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株式会社コーセー様

全社横断のデータ分析プラットフォームをクラウドDWH「Amazon Redshift」+BI「SAP BusinessObjects Business Intelligence」で構築

化粧品大手の株式会社コーセー(以下、コーセー)は、商品の出荷・顧客の購買実績などのビッグデータをクラウドDWH(データウェアハウス)「Amazon Redshift」へ集約し、データ分析を強化することを計画。TISはクラウドDWHとBIツール「SAP BusinessObjects Business Intelligence」を組み合わせ、全社横断で活用可能な、データ分析プラットフォーム構築を支援した。

本社 東京都中央区日本橋3-6-2
設立 1946年
資本金 48億4千8百万円(2017年8月末現在)
事業内容 化粧品の開発・製造および販売
URL http://www.kose.co.jp/

 

株式会社コーセー様

課題

DWHが分散し、全社的視点の分析が困難

2016年に創業70周年を迎えたコーセーは、1975年に業界初の「美容液」を世に送り出すなど、従来の常識を覆す化粧品の革命を起こしてきた。『美の創造企業』として、コスメデコルテ、エスプリーク、雪肌精などさまざまなブランドを展開し、業界における存在感を高めている。

同社の経営戦略を支えるのが、商品の出荷・顧客の購買実績などのデータ分析。情報統括部の春山勉氏はこう説明する。「たとえば営業部門では、化粧品専門店や百貨店における日々の販売実績を意味のある情報として理解するためにデータ分析は欠かせません。他にも、企画部門のマーケティング施策立案、R&D部門の新商品開発など、さまざまな部門がデータ分析を活用しています」。

これまで、部門に最適化された複数のDWHがオンプレミスで別々に運用されており、分析作業の効率性の低下が課題となっていたという。「全社的な視点でデータ分析を行うには、商品の出荷・顧客の購買実績などのデータを1つのDWHに集約する必要性を強く感じていました」(春山氏)。

そこで同社は、分析用ビッグデータを格納するインフラとして「Amazon Redshift」に着目した。これは、AWS(アマゾン ウェブ サービス)上で稼働するクラウドDWHで、大量データを高速に分析する用途に適している。情報統括部部長の小椋敦子氏は「当社は2013年から、化粧品を対面販売する店舗に向けた支援システムをAWS上で運用しており、クラウドの品質面での信頼性は確認済みです。DWHもクラウド化することで、サーバ保有が不要となり、リソースを柔軟に拡張できるメリットは大きいと判断しました」と語る。

検討を始めた2014年時点では、大手企業の「Amazon Redshift」導入例はまだ少なかったため、AWSJから紹介を受けた導入企業を訪問し、DWHとしての実用性をリサーチした。さらに並行して、情報統括部メンバー自ら「Amazon Redshift」を試験導入してPOC(概念実証)を実施することで機能面を検証し、目的を満たす手応えを得た。

 BIツールの統一で社内の分析活動を促進

「Amazon Redshift」を利用した新たな分析基盤は「KOMPAS」※と命名され、今後のコーセーの全社戦略を支えるデータ分析プラットフォームとして位置付けられた。

また、この分析基盤の構築と同時に、部門によって異なっていたBIツールを一本化することも決定した。「既存のBIツールのレポート画面は基本的に“数値の表”で表現力に乏しかったため、より分析系の機能を向上させたいと考えました。加えて、BIツールを一本化することで、分析のノウハウを蓄積・共有し、全社で利用促進を図っていく狙いもありました」(春山氏)。

こうして、「Amazon Redshift」導入とともにBIツールの刷新を決定。BIツール選定のコンペを実施し、同時に導入サポートSIベンダーの選定を行うこととした。「クラウド環境のみであれば我々だけで対応可能と考えましたが、新しいBIツールを含めたトータルの環境構築は、まだ技術的にノウハウが蓄積していません。そこで知見を持つSIベンダーの協力を得て、確実かつ短期間で目標を達成したいと考えました」(春山氏)。

※「KOMPAS」:KOSÉ Marketing Platform for Advanced Strategy

選択

分析機能に優れる「SAP BusinessObjects Business Intelligence」

こうして2015年春、SIベンダーを中心とする7社に呼びかけ、BIツールを含む「Amazon Redshift」環境構築のコンペが実施された。各社は、それぞれ異なるBIツールを擁して提案に臨んだ。情報統括部の金澤龍次氏は「当社が重きを置くポイントは、BIツールの使い勝手と分析機能、そして『Amazon Redshift』とBIツールのトータル環境を構築できる技術力でした」と語る。一次審査で候補は3社に絞られ、最終的に提案を高く評価され、採用に至ったのがTISであった。

