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住宅保証機構株式会社様

基幹システムの基盤にAWSを採用
インフラコストを約50%削減しながらアプリケーション内製化も実現

住宅瑕疵担保責任保険などの業務を展開する住宅保証機構株式会社(以下、住宅保証機構)。管理する保険加入者の住宅データの容量が増え続ける業態のため、ITインフラの交換時、システム停止だけでなく、機材購入や移行など多額な費用負担の懸念があった。そこでTISによるアマゾン ウェブ サービス(AWS)への移行プランを受け入れ、更にシステム内製化の体制を整えたことで、約50%の運用コスト削減を達成した。

本社 東京都港区芝公園3-1-38 芝公園三丁目ビル
設立 2011年5月24日
資本金 6億3,500万円
事業内容 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく保険法人業務など
URL https://www.mamoris.jp/
住宅保証機構株式会社様

背景

肥大する保存データと、数年ごとに訪れるインフラ更新が課題

1980年創立の財団法人住宅保証機構から住宅瑕疵担保責任保険、住宅性能保証の業務を譲り受け、2012年から業務を開始した住宅保証機構株式会社。新築住宅を建設・販売する事業者に10年間の瑕疵担保責任や検査をセットにした保険や、既存住宅の売買時やリフォーム工事向けの保険、事業者の保険料負担を軽減する団体保険などの商品を展開している。
2015年夏、基幹システムにおいて利用していた機器のリース期限などの理由から、主要機器の交換やシステム更改を計画することになるが、いくつかの懸念材料があった。保険の期間が10年と長期にわたるものが中心のため、保存するデータはセキュリティ要件も高く、肥大化する傾向にあり、当時でも10テラバイトものデータを管理していた。データ容量が肥大化するなかで、LTO(磁気テープ)装置によるバックアップに限界が生じていた。それに加えて、これまで利用してきた機器やライセンスの運用コストが高く、中には過剰なスペックとなっている機器もあり、利用実態に合わせた最適化を求めていた。
同社の基幹システムを担当する経営管理部 システム室 課長補佐の橋 直行 氏は「データセンターでシステムを動かしながら機器のリプレイスをするとなると、ディスクの規模拡大や移行作業、バックアップ運用などに負担がかかるため、将来のためにもクラウド環境への移行も視野に入れ検討する必要があると考えました」と振り返る。
また同社では、データの取り扱いだけでなく、OSのバージョン刷新、基幹システムのハードウェアの老朽化、アプリケーションが旧態であったこと、運用の高コスト体質も問題となっていた。社内では、今後のアプリケーションのモダン化を意識し、アプリケーション開発の内製化や検証環境を柔軟に構築できる環境を求める声も多かった。

選択

実績からAWSを選択し、ハイブリッド環境を熟知するTISへ依頼

システムのリプレイスにあたっては運用コストの最適化、将来の拡張性や柔軟性を考慮して、クラウド環境への移行を前提に検討を開始した。そして、2015年7月頃に公募を行ったところ数社から提案があった。AWSを活用するプランもあれば、ほかのクラウドサービスやプライベートクラウドを提案するものなどが集まった。
住宅保証機構では、従量課金制で使った分だけ費用が発生し、スモールスタートが可能で、順次展開ができるという点でAWSを評価した。ハードウェアのリプレイス時に発生することが予想されていたインフラの新規調達、構築、新旧環境の並行運用を含めた移行の費用が低く抑えられることはAWSの大きなメリットである。また、クラウド環境に移行することで、ハードウェアに付随する運用・保守、設備管理費用を最小限にすることができる。アプリケーションの内製化、クラウド環境の習熟と並行し、当面はハイブリッド環境で稼働させながら、現在あるデータセンターのリソースを数年かけて段階的にクラウドに移行することで、複数台あるラックを削減していく計画が実現できるため、結果として初期費用とリスクを抑え、ランニングコストを抑制できるという利点もあった。しかも、AWSはほかのクラウドサービスに比べて当時でも豊富な実績があり、さまざまなサービスを展開していたため、そのことも選択の後押しとなった。
AWSを提案するベンダーは複数社あったが、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境での運用を効率化するツールやノウハウを持ち、運用実績も豊富なTISの提案が選択された。橋氏は、「アプリケーションの改修や移行後の内製化も検討しており、将来の展開や提案力・技術力が加味され、TISの提案が選定されました」と当時を振り返った。

