旭日産業株式会社様
「SAP S/4HANA」への移行によりデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える新たな経営基盤構築を実現
非鉄金属製品や化成品、金属加工品製品などの中間材から建築資材、空調設備まで、幅広い製品を扱う技術専門商社として独自の地位を築いている旭日産業株式会社(以下、旭日産業)は、新たな成長基盤の確立に向けて、2019年8月にSAP S/4HANAへのテクニカルコンバージョンを完了。移行に際しては、TISの「SAP S/4HANA のりかえサービス」を活用し、高度な技術と知見にもとづくコンサルティングに支えられ、スムーズな移行に成功した。
本社 | 東京都中央区日本橋本石町1-1-6 |
---|---|
設立 | 1949年 3月 5日 |
資本金 | 3億3,100万円 |
事業内容 | 非鉄金属製品、化成品、金属加工品製品、技術関連機器などの卸売・小売、その他事業 |
URL | http://www.asahi-san.co.jp/ |
課題
3つの課題の同時解決に向けて、SAP S/4HANAを検討
2019年で創業から70周年を迎えた旭日産業。同社は「技術専門商社」という一貫したスタンスで、単に商品を販売するだけでなく、メーカーに比肩する高度な知識とノウハウの提供を通じて、多くの顧客からの信頼を獲得してきた。最近では、工場向けIoTの市場調査を行い、最新の産業用オープンネットワーク及びFA機器を用いたIoTプラットフォームのシステム開発にも取り組んでいる。
同社がSAP S/4HANAへの移行を検討し始めたのは、2016年のこと。この背景には大きく3つの要因があったと、取締役 情報システム部 部長 兼 経営企画室 副室長の児玉幹一郎氏は振り返る。
「まず、既存のSAP ERP(ECC 6.0)を運用しているサーバーの保守期限が2019年に迫っていました。SAP S/4HANAはデータベースやマスタの構造がECC 6.0とは大きく異なるため、先にサーバーだけを更改しても、その後でSAP S/4HANAへ移行した場合、基幹周辺システムとSAP S/4HANAのデータ連携の仕組みを二度作り直す必要があります。中期的なIT投資の視点からも、こうした二重の出費は望ましくありません」
2つめは、BCP対応だ。これまでサーバーを東京の本社内に設置していた同社では、震災などで全社の業務がストップしてしまうリスクが課題となっていた。遠隔地の拠点にバックアップ機能を置いたとしても、緊急時の対応人員の確保といった課題が残る。ここで現実的な解決策として浮上したのが、SAP S/4HANAをパブリッククラウド環境へ移行する案だった。
もう1つ、いわゆる「2025年問題」だ。SAP ERPの保守サポート終了を迎えるこの時期は、SAPのコンサルタントの不足が予想される。こうした点でもサーバー更改のタイミングでのSAP S/4HANAへの移行は、いわば必然的な選択だった。
選択
高品質な移行を支援する「顧客密着型コンサルティング」
SAP S/4HANAへの移行に向けて、システムの事前調査とアセスメントが開始されたのは2018年の3月だった。その後、8月にベンダー選定を行い、複数社の提案の中から最終的にTISをビジネスパートナーとして選定した。その理由について、児玉氏は次のように説明する。
「もともとTISはSAP ERPのAMOサービス*を通じて、当社の業務内容やシステムをよく理解してくれていました。すでにいくつものSAP S/4HANAの導入プロジェクトを手がけた実績もあり、そのノウハウには大きな期待を感じました」
9月にスタートしたプロジェクトでは、TISの提供する「SAP S/4HANAのりかえサービス」を活用。これはTIS独自のノウハウをもとに、SAP S/4HANAへのスピーディかつ高品質な移行を支援するサービスだ。大きくは①Check:テクニカルコンバージョンの可否判定と規模感の把握、②Assess:必要な作業と費用見積もり、③Go:実施プロジェクトの3つのステップで構成され、ユーザーとの対話をベースにプロジェクト全体を確実にサポートする「顧客密着型コンサルティング」が最大の特長だ。
