株式会社ジンズホールディングス様
デジタル化が困難な、労務業務の自動化に挑戦。「ZeeM人事給与」+RPA「UiPath」による業務プロセス再構築で、作業時間を50%以下に削減。
背景
労務のDX推進の妨げとなるデジタル化に不向きな手作業
メガネの販売本数日本一を誇るアイウエアブランド「JINS」を国内外で展開する株式会社ジンズホールディングス(以下ジンズ)。同社のデジタル戦略では、最高の顧客体験を実現するため、日々お客様と商品に向き合っている従業員全員がより高い生産性を保てるよう、デジタルリテラシーの学習環境を整備している。デザイン思考、データ分析、アジャイル開発を使いこなせる人材をあらゆる部門に増やすことで、圧倒的なスピードとボリュームを実現し、顧客価値を生み出すためのDXを全社で加速させている。
その取り組みの中で、主にバックオフィス業務全般のDX化を担当するのが、デジタル本部。同部の原島洋将氏は「バックオフィス業務では手作業や紙業務が多く残っており、バックオフィス部門の業務負担となっていました」と語る。
「JINS」の国内465店舗(2022年6月末現在)で働くスタッフは約3,000名(連結)以上、1カ月あたりの採用者は最大100名に上ることもあり、バックオフィス業務の中でも労務部門の業務負荷は大きい。人事給与システムや勤怠管理システムなど主要業務のシステム導入はされていたものの、電子化されていない業務が多く残っており、デジタル化が急務となっていた。従来は、既存システムの機能拡張などで効率化を図ってきたが、将来を見据え圧倒的なスピードで高い生産性を保てる基盤の導入を検討していた。
選択
ジンズの労務業務を熟知するTISが、「ZeeM」+「UiPath」によるRPA活用を提案
労務DXが進展する契機が訪れたのは、2021年10月。ジンズは10年程前からTISの「ZeeM人事給与(以下、ZeeM)」を利用しているが、TISより労務業務の改善について提案したい旨の申し出があった。
「この数年、労務チームの皆さんがたくさんの手作業でお困りの状況を見てきました。ちょうどZeeMにRPAツール『UiPath』を組み合わせたメニューが完成し、業務効率化のお役に立てるのではないかと考えました」(TIS 鹿野竜一)。
ジンズの社内でも、2019年からRPA製品の技術検証を進めており、TISの提案は大きな関心事となった。説明を受けた原島氏は、評価したポイントをこう語る。「労務の作業は、ただRPAに置き換えてもうまく行きません。手順を細かく分析し無駄を省いた上で、自動化する部分と人間が受け持つ部分を切り分けたフロー設計が肝要です。当社の労務の実情を熟知するTISがその役割を担い、使い慣れたZeeMとワンパッケージでRPA導入を進めてくれる点に、大きな安心感がありました」(原島氏)。
さらに、TISが提案した『UiPath』は、コードを記述しなくても使える機能が豊富にあり、社内の各部門でRPA化を進めていくプラットフォームとして最適と判断した。
開発
最適な業務フローを提案し業務効率の最大化を目指す
UiPath導入プロジェクトは2022年1月にスタート。まず、労務チームが特に作業時間を要していた定型作業(下の例示)を絞り込み、開発対象業務とした。
目標とする業務フローの作成は、TISが労務チームから現行業務の詳細をヒアリングし、あるべきフローのかたちを話し合う流れで進められた。TISの鹿野は「業務の流れを正確に理解するため、お客様の業務内容を細かくヒアリングさせていただきました。そして、さらなる効率化が見込まれるフローをご提案する進め方としました」と説明する。そして労務チームと協議を重ねて理想のフローのかたちを固め、RPAの開発に着手した。
また、今回TISが重視したのが、運用開始後に労務チームが自らRPAロボットをメンテナンスできるよう、開発ノウハウを共有すること。総務・労務部の土門麻衣氏はこう語る。「TISには、RPAの構造がシンプルになるよう意識して開発いただき、運用マニュアルも提供してもらいました。労務業務は社内規定などが変わるたびに変更が必要なので、社内の人間だけで対応できるよう配慮してくれて感謝しています」。
原島氏はプロジェクトを振り返って、「自動化する/しない以前に、省ける手順の多さに驚きました。そこにRPAを加えることで、導入効果の最大化につながったのだと思います」と語る。
効果
定型作業の削減で、従業員を手厚くサポートするための時間を創出
2022年4月から、労務チームは実務でRPAロボットの使用を開始。作業時間が半分に削減されるなど、絶大な効果がもたらされている(下の例示)。土門氏は、労務チームにとっての最大のメリットは、定型作業にかかる時間が減ったことで、本来の業務にリソースを集中できるようになった点だと強調する。「たとえば、出産・育児で休職している100名近くの方のサポートを強化できました。日々寄せられるさまざまな質問に対し、一人ひとり寄り添った対応ができるようになったと感じます」(土門氏)。
原島氏は、今後のジンズの全社的なRPA活用について、構想を語る。「管理本部内の報告会でRPAロボットを実演したところ反響が大きく、『うちでもやってみたい』といろいろな部署から声が上がっています。今回、労務から始まったRPAによるDXを、他のバックオフィス部門、業務部門へと展開し、あらゆる部門が、自らの手で業務改善のDXを進められるようにするのが目標です。TISには今後も、プロならではの視点で、我々が気づかないような部分を補っていただきたいと思います」。
RPA化した業務の例と導入効果
お客さまの声
株式会社ジンズホールディングス
管理本部
総務・労務部
土門 麻衣氏
株式会社ジンズ
デジタル本部
ITデジタル部
原島 洋将氏
先日、労務チームを代表して、TISが主催するRPA研修に参加させていただきました。一番の収穫は、普段の業務を頭の中でプロセスに分けて考えられるようになったことです。自分たちだけでRPAロボットを作成できるようになるのはまだ先になりそうですが、今後の業務課題解決につながる、大変充実した研修を受講できたと思います。(土門氏)
TIS担当者から
TIS株式会社
DXビジネスユニット 経営管理サービスユニット
経営管理サービス第2部 上級主任
鹿野 竜一
TIS株式会社
DXビジネスユニット 経営管理サービスユニット
経営管理サービス第2部
小西 和弥
ジンズ様はデジタル戦略として、全員が“デジタルネイティブになる”目標を掲げられています。この目標達成のお役に立てるよう、現場の皆さんがRPAのつくり手になることを常に意識して、開発ノウハウを積極的に共有するようにしました。
特に印象に残っているのが、労務チームの皆さんのRPAへの理解スピードです。最初の頃は「この作業は自動化できますか?」といったシンプルな質問でしたが、終盤には、「業務フローのここで分岐させて個別処理を入れれば、一つのRPAで2つの業務ができることになりますか?」といった高度な質問もいただき、とても驚きました。
今後は、RPAの全社展開にあたり改善をご希望する業務をテーマに、ご担当者様が業務効率化/業務改善をスムーズに推進でき、その効果を体験できるようなご提案させていただきたいと思います。
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