サントリーホールディングス株式会社様
サントリーシステムテクノロジー株式会社様
サントリーのDXを支えるアジャイル開発の導入を支援。ガイドライン作成から、研修、開発支援までをトータル提供。
サントリーホールディングス株式会社様
本社 | 大阪市北区堂島浜2-1-40 |
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設立 | 2009年(創業1899年) |
事業内容 | グループ全体の経営戦略の策定・推進、およびコーポレート機能 |
URL | https://www.suntory.co.jp/ |
サントリーシステムテクノロジー株式会社様
本社 | 大阪市北区堂島浜2-1-40 |
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設立 | 1990年 |
事業内容 | グループ各社の業務システム・インフラ基盤構築、先端技術開発等 |
URL | https://www.suntory.co.jp/sst/ |
背景
DXのスピード化を目指し、アジャイル開発手法の本格採用を計画
酒類・飲料・健康食品を中心にグローバルに事業を展開するサントリーグループ。近年、消費者や飲食店への提供価値をより高めるため、新規サービスやアプリのDXを加速している。そんな中、変化し続ける市場・消費者ニーズに柔軟に対応するため、2020年後半よりアジャイル開発手法の本格導入に向けた準備を開始した。
サントリーシステムテクノロジー(以下SST)とともにグループのDX戦略を担当するサントリーホールディングスの武知栄治氏はこう説明する。「アジャイル開発は、ミニマム機能のサービスを早期提供し、ユーザーの反応を見ながら継続的に改善できる点が、DXに最適。従来型のウォーターフォール開発とは違う選択肢を加えることで、より幅広いシステムやアプリケーションの開発に対応できると考えました」。
そして、SSTシステム品質部の主導で、アジャイル開発手法の導入プロジェクトを立ち上げた。これにあたり、専門的な知見を持つパートナーの協力を仰ぐことを決定。SSTシステム品質部の長谷川壽延氏はこう言う。「世の中にはアジャイル開発についてたくさんの情報が出ていますが、教科書どおりに進めても成功は難しいもの。パートナーとなる会社には、情報の行間を埋めるような、経験に基づく実践的ノウハウを吹き込んでもらいたいと考えました」。
選択
豊富な経験に裏打ちされたTISのアジャイルの知見に期待
ITパートナーが果たす役割は、大きくアジャイル開発のガイドライン策定、トレーニングによる人材教育、開発用システム基盤構築の3つ。SSTシステム品質部はアジャイルの実績で定評があるSIer複数社を候補としてピックアップし、提案を依頼した。
その結果、TISに次の点で優位性を感じたと武知氏は説明する。「まず、アジャイルの最もメジャーな手法であるスクラムに、大規模開発向けで定評があるSAFeの手法を組み合わせた体系を有していること。二つめは、アジャイル開発の経験だけでなく、ガイドライン策定や研修実施の支援実績があること。そして三つめは、TISは長年の取引を通じ、当社のシステム開発の進め方を熟知している点でした」。
こうして2021年4月、TISがITパートナーとして選ばれ、アジャイル開発導入プロジェクトがスタートした。
まず着手したのは、グループ全社が開発時に使用するガイドラインの作成。長谷川氏はこう説明する。「アジャイルでは小さな開発サイクルを繰り返し回すことから、メンバー間のコミュニケーションが鍵。社内外の開発チーム全員が同じ指針や判断基準を持つために、共通言語となる開発ガイドラインの整備を最優先としました」。
育成
TISを講師としてアジャイル開発の人材を教育
ガイドラインの作成と並行して、社内に開発人材を育てる研修もスタートした。「目標は2023年までに、我々IT部門だけでなくグループ会社の事業部門に、必要十分なプロダクトオーナー※1を育成すること。加えて、開発する全プロダクトに、顧客目線の統一されたUXを実装するため、UXデザイナーの育成も目標に加えました」(武知氏)。
社員向け研修は、TISの技術者を講師とし、1日または2日のオンライン講義形式で実施。カリキュラムの内容は、顧客への付加価値の最大化を目指すアジャイルの基本理念にはじまり、プロダクトオーナー※1やスクラムマスター※2等の職種が担う役割の説明や、実際にチームで行う演習など多岐にわたる。
