているからだ。だからこそ短期間、予算内で、かつノントラブルでの業務改革、ERP導入を実現することができた。「導入実績が豊富なので、他社事例を用いて、具体的にご提案いただけたことが非常に大きい」(森田氏)。
第一稀元素化学工業でのこうした実績は、かつて大企業向けと言われてきたERP導入と活用が中堅企業においても可能であることを物語っている。今後、ますますこうした中堅企業でのERPを活用した業務改革が加速する中で、TISによる導入サポートが期待される。

お客さまからの声

経営視点で提案していただき大変感謝

第一稀元素化学工業株式会社
企画室 企画グループ 課長
森田悌史氏

「TISさんの化学業界での導入実績の多さは圧倒的で、導入方法論も非常にしっかりしていました。やはりこういうプロジェクトで最も重要なのはコミュニケーション能力だと思います。その点TISさんにはきめ細かな対応をしていただきました。プロジェクト検討時点でのスタッフをそのまま本プロジェクトのメンバーにしてもらえたのもスムーズに進行できた要因でしょう。そして何よりも経営の視点に立った仕組みを提案していただいたことに大変感謝しています。」

TIS担当者から

すべてはお客様の立場で

TIS株式会社
産業事業統括本部 ビジネスシステムコンサルティング事業部
セールス&マーケティング部 エキスパート
橋口泰治

「TCMに集約されるTISの豊富な実績は、様々な背景や目的を持ったお客様のプロジェクトから得たものです。そこにはお客様の当初の期待と現実とのギャップ、様々な問題の中で目的に向けて悩んだ軌跡が数多く盛り込まれています。コンサルタントがいかにお客様の立場に立ってそのエッセンスを活用し、耳触りの良い言葉だけでなく、本当の意味でのコミュニケーションができるかが成功のポイントだと思っています。」

お客様側ですべきことの明確化が成功ポイント

TIS株式会社
産業事業統括本部 ビジネスシステムコンサルティング事業部
エンタープライズリソースマネジメント第3部 マネジャーコンサルタント
森村幸弘

「今回、プロジェクトの成功のカギとなったのは、TCMワークショップなどの機会を通じて、私たちの方からはっきりとお客様側ですべきことをお伝えして、お客様もそれに対応した体制で臨んでいただいたことでした。特に要件定義、マスタ整備では、その重要性や行うべきことの多さなどを事前に誠実にお話ししたからこそ、時間的、質的に満足のいく結果が生まれたのだと思っています。」

  • TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。
  • 本資料に掲載された情報は、弊社情報誌「シスナビ Vol25」発刊当時のものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があることをご了承ください。
  • シスナビ発刊日 : 2009年7月6日

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更新日時:2023年10月4日 23時25分