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川崎重工業株式会社様

知見に基づくアセスメントでSAP S/4HANA化に必要なリソースを高精度に可視化
-スピード感のある意思決定によりDX推進を加速-

川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)は、同グループのSIerであるベニックソリューションとともに、基幹システム「SAP ERP 6.0」から「SAP S/4HANA」へのマイグレーションを計画した。アセスメントを実行するパートナーとなったTISは、知見を活用してS/4HANA化に伴う対応ボリューム・人的リソースを解析。定量的な数字が示されたレポートは、スピード感のある意思決定に大きく貢献した。

本社 東京都港区海岸1-14-5(東京本社)
神戸市中央区東川崎町1-1-3号(神戸本社)
設立 1896年
資本金 1,044億8,400万円(2019年3月31日現在)
事業内容 船舶、鉄道車両、航空機、モーターサイクル、ガスタービン など
URL https://www.khi.co.jp/
川崎重工業株式会社様

背景

グループ経営基盤としてSAP ERPを活用

川崎重工は、航空機・鉄道車両やモーターサイクルをはじめ、「陸・海・空」さらには宇宙まで幅広く事業を展開する総合エンジニアリングメーカー。同社は、1997年に初めてSAP R/3(SAP ERPの前身)を人事システムとして導入した。その後、会計システムを導入し、SAP ERP 6.0へのマイグレーションを経て、2011年からは固定資産システムへも用途を拡大。海外7拠点でも導入され、グローバルで計12のインスタンスが稼働している。
SAP ERPが会計面で果たす役割について、川崎重工でIT戦略を担当する馬場裕之氏はこう説明する。「当社製品は、一般向けの量産型と、特定顧客の受注生産型の2種類があるうえ、各カンパニーの独立性が高く、会計処理が複雑です。SAP ERPはグループ共通の会計基盤として、一元的な収益管理に役立っています」。

迫る「保守サポート切れ」への対応を協議

SAP ERPは国内外で多くの企業に導入されているが、各社共通の課題と言えるのが、現行バージョンの保守サポート終了への対応だ。SAPは、2025年末にSAP ERPのサポートを終了することを発表しており、次世代ERP「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)への移行を推奨している。
※2020年2月に、SAPは保守サポート期間を延長することを発表。
これを受け、川崎重工は2018年より、ベニックソリューションとともに、対応策の協議を開始した。
ベニックソリューション取締役の倉本淳司氏はこう振り返る。「選択肢として、S/4HANAへのマイグレーション、新規構築、あるいはSAP以外の製品への移行など、あらゆる可能性について検討を行いました」。
ちょうど同じ頃に、川崎重工の企画本部では、バックオフィス部門の業務改革を進める計画が動き出していた。「経理部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくにあたり、S/4HANAを中核に据えてシステム全体の最適化を図っていくことが最も現実的な選択肢と考えられました。このことから、SAP ERP6.0をS/4HANAへマイグレーションすることを当面の目標に定めました」(馬場氏)。

選択

IT投資の規模を予測するアセスメントの必要性

S/4HANAは、従来のSAP ERP6.0とデータベースの構造自体が大きく変わり、これがアドオンの作り方自体にも影響する。既存のアドオンの多くは改修が必要となり、S/4HANAへのマイグレーションには、大規模なIT投資が伴うと見込まれた。しかし、その対応ボリュームおよび必要となる人的リソースを割り出すアセスメントには困難が予想された。
「べニックソリューションは、一般企業においてSAP ERPのメジャーアップグレード案件を手がけてきましたが、2018年の時点ではS/4HANAは未経験。そこで、当時国内で、先行してS/4HANAの経験を得ていたSIerの知見を活用する方針としました」(ベニックソリューション 石原氏)。
その頃、市場には、S/4HANA化のアセスメントに特化した複数のサービスが存在していた。候補の一つとなったTISの「SAP S/4HANAアセスメントサービス」について石原氏はこう説明する。「TISとは、以前から開発やコンサルティングで取引関係がありました。担当者との会話でアセスメントのサービスがあると知り、提案を依頼したのがきっかけです」(ベニックソリューション 八木氏)。