研修に参加したSSTシステム品質部の山本久代氏はこう振り返る。「講師役のTISの方からは、過去の経験を交えて分かりやすく説明いただきました。また、Teams上のチャネルに質問を投稿すると、講師の方からすぐに返事をもらえる丁寧な対応のおかげで、学習が円滑に進んだと感じます」。
こうしたアジャイル開発のための環境整備の一つとして、新たな開発用システム基盤も、TISにより構築された。これは、プログラムのビルドからテスト、デプロイ(配備)までのサイクルを早く回すことに機能を特化したもので、スピード感のある開発が可能となる。
※1 プロダクトオーナー:アジャイル開発においてプロダクトの最終決定権と責任を持ち、方向性を定めメンバーを導く“舵取り役”となる職種。
※2 スクラムマスター:開発エンジニアのリーダーとして、チームがアジャイルの原則を理解して実践できるようサポートする職種。
開発
TISの伴走支援で、アジャイル開発による最初のプロダクトが完成
グループ内で気運が高まる中、2021年夏には実際にアジャイル開発によるプロジェクトの第1弾もスタートした。作成するのは、営業部門が利用するスマートフォンアプリのパイロット版。SSTと社外のシステム会社がスクラムチームを組み、TISのメンバーがコーチとして助言する体制が組まれた。
「我々も協力会社もアジャイル開発は初の経験で、ガイドラインだけでは腹落ちするまでに至っていませんでした。そこにTISが伴走し『アジャイルのマインド』を吹き込んでくれました」(長谷川氏)。実装する機能は、実際のユーザーの要望に基づき検討が行われた。そして、ユーザーや営業担当者がプロトタイプに触れた感想をフィードバックしながら、約3カ月で完成を迎えた。「利用する人の生の声を反映して軌道修正できる点、社内の経営層がプロトタイプを見て早期に投資判断できる点は、アジャイル開発ならではと感じました」(長谷川氏)。
その後、研修や実際の開発への参加により、グループ内の人材は着実に増え続けている。既に、スキルを得た社員が講師となって、他の社員にノウハウを伝える研修も実施されている。
武知氏は、今後のTISへの期待をこう語る。「今回、TISにはアジャイル開発のための環境整備を支援いただきました。今後、アジャイル開発案件が増えていく中で、各開発案件について、作成したガイドライン内容をしっかり実践して進めていただくことにも大いに期待しています」。
お客さまの声
サントリーホールディングス株式会社
デジタル本部
DX戦略部 部長
武知 栄治氏
サントリーシステムテクノロジー株式会社
システム品質部 部長
長谷川 壽延氏
サントリーシステムテクノロジー株式会社
システム品質部
山本 久代氏
TISは非常にすばらしいメンバーばかりで、感謝しかありません。知見・経験はもちろんのこと、仕事に対する情熱や責任感の強さが印象に残っています。
グループ全体にアジャイル開発を行き渡らせるには、トップ層の理解と後押しも必要です。TISには、マネジメント層向けの講演もお願いしており、その効果に期待しています。
今後もTISには、開発支援にとどまらず、アジャイル開発の最新事情・動向について情報交換できるパートナーであり続けていただきたいと思っています。
TIS担当者から
TIS株式会社
ビジネスイノベーションユニット
プロジェクトマネジメントビジネス推進部 上級主任
大小田 恵子
TIS株式会社
産業ビジネス第4部 主査
浅野 護
『やってみなはれ』の創業精神で知られるサントリーグループ様は、もともとアジャイル向きのマインドが根付いており、自律と統制のバランスのとれた、サントリーグループ様の社風にあったガイドラインを作れたと思います。研修にも熱心に取り組んでいただき、質問内容も、アジャイル未経験とは思えないほど鋭いもの。TISにとっても学ぶことが多い、有意義な時間を共有できました。
今回お客様とともに策定したガイドラインは、ウォーターフォール開発の知見を捨てるのではなく、それを活かしてアジャイル開発に移行できるよう、共通点と相違点の明確化を心がけました。それを実際のアプリ開発プロジェクトへ適用していただき、“絵に描いた餅”ではなく実用性を示すことができました。今後もアジャイル開発の標準化・定着化に向けたプロジェクトへの伴走支援や、大規模アジャイルの導入などにより生産性と品質の向上をお手伝いし、サントリーグループ様のDX推進に貢献していければと思います。
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