株式会社NTTドコモ様

スマートフォンで街歩きが楽しくなるAR対応「東北六大祭アプリ」を開発

Android搭載スマートフォン/タブレット端末、LTE規格の高速データ通信「Xi」(クロッシィ)などを軸にモバイル戦略を展開する、NTTドコモ。
2011年6月、東北復興支援の一環として、スマートフォン向け「東北六大祭アプリ」の開発に着手した。 同アプリでAR(拡張現実)による観光ナビゲーション機能を提供するために採用されたのが、TISの情報配信プラットフォーム「SkyWare」である。

社名 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
設立 1991年
事業内容 携帯電話サービス(「Xi」(クロッシィ)サービス、FOMAサービス、movaサービス)、パケット通信サービス、国際電話サービス、衛星電話サービス、各サービスの端末機器販売 など
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背景

東北の夏祭りをアプリで応援

3月11日の東日本大震災以降、日本全国で官民ともにさまざまな復興支援の輪が広がっている。携帯電話会社の国内最大手NTTドコモも、企業のミッションとして数々の支援活動に取り組んできた。
震災から約2カ月半が経過した2011年5月末。東北地方を代表する6つの伝統的な夏祭りが一堂に集まる「東北六魂祭」が、7月16日・17日に仙台で初開催されるというニュースが報じられた。NTTドコモでは、復興支援の一環として、この「東北六魂祭」および、その後に東北6県のご当地で開催される六大祭に協賛する方針を決定。
NTTドコモ法人事業部の中島晋平氏は、次のように振り返る。「単なる協賛にとどまらない、別の支援のあり方についても、社内で常に議論を続けていました。その結果、お祭りを盛り上げて東北が元気になるよう、スマートフォン向けのアプリを配布してはどうかというアイディアが出てきました」。
開発するアプリは「東北六大祭アプリ」と命名。マーケティング調査やコンテンツ作成などで取引のある、電通イーマーケティングワンを開発パートナーに迎え、プロジェクトがスタートした。

観光をもっと楽しくする「ARコンシェルジュ」機能

NTTドコモと電通イーマーケティングワンは6月に入ってからの企画会議で、「東北六大祭アプリ」にどのような機能・コンテンツを実装すべきかで意見を交わした。
NTTドコモ 中島氏は次のように語る。「できるだけ多くの方に、東北のお祭りを楽しんでもらうことを目的に、アイディアをぶつけあいました。中でも、最も優先順位が高いと判断されたのが、AR(拡張現実)を利用した街歩きナビゲーション機能『ARコンシェルジュ』の搭載でした」。
本機能が目指すものは、お祭りの会場周辺でスマートフォンのカメラを向けると、GPSを利用して位置情報を特定。カメラに映った飲食店・宿泊施設・名所などの情報がARタグとして吹き出しのように、実際の映像の上に表示されるというものだ。
「NTTドコモの最新スマートフォンは、すべてがAR機能に標準対応しており、AR対応アプリを利用することでその便利さを体験いただけます。しかし、まだまだ一般の方の認知度は低く、日常的に使われるまでには至っていません。当社としてはこの機会にARの裾野を拡げる目的でも、ぜひ『東北六大祭アプリ』にARコンシェルジュ機能を搭載したいと考えました」(NTTドコモ 中島氏)。
また、ARコンシェルジュ以外の機能として、実際にお祭りの現地に足を運べない人でも、メッセージを投稿することでお祭りを盛り上げることができる「WORD MESSENGER」機能や、各地の祭りの由来や動画などのコンテンツを盛り込む案が採用され、アプリ開発の目標が定まった。

選択

NTTドコモ社内でも注目されていた「SkyWare」

このとき既に、東北六魂祭の開催まで1カ月を切っていた。一番の課題は、限られた期間のなかで、どのような方法でARコンシェルジュ機能を実装させるかであった。そこでNTTドコモ 中島氏が思い当たったのが、TISが提供するAR対応の情報配信プラットフォーム「SkyWare」だった。
「実は、今回のアプリ開発が決まる以前から、社内の勉強会で『SkyWare』について多少の知識は得ていました。実際にサンプル版のアプリを操作したこともあり、ARタグが表示されるスピードの速さや、タグの大小による距離感のつかみやすさが印象に残っていました。機会があれば、法人向けソリューションとして提案できないか、との思いがありました」。
そこで、NTTドコモの中島氏は、電通イーマーケティングワンとのミーティングの席で、候補として「SkyWare」を提案。両社はさっそく、導入要件をクリアできるかの技術検証を行うことになった。

