株式会社長谷工コーポレーション様
綿密なアセスメントを踏まえ情報系サーバ120 台を仮想化技術で再構築
マンション建設最大手の長谷工コーポレーションでは、情報系サーバ120台を、仮想化技術を用いて統合するシステム再構築に取り組みました。TISでは、現状分析や統合プランを提示するアセスメントを実施するとともに、システムの構築も担当。IT資産や運用コストの最適化に貢献しました。
お客様名 | 株式会社長谷工コーポレーション |
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創業 | 1937年2月11日 |
設立 | 1946年8月22日 |
事業内容 | 建設事業、不動産事業、エンジニアリング事業 |
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課題
社内で増え続けるサーバ。運用管理の一元化が急務に
マンションの建設から流通・管理・リフォームまで、マンション事業をトータルに展開する業界最大手の長谷工コーポレーション(以下、長谷工)。機能性や居住性はもちろん、トレンドに応じた空間構成やデザインを追求するなど、時代を常にリードし、顧客のニーズに的確に応える物件を数多く提供しています。
長谷工では、設計・施工部門でコンピュータを用いて設計を行うCADシステムを1980年ごろから導入するなど、ITを業務に積極的に活用してきました。そうした中、設計図面や現場写真などの重要データのバックアップ作業を含め、ファイルサーバやストレージの導入・運用管理などを、設計・施工部門が自ら担当。各部門の裁量で、必要に応じてサーバの増強等が進められていました。
しかし、管理すべきデータが大容量化し、サーバやストレージの台数は増加の一途。各部門の運用管理業務は増大し、負荷の軽減が急務となっていました。「設計や施工部門において膨大なデータやサーバを管理するのはもはや限界。担当者をそうした管理業務から解放して、本来業務に注力させたかった。一方で、仮想化技術をはじめ、近年のITの目覚ましい進歩がありました。そこで、当室で運用管理業務を一括して実施することを考えました」と話すのは、同社技術推進部門IT戦略室GE(ゼネラルエンジニア)の種本武史氏。そこで長谷工では2008年、会社全体の情報化を推進するIT戦略室の主導により、設計図面や現場写真などのデータが保存されている情報系システムのサーバ120台を対象に、システム再構築を計画。運用管理業務の一元化を図るとともに、システム全体のコスト最適化や信頼性向上を目指すこととなりました。
提案
最適な統合プランを導くTISのアセスメントを採用
システムを再構築する上で長谷工が注目したのが、仮想化技術を用いたサーバやストレージの統合でした。物理的な集約に加えて、データ量や業務の増減に柔軟に対応できる仮想サーバ環境を構築することで、各部門からの情報システムニーズに迅速に対応したいと考えたのです。
技術推進部門IT戦略室チーフスタッフの中庭照仁氏は、「仮想化技術を導入して実際にどれだけの成果が挙がるのかは全くの未知数でした。そこで、システムの現状や将来のサーバ増加の推移を正確に把握した上で、最適な統合プランによって再構築を図りたいと考えました」と、サーバ統合を実施する際の課題について語ります。
そこで長谷工では、システムの現状調査・分析・評価と、最適な統合プランの提示を行う「アセスメント」の提案を、数社のベンダーから受け、TISに依頼しました。
「アセスメント」は、ハードウェアベンダーが自社製品の納入を前提に、簡単な事前調査や統合プランを提示する場合も多いのですが、TISのアセスメントサービスでは、システム構築実績やノウハウを生かして、サーバ台数の増加や統合効果を具体的な数値で提示。独立系システムインテグレーターならではの中立的な立場から、耐障害性や拡張性も考慮した最適な統合プランが示されます(図表1)。
長谷工からの依頼によりTISでは、長谷工の東京・大阪の複数部門に点在している情報系サーバ120台を対象に、現状調査や分析を実施。その結果、データ量が年率69%の割合で増加し続けており、このままでは5年後にサーバ台数が現在の倍以上の300台に達するという状況が明らかになりました。長谷工ではTISの現状分析の的確さやハードウェアベンダーに縛られない中立的な統合プランを高く評価し、そのプランに基づいてシステム再構築を行うことを、2008年8月に決定しました。
解決
用途や目的に応じた統合でIT資産や運用コストを最適化
TISのアセスメントが導き出したプランは、各拠点に点在する120台の情報系サーバを89台のブレードサーバやラックマウントサーバに統合するというもの。再構築プロジェクトでは、用途や要求性能に応じて、「物理統合」「仮想化統合」「ファイルサーバ統合」「バックアップ統合」という4つの統合方式を活用し、高い拡張性を確保しつつ効率的で安定運用が可能なシステム基盤の構築を目指しました。また、プロジェクトの進行については、既存サーバのリース終了時期に合わせて、全体を3段階に分けて実施することを想定しました。
さらにサーバ統合と合わせて、「ストレージ統合」も実施。高性能・高可用性の大容量ストレージを導入し、社内に点在しているストレージ内のすべてのデータの管理を一元化することで、システムの信頼性を確保するとともに、運用コストの大幅削減も実現しようというものでした(図表2)。
