ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社様
既存システムの老朽化に伴いクラウド移行を推進
Azure VMware Solution+L2延伸の採用で“ビジネスを止めない”システム移行を実現
日本生命グループの一員として、お客様の多様なニーズに応える商品・サービスを提供しているニッセイ・ウェルス生命保険株式会社(以下、ニッセイ・ウェルス生命)。既存システムにおける課題解決の施策としてクラウド化の推進に着手し、TISの提案する「Azure VMware Solution(AVS)」を採用。現在では約100台のVM(仮想マシン)をオンプレミスからAVSに移行し、システムの保守・運用コストの削減やリソース不足の解消に成功した。
本社 | 東京都品川区大崎二丁目1番1号 ThinkPark Tower |
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設立 | 1907年 |
資本金 | 480億円(資本準備金含む) |
事業内容 | 保険業 |
URL | https://www.nw-life.co.jp/ |
背景
既存システムが抱える課題を解消すべく、クラウド化の推進を検討
2018年5月に日本生命保険相互会社と経営統合し、日本生命グループの一員として金融機関の窓販領域に特化したビジネスを展開している、ニッセイ・ウェルス生命。主にシニア富裕層をターゲットとして、外貨建ての一時払定額年金を中心とした商品・サービスを提供している。
同社の中期経営計画において、IT領域で掲げられたテーマは「持続的・安定的な発展のための整備」。ITインフラの構築・運用を担うIT本部 システム管理部は、その実現に向けた施策としてクラウド化の推進に着手する必要があった。
既存システムには、サーバー数の増加に伴うリソースのひっ迫や、ハードウェアの保守・運用コストの増大、EOSを迎えたWindows Server 2008をはじめとするレガシーOSのセキュリティ対策といった課題が顕在化しており、その解決策としてクラウドへの移行を検討。2018年にオンプレミス環境のリプレースとクラウド移行におけるコストを試算し、クラウド化にはコストメリットがあることを確認できたため、移行プロジェクトを始動させることになった。
「ビジネスの持続的な安定・成長を支えるためにはITインフラの整備が不可欠です。増大し続ける保守・運用コストを抑制するという側面でも、既存システムのクラウド移行が効果的と考えました」とニッセイ・ウェルス生命 システム管理部 部長の山本 和重 氏は語った。
クラウド移行プロジェクトを推進するにあたり、より精緻化した試算結果をもとにコストメリットを確認したいと考えた同社は、コンサルティング(検討)フェーズからベンダーの選定を開始。「既存システムをどこまでクラウド化するのか」「どのクラウドサービスを採用するのか」といった要素も踏まえ、複数のベンダーから提案を募った。
選択
最新の技術動向を踏まえたTISの提案を採用し、AVSへの移行を決定
システムのクラウド移行を検討するうえで、ニッセイ・ウェルス生命が重視したのは「既存のアプリケーションを変更することなくクラウド化を推進できることでした」と、今回の取り組みでプロジェクトマネージャーを務めたニッセイ・ウェルス生命 IT本部 システム管理部 専門課長 上級インフラアーキテクト 兼 システム企画部 IT戦略企画チームの高田 恭雅 氏は振り返る。同社では年間を通して複数の保険商品の開発プロジェクトが動いており、既存システムのすべてを一気にクラウド化するのは困難と判断。オンプレミスとクラウドの併用期間を設け、将来的なネイティブクラウド環境(IaaS)への移行を見据えたロードマップを提示したTISをパートナーに選択した。
TISは、オンプレミス上のサーバーで多数のVM(仮想マシン)を運用していることや、Windows ServerやSQL Server、Office 365などのマイクロソフト製品を利用していることなどを考慮し、Microsoft Azure上でVMware vSphere環境を簡単に利用できるフルマネージドサービス「Azure VMware Solution(AVS)」を提案した。
ニッセイ・ウェルス生命では、AVSは既存アプリケーションを変更せずにクラウドへの移行を実現できること、マイクロソフト製品との親和性が高く他社製のクラウドと比較してコストメリットが高い点を評価。また、Microsoft Azure上では、Windows Server 2008のセキュリティ更新プログラムがOSサポート終了後も無償で提供されるため、コストを抑え、なおかつセキュリティリスクを最小限に抑えた形で継続利用できるというメリットも踏まえて、AVSの採用を決定した。
高田 氏は「クラウドサービスは頻繁なアップデートが特徴で、AVSも検討時にアップデートされ仕様が変更されました。その仕様変更を押さえていたのはTISだけでした。最新の技術動向を踏まえて提案していただけたことで、信頼できるベンダーであると判断しました」とTISを選定した要因を振り返る。
導入
既存システムを詳細に分析し、AVS+L2延伸でスムーズな移行を実現
実際の導入フェーズにおいても、TISがパートナーとして選定された。AVSは当時、日本国内ではリリースされたばかりで、本格的な導入はどのベンダーも経験がない状況。ニッセイ・ウェルス生命とTISが手がけた移行プロジェクトは、AVS導入の先駆けといえる先進的なチャレンジとなった。
