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株式会社IHI様

大規模な生産管理システム再構築プロジェクトを入念な準備と的確な提案で成功に導き、プロジェクトマネジメント能力を存分に発揮

1853年(嘉永6年)の創業以来、150年以上の長きにわたり日本の重工業を牽引してきた株式会社IHI。産業、社会を支えるプラント、船舶、航空エンジンから、身近な暮らしに役立つ設備まで多彩な製品を提供し、その分野は陸、海、空にとどまらず宇宙にまで広がる日本を代表する総合エンジニアリング企業です。
同社の航空宇宙事業本部では2000年よりSCM(Supply Chain Management)の実現を目指し、生産管理システムの再構築を進めています。計画系システムの構築を実現した第1期プロジェクトを経て、その仕上げとして実行系のシステム対応を目指す第2期プロジェクトを2004年に立ち上げました。TISはIHIのシステム子会社、株式会社IHIエスキューブのもと、この第2期プロジェクトで大きな役割を果たしました。

お客様名 株式会社IHI様
創業 1853年(嘉永6年)12月5日
設立 1889年(明治22年)1月17日
事業内容 エネルギー・環境事業、ロジスティクス事業、
輸送・原動機事業、セキュリティ事業
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第2期プロジェクトのスタート

IHI航空宇宙事業本部では、2000年以前までMRP(資材所要量計画)をすべてホストコンピュータで処理していた。その後ハードウェアとソフトウェアのサポート停止を受け、生産管理の新システムへの移行を目指したのが第1期プロジェクトであった。しかし、当時流通していたパッケージ製品ではIHI航空宇宙事業本部のニーズを満たすものがなく、最終的には自社開発を行うことになった。3年後の2003年10月、第1期プロジェクトはカットオーバーしたが、当初の目標だったホストコンピュータ管理からの完全移行はならず、計画系部分の移行にとどまった。それを受けて、第2期プロジェクトでは入出庫管理など実行系の本格移行を目指し、2004年8月にプロジェクトがスタートした。翌年3月まで現状の問題点の洗い出しが行われ、その中で各工場でのデータの点在、データ精度の低さなどが大きな問題として露呈した。この解決に向け、当初の予想を大幅に超えるプロジェクト規模の拡大が必要となった。プロジェクト規模拡大などに伴い、新たなパートナー選定が必要となり、生産管理業務に明るくかつ、Web系システムの構築にも強いシステム・インテグレータとしてTISが選ばれ、この第2期プロジェクトから新たに参加することになった。

IHI SCM実現プロジェクトロードマップイメージ

積極的な提案と行動で信頼を獲得

TISは第2期プロジェクト開始後、要件定義途中の2005年8月にプロジェクトへの参加打診があり、同年11月から正式メンバーとして参画した。「大規模プロジェクトをまとめるノウハウに非常に共感を持ちました」(山本氏)。
第2期プロジェクトにおけるシステム構築は、データベースサーバにAS400、フロントにWeb技術を採用したオープン系システム開発という、非常に稀な組み合わせだった。TISはこのプロジェクトのため、工場生産管理に多くのノウハウを持つ同じITホールディングスグループのクオリカをメンバーに加えて体制を組んだ。TISのプロジェクトチームはWeb系の最新技術動向やそれに基づいたプロトタイプを作成、それらをドキュメントとしてまとめて展開するなど積極的なサポートと提案活動を実施した。またAS400上のワークフローとして採用されたWebアプリケーションフレームワークの「intra-mart」に関しても解析と調査を主体的に行った。TISのこれらの活動が高く評価され、当初の予定であった計画系の「エンジン生産計画」開発に加え、実行系の「社内製作管理」および「実行管理」のシステム開発も任されることになった。