導入

システム開発会社も交え、移行だけでなくアプリの再構築も推進

AWSへの移行は2015年12月に始まり、先ずは機器の保守期限が切れるNASサーバーが対象となった。アプリケーションとデータベースを安定して接続すること、および10テラバイトものデータを安定して送信できるよう、AWS環境に接続する専用線サービス「AWS Direct Connect」と、予備回線のVPN回線を設営した。また、NASサーバーの移行先としてAWS StorageGatewayを構築。並行してバックアップ用の環境もAWS上に構築し、現行のバックアップの機能を拡張してAWS上にバックアップを取得するようにした。移行計画はTISとともに事前の検証を入念に行い、慎重に進められ、移行作業には2カ月以上かけ、2016年2月から本番運用を開始した。移行に伴うシステム停止やコストの発生は最小限に抑えることができた。
また、住宅保証機構では、NASサーバーのAWSへの移行に加え、アプリケーションのモダン化や、アプリケーションの内製化、システム運用体制の刷新も視野に入れていた。そこでTISへ技術支援を依頼し、またアプリケーション開発を依頼していたベンダーとの三者でのすり合わせをしながらアプリケーションの刷新を進めた。
初期段階では従来のデータセンターにデータベースを残し、アプリケーションをAWSに展開していくハイブリット構成とし、まずは小規模な検証環境をAWS上に構築、TISの技術支援を受けながら、徐々にAWSにサーバー構築、アプリケーション開発、検証作業を行い、数年をかけアプリケーションの再構築を実現した。
システム開発を担当する、住宅保証機構株式会社 経営管理部 システム室長の浅田 祥寛 氏は「アプリケーションは、顧客である事業者様に入力してもらうもの、弊社登録の検査員が利用するもの、弊社が保険業務を委託している企業が入力するものと、3種あり、それらを切り離して一つずつ内製のアプリケーションとして再構築していきました」と説明する。
NASサーバーの移行から数年かけて着々とアプリケーションのAWSへの移行と内製化を進め、2021年2月には、懸案の一つであったデータベースもAWSに移行でき、すべての基幹システムのリソースのクラウド環境への移行を終えた。利用開始から数年が経過する中でAWS側のサービスのパフォーマンスも向上し、なおかつTISの技術サポートによって、住宅保証機構側のAWS上でのシステム構築スキルが向上したことも影響した。

効果

運用コストを約50%削減し、システム構築の内製化を実現

AWSへの移行によって、数年ごとに必要だった機器の交換や大容量データの移行が不要となった。移行コストの低減に加え、運用の自由度が向上することにより、システム担当者の作業負荷が軽減されている。アプリケーションの再構築を実施しつつも、AWSのサービスを活用することで柔軟な環境構成を行い、運用コストの約50%削減などを達成した。
AWSでは、必要に応じてITリソースを柔軟に変更できるため、導入の段階で厳密にリソースをサイジングする必要は無く、利用状況に合わせてスペックとコストを最適化することが可能となった。従量課金制を活用し、リソースを必要なときにのみ起動するようにし、現在ではAWS LambdaとAmazonEC2のタグ管理による自動停止・起動・バックアップ等により、コストを抑えている。本番環境においては、利用料の割引が可能なリザーブドインスタンスを計画的に利用し、1年程前からAWS SavingPlansも利用しているほか、一部は夜間停止する等調整を行い、コストメリットを享受している。
AWS環境への移行とアプリケーション内製化によって新機能のリリースも早くなった。橋氏は「従来は環境を容易に構築することができなかったため、新しい機能を展開するまでに、計画に半年、構築に半年、テストに半年と時間がかかっていました。AWSの場合は柔軟にリソースを確保できるため、数カ月でアプリケーションをリリースできるようになりました」と評価する。
住宅保証機構では今後、ペーパーレスへの対応や、システムアプリケーションのマイクロサービス化など、引き続きAWS環境を活用していく予定だ。技術面や運用面でTISからのさらなるサポートを期待している。

構成イメージ

構成イメージ

お客様の声

住宅保証機構株式会社
経営管理部 システム室長
浅田 祥寛氏

住宅保証機構株式会社
経営管理部 システム室 課長補佐
橋 直行氏

TISの担当者の方からは、運用に必要な技術に関する支援をいただいており、新規開発についても、研修などのサポートをしていただきたいと考えています。例えば、最近はDockerの活用を検討しているものの、Web上では基本的な情報しか見つけられないことも多く、弊社の要件にあった詳しい内容を知りたいときなどは困っています。経験豊富なTISの担当者の方たちに、いろいろと相談にのってもらいたいと考えています。(浅田氏)

TIS担当者から

進藤 佑太郎

TIS株式会社
IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部 IT基盤営業部 主任
進藤 佑太郎

まず初めに、この度は事例化にご協力いただきました住宅保証機構様には誠に感謝申し上げます。2015年にAWSを導入いただいてから、ここ数年で様々なシステムのAWS移行を実施されている中、TISとして今まで培ってきたノウハウを基に技術的な支援をさせていただいております。今後ともITパートナーとして住宅保証機構様へクラウドのみならず多様なソリューションでお手伝いができればと思います。

横井 公紀

TIS株式会社
IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部 IT基盤サービス第1部 主査
横井 公紀

住宅保証機構様は長年に渡りAWSをご利用されており、TISからはAWSマネージドサポートサービスを始めとした技術支援をさせていただいています。日頃我々からご案内差し上げる情報に対し、橋様からはとてもクイックなご反応をいただくことが多く、その度に、現状に満足することなく更にAWSを効果的にご活用されたいという熱い思いを感じます。今後はコンテナ等の新しいサービスを採用されたいとの声もお伺いしており、TISは住宅保証機構様の情報システムの進化を支えるパートナーとして、積極的にご期待に応えていきたいと思います。

※ TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2023年10月4日 23時38分