いろいろなアプリにAR機能を加えられる「SkyWare」

電通イーマーケティングワンでは、TISのWebサイト(TIS Direct Web)を通じ、本案件について打診。TISはこれを受け、営業・技術担当者がNTTドコモ、電通イーマーケティングワンとの打合せに出向き、「SkyWare」の機能の詳細を説明した。
最終的に、AR機能を実現するためのプラットフォームとしてTISの「SkyWare」を選択した理由について、NTTドコモ 中島氏はこう語る。「街歩きでAR機能を利用するには、これまではAR専用のアプリを起動する方式が一般的でした。ですが、我々が求めていたのは、ARを知らない方にも抵抗なく使っていただけるよう、あくまでもアプリの機能の1つとして、ARコンシェルジュ機能を提供することでした。『SkyWare』なら、このような開発にも柔軟に対応できる点が魅力でした」。
こうして、「東北六大祭アプリ」のプロジェクトにTISの参画が決定。アプリ公開予定日へ向けて、開発が急ピッチで進められた。

開発

わずか3週間でアプリ開発を達成

「SkyWare」は、ASP型のサービス提供形態であり、短期間でAR対応アプリの開発が可能。ARサービス提供企業は、必要な期間だけ、TISが運用するAR情報配信プラットフォームをレンタル利用できるので、専用サーバを導入する必要がない。
電通イーマーケティングワン小浪宏信氏は次のように語る。「当初、約3週間という納期でARコンシェルジュ機能を実装するのは難しいのでは、と考えていました。しかし、TISから“対応可能”という回答があったことに驚きました。今回のように、開発期間が短く、しかも実施期間が限定されているイベント向けにAR対応アプリを開発するには、『SkyWare』はまさにうってつけのツールでした」。
なお、ARコンシェルジュ機能で画面表示する、東北各地の飲食店、宿泊施設などの情報については、旅行系出版社が保有する情報を有償でレンタルする方法が採用された。「観光ナビゲーションでは、鮮度の高い情報をいかに多くARタグとして用意できるかという点がポイントとなります。今回、短期間で東北6県約1,500カ所の正確な情報を用意することができ、既存のコンテンツを流用する方法は非常に効果的でした」(電通イーマーケティングワン 小浪氏)。
「SkyWare」では、ARサービスの提供者が自らAR情報を管理・更新できる「CMS(コンテンツマネージメントシステム)」が採用されており、Webを通じてTISのサーバへ情報をアップロードするだけで、AR情報の準備が完了。今回は採用を見送られたが、各店舗等がWebサイトを通じて随時、情報を更新できる機能も用意されている。

現地の協力でコンテンツがさらに充実

ARコンシェルジュ以外の機能では、メッセージで祭りを盛り上げられる「WORD MESSENGER」機能についても、TISが開発を担当。メッセージを投稿した場所が日本地図の上で表示され、メッセージの数によって、地図上の提灯が明るくなるという仕掛けも設けられている。
一方、インタフェースのデザインおよび、ご当地グルメ・観光地・お土産の情報などHTML系コンテンツについては、NTTドコモと電通イーマーケティングワンが制作を担当。これと並行して、フィーチャーフォンの利用者向けには、コンテンツが閲覧できるモバイルサイトの構築も進められた。
電通イーマーケティングワン 長谷部奈緒氏は、「地元のテレビ局や各地の祭りの主催団体などから、過去の祭りのビデオ素材や、写真をお借りするなど、現地の方々のご協力でコンテンツを充実させることができました」と感謝を示す。
こうして、最終的にTISがコーディング作業を行い、アプリが完成。「社内で評価テストを行ったプロモーション担当からも、“デザイン性も使用感も優れている”との好感触を得られました。時間がない中での開発でしたが、その中で当初の理想に近いものができたのでは、と満足しています」(NTTドコモ 中島氏)。