第2期プロジェクト構築システム構成

周到に進めた事前準備作業

プロジェクトはスタートから要件定義に7カ月間(2005年10月から翌年5月)、外部設計に4カ月間(2006年7月から11月)をあてた長期計画となった。大規模プロジェクトの成否は、1本のしっかりとした柱を構築することが重要であるというプロジェクトメンバーの認識のもと、IHI航空宇宙事業本部の各業務のスペシャリストがプロジェクトの専任メンバーとして集められた。「決められたルールの上で正しい財務データが確実に取得され、正しい経営指標へつなげることが、今回のプロジェクトの最大の柱と考えました」(谷本氏)、「土台を作るところに重点を置いたことで、通常より時間はかかりましたが、結果的にそれが良かったと感じています」(石岡氏)。
社内からは「そんなに制約が厳しいと融通が利かず、出荷に支障をきたす」という反発もあったが、これまでデータチェック機能の甘さから有効なデータ蓄積が難しかったという反省に立ち、需要計画、生産計画、入出庫管理、実績からマスタへのフィードバックといった業務フローの一本化を進めた。「業務の専任メンバーが、このくらい制約をつけても大丈夫だという判断を下して要求仕様を固めていった。また、ユーザも協力的で、カットオーバー直後から積極的にシステムを利用して導入効果を発揮しつつある。そうした点が素晴らしかった」(石岡氏)。
TISは要件定義、外部設計において、複雑多岐にわたる開発作業に関するシステム標準化や、画面デザイン、システム管理計画、ユーザ規約などの方式設計を準備しIHIエスキューブを支援した。これが設計書のテンプレートとしても活用された。
第2期プロジェクトでは、システム規模が大きいためIHIエスキューブを頂点にTISを含むシステム構築パートナー各社が、それぞれ複数の開発工程を受け持つという体制を取っていた。そのため、プロジェクト推進の足並みを揃えることは困難を極めた。そうした中、TISはIHIエスキューブを支援するとともに、積極的に各社と連携し問題点の把握と解決を行い、プロジェクトの確実な進捗に努めた。こうして2006年11月に外部設計を終了し、翌2007年2月から内部設計・製造・単体テストの段階に入った。

カットオーバーを確実にする判断基準作り

内部設計は順調に推移し、各社とも単体テストからサブシステム内統合テスト、サブシステム間統合テスト、システムテスト、と大きな問題もなくクリアし、このまま最後まで支障なく進むと思われた。しかしフィールドテストからいざ移行という段階になり問題が発生した。
各社が個々の持ち場で開発したシステムの品質には問題はなかったが、連携する周辺システムとの整合性に不具合が発生したのだ。周辺システムの改修と同期が取れず、同時に進行しなければならないユーザ受入体制、ユーザ教育、ユーザマニュアルの準備が追いつかないなど、細かな問題が次々に明らかとなっていった。こうした問題は、大規模システム開発では起こり得ることだったが、その数の多さにプロジェクトメンバーの誰もが戸惑った。このままではカットオーバーの総合的な判断ができないと危惧したTISは関係者に相談し、カットオーバークライテリア(判断基準)による客観的な評価方法を提案した。これが受け入れられ、早速、カットオーバークライテリアの設定にとりかかった。
大きなチェックポイントは3つ。不具合件数と解消状況の確認、周辺システムの改修状況の確認、ユーザ教育。これらのチェックポイントを300ほどの評価項目にまとめ、これを関係者が毎日進捗状況を確認しながら必要な対策を講じていった。それはこのプロジェクトにおいて緊張と同時に最も一体感が生まれた期間でもあった。こうして一つひとつの問題を潰し、カットオーバーへの不安が確実に払拭されたのはカットオーバー予定の1週間前だった。「もともとTISさんにはプロジェクト推進のマネジメント支援も期待していたのですが、実際には期待値を大きく超えた仕事をしていただきました」(山本氏)。

高品質のシステム開発、マネジメント能力に高い評価

2008年5月のカットオーバー後、3カ月間の稼働フォロー期間に入った。TISは万が一に備え24時間稼働システムに対応し、24時間3交代のサポート体制を取った。主な作業として夜間のバッチ処理の確認、データ処理件数の記録とレポートなどを実施したが、カットオーバー後の稼働状況はこの規模のシステムとしては珍しく、重障害はゼロという結果だった。リスク管理や方式設計の周到な準備活動が功を奏した形となった。
カットオーバーから1年以上が経過した現在も、プロジェクトのユーザサポート体制のもと、システムはノートラブルで稼働している。システム再構築前には1日遅れで出ていた在庫データもリアルタイムで把握できるようになるなど、これまで見えなかったSCMの流れが「見える化」し、それに伴い現場からさらなる使い方を求める新しい要望も生まれている。今回の第2期プロジェクトを踏まえIHIでは、生産系の経営指標を支援するシステム拡張を第3期プロジェクトとして見据えている。今回高い評価を得たTIS・クオリカ連合の開発力とプロジェクトマネジメント能力が、次のプロジェクトで改めて発揮される時期も近いだろう。