川崎重工が求める条件を兼ね備えた「SAP S/4HANAアセスメントサービス」を選択

本サービスの優位点について、石原氏はこう説明する。「まず、調査のために実際のERPのデータを社外へ持ち出す必要がないという点。川崎重工は防衛省をはじめ官公庁との取引も多く、特に厳格な機密性が求められる情報を扱っています。TISのサービスは、グループ内に閉じたネットワーク環境で検証を行うため、安全性に申し分がありませんでした」(石原氏)。
高精度のアセスメントの裏付けとなるTISの手法について、石原氏はこう語る。「既存アドオンへの影響調査は、ツールにより自動診断する部分と、エキスパートによる解析を組み合わせて実施するとのこと。単に機械化だけでなく、知見に基づき検証する点は信頼性が高いと感じました」(石原氏)。
この自動診断は、TISが独自開発したツールにより行う。ツールの特長の一つは、TISが実際のコンバージョン案件で蓄積した知見が都度反映されるため、一般的に利用されるアセスメントツールより広いスコープを自動診断できる点。二つめの特長は、修正対象のアドオン等の抽出だけでなく、修正箇所の特定や修正方法までも出力できる点。これらの特長を活用し、S/4HANAへの移行に必要なリソースの精緻な可視化を実現している。
またTISへの印象について、ベニックソリューションの八木氏はこう語る。「今回は国内の会計・人事システムが対象ですが、その先には、海外8拠点のアセスメントも控えていました。TISとはそれまでの取引、技術力の高さ、要望へ臨機応変できる会社という信頼感があり、中長期のパートナーとして、期待したいと思いました」。
こうして、2018年7月に「SAP S/4HANAアセスメントサービス」の採用が正式決定し、8月からアセスメントがスタートした。

調査

約4,800本のアドオンの状況を個別解析

今回のアセスメントは、S4/HANAにストレートコンバージョンすることを前提として実施された。会計をメインに、人事を加えた計2つのシステムが対象となる。
実際のアセスメントの進め方は、「TISのメンバーが当社環境の中でERPにアクセスして調査を実施。アドオンの構文を見てどの程度の改修が必要か、あるいは新たな標準機能で代替できるのかといった点を一つずつ検証していきました」(石原氏)。
ツールにより広範囲を自動診断できるため、TISは川崎重工の業務知識に長けたエキスパートを、代替案の検討や課題解決案の提案といったコンサルティング業務に専念させることが可能になった。
基本的な進捗管理もTISが実施し、どのタスクをいつまでに終わらせるかというスケジュール感を川崎重工・ベニックソリューションと共有しつつプロジェクトが進められた。
アセスメントを進める上で課題の一つとなったのが、約4,800本という既存アドオンの多さであった。「川崎重工独自の処理ロジックで会計を処理するためのアドオン、他の業務システムからデータを吸い上げるためのアドオンなどが複雑に絡みあっていました。そのぶん解析には期間を要するため、『SAP S/4HANAアセスメントサービス』の標準的な期間よりもやや長めの約2カ月を調査にあてました」(八木氏)。

TISの豊富な知見に基づく情報提供

また、解析以外の部分では、TISから提供された、他社のS/4HANA移行状況が役立ったと石原氏は語る。「SAP ERP導入企業のうち、どの程度の割合がマイグレーション計画に着手、あるいは代替手段を検討しているのか。まだSIerの業界が共有できていない貴重な情報で、アセスメント後の計画の実行で大いに参考になるものでした」(石原氏)。
アセスメント工程の終盤では、S/4HANAで必要となるメモリのサイジングについても、TISから推奨データ値が示された。「コンバージョンの際および定常運用時、それぞれに必要なメモリサイズはどのくらいなのかという情報です。SAP標準のツールで解析した結果をTISが独自フォーマットに落とし込んで整理したもので、ポイントがつかみやすく、きめ細かな配慮を感じました」(石原氏)。

