三井化学株式会社様

限られた時間と予算で、基幹システムをバージョンアップ&マイグレーション
SAP ERPに関する豊富な知識と経験に基づき、信頼性低下リスクの回避に挑む

総合化学メーカーの三井化学では、基幹システムに用いているSAP ERPのバージョンアップと、Windows系サーバへのマイグレーションを同時に実施し、将来を見据え、先進技術の恩恵を享受しやすい環境に移行しました。TISはSAP ERPに関する豊富な知識と経験に基づき、限られた時間と予算を最大限に活用してSAP ERPのバージョンアップ、マイグレーションを成し遂げ、システムの信頼性維持に寄与しました。

社名 三井化学株式会社様
創立 1997年10月1日
設立 1955年7月1日
事業内容 機能材料事業(自動車・産業材、ポリウレタン材料等)、先端化学品事業(精密化学品)、基礎化学品事業(基礎原料、工業薬品)
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課題

ハード/ソフトの保守切れに伴い信頼性維持に向けた対策が必須に

高機能樹脂や電子情報材料、石油化学製品など先進素材の研究開発及び製造販売を、グローバルに展開する総合化学メーカー、三井化学株式会社(以下、三井化学)では、2001年から「SAP R/3」によるERPシステムを導入、2004年からは三井化学全社で利用する基幹業務システムとして、財務会計/管理会計/生産管理/品質管理/販売管理/購買管理/物流管理などの主要業務領域において本格稼働を開始しました。そうした折、基幹業務システムとして活用してきたSAP R/3(バージョン 4.6c)及びハードウェアの双方の保守期限が2009年12月に満了を迎える状況を受けて、システムの信頼性や安定性の維持・向上と、運用コストの低減を目的とするハードウェアの更改と、SAP ERPのバージョンアップに取り組むことを決めました。

さらに、三井化学ではこれまで、基幹業務システムに求められる信頼性や安定性を考慮して、UNIX環境でのERPシステムを構築してきましたが、今回のシステム更改に当たり、近年急速に普及しているWindows系サーバの導入を検討しました。Windows系サーバはCPU性能などの向上も目覚ましく、仮想化などの先進技術を享受しやすいほか、「一般的にハードウェア/ソフトウェアの保守費用が安い」「ハードウェアの選択肢が広がる」「エンジニアが調達しやすい」といった、さまざまなメリットが得られる点から判断し、Windows系サーバへのマイグレーション(プラットフォーム移行)を、SAP R/3のバージョンアップと同時に実施することとしました。

三井化学システム部システムグループリーダーの木村博氏は、SAP R/3システムのバージョンアップ及びマイグレーションの目的について、「従来と同様な信頼性や安定性を確保しつつコスト最適化を図るとともに、システム全体のパフォーマンス向上や、仮想化などの先進技術を導入しやすい環境を整備したいと考えました」と説明します。

SAP R/3システムのバージョンアップ&マイグレーションにおいては、全ての基幹業務で活用しているミッション・クリティカルなシステムであるが故に、不具合の発生が全ての業務に影響を及ぼす可能性もあり、「失敗が許されない」「システム停止は最短期間で済ませなければならない」ことは必至でした。さらに、バージョンアップ&マイグレーションの結果、例えば業務の効率化につながるようなエンドユーザにとっての具体的なメリットに乏しく、導入効果も見えにくいことから、非常に限られた予算のなかで、プロジェクトを滞りなく、また確実な遂行が求められたのです。

提案

SAP最新バージョンへの深い知識と経験に基づく万全なプロジェクト体制

「SAP ERP自体はプラットフォームに依存しないアーキテクチャで、新規インストールの約8割はWindows系サーバという報告も聞いていたので、数多くの導入実績があるWindowsシステム自体に対する不安は特にありませんでした。ただ、ミッションクリティカルな基幹業務システムの移行作業を限られた時間と予算の中で万全に成し遂げ、その後も安定稼働を維持できるサポートが得られるかどうかは全くの未知数でした」と語るのは、システム部主席部員の影下敏夫氏。システムの性格上、バージョンアップ&マイグレーションに際して、ビジネスの動きを止めず、いかにダウンタイムを最小化するかが大きな課題でした。大掛かりな移行作業が必要であり、通常の週末の2日間だけを利用して作業を完了するのは困難なことから、2009年8月の夏期休暇に照準を合わせた上で、 SAP R/3のバージョンアップとマイグレーションを同時実施するべく、三井化学はTISを含むベンダー数社に移行プランの提案を依頼しました。

