東和薬品株式会社様
RPAツール「UiPath」によるロボット内製で、業務効率化の課題に迅速に対応
東和薬品株式会社(以下、東和薬品)は、事業拡大に伴って増え続ける社内業務の効率化を図るため、RPAによる自動化を計画。TISは、RPA導入推進を担当する東和薬品のIT子会社 TスクエアソリューションズとともにRPAツール「UiPath」のパイロット開発を実施するとともに、同社へのスキルトランスファーにより、グループにおけるロボット内製の早期定着を支援した。
本社 | 大阪府門真市新橋町2番11号 |
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設立 | 1957年 |
資本金 | 47億1770万円(2019年3月末現在) |
事業内容 | 医療用医薬品の製造・販売 |
URL | https://www.towayakuhin.co.jp/ |
課題
条件を満たすRPAツール選択に難航
高騰する医療費が国の財政を圧迫する近年、ジェネリック医薬品(後発医薬品)は有効な対策手段として注目を集めている。東和薬品は、患者が飲みやすく、医療現場が扱いやすいよう創意工夫した、数多くのジェネリック医薬品を送り出している業界大手だ。
近年、少子高齢化による労働力人口の減少は、業界を問わず企業の共通課題となっているが、東和薬品も例外ではない。政府の使用促進を受けてジェネリック医薬品の生産・販売規模が増大する一方で、より一層の業務効率化が喫緊の課題となっていた。
「そこで着目したのが、デジタル技術の発展により可能となったソフトウェアロボットです。社内業務システム等を利用し日々繰り返し処理しているパソコン作業を自動化し、ゆくゆくはロボット作成を自社で開発・運用して業務課題をスピード解決していきたいと考えていました」。こう語るのは、東和薬品 事業推進本部 業務推進部長(Tスクエアソリューションズ 事業本部 事業推進部 部長)の宮地敏氏。
RPA導入に向けて始動した2018年初旬、国内には既にさまざまなRPAツールが存在しており、まず同社の業務・規模にフィットする製品の選定に着手した。
「ここで課題となったのは、東和薬品の業務プロセスやIT部門の開発体制に適合するRPAツールを、いかに短期間で評価・選定するかでした。多様なRPA製品が急速に世の中に登場しつつある状況で、各製品の持つ特徴を理解し、社内システムとの親和性や開発・保守の可用性を評価するには、RPAの知見や事例を有するITベンダーの支援が必須でした」(宮地氏)。
選択
RPAの導入実績が豊富なTISに期待
そして、豊富な導入実績を持つITベンダーからパートナー候補を絞り込み、既に数十社以上の実績を有していたTISにパイロット開発の支援を依頼した。
「TISが提案した製品『UiPath』は、選定当時、国内市場で急速に存在感を高めていました。我々も情報収集のためUiPath社主催のユーザーカンファレンスに参加した経験もありTIS社の推薦に異論はなく、すぐに製品評価を行うことを決めました」(東和薬品 事業推進本部 業務推進部(Tスクエアソリューションズ 事業本部 事業企画部)畦如秀氏)。
まず、TISから開発のレクチャーを受け、単純な機能のロボットを試作した結果、難解なスクリプトの記述は不要で、将来的な内製化は十分に可能と判断。2018年7月からTISとともに、「UiPath」のパイロット開発を実施することを決定した。
まず第1フェーズでは、社内業務システムや外部サイトからデータを取得して加工・登録するといった定型的な業務を自動化するロボットを開発し、実現性を検証することとした。
対象業務の選定に際して、東和薬品の各部署から自動化を希望する業務を募集。集まった100を超える候補の中から、業務の頻度が高く1回30分~1時間程度の時間を要するものが3つ選定された。そして、それぞれの業務に対応するソフトウェアロボットの開発がスタートした。
開発
運用のしやすさに配慮したロボット設計
第1フェーズでは、Tスクエアソリューションズに常駐するTISのエンジニアが主体となりロボット開発が進められた。「すぐ近くで、ユーザー部門からのヒアリングや、資料作成、設計などの手法を見ることができ、後の内製化に大いに役立ちました」(Tスクエアソリューションズ 事業本部 事業推進部 本岡隆一氏)。
TISでは、過去に経験したロボット開発のノウハウをテンプレート化しており、今回、そのTIS標準テンプレートをベースとして東和薬品向けに最適化し開発が進められた。「特に感心したのは、運用を考慮した工夫です。ロボット稼働中にエラーが発生した場合、そのエラーの種類によって決められた運用担当者に通知メールが自動送信されるというものです」(本岡氏)。
