ひまわり証券株式会社様
FXオンライントレードサービスのシステム基盤に仮想化技術を適用
信頼性向上とダウンタイム最小化を実現
ひまわりホールディングスグループの中核企業であるひまわり証券株式会社では、FX、株式取引、先物・オプション取引、CFDなどの多彩な投資サービスを提供しています。今回、FXオンライントレード用のITインフラを刷新するにあたり、サーバ仮想化技術を全面的に導入しました。極めて高い信頼性・可用性が要求される金融システム基盤の実現に、TISのソリューションが貢献しています。
お客様名 | ひまわり証券株式会社様 |
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設立 | 2002年2月14日 |
事業概要 | 株式、先物・オプション、FX、CFD、投資信託などのサービスを提供。 |
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課題
FXオンライントレード基盤に仮想化技術を採用。
課題はITインフラの最適化。
1998年に日本初の個人投資家向けFXサービス「ひまわりFX」を開始するなど、デリバティブ取引のパイオニアとして知られるひまわり証券では、同社の主力サービスの一つ「ひまわりFX」を支えるFXオンライントレード基盤の再構築を実施した。
ひまわり証券のシステム運用を全般的にサポートしているひまわりホールディングスの堂山氏はその背景を「サーバ台数が急速に増えたことで、物理的な障害の発生回数も増加。その対応に、多くの工数や時間を取られるようになっていました」と語る。ちょうど2007年に、FXオンライントレード用のアプリケーションを刷新することが決まったため、インフラ部分についても全面的な見直しを決断。要件として掲げられたのは、金融システムに不可欠の高信頼性・高可用性、メンテナンス性の高さ、容易にシステムを拡張できる柔軟性、コスト最適化の4点である。
これらの課題を解消するソリューションとして、TISが提案したのがサーバ仮想化技術だ。物理サーバの台数を削減すれば、ハードウェアに起因する障害も減らせる。また、今回採用した「VMware Infrastructure 3」には、「VMware VMotion」や「VMware HA」などの高信頼・高可用性機能が用意されており、保守作業もシステムを止めることなく行える。必要に応じてすぐにシステム環境を用意できる仮想化技術は、拡張性やコストの面でも有利だ。同社でもこうしたメリットを評価し、仮想統合に向けた取り組みを開始した。
「基幹系システムへの仮想化導入は今回が初の試みですが、TISさんの支援のおかげで無事に成功を収めることができ、大いに感謝しています。」
ひまわり証券株式会社様
情報システム部システム管理グループ マネージャー
堂山和彦氏
アプローチ
徹底的な検証で信頼性・可用性を確保。
仮想化特有の問題も解消。
先に挙げた4つの課題の中でも、TISに特に大きな期待が掛けられたのが信頼性・可用性の確保である。ひまわりFXの口座を開設している会員の数は約15万人。サービスをアクティブに利用するユーザーに限っても、約5万人規模に上る。これほど多くの個人投資家の投資活動を支えるサービスである以上、無用なシステムダウンなどは絶対に許されなかった。
そこでTISでは、徹底的な事前検証を実施。VMware VMotion/VMware HAの動作確認や連続稼動テスト、性能検証など、あらゆる分野にわたって入念なテストを行った。
こうした中、カットオーバー直前に問題になったのが、仮想化されたOS(以下ゲストOS)のLinuxの時刻ずれ現象である。今回のシステムは、もし少しでも時刻がずれると約定時間が変わってしまう。このことは金融取引サービスでは重大な問題になるため、極めて厳密な時刻同期が求められた。それも「サービスに影響を与えないためには、時刻ずれを100msec以内に収める必要がある」(堂山氏)というほどのシビアさだ。TISではOSのパラメータ調整など様々な手法を駆使。
最終的に、時刻同期を行うバッチ処理を数秒おきに走らせることでこの問題を解消した。
成果
ビジネスの発展に即応できるIT基盤を実現。
運用管理の効率化も。
綿密な検証作業を経て、新FXオンライントレードシステムは2008年3月より無事本番稼動を開始した。アプリケーションを仮想環境へ移行したことで、ハードウェアに起因する障害は激減。「サービスに影響を及ぼすようなトラブルは皆無。狙い通りの安定稼動が実現できました」と堂山氏は満足げに語る。
取材日現在(2009年4月)では、46台のVMware ESX Server上で約90台のゲストOSが稼動している。一見、ゲストOSの数が少ないように見えるのは、今後の拡張に備えてインフラ側の能力に余裕を持たせているからだ。堂山氏は「新たに環境が必要になった場合にも、即座に対応が行えます。以前のように、その都度物理サーバを手配する必要がないのはありがたい」と続ける。同等の環境を物理サーバで構築する場合に比べて、コストやスペースも大幅にダウン。同社では、仮想化によって浮いたコストでTISの監視サービスを導入し、システムの安定稼動に役立てているとのことだ。今後仮想環境への集約が進んでいけば、コストメリットはさらに高まることになる。
また、仮想化ならではのメリットとして、運用管理の効率化が図れた点も見逃せない。システムのフルバックアップやテスト環境を構築する際には、VMwareのクローン機能を活用。これにより、オペレーションのシンプル化や、作業時間の大幅短縮を実現している。
評価
卓越した技術力と総合力に高い評価。
仮想化の適用分野もさらに拡大。
今回のプロジェクトでは、TISの支援にも高い評価が寄せられている。その一点目は、仮想化技術の勘どころを押さえたソリューション提供だ。たとえば、新システムでは、Webサーバ、APサーバを全面的に仮想化する一方で、サービスの基幹DBサーバについては従来利用していたOracle HAからRACに移行することで対応している。万が一の失敗も許されないシステムだけに、仮想化導入のメリットと安全性確保の両方をうまくバランスさせた形でシステムを構築しているのだ。
また、もう一つは、データセンタでの運用も含めてトータルにシステムをサポートできる総合力だ。「当社のFXは24時間サービスを提供しているので、自前で運用を行うのは負担が重すぎる。その点、TISのデータセンタやアウトソーシングサービスを利用すれば、企画や戦略立案などのコア業務に集中できます」と堂山氏は説明する。
FXオンライントレードの新たな基盤を実現した同社だが、今後も様々な分野で仮想化技術を活用していく構えだ。「現在はデスクトップの仮想化を実現する「VMware View」を導入し、社内のトレーダー用の業務環境を仮想化する取り組みを進めています。これが実現すれば、事業継続性を確保する上で大きな効果が期待できます。将来的には、ディザスタ・リカバリ用のインフラとしても、仮想化技術を活用していきたい」と抱負を語る堂山氏。先進IT環境を実現するための取り組みは、まだまだ続いていきそうである。
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- ※作成日 2009年6月