TISは、2001年より三井化学のSAP R/3環境の導入を支援し、その後も運用保守において三井化学を支援しており、これまで培ってきた信頼に応えるべく、今回の提案に果敢に取り組みました。
これまで運用保守を手がける中で、三井化学のシステムに精通していることはもちろんのこと、TISは、SAPの旧バージョン(SAP R/3 4.6c)および最新バージョンのSAP ERP6.0に関する知識・経験を豊富に有しており、それらを活かして、両バージョンの差異と、その差異が及ぼす顧客のビジネスプロセスへの業務的な影響の有無、影響度合いを明確な形で定量化。リスク回避に向けて、どこに、どれだけのテスト作業を行うのが効率的なのかを"正確に"把握できることが、TISの大きな強みでした。

さらにWindows環境へのマイグレーションの実施に際しては、マイクロソフト社のSAPビジネスチームと蜜に連携し、豊富なサポートサービスを活用、また大規模なバージョンアップやマイグレーションの実績が豊富なメンバもプロジェクト体制に組み入れることで、TISは、万全なプロジェクト体制のもと、SAP ERP 6.0へのバージョンアップ&マイグレーションの移行プランを提案しました。

三井化学では、TISの強みであるSAPの最新バージョンへの深い知識と経験、および大規模なSAPシステムの運用経験について高く評価。Windowsシステムへのマイグレーションについてもビジネスプロセスへの影響を定量的に、また高い精度で把握しており、懸案だった導入コストも他社と比べて抑えられていたことから、未知数要素の多い取り組みながらも、その未知数要素を極小化、つまり追加費用やスケジュール変更などの事態を避けることができ、安心して任せられるパートナーとしてTISを選定しました。こうして三井化学とTISは共同で、SAP R/3のバージョンアップとマイグレーションの同時実施に取り組むこととなりました。

解決

限られた時間と予算の中で、円滑なバージョンアップ&マイグレーションを実施

三井化学のSAP R/3バージョンアップ&マイグレーションプロジェクトは、2008年10月から本格的に開始しました。3カ月ごとのアセスメント/開発/テスト/運用準備というフェーズを経て、2009年2月と5月に大規模なリハーサルを実施。その上で、同年8月の本番切り替えに臨むこととなりました。三井化学のERPシステムは、非常に大規模かつミッションクリティカルなシステムです。このためSAPのバージョン間の、大小様々な変更点への対応、改修後のアドオンの動作検証や周辺システム連携など膨大な項目についてテスト及びリハーサルを行う必要があるものの、限られた時間と予算の中で、実施できるテストやリハーサルには限界がありました。

そこでTISでは、お客様の業務プロセスの精緻な分析、SAP製品に関する豊富な経験や製品知識、および運用保守の経験や業務知識に基づいて、テストケースの洗い出しを行った上で、約6,300項目の内部連携テストや約250項目のインタフェーステスト、通常の業務量の数倍の負荷をかけた稼働テストなど、多項目にわたるテストを実施しました。こうして必要十分なテストとリハーサルを踏まえて、TISは精緻な本番作業計画を策定し、その計画をもとに三井化学は2009年8月の本番の切り替えに臨むこととなりました。「業務プロセスとプログラムロジック双方の観点からアプローチしなければ、網羅的で意味のあるテストにはなりません。当社のIT部門でも把握していない使い方を現場でしている場合もあるため、ビジネス現場のユーザーが参画するテストの場を設けることも必要でした。時間も費用も限られた中で、アドオンだけでなく標準プログラムも含めて、どの範囲・どのレベルまでテストを実施すれば品質を維持できるのか。社内でも判断に迷いましたが、最終的には当社システムに精通したTISに任せて正解でした」(影下氏)

2009年8月の夏期休暇の4日間に行われたシステムの本番移行は、最初の48時間でサーバ切り替えとバージョンアップが予定通りに完了するなど、極めてスムーズに作業が進みました。基幹業務関連の重要データが保存されている1インスタンス(約2TBのデータベース)のマイグレーション(SQLサーバへの移行)に関しても、移行作業の担当チームの尽力により、19時間19分という記録的な早さで作業を完了しました。

図表 プロジェクトスケジュール全体像

「通常の運用保守に加えて他のプロジェクトも同時並行する中で、全体のマネジメントをとるのは非常に困難に思われましたが、何かを断念したり、諦めてもらったりするのではなく、すべてが納得のいくように全体の調整に努め、万全なバージョンアップ&マイグレーション実施に向けて全力で取り組むなど、TISのマネジメント管理能力が存分に発揮されたプロジェクトだと思います」(木村氏)

環境構築やリハーサルを通じて、本番移行の日程はバッファ込みで4日間を想定していましたが、テストやリハーサルなどの周到な事前準備のおかげで、当初に予定していた作業の前倒しも含めてほぼ3日間で本番移行は完了しました。こうして限られたコストの中で、高品質なバージョンアップ&マイグレーションが実現され、SAP ERP6.0による新たなERP環境のもとでシステムは安定稼働を開始、リスクと考えていた障害も全く発生せず、非常にスムーズに通常の日常業務を再開することができました。

