株式会社GSユアサ様
物理サーバ上の仮想マシン群を、仮想化基盤ごとAWSへ移行。
DXの要となる、アジリティの高い業務システム基盤が完成。
本社 | 京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地 |
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設立 | 2004年 ※旧日本電池と旧ユアサ コーポレーションが経営統合 |
事業内容 | 自動車・産業向け各種電池、電源システム等の開発・製造・販売 |
URL | https://www.gs-yuasa.com/jp/ |
背景
仮想マシン群を改修不要・短期でクラウド移行できる「VMware Cloud™ on AWS」に注目
株式会社GSユアサ(以下、GSユアサ)は、電池事業を手がけて100年以上。自動車・バイク用の鉛蓄電池で国内シェア1位、電気自動車用のリチウムイオン電池の量産化に世界で初めて成功するなど、優れた技術でエネルギーの新しい価値を創造してきた。
同社は10年程前、データセンターの物理サーバ上にVMware仮想基盤を構築し、さまざまな業務システムの仮想化に着手。「製造・物流系から、グループウェアなど情報系まで。仮想化できるものは、ほぼすべてを移行の対象としました」(情報システム部 吉岡明義氏)。こうして3台にまで集約された物理サーバ上では、約130の仮想マシン(VM)が稼働していた。
2019年後半、このオンプレミスの仮想マシン群をクラウドへ移行する計画が立ち上がった。その理由を同部の時森友樹氏は「物理サーバはリソースの拡張に時間と費用がかかり、業務部門からの要求にすぐ対応できません。また、5年ごとのハードウェアの保守切れに伴うリプレイスも大きな負担でした」と説明する。
情報システム部は、クラウド移行の方法として、当時国内でリリースされて間もない「VMware Cloud™ on AWS」に注目。これは、VMware仮想基盤をそのままアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行できるソリューション。「数十台もの仮想マシンを一つずつAWSのネイティブ環境へ移植するのは、手間・コストを考えると非現実的です。既存の仮想基盤と仮想マシンをまるごと、AWSへ移行できる点に魅力を感じました」(同部 朝倉寛氏)。
そして、プロジェクトを確実に成功させるため、VMware Cloud on AWS の知見を持つITパートナーの支援を受ける方針が決定した。
選択
圧倒的な技術知識を評価し、TISをパートナーとして採用
2020年中頃、情報システム部はVMware Cloud on AWS およびAWSの案件実績を持つ3社をピックアップし、提案参加を依頼した。優先テーマとして掲げたのは、①AWS移行後も各システムのIPアドレスが変わらないこと ②AWSへの切替時のダウンタイムの最小化 ③従来と同等の信頼性があるDR(ディザスタリカバリ)環境の構築 の大きく3点。
候補の3社の中で、これら条件に対して最も説得力のある提案で応えたのがTISであった。吉岡氏はこう振り返る。「VMware Cloud on AWS に関する技術的な質問に、その場ですぐ的確な回答をいただき、信頼が一気に高まりました。当時はまだ国内事例がほとんどありませんでしたが、TISであれば不安なく任せられると思いました」。
技術提案の中心的役割を担ったTISの野口敏久はこう振り返る。「国内でVMware Cloud on AWS がリリースされる数カ月前から、米国現地で技術セッションに参加するなど情報収集を進めていました。提案に盛り込んだ新技術は、いずれもラボで自ら検証して裏付けを取っており、自信を持ってご提案できました」。
こうして、TISがパートナーとして正式採用され、移行プロジェクトは2021年1月にスタートした。
開発
新技術の積極的な採用で、安定性・確実性を備えたネットワークを構築
移行対象の仮想マシンは、用途上オンプレミスが適しているものを除いた、全体の約7割。第1フェーズとして、グループウェアやメールなど約10の情報系システムを優先的に移行する計画とした。
各システムのIPアドレスを変更することなくAWS上の仮想化基盤に移行する仕組みとして、TISはネットワーク技術「L2延伸」を提案。どの部分で、どのようにL2延伸を利用するのが最善かを考慮しながら、ネットワーク設計が進められた。
並行して、オンプレミスの仮想化基盤上の仮想マシンの稼働状況を精査。どのような順番・タイムスケジュールで切り替えを行えばダウンタイムを最小化できるかを熟慮し、計画書作成に取り組んだ。
目標としたテーマの一つ、AWSによるDR構築について、吉岡氏はこう説明する。「メインの東京リージョン、サブのシンガポールリージョンの2つのデータセンターを連携し、バックアップの仕組みを構築しました。サブについては、構築時点では大阪リージョンのサービスが未提供だったため暫定的にシンガポールを選択しましたが、データ転送の遅延を最小化するため、大