情報システム部 担当課長の関谷信賢氏は、「SAP S/4HANAでは、従来の得意先マスタと仕入先マスタが、新たにBP(ビジネスパートナー)マスタに統合されます。初めてのことで当初はまったくわからなかったのですが、TISのコンサルタントから丁寧な説明を受けることができ、非常に助かりました」と振り返る。
一方、ユーザーの視点から移行後の環境変化についてあらかじめ知ることができた点を高く評価するのは、経理部 課長の中条雅己氏だ。
「今回の移行ではユーザーの負担を極力抑えるという方針がありましたが、TISからは移行に伴う変化ポイントが事前に提示されました。これにより、業務に対するインパクトを細部にわたって理解した上で、移行に備えることができました」
*AMOサービス:Application Management Outsourcingサービスの略。運用保守業務を一元化しつつ、高品質な運用保守を行うサービス。
効果
SAP S/4HANAのパワーで照会作業などのレスポンスが向上
2019年8月の稼働開始からまだ1カ月の段階ではあるものの、すでに現場からはSAP S/4HANAのパフォーマンスを裏付ける評価の声が寄せられていると関谷氏は明かす。
「現場の担当者からは、請求書発行のための締め作業が格段に速くなったと聞いています。主に照会系の機能ですが、これまでは問い合わせから2~3秒かかっていたのが、瞬時にレスポンスが返ってくるようになりました」
中条氏も、こうしたわずか数秒の差が確実な効率アップにつながると評価する。
「経理業務には、こうした照会作業がつきものです。『ちりも積もれば山となる』のたとえ通り、日々の業務の中で数分ずつでもレスポンスが向上すれば、それが大きな業務改善につながりますし、『働き方改革』のきっかけにもなると思います」
また経営的な視点から、児玉氏はリアルタイムの経営情報を当たり前のように活用できる環境を実現したいと話している。
「当社は商社なので、売上などの経営的な指標をもっと手軽に参照できるようにしていきたいと思っています。いずれはスマートフォンやタブレットから受注数や実績などを参照できるようにして、迅速な経営判断につなげていきたいと考えています」
将来
DX基盤としてのSAP S/4HANAがもたらす成長の可能性
旭日産業では、今回のSAP S/4HANAへの移行を単なるシステム更新やクラウド化ではなく、今後の成長を支える経営基盤の確立に向けた第一歩ととらえている。というのも、同社では中期経営計画の3カ年の中で、IT投資の最優先課題として「基幹システムの移行=将来の経営情報の連携基盤構築」を掲げているからだ。
「当初はBIやSFAを先に導入する案もありましたが、これではSAP S/4HANAを導入した後に、つなぎ部分をまた考えなくてはなりません。今回はまずERPを先に更新して、将来に向けた経営情報の連携基盤を構築することを最大のテーマとしてプロジェクトに取り組みました」(児玉氏)
今後は、継続課題として挙がっている「サイロ化した各システムのデータ連携」の仕組みも見直していく考えだ。たとえば経費精算だと、現状はExcelで紙の申請書を作成・回覧し、承認後にERPに入力する、いわゆる二重作業になっている。これをシステム連携によって解消し、業務効率の大幅なアップを目指していくという。
「最終的には、さまざまな経営情報から新たな知見を得て、攻めの営業や社員の教育に活用していける仕組みを構築できればと考えています」と抱負を語る児玉氏。SAP S/4HANAの導入によって、未来の飛躍を支える「デジタルトランスフォーメーション」に向けて本格的に舵を切った旭日産業の新たな経営情報の活用戦略にも注目していきたい。
システム概要
お客様の声
旭日産業株式会社
取締役
情報システム部 部長
兼 経営企画室 副室長
児玉 幹一郎 氏
旭日産業株式会社
経理部
課長
中条 雅己 氏
旭日産業株式会社
情報システム部
担当課長
関谷 信賢 氏
TISはもともとSAP ERPの運用支援を通じて、当社の業務内容やシステムをよく理解してくれていました。SAP S/4HANAの導入を手がけた実績もあり、そのノウハウには大きな期待を感じました。今回のプロジェクトによって新たな成長基盤を整備することができましたので、今後はさまざまな経営情報から新たな知見を獲得して、攻めの営業や社員の教育に活用していける仕組みを構築できればと考えています」(児玉氏)
※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。