お客さまの声

正確なデータ蓄積で経営指標を

株式会社IHI
航空宇宙事業本部 生産センター 生産企画部 工事計画グループ 主査
谷本昭雄氏

今回のプロジェクトでは、現場によって不統一だったデータフォーマットを見直し、正しい経営指標を得るための正確なデータ蓄積を目指しました。現場からは様々な反発もありましたが、意志を貫き通したことが良い結果につながったと感じています。現在、現場から機能追加などのリクエストもくるようになっています。

高品質で素晴らしい開発

株式会社IHI
航空宇宙事業本部 事業開発部 情報システムグループ 主査
石岡健氏

今回のプロジェクトは、従来の資産を置換しながら周辺システムとの融合を図るという、これまでに経験したことがないほど複雑で、非常に大規模なプロジェクトになりました。そのため、システムの大きな軸となるコンセプト作りを重要視し検討に多くの時間を割きました。結果として高品質のシステムができ、カットオーバー後、大きな障害もなく稼働しておりその判断は正しかったと認識しています。

TISの広範囲のサポートに感謝

株式会社IHIエスキューブ
第一ソリューション事業部 第二ソリューショングループ マネージャー
山本和昭氏

「TISさんには、実績を持つ工場系システムの開発経験を基にした苦労話やプロジェクト推進のポイントを伺い、非常に共感を持ちました。今プロジェクトには欠かせない存在でした。担当以外のことでも相談すると様々な提案をしていただき、それもありがたかった。私は今回のような大型プロジェクトのマネジメントは初めてでしたので、TISさんの支援には非常に感謝しています。」

TIS担当者から

開発者とお客様の距離感を解消

TIS株式会社
産業事業統括本部 エンタープライズビジネス事業部
エンタープライズビジネス営業部 主査
荒木一馬

「私は営業の立場でお客様とTISの開発者との距離を縮めることに注力しました。全体を通してその距離感が非常に近かったプロジェクトだったと言えます。また、複数の会社が参画したプロジェクトですので、全体の足並みを揃えるための提案も良い結果につながったと感じています。」

プロマネとしての貴重な経験

TIS株式会社
産業事業統括本部 エンタープライズビジネス事業部
産業システム第1部 主査
山田幸男

「2年半に及ぶ長いプロジェクトでしたが、管理方法、スタッフのモチベーション作りなど、プロジェクトマネジャーとして多くのことを学びました。ドキュメントや設計標準といった事前準備が、品質に直結することを改めて実感したプロジェクトでした。」

入念な準備が品質につながる

「Webに関する画面デザイン、システム管理規約などを事前に定義しましたが、今回は今までで一番周到に準備を行いました。できること、できないことを明確にし、リスクヘッジを含めた提案を行いました。これが高い品質を保てた一番大きな要因だと感じています。」

自由な発言ができる環境

TIS株式会社
産業事業統括本部 エンタープライズビジネス事業部
産業システム第1部 主任
鈴木啓也

「私はアプリケーション全体の仕様統括を担当しました。今回のプロジェクトでは全体を通して自由な発言、アイデア出しができる雰囲気がありました。お客様とのコミュニケーションを緊密にし、どんな話でも聞き、柔軟にお応えする、この姿勢が大事だと再認識しています。」

コミュニケーションが成功の鍵

クオリカ株式会社
システム本部 第二事業部 ビジネスシステム第二部 統括マネジャー
高橋良幸

「TISとクオリカのコミュニケーションに加えIHIエスキューブさんとのコミュニケーションも非常に良かった。要件定義と外部設計において検討を重ね、一体感を持って事前にリスクを洗い出せたことが、プロジェクトの成功につながったと感じています。」

  • TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。
  • 本資料に掲載された情報は、弊社情報誌「シスナビ Vol26」発刊当時のものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があることをご了承ください。
  • シスナビ発刊日:2009年10月16日

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更新日時:2023年10月4日 23時18分