反響

お祭り参加者の満足度アップに貢献

「東北六大祭アプリ」は、7月15日にドコモマーケットおよびAndroidマーケットで無料配信を開始した。本アプリをダウンロードしたユーザーは、祭りの会場近くを街歩きする際、ARコンシェルジュ機能を利用可能に。スマートフォンをかざすだけで、周囲の飲食店・宿泊施設などの情報がARタグで表示され、クリックすることで、電話番号などの詳細情報を見ることもできる。
7月16日・17日に仙台で開催された「東北六魂祭」では、会場内にNTTドコモのブースが設けられ、開発チームも現地でアプリの告知活動を行った。「ダウンロード用のQRコードを印刷したウチワを配ったり、現地の新聞で告知を行うなどの取組みを行いました。実際に目の前でスマートフォンを使ってアプリをダウンロードいただく方もいたほどで、現地に不慣れな観光客の街歩きに、少しでもお役に立てたのではないかと思っています」(NTTドコモ 中島氏)。
なお、「東北六魂祭」は2日間で来場者が約36万人と大盛況となり、“元気な東北”を全国に届ける印象的なイベントとなった。その後、東北6県で開催された祭りを経て、アプリ配信は8月いっぱいで終了した。

企業のAR情報配信機会を拡大する「SkyWare」

NTTドコモ法人事業部では、今回の「東北六大祭アプリ」のノウハウを活かし、AR対応機能を組み込んだアプリによる企業ソリューションにも力を注いでいく考えだ。
NTTドコモ 中島氏は次のように語る。「かねてより、公共団体や企業にとって、ARによる情報配信は確実にニーズがある、と考えていました。しかし、これまではオープンなARサービスのプラットフォームに情報を相乗りさせる形しか選択肢がなく、独自サービスを提供したい企業様へは提案しにくい状況でした。しかし、TISの『SkyWare』が登場したことで、閉じたプラットフォームの中で情報の質を向上させることが可能になり、弊社ではB to B to C型のソリューション提案が行いやすくなりました」。
今後NTTドコモは、電通イーマーケティングワンおよびTISと引き続き協力体制を維持し、AR対応アプリによるソリューションをパッケージ化して、さまざまな業種へ向けて提案していく方針だ。「まずは、今回のアプリと同様に、イベント来訪者へ向けたAR情報の配信を訴求していく予定です。主な対象としては、地方自治体や商工会議所などとなります。また、AR機能は、不動産の物件案内、運送・配送業、多数の店舗を持つ飲食店・コンビニ・金融機関などのナビゲーションにも活用できる技術としても期待しています」(NTTドコモ 中島氏)。
スマートフォンやタブレット端末が急速な普及を続けるなか、AR機能を活用した情報配信サービスは、これからの急成長カテゴリとなるのは間違いないだろう。

お客さまの声

株式会社NTTドコモ
法人事業部 モバイルデザイン推進室
コンサルタント 中島晋平 氏

株式会社 電通イーマーケティングワン
第一営業本部 第九ディレクター室
室長 小浪宏信 氏

株式会社 電通イーマーケティングワン
第一営業本部 第九ディレクター室
シニアコンサルタント 長谷部奈緒 氏

企業や公共団体が独自のAR情報配信を行う際に、TISの「SkyWare」は非常に適した情報プラットフォームであると捉えています。
今後NTTドコモでは、電通イーマーケティングワンおよびTISと引き続き協力体制を維持し、ARソリューションをパッケージ化して、さまざまな業界へ提案していく予定です。TISには、これからもARの普及に向け、ご協力いただければと思います。
(NTTドコモ 中島晋平氏)

TIS担当者から

TIS株式会社
産業事業本部 信濃産業事業部
信濃産業システム1部
渋澤 稔

タイトな開発スケジュールでしたが、NTTドコモ様、電通イーマーケティングワン様のご協力で、ARコンシェルジュ機能およびWORD MESSENGER機能を完成させることができました。
「SkyWare」は最短で2週間程度、しかも低コストで、スマートフォンを活用した観光ナビゲーションシステムを開始できる点が最大の特長です。現在、全国各地の自治体や旅行会社など観光関連分野を中心に展開を行っており、個別カスタマイズにも対応できる柔軟さを備えています。
なお、今回の「東北六大祭アプリ」では使われていませんが、ユーザーが属性(年齢、性別、趣味など)を入力すると、おすすめの観光ルートを案内するナビゲーション機能も利用することができます。

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更新日時:2016年10月6日 16時30分

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