長谷工ではこの統合プランをもとに、実際にシステム構築を手がけるベンダーをあらためて選定しました。複数社の提案から、TISと、長谷工のシステム構築を従来から手がけてきた同じITホールディングスグループのIUKが共同で行った提案内容を採用し、TISに情報系サーバの再構築を委託。設計/構築はTIS、運用/保守はIUKが主に担当するなど、双方の得意分野を最大限に生かす形での統合作業を推進することとなりました。
長谷工にとってこのシステム再構築には、コスト削減や負荷軽減だけでなく、将来に向けた戦略的な意味もありました。「急速に変化し続けるビジネス環境に対応すべく、必要なリソースを必要なだけ迅速に用意できる、そんなシステム環境を構築したいと考えました。各部署からの要求に応じてサーバやストレージを柔軟に用意できる社内クラウド的な環境を実現できるというメリットに大きな期待を持っていました」(中庭氏)
効果
拡張性に優れたサーバ環境を生かし、ビジネス展開に挑む
アセスメントによる統合プランの策定を経て、長谷工のシステム再構築の第1段階となるファイルサーバ統合は、2009年4月にインフラ構築が完了。現在は既存ファイルサーバからのデータ移行を進めており、問題なく安定稼働を続けています。これまでは設計や施工部門でストレージ増強が必要になった場合、部門ごとにハードウェアベンダーと直接やりとりしていましたが、統合された環境のもとでは、各部門がIT戦略室に依頼するだけで必要な環境が迅速に用意されることとなりました。「運用管理の負担が減り、本来業務に専念できるようになった」との評価が聞かれるなど、新システム導入の具体的な効果も表れています。
なお、3段階での再構築が完了するのは2011年の予定です。その時点で、統合を実施しなかった場合と比較して、サーバ台数については1/2以下に集約、ディスク容量およびサーバ機器の保守コストについてはそれぞれ約40%削減、グリーンITについてはCO2排出量の約60%削減が見込まれています。さらに、運用管理業務を一元化することで省力化された人的リソースの有効活用や、標準化されたシステム環境によるセキュリティレベルの向上、最適な運用管理体制による事業継続性(BCP)の確保など、さまざまな成果が期待されています(図表3)。
今後の展開について、種本氏は「サーバは必要に応じて増減するものという新たな発想で、3年後も安心して見通せる拡張性に富んだビジネス基盤が構築できました。今後はSaaSの活用など、先進のITを積極的に活用しつつ、ビジネスのさらなる進展を図っていきたいですね」と期待を寄せています。
TISでは今後も、仮想化技術を駆使したサーバ統合やデータセンターへのアウトソーシングといった提案を積極的に展開。TCO削減や環境負荷軽減、IT資産や運用コストのさらなる最適化などを通じて、先進のマンション建設で、豊かな住環境の実現を目指す長谷工のビジネス展開に貢献したいと考えています。
お客さまの声
信頼に応える、高いスキルと仕事ぶりに満足しています
株式会社 長谷工コーポレーション
技術推進部門 IT戦略室 GE
種本 武史氏
当社ではホストコンピュータの時代からCADを導入するなど、常に先進のITを取り入れてきました。しかし近年のITの進展は目覚ましく、現場のスタッフも困っていたのが正直なところ。TISの実績は以前から知っていながら、一緒に仕事をするのは今回が初めてでしたが、高いスキルを持ったスタッフの真摯な姿勢に安心して任せることができました。おかげさまで、仮想化技術を用いたサーバ統合による大幅な省力化が実現。これからも当社のビジネスに貢献していただけることを願っています。
リアルな数値で実感、サーバ統合の不安が解消しました
株式会社 長谷工コーポレーション
技術推進部門 IT戦略室 チーフスタッフ
中庭 照仁氏
サーバ台数の増加に関して漠然と感じていた不安が、TISのアセスメントサービスを通じてリアルな数値として認識できたメリットは大きいですね。私たちの立場にたった中立的なプランのもと、効率的な統合が実現しています。今回のシステム再構築により、各部門からの要求に柔軟に対応できる社内クラウド的な環境が整備できました。将来的にはグループ各社に対しても同様に統合を推進、運用管理の負担を軽減したいですね。TISの果たす役割に期待しています。
TIS担当者から
アセスメントで、サーバ統合のコスト最適化を
長谷工コーポレーション様は、どの部門の方々もITスキルが高く、アセスメントサービスもいち早くご利用いただくなど、先進的な提案を積極的に取り入れておられるお客さまです。その期待に応えるためにも、関東・関西のスタッフが持てる力をフルに発揮して、今回のプロジェクトに挑みました。
TISのアセスメントサービスは、システム構築の実績やノウハウを存分に生かしたサービスで、実際の運用状況も含めて詳細な調査・分析ができるのが大きな特長です。アセスメントの結果は、最適な統合プランのもと、迅速かつ無駄のないシステム統合を実現する基礎となります。事業継続性やグリーンITなど多岐にわたる導入効果を明確にすることで、システム再構築に関する経営層の理解も得られやすくなります。特に、今回のように大規模なサーバ統合には不可欠なサービスといえるでしょう。「アセスメントサービスにかけるコスト」で最適なプランが実現する。入念なアセスメントを行うことが、結果的には「コスト最適化」につながると考えています。
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- ※本資料に掲載された情報は、弊社情報誌「UD Vol1」発刊当時のものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があることをご了承ください。
- ※UD発刊日:2010年4月1日