TOA株式会社

海外・日本の「管理連結」実現でグループ経営戦略を強化

業務用の「音響」「映像」製品を世界へ展開するTOA。経理部の負担となっていた海外グループ会社の決算処理の軽減と、将来的なIFRS対応を視野に、連結会計ソリューション「SAP® BusinessObjects™ Financial Consolidation(以下SAP BOFC)」を導入した。
国内屈指のSAPパートナーであるTISでは、同プラットフォーム上に管理連結を追加構築するとともに、 “制管一致”の実現へ向け開発を支援した。

社名 TOA株式会社
創業 1934年
事業内容 音響機器、映像機器などの製造販売
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課題

生産・販売を本社集中から海外分散へ

1934年に神戸で創業以来、業務用の音響機器メーカーの第一人者として活躍を続けるTOA。中でも駅、デパート、学校などの公共施設で使用される放送設備では高いシェアを誇り、国内5つの国際空港すべてで同社の非常用放送設備が導入されている。80年代からは、防犯カメラを中心とするセキュリティ機器にも進出し、連結売上高は約330億円(平成23年3月期)となっている。
TOAが初の海外法人をドイツに設立したのは1973年。以来、優れた製品技術を武器に、海外でも確固たる地位を築いていく。近年の海外での需要について、情報システム部の松室慎二部長はこう語る。「国や地域によって、求められる製品の種類はさまざまです。たとえば、米国ではニューヨーク地下鉄の車内放送設備の需要が急増しています。また、インドネシアでは、数十万カ所のモスクのほぼ100%で、弊社の拡声用スピーカーが導入されています」。
このような世界各地で異なる需要に対応するため、2000年代に入ると、本社集中型から海外での現地生産・現地販売へと、経営スタイルが大きく変化。現在では、海外26カ所・国内5カ所のグループ会社で構成される、グローバル企業へと成長を遂げている。

海外からの決算データ収集が課題に

海外に連結対象となるグループ会社を持つ企業にとって、四半期ごとの連結決算処理業務の作業負荷は、決して小さくない。松室部長は、TOAの経理部が抱えていた課題を次のように語る。「90年代から連結会計システム『SAP-ECCS』を利用してきましたが、決算データの収集機能は備わっていないため、毎月、海外のグループ会社から本社経理部へ、決算データをメール添付で送信していました」。
この決算データとは、Excelのテンプレートファイルを元に作成されたワークシートのこと。海外グループ会社の経理担当が、このワークシートにさまざまなカスタマイズを加えていたことが、本社経理部の悩みの種だったという。
「国・地域によって、会計ルールはさまざまです。海外の担当者によって、ワークシートに独自のルーチンに基づく計算処理を組み込んだり、入力フォーム部分にロックをかけていることもありました。そのため、受け取った本社経理部では、必要な情報の閲覧・抽出がスムーズに行えない問題がありました」。
つまり、決算データがいわばブラックボックス化されており、本社経理部は海外から決算のワークシートを受け取るたびに、多くの作業時間を要する結果となった。
「このままでは、連結決算の数字を出すのに必要以上に日数がかかること、そして、一部上場企業の責任として決算の精度を可能な限り高めたいという理由で、連結会計システムの更改を検討しはじめました」(松室部長)。

選択

新たな連結会計ソリューション「SAP BOFC」導入を決定

2009年、情報システム部はエンタープライズ向け製品の最新情報を収集。その結果、最も高い評価を集めた連結会計ソリューション「SAP BOFC」の選択を決定し、2010年1月に導入を行った。
「SAP BOFC」を選択した理由について、情報システム部の笠井昭彦氏は次のように語る。「連結会計システムの変更は、経理部の負荷軽減はもちろんですが、グループ経営を強化するための会計基盤づくりも狙いとしてありました。そのためには、法令上必要となる『制度連結』だけでなく、経営意思決定の指標となる『管理連結』も行えることが理想です。『SAP BOFC』は、この両方の連結会計に対応可能な会計プラットフォームという点が魅力でした」。
また、「SAP BOFC」がIFRS(国際標準会計)の本場であるEU圏で開発されたことも、同製品を選択した理由のひとつだったという。「一般的な日本の会計基準(J-GAAP)とIFRSの双方の結果を表示することも可能であり、IFRSの強制適用がいつ開始になっても、スムーズに移行できます」(笠井氏)。

「SAP BOFC」の経験豊富なTISを指名

情報システム部では、まず「SAP BOFC」のプラットフォーム上で、制度連結システムを構築。そして、次の目標として定められたのが、経営指標となる情報が把握可能な管理連結システムの追加構築であった。
近年、TOAの経営判断は、世界の景気動向や為替の激しい変化に対応するため、マネジメントサイクルが短期化。経営層からは、3カ月先の業務計画を立てられるよう、月次の連結決算処理が求められており、そのためにも管理連結の仕組みは必要不可欠だった。
松室部長は次のように振り返る。「『SAP BOFC』に管理連結のシステムを追加する作業は、稼働中の制度連結とのデリケートな調整作業が必要です。さらに、決算処理に必要な情報入力を一元化するため、制度連結と管理連結を統合する“制管一致”も計画していました。こうなると、社内の開発体制だけでは対応が困難と判断し、SAPジャパンに『SAP BOFC』の導入スキルを持つシステムインテグレータの紹介を依頼しました」。
当時「SAP BOFC」を熟知しているシステムインテグレータは限られており、その中でも、国内屈指の大企業にも導入経験のあるTISが候補のひとつとして挙げられた。
「連結会計システムは、当社のグループ戦略の中でも要となるものであり、開発の失敗は許されませんでした。その点、既に大手企業で『SAP BOFC』による“制管一致”を成功させた実績は信頼に足るものであり、TISなら安心して依頼できる、と情報システム部と経理部の意見も一致しました」(松室部長)。