「TISが提案したBIツール『SAP BusinessObjects Business Intelligence』は、これまで現場で最も使われていたBIツールや実績検索システムの、機能面および操作性の再現性が高く、システムの変化に対する利用者の負担(抵抗)が小さいということ、加えてBIツールとしての機能も十分。また、二次開発以降、社内開発を推進するにあたり、開発担当者のスキル移行がスムーズな点も魅力に感じました」(春山氏)。TISは1996年から約20年にわたって「SAP BusinessObjects Business Intelligence」の構築を手がけている。その国内トップクラスの実績がSAPから高く評価されている安心感も、TIS採用を後押しする要因となった。

実証済みの技術力に対する信頼

TISを選んだもうひとつの理由は、クラウド型DWHとBIツールを組み合わせた環境実現の確実性にあった。春山氏はこう説明する。「TISは、当社への提案に参加する数カ月前に、既に需要を見越して『Amazon Redshift』と『SAP Business ObjectsSAP BusinessObjects Business Intelligence』を組み合わせた環境の技術検証を済ませていました。まだ国内で、同様の環境を導入した企業は少ない状況だったため、机上の提案ではなく、実際に検証を行ったという裏付けは、競合に対するTISの大きなアドバンテージでした」(春山氏)。

加えて、コーセーが要件としたスキルトランスファーについても、TISは協力的な姿勢だったと、情報統括部の金澤龍次氏は振り返る。「情報統括部の方針として、ノウハウを蓄積するために、二次開発以降は社内で行う計画でした。TISはプロジェクトと並行して、BIツールのレポート画面開発などのスキルトランスファーを行う具体的な手順も提案に盛り込んでおり、非常に協力的な点が好印象でした」。こうして、2015年6月に、総合評価で勝るTISがパートナーとして採用された。

導入

ETLツールでさまざまなシステムからデータを集約

導入プロジェクトは、2015年7月にスタートした。「Amazon Redshift」に集約するデータを扱うシステムは、以前からAWS上で運用中の店舗支援システムをはじめ、出荷情報が記録される基幹ERP、百貨店POSなどさまざま。この連携を行うため、TISはETLツール「SAP Data Integrator」を利用して、データを集約する仕組みを構築した。既存の各システムから抽出したデータは、ETLツールで分析に適したかたちに変換され、「Amazon Redshift」へと集められる。

さらに、インフラ構築と並行して、「SAP BusinessObjects Business Intelligence」のレポート画面設計・開発が進められた。この作業は、TISがベースとなるレポート画面を設計・開発し、スキルトランスファーを受けた情報統括部メンバーが、各部門の要望に応じたレポート画面を開発するという役割分担で実施された。「実際に分析を行う営業部門、経営企画部門、マーケティング部門などから担当者を集め、『残すべきレポート』『新たに開発すべきレポート』の意見交換を行いつつ、レポート画面の開発を進めていきました。このミーティングにはTISの担当者も加わり、我々と一体となって画面設計の要件定義に取り組みました」(金澤氏)。

未知の問題にエンジニアの技術で対処

2016年3月、完成したパイロット版のシステムを利用してテストを実施したが、ここで予期しないトラブルに見舞われた。「社員約20人が『Amazon Redshift』に同時接続して分析を行ったところ、レスポンスが低下する事象が発生しました。以前、社内のPOC環境では数名程度の同時接続だったため、それ以上の人数が同時接続したときの課題に気付くことができませんでした」(小椋氏)。

本番環境では、最大200人の営業担当者が同時間帯に営業実績を確認することもあり、レスポンス低下は致命的となる。連絡を受けたTISは、情報統括部とともに問題解決にあたった。春山氏は「我々が直接、AWSJの技術担当者からアドバイスを受けて対処する進め方でしたが、TISが間に入って、先方のアドバイスを分かりやすく説明した上で技術検証をサポートしてくれました」と語る。