AVSの導入にあたり、TISではAzure(クラウド)、VMware、ネットワークに知見を持つ担当者を揃えて体制を構築し、ニッセイ・ウェルス生命の既存システムを精査し、リスクの少ないシステム構成を提示した。特にネットワークに関しては、既存の回線をそのまま使うやり方ではトラフィックや輻輳にリスクがあると分析し、新規回線の敷設を提案した。ニッセイ・ウェルス生命保険はTISと議論を重ね、ネットワークの重要性を理解したという。「当初は既存のネットワークを拡張して利用することを想定していたのですが、TISから新規回線の敷設によるリスクの軽減を提案され、L2延伸で、オンプレミスで稼働しているサーバーのIPアドレスを変更せずにクラウドへ移行できるということで採用を決定しました」と高田 氏は振り返る。ビジネスに影響を与えることなく、スムーズにシステムの移行を実現可能としたTISのプランを評価した。
移行作業は段階的に実施され、まずは2021年の2月~3月にインフラ部門が保持するテストサーバー約20台をAVSへと移行し、動作を確認。続いて同年4月~8月にかけて実際に業務で使用している開発・検証環境の移行に着手し、大きなトラブルは一切ないままクラウドへの移行を実現している。この成功を受け、同年9月~10月には本番環境の移行を実施した。なお、今回の取り組みではマイクロソフトの全面協力のもと、マイクロソフトのグローバル支援によるPoCなども実施された。「週末に移行作業を実行できる体制を構築したことで、データ量の多いサーバーも業務を止めることなくAVSへと移行させることができました」と高田 氏は評価した。
効果
アプリケーションを停止することなく、約100台のVMがAVS上で稼働
AVSとオンプレミス環境をL2延伸で繋いだことで、アプリケーションを停止・変更することなく移行を実現したニッセイ・ウェルス生命のクラウド移行プロジェクト。
一部のサーバーはオンプレミス環境に残っているが、現状では約100台のVMがAVS上で稼働している。移行中のトラブルは皆無で、移行したあとの運用フェーズにおいてもAVSへの移行を原因とする不具合は起きていない。ユーザーはオンプレミスからAVSに移行したことを意識することなく、通常通りに業務を行っているという。
高田 氏は「アプリケーションを無停止・無障害で移行できたことが最大の成果と考えています。ESXi ホストの追加(拡張)も、30分程度でシステムに影響を与えることなく行えることが確認でき、既存システムの課題となっていたリソース不足も解消できています」と、今回のクラウド移行プロジェクトで得られた成果を語った。
AVSは、Azure上に構築した仮想基盤の運用・保守(VMwareのソフトウェアバージョンアップも含む)をマイクロソフト側で行うため、仮想基盤の維持に費やす人的リソースの削減にも成功している。
ニッセイ・ウェルス生命保険では本プロジェクトを踏まえ、今後もクラウド化を推進していく予定だ。「我々としてはAVSの導入をゴールと捉えてはおらず、その先にあるAzureの活用も見据えています。今後もクラウドの活用を積極的に推進し、環境変化に俊敏に対応し事業戦略を支える最適化されたシステム基盤の構築により、事業拡大に貢献していきたいと考えています」と高田 氏は今後の展望を語った。すでにAVSへの移行と併行してAzureのネイティブクラウド環境構築も進めており、一部の業務システムをAzureのIaaS上で稼働させているという。
クラウド化の推進にあたり、オンプレミス在りきのシステム運用からのマインドチェンジを図るニッセイ・ウェルス生命では、技術面のみならずクラウドジャーニー全体を通したTISの継続的なサポートを期待している。
プロジェクト全体イメージ
お客様の声
ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社
システム管理部 部長
山本 和重氏
ニッセイ・ウェルス生命保険株式会社
IT本部 システム管理部 専門課長 上級インフラアーキテクト 兼 システム企画部 IT戦略企画チーム
高田 恭雅氏
こちらからの要望に対応するだけでなく、過去のナレッジや最近の技術動向を踏まえたうえでプロアクティブな提案をいただけたことで、TISへの信頼感が高まりました。AVSの導入をフックに、今後もクラウド化を推進していく予定です。新たなシステムを構築する際にはTISの担当者に相談し、クラウドファーストで進めていきたいと考えています。TISとの共働体制で、より良いシステムを作っていければと期待しています。(高田氏)
TIS担当者から
TIS株式会社
IT基盤技術事業本部 IT基盤技術事業部 IT基盤サービス 第2部 エキスパート
笹村 俊之
Azure関連の事業とVDI関連の事業に従事してきた経験を活かし、今回のプロジェクトではプロジェクトマネージャー兼全体のアーキテクトとして参画させていただきました。オンプレミスからクラウドへの移行では、元のシステム全体を理解する必要があり、お客様との共創が重要になります。今後も密接なコミュニケーションを図り、ニッセイ・ウェルス生命保険様の目指すクラウドジャーニーを支援させていただきたいと考えています。
TIS株式会社
IT基盤技術事業本部 IT基盤技術事業部 IT基盤コンサルティング部 エキスパート
野口 敏久
本プロジェクトにおいてはネットワーク周りの分析と要件の洗い出し・設計・構成検討などを担当させていただきました。AVSの導入を成功させるうえではネットワークの整備が重要となり、加えてHCXなどVMwareの最新技術をキャッチアップしてお客様に訴求していく必要があります。TISが持つネットワーク、VMwareのノウハウを活かし、ニッセイ・ウェルス生命保険様のクラウド化推進を技術面からサポートしていきたいと思います。
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