効果

サポートを最大限に活かせる環境のもと、将来性と信頼性の確保を実現

三井化学では、今回のSAP ERP6.0へのバージョンアップ&マイグレーションによって、ハードウェア/ソフトウェア双方のサポータビリティが向上し、ソフトウェアに要する保守コストに見合うだけの手厚い支援が得られる環境を整備することができました。またグループ全体のSAPシステムを切り替えたことで、早い段階でのコスト削減効果が得られるとともに、今後、国際会計基準(IFRS)対応など、継続的に変化する外部環境に対して柔軟に対応できるビジネスプラットフォームのサポートを安心して任せられる環境・体制を確保できた意義は大きいといえます。

加えて、今回のバージョンアップ&マイグレーションを通じ、不要資産の棚卸も実現できたため、管理工数の低減を図ることができました。また、移行に際して危惧していたエンドユーザに対する、システムのサービスレベル低下を招くこともなく、むしろ、システム全体のパフォーマンスは向上しているとの評価も寄せられています。

なお、Windowsへのマイグレーションにより、ハードウェアの保守コストについては約3割程度の削減を実現しており、既存システムの統合などが進めばさらなるコスト削減も見込まれています。三井化学は今後、新たなWindowsプラットフォームのもとで、仮想化などの先進技術を活用し、新旧環境で重複しているストレージやバックアップ装置の統合などを推進していきたいと考えています。「経済」「環境」「社会」の3本柱でバランスのとれたビジネス展開を目指す三井化学。TISは、そのニーズを先取りした先進提案や万全な運用保守サービスを展開することで、目まぐるしく変わるビジネス環境にも即応できる三井化学の適応力強化をサポートしていきます。

お客さまの声

TISのプロジェクト運営に満足

三井化学株式会社
システム部 システムグループリーダー
木村博氏

マイグレーションを実施するに当たり、マイクロソフト社のサポートサービスや、それを活用したTISのプロジェクト運営のレベルは高く、安心して任せることができました。今回のような移行作業においては、経験豊富で能力のある体制を揃えることがプロジェクト成功のカギを握ります。TISにはハードウェアベンダーとの調整役も任せることとなりましたが、それも含めてベンダー各社とスムーズな連携を実現。時にはTISの責任範囲を超えるような局面もありましたが、、常にプロジェクトの全体最適を最優先に動いていただきました。TISのプロジェクト管理能力は高く評価できるものであり、「プロジェクトを必ず成功させる」という強い意志が感じられました。これからも成功にこだわる熱意で、当社のシステムを支えていただけることを願っています。

TISのサポートでシステムの最適化が図れました

三井化学株式会社
システム部 主席部員
影下敏夫氏

今回のプロジェクトでは、新しいSAP ERP6.0環境に移行を図ると同時に、この数年で蓄積された使用実績の有無の分からないアドオンなどの"不良資産"を一掃したいという目的がありました。私自身が旧システムの構築を手がけたということもあったので、新たな環境へのスムーズな移行を果たし、システムの最適化を図れたことは感慨深いですね。当プロジェクトの成功において、TISの果たした役割は非常に大きいものがあります。今回のようにリスクを伴う課題に対し、迅速な意思決定とアクションがとれるのもTISの良いところなのではないでしょうか。

TIS担当者から

大規模なERPシステムを短期間でアップグレード!

TIS株式会社
産業事業統括本部 ビジネスシステムコンサルティング事業部
エンタープライズリソースマネジメント第2部 統括マネージャー エグゼクティブコンサルタント
伊藤健

コストを最小限に抑えつつも、安かろう・悪かろうでは決して許されないのがSAP ERPシステムのバージョンアップ&マイグレーション。振り返ってみれば、SAP ERPに精通していることが十分に活かされたプロジェクトでした。例えば、ツールを用いてバージョンアップの影響分析をしても、洗い出せるリスクには限界がある。経営を支えるミッション・クリティカルな基幹情報システムの特性上、100%の安全性を保障できないと意味がない中で、ツールで洗い出せなかった残りのリスクを見極め、安定した本稼動を迎えることができたのは、これまで培ってきた経験と製品知識に他ならないと自負しています。

今回の移行作業では、時にはTISの業務範囲を超えて対応するような場面もありましたが、プロジェクトの成功を最優先に、自信を持って対応させていただきました。TISのそうした取り組みをご理解いただいた三井化学様に感謝しています。また、今回のバージョンアップを通じて得られた経験を糧に、これからもお客様の業務効率化やコスト削減の要望に応えられるような提案をしていきたいと考えています。

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更新日時:2016年10月6日 16時13分

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