効果

アセスメントの結果を受けて移行が正式決定

アセスメントは2018年10月に完了し、TISからは必要となる工数をまとめたレポートが提出された。「準備段階で必要なUnicode化に要する工数、そして本格的にS/4HANAへ移行するために必要な工数が定量的に予測されています。これに基づいて、必要なIT投資額を高精度で推測できます」(石原氏)。
川崎重工の馬場氏は、このレポートを踏まえて、2019年6月の経営会議の場にS/4HANAへの移行プランを提示。「どれだけの対応が伴い、どの程度の予算が必要なのか。経営層に具体的な根拠を示しつつ、S/4HANAはDX推進のエンジン役となる意義を説明し、全社レベルでの合意に至りました」。
この意思決定を受けて、ベニックソリューションでは前段階となるUnicode化対応をスタート。2020年4月から、S/4HANAへのマイグレーションの本番対応を開始している。

海外7拠点でもアセスメントを実施

今回の実績が評価され、TISは2019年8月から、海外拠点(北米3、アジア2、ヨーロッパ2)のS/4HANA移行に関するアセスメントも手がけ、最終報告を含めた一連の作業は2020年1月末で完了した。
海外拠点をS/4HANA化するメリットについて、倉本氏はこう説明する。「S/4HANAに含まれるCentral Finance機能には、将来的にグローバルの複数拠点の会計基盤を一元化するにあたり、大きな期待を寄せています。ガバナンスの強化、そしてオペレーション手順を共通化することで、誰がどの拠点でも同じ手順で業務を行えるメリットも考えられます」(倉本氏)。
川崎重工の馬場氏は、最後にTISへの期待を次のように口にする。「TISは当社グループとの長いお付き合いで、業務内容や文化をよく理解していただいています。べニックソリューションとの協業体制をさらに強めて、ERP以外の領域でも支援いただければと思います」。

一般的なアセスメントの位置付け

一般的なアセスメントの位置付け

お客さまの声

馬場 裕之 氏

川崎重工業株式会社
技術開発本部
IT戦略・企画推進センター
ITアーキテクチャ企画部 ITシステム課 主事
馬場 裕之 氏

SAP ERPの保守終了時期が近づくに連れ、開発要員のリソース不足や、対応コストの高騰といったリスクが予想されます。今回、TISのアセスメントでS/4HANA化の工数を高精度で予測でき、スピード感のある意思決定につながりました。これからも、TISの知見を川崎重工グループに還元いただければと思います。(馬場氏)

倉本 淳司 氏

ベニックソリューション株式会社
取締役(管理本部、IT基盤本部、ソリューション本部担当)
兼 事業戦略企画室長 兼 ソリューション本部長
倉本 淳司 氏

現在ベニックソリューションが進めているUnicode化のプロジェクトでも、TISから要員が参加し協力いただいています。
TISには、今目の前で起きている問題に加えて、数年先を見据えた次の一手を提案いただくことに、現場メンバー一同が期待を寄せています。(倉本氏)

TIS担当者から

大田 晃孝

TIS株式会社
サービス事業統括本部
エンタープライズ営業企画ユニット
エンタープライズコンサルティング営業部 上級主任
大田 晃孝

今回、川崎重工様のS/4HANA化プロジェクトが始動するきっかけづくりをお手伝いできたことをうれしく思います。
これから、SAP ERP6.0のサポート終了およびS/4HANA化が完了するタイミングまで、企画部分から導入までをベニックソリューション様とともにサポートしていければと思います。また、川崎重工様のDX推進に向け、会計以外の業務領域についても、経営の高度化につながるサービス・ソリューションを提供していきたいと思います。

※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2023年10月4日 23時28分