こうして開発された3体のソフトウェアロボットは、2018年11月から東和薬品のユーザー部門で実業務に投入された。その結果、3業務にかかる業務時間は年間382時間から125時間に短縮可能という推計値が得られた。
RPAは、実際に作業にあたるユーザー部門からも好評だという。「1回につき数十分かかるような定型作業が自動化されることで、より創造的な業務に注力でき、気持ちにゆとりも生まれたという声もありました」(宮地氏)。
このパイロット開発の結果は、東和薬品の経営戦略会議でも報告され、経営層からも評価を得たことで、引き続きグループ全体の取り組みとしてRPAを推進していく方針が決定した。
計画
蓄積したRPAのノウハウをグループ各社へ横展開
2019年からは、導入推進計画の第2フェーズがスタートした。本フェーズでは、東和薬品グループでロボットを内製化するためのスキルトランスファーが大きなテーマとなった。9月時点で、既に21体のロボットがTスクエアソリューションズ主体で開発され、順次業務に投入されている。「開発で未知の問題にぶつかる時もありますので、その際はTISのエンジニアに助言をいただきながら、完全内製化を目指しています」(畦氏)。
運用にあたっては統合管理ツール「UiPath Orchestrator」を利用し、計21体のロボットの実行指示、監視、分析などがダッシュボードで一元管理可能となっている。
業務で使われるロボット数の増加に伴い、ユーザー部門からのRPAへの期待も急速に高まっているという。「第2フェーズの前に対象業務を再度募集したところ、初回の倍以上の250程度の候補が集まりました。各部からは“ぜひ当部にもRPA導入を進めてほしい”という声も多く、社内に好意的なムードが広がっています」(宮地氏)。
Tスクエアソリューションズは当面、優先度の高い70程度の業務を対象にロボット開発に注力しつつ、同様の業務効率化の課題を持つグループ各社へRPA導入推進を行っていく計画だ。「今回、TISの支援で技術的に裏付けされたレベルの高いロボットを開発する体制が出来上がりました。RPAは業務改善や効率化の一つの手段であり、より多くの課題解決にはAIやIoTなどの多様なデジタル技術の活用も並行して検討を進めていきたい。その前段として各部業務の見直しを行い、従来の業務のやり方を改善したり業務の断捨離を推進していく必要があります。TISには、そうしたより広い分野で、経験に基づくIT活用や業務改善での支援を期待しています」(宮地氏)。
パイロット開発に基づく作業時間短縮の効果(一部推計)
お客さまの声
東和薬品株式会社
事業推進本部 業務推進部長
(Tスクエアソリューションズ株式会社 事業本部 事業推進部 部長)
宮地 敏氏
東和薬品株式会社
事業推進本部 業務推進部 課長補佐
(Tスクエアソリューションズ株式会社 事業本部 事業企画部 マネージャ)
畦 如秀氏
Tスクエアソリューションズ株式会社
事業本部 事業推進部
本岡 隆一氏
円滑なスキルトランスファーのおかげで、ロボット開発の内製化が軌道に乗っています。その一方、ロボットの数が増えるに連れ、RPAの運用面については、まだまだ未知数の部分が多いと実感します。自動実行中に発生した予期せぬエラーの対処、ロボット稼働用のパソコン環境の整備、増加するロボットのバージョン管理など、多様な検討事項が発生します。TISはいろいろな企業や業界でRPA導入の経験をお持ちですから、そうした知見の部分での支援にも大いに期待しており、ともに成長していきたいと思います。(宮地氏)
※Tスクエアソリューションズ株式会社について
地域共生社会の実現に向けたIT関連サービスを提供するため、東和薬品とTISによる合弁会社として2018年10月1日に設立されたITサービス会社。
TIS担当者から
TIS株式会社
サービス事業統括本部
保険&メディカルビジネスユニット
メディカル&ヘルスケアサービス部
主査 湯浅 俊之
東和薬品様が2018年度の目標としていたロボット台数を達成できたことに、ITパートナーとして大きな喜びを感じています。
今回得た成果を東和薬品グループにスピーディーに展開していけるよう、引き続き技術面・体制面でご支援させていただき、導入推進チームの皆様とともに頑張っていきたいと思います。
TIS株式会社
サービス事業統括本部
経営管理サービスユニット
アプリケーションテクノロジー部
上級主任 岡田 陽介
初めて東和薬品様を訪問した際、“RPA化手法を自分たちのものにしていく”という熱意を感じたことは今でも覚えています。お客様が、初期段階からしっかりと体制を組み、プロジェクトを綿密に進められたことが、成功の一番の理由です。今後も、お客様のすぐ近くで、開発スキルのブラッシュアップをお手伝いさせていただければと思います。
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