パフォーマンス改善の決定打がなかなか見いだせない中、TISとともに検証した解決策が功を奏した。「DWHとして『Amazon Redshift』を動かしつつ、そこから同じAWS上に異なるデータベース(PostgreSQL)を派生させ、両方のデータベースをBIツールの分析対象にするアイディアです。データの同期反映は自動的に行うように設定しているため、メンテナンスの手間はかかりません。結果、分析操作のパフォーマンスを劇的に改善することができました」(春山氏)。

効果

データ分析結果のビジュアル化で訴求力向上

パフォーマンス低下のトラブルは、2016年秋に無事収束。その後、コーセーの準備期間を経て、データ分析プラットフォームは2017年4月に本稼働を開始した。BIツールの利用者数は、営業部門で約800人、本社部門が約400人となっている。

導入効果について小椋氏は「一番のメリットは、分析結果のビジュアル面での表現力の向上です。営業担当者の実績や、店舗ごとの売上実績の変化もグラフ化され、訴求力が大幅にアップしました」と語る。営業担当者は、店舗を訪問した際、一人1台付与されたiPadの画面を見せながら商談を行うことが可能となり、その店舗の直近の売上状況をグラフで見せることにより説得力は非常に高まったという。さらに「会社に戻らなくても、どこでも売上実績を確認できるようになり、働き方改革という観点でも社内で高く評価されています」(小椋氏)。

また、これまで把握しにくかった情報が視覚化されたことへの反響も大きい。「以前は、ブランド別損益を見るためには、既存のシステムから出力された情報に対してExcelで一手間かけて帳票を作成し配布する必要があり、タイムラグが避けられませんでした。今回、事業部長クラスが必要なときに即座にブランド別の損益情報を確認できるようになり、事業戦略の意思決定に役立っています」(春山氏)。

戦略的なデータ分析基盤を目指す

BIツールの整備により、コーセーの共通データ分析基盤「KOMPAS」は、経営戦略上の重要なプラットフォームとして第一歩を踏み出した。インフラに採用したクラウドDWH「Amazon Redshift」の、スケーラブルな拡張性に大きな期待を寄せていると小椋氏は言う。「将来、データ量が飛躍的に増加したり、分析を行うユーザー数が増えても、リソースを自由にサイジングできる点はクラウドならではのメリットです」。

2017年4月の本稼働開始から、まず営業部門での定着を図ってきたが、今後は経営企画部門やマーケティング部門、R&D部門等での本格活用を促進するフェーズに入るという。「BIツールの使い方に慣れてからが、全社的に分析のメリットを大きく享受できる本番だと思います」(春山氏)。現在、経営層の活用を視野に、初回は導入を見送ったダッシュボード等の機能を「SAP BusinessObjects Business Intelligence」に加える計画もある。小椋氏はこう締め括る。「今後、BIツールに新機能を加えるといったシーンでは、我々のノウハウだけでは追い付けないこともあるでしょう。そんな時、TISには引き続き技術面でフォローをいただければと思います」。

 

導入イメージ

導入イメージ

お客さまの声

小椋 敦子氏

株式会社コーセー
情報統括部 部長
小椋 敦子氏

春山 勉氏

株式会社コーセー
情報統括部 狭山情報センター
課長
春山 勉氏

株式会社コーセー
情報統括部 狭山情報センター
金澤 龍次氏

TISは事業スキーム、進め方、技術力も含めてかっちりした手堅い会社という印象ですが、そこで働く一人ひとりの人間は非常に情熱的。本案件を通じて「手を取りあっていける」方が多いと感じました。

パフォーマンス低下の問題では、TISが我々と一緒に動いて解決にあたってくれ、とても心強かったです。また、AWSJ との対応や課題解決のアイディアには技術力の高さを感じました。今後も、情報統括部の新人に対する教育カリキュラムをご提案いただく等、幅広いお付き合いができればと思います。(小椋氏)

TIS担当者から

コーセー様の高度戦略を支えるプラットフォームを構築するという、重要なプロジェクトを担当させていただき感謝しております。

本稼働後、実際にお使いになっているコーセー様の営業担当の方から、高く評価いただき担当者としてうれしい限りです。

プロジェクトでは、パフォーマンス低下の問題発生など苦労した一面もありましたが、コーセー様と協力しあい無事本稼動を迎えることができました。今後も、コーセー様のデータ分析基盤の機能強化に貢献するとともに、よりよいソリューションを提供していきたいと考えております。

※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2024年3月13日 16時9分