導入

新システム導入アプローチを慎重にアセスメント

こうして、「SAP BOFC」への管理連結の追加構築、および制管一致の作業についてTISがパートナーとして選ばれ、2010年7月にプロジェクトがスタート。
大規模なシステム改修・構築プロジェクトであることから、開発は大きく2つのフェーズに分けて進められた。まず、2010年中にP/Lについての管理連結の実現、その後、2011年1月から6月にかけて、B/Sについての管理連結を導入して実績系を完成させると共に計画・推定についても実現するという、慎重なスケジュールが組まれた。
TISはまず事前に、経理部とともに会計ルール、制度連結の考え方、また管理連結の要望を整理。それに基づいてシステムを設定する際には、継続すべき制度連結の考え方やルールと、新たに導入する管理連結の機能や運用ルールなどの整合性を連結会計業務全体の観点で考慮しつつ仕様を固めていった。

経理部と一体となって管理連結を構築

開発プロジェクトに参加した、情報システム部の小林周平氏は次のように振り返る。「TISが『SAP BOFC』上でシステム設定を行い、経理部が実際にテスト。その上で出てきた要望をまたシステム設定に反映させる、という作業を何度も繰り返しました。この地道な作業によって、TOAの会計ルールに沿った仕組みへと、精度と使い勝手を向上させていきました」。
システムから出てくる数値と、実際の決算処理業務の数値が一致しているかを確認するために、経理部の検証は不可欠。そのため、経理部から専任のメンバーが選定され、プロジェクトチームに加わった。
「約1年の開発プロジェクトの途中、決算業務で多忙となる時期が何度か重なりましたが、経理部のメンバーには忙しい時間を縫って協力してもらい、スケジュールを守ることができました」(小林氏)。
こうして、当初の予定どおりに、2011年6月に「SAP BOFC」上で制管一致連結会計が稼働を開始した。

展望

日本と海外の、3カ月の“期ずれ”打開策に

今回導入された、「BOFC」による制管一致連結会計の意義について、松室部長は次のように語る。「まず、海外グループ企業からの決算データ送信の効率化が挙げられます。海外からの決算報告は順次、『SAP BOFC』で用意されている、Webブラウザを利用した入力へと切り替えています。アップロード時に自動的にチェックが行われるため、計算上の誤りもその時点で対処が可能です」。
さらに、月次ベースの管理連結の実現により、グループ経営への効果に期待をこめる。「海外企業では12月決算、日本の本社は3月決算と、3カ月の“期ずれ”があります。そのため、海外グループ会社では、本社に先行して次年度の計画・予算を立案する必要がありました。今回、月次の管理連結が実現したことで、短期的な業績予測が立てやすくなり、より正確な予算どりが可能に。これにより、各グループ会社が予算を確保してから、計画を遂行、目標を達成するまでのPDCAサイクルもスムーズに回るようになることを見込んでいます」(松室部長)。

経営情報の“見える化”にさらに注力

連結会計の新たな基盤ができ上がった今、情報システム部は次のステップとして、事業別KPI(主要業績管理指標)を可視化する機能の実現についても検討を開始した。
「SAP BOFC」の管理連結で出てくる数字は、あくまで勘定科目別。システム単独では、たとえば「音響機器」「映像機器」といった、カテゴリ別の業績までを把握するには人手をかける必要がある。
そこで、経営層が視覚的に経営状況を把握できるよう、引き続きTISの支援を得て、すでに導入している「SAP BW」および「SAP BO」のさらなる活用も開始している。
「これらのツールは、今後『SAP BOFC』との連携を行う予定です。通常の管理連結だけでは出てこない、さまざまな経営情報を可視化する目的で導入しました。たとえば、ある品目の原価率が高い場合、その理由が為替変動によるものか、原材料の値上がりなのかといった情報がグラフでひと目で分かるようになれば、より迅速で的確な経営判断が行えます」(松室部長)。
現在、海外への生産設備や販売拠点の展開を検討している国内企業の数は、決して少なくないだろう。そんな世界へ打って出る企業にとって、まず備えるべきものは、強固な連結会計の基盤づくりだ。今回のTOAの成功事例は、事業規模にかかわらず、日本・海外のグループ経営強化を課題とするすべての企業にとって参考になるだろう。

お客さまの声

左から
TOA株式会社
情報システム部長 松室慎二 氏
情報システム部 システム企画開発課長 笠井昭彦 氏
情報システム部 システム企画開発課 小林周平 氏

TISとの開発プロジェクトを通じて、「SAP BOFC」を熟知している会社だ、という印象を強く受けました。スケジュール管理も的確で、大がかりな連結会計システム構築にもかかわらず、スケジュールどおりに完成に至ったことに感謝しています。
金融庁の発表によれば、IFRSの強制適用は2015年以降にずれこむ見込みとなりましたが、(IFRS対応に関わらず)今回導入した会計基盤はグループ戦略上、早急に構築が必要なものでした。情報システム部として、企業価値向上につながる有意義な投資ができたことに満足しています。
(松室 慎二 氏)

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更新日時:2016年10月6日 16時31分

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