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富士フイルム株式会社様

「Salesforce Commerce Cloud」導入でECサイトの機能強化とグローバル展開を同時に実現

富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は、ネットプリントサービスを提供するECサイトの機能強化に向け、クラウド型のECサイトプラットフォーム「Salesforce Commerce Cloud」の導入を計画した。TISは、富士フイルムソフトウエア株式会社(以下、富士フイルムソフトウエア)と連携し、同サービスを基盤とする新ECサイトを構築。ユーザーの利便性向上による売上増加とともに、海外でのローカライズサイト展開を実現した。

本社 東京都港区赤坂9-7-3
設立 2006年
資本金 400億円(2019年3月31日現在)
事業内容 イメージング ソリューション、ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション
URL https://fujifilm.jp
富士フイルム株式会社様

背景

スマホ時代に合わせてEC機能の拡充を

富士フイルムは、長年の写真事業で培った技術をベースに、医薬品、印刷、液晶ディスプレイ用の材料などを提供するグローバル企業。同社は写真関連事業の一つとして、ネットを通じて手軽にプリント注文できるECサイトを展開してきた。
近年のユーザー動向の変化について、イメージング事業部TPグループの原裕二氏はこう説明する。「スマートフォンで撮った写真は画面で見るだけで、“プリントしない文化”が広がっています。当社では、より手軽にネットプリントをオーダーできる仕組みづくりとともに、フォトブックや壁に飾る写真など、写真に付加価値を与える商品を訴求し、プリント需要を高めていきたいと考えていました」。
2017年に入った頃、従来のECサイト「FUJIFILM ネットプリントサービス」の機能をスマホ主流の時代に合わせて強化する構想が立ち上がった。「まず、スマートフォンで撮った写真をより快適にプリント注文できるよう、UIや導線を改良すること。そしてECの面では、写真プリントと物販商品を同時に合わせ買いできるようにして、たとえば母の日に写真と花のセット商品を贈るといった“コト提案”で、購買意欲を高めたいと考えました」(原氏)。

クラウドベースのECサイト基盤の導入を計画

ECサイトの刷新にあたり、掲げられたテーマの一つが、デジタルマーケティング機能の強化であった。「ECサイト基盤自体に、たとえば属性に応じてバナーやコンテンツを出し分ける機能が実装されていれば、より効果的なマーケティング施策を展開可能になります」(原氏)。
新サイトの構築にあたり、グループにおいてソフトウエア開発とITインフラサービスを担う富士フイルムソフトウエアとともに仕様を策定。新たなネットプリントサービスのECサイトは、ASEANを皮切りに各国に立ち上げていくロードマップも定められた。これにあたって、オンプレミスの国内専用システムではグローバル展開が困難であるため、クラウドベースのECサイト基盤を導入する方針が決定した。「写真をオンライン編集するWebサイトの開発などは当グループが得意とする分野ですが、ECの仕組みそのものについては知見が十分ではなく、優れたサービスを利用することが最善策だと考えました」(原氏)。

選択

SalesforceとTISが共同で提案に参加

そして2017年秋、富士フイルムおよび富士フイルムソフトウエアは、クラウド型のECプラットフォームを提供するベンダー複数社に対し、提案を依頼した。その一社、Salesforceは、導入支援を受け持つパートナーTISと共同で「Salesforce Commerce Cloud」(以下、Commerce Cloudと表記)の提案を実施した。
同製品は、グローバル規模でECサイトを構築する際に必要な基盤(ECプラットフォーム)をクラウドで提供するサービス。世界的な大手アパレル、メーカーなど、ECに重きを置くさまざまな企業で導入されている。
当時はまだ国内実績が少なかった「Commerce Cloud」だが、その機能面に魅力を感じたと原氏は振り返る。「まず、標準的な機能とデザインがあらかじめセットされたベースを元に、ECサイトを短期構築できるSiteGenesis(サイトジェネシス)機能。また、AIを利用して個々のお客様に最適なコンテンツを自動出し分けするSalesforce Einstein(アインシュタイン)機能は、セッティングが不要という点が画期的だと感じました」。

海外現地の決済方法に柔軟に対応

「Commerce Cloud」は海外対応についても、候補製品の中で特に優れていたと原氏は振り返る。「現地で一般的なクレジットカードやデビットカードなどの決済方法には、カートリッジと呼ばれる部品を組み込むことで対応させることができます。他社が提案したクラウドサービスは、国内実績は優れていたのですが、海外実績がないことから、採用条件を満たせませんでした」。
最終的に、「Commerce Cloud」を選定した理由について、「SalesforceとTISの提案力の高さが決め手でした。当社からの質問に対して、心に響く的確な答えをいただけたことに、担当者の熱意を感じました」(原氏)。
導入支援を担うTISについての印象を、原氏はこう振り返る。「取引は初めてでしたが、TISの事業規模やECサイトの構築実績を知って、不安はありせんでした。何より、Salesforceが提案時のパートナーに選んだ言わば “お墨付き”のSIerであることが信頼の証だと思いました」(原氏)。
こうして、2018年2月、富士フイルムソフトウエアとTISの連携のもと、「Commerce Cloud」上に新ECサイトを構築するプロジェクトがスタートした。

導入

外部システムとの複雑な連携を実現

今回のプロジェクトは新ECサイト移行の第1フェーズと位置づけられ、まずはフォトブックや高品質なプレミアムプリントなど、社内で付加価値商材と呼ばれる商品を優先的に移行させる計画のもと、設計・開発がスタートした。
サイト開発にあたっては、まずSiteGenesis機能により、多くの企業のベストプラクティスを集積したECサイトのベースを作成。それに対してTISがデザイン作業を行い、決済手段への対応などのカスタマイズを加えていく手順で進められた。これにより、手戻りが少なく、ユーザビリティに優れたスマートフォン向けサイトが開発できたという。
技術的にハードルが高かったのは、写真編集の機能を担うWebサイトや、会員情報を管理するDB、既存のマーケティングツール等と連携させる、インテグレーションの作業だったと原氏は説明する。「入口と出口の部分を『Commerce Cloud』が受け持ち、既存のコア技術と高度な連携が必要になることは、事前に想定していました。標準機能では対応できない課題が発生する都度、TISと富士フイルムソフトウエアのアーキテクトが相談しインターフェースの調整を行うことで、問題をクリアしていきました」。
この作業と並行して、富士フイルムソフトウエアでは、ECサイトで受けた注文ごとのプリントのステータスを一元監視できるオーダーマネジメントシステムの開発を進めた。「ECサイトから注文情報を受け取り、それをラボへ即時送信。プリントから発送までの処理ステータスを管理画面で把握できる仕組みです。ECサイトを含めたワークフロー全体の最適化を図り、お客様への配送が素早く、滞りなく行われるよう、構成を検討し実現しました」(原氏)。

効果

AIによるレコメンドが売上増に貢献

こうして完成した新たなECサイトは、2018年7月に「FUJIFILM Prints & Gifts」として一般公開された。本稼働から約1年、スピードの低下など、クラウドに起因する品質の課題はまったく発生していないという。
「新サイトへ移行したフォトブック等の付加価値の高い商材は、従来サイトに比べて確実に売上が増加しています。これは、メニュー配置や文字の大きさなど、デザインをスマートフォンに最適化したことに加え、デジタルマーケティングの効果が大きいと分析しています」(原氏)。
従来サイトでは、ある商品の注文をした人に対しては、一律で特定の商材のバナーを表示していた。今回、AI機能のSalesforce Einsteinを利用して、ユーザー個別のバナーやリンクメニューをレコメンドする仕組みが設けられた。これにより、バナーをクリックした人の成約率を、以前の2〜3%から7%に引き上げることに成功した。
「お客様の属性、購入履歴、閲覧したページ情報などすべてをミックスして自動解析し、最適な商材やキャンペーンを表示するので、学習データを用意する必要がありません。手間をかけずに大きな効果が得られて驚きました」(原氏)。

ローカライズサイトの海外展開が実現

富士フイルムが目指していた、日本のECサイトを海外へ横展開する構想については、「Commerce Cloud」の導入によって既に第一歩を踏み出している。
「2019年には、マレーシアで現地向け『FUJIFILM Prints & Gifts』の提供を開始しました。続いて、シンガポールへのECサイト展開にも着手しています。基本的な開発手順は、日本サイトを複製したものをベースとして、TISが現地の決済手段に対応させるためのカートリッジを開発して組み込む流れになります。当グループは、表示言語の翻訳作業にリソースを集中できるため、非常に短期間で、日本国内とほぼ同等のサービスを海外で提供できます。今後は、提供エリアをASEANから他の地域へと拡大していく予定です」(原氏)。
新ECサイト「FUJIFILM Prints & Gifts」を通じて、世界中の人に“プリントする文化”を拡げていきたいと原氏は目標を語る。「スマートフォンの中にある写真をかたちあるものに変えて、離れた家族にプレゼントしたり、大切に手元に置いておけるようにする。その目標に向けて、大きく前進することができました。今後は、海外展開に加え、さまざまなキャッシュレス決済手段への対応など、TISに支援をいただきながら、サイトの機能をスピーディーに高めていきたいと思います」。

「Salesforce Commerce Cloud」の導入イメージ

「Salesforce Commerce Cloud」の導入イメージ

お客さまの声

原 裕二氏

富士フイルム株式会社
イメージング事業部TPグループ
原 裕二氏

TISには、大型プロジェクトの進捗管理など、我々が弱い部分を理解した上で、全体のプロジェクトがうまく回るように調整・リードしていただき感謝しています。今回の実績をはずみとして、本事業の拡大のためのTISとの協業関係を強化していきたいと思います。(原氏)

TIS担当者から

鳥井 祐介

TIS株式会社
サービス事業統括本部
デジタルトランスフォーメーションビジネスユニット
デジタルマーケティングサービス第2部主査
鳥井 祐介

お客様からは、大きなトラブルなく「FUJIFILM Prints & Gifts」をスケジュールどおりにローンチできた点について評価をいただくことができました。スクラッチ開発とは異なり、実際にサンプルアプリケーションで動作をお見せしながら要件整理・開発を行う進め方で、ご安心いただけたと感じています。今後、より多くの国・地域へのECサイト展開にあたっては、カートリッジの開発で蓄積したノウハウを効率的に再利用することで、早期の立ち上げを実現していきたいと思います。

※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2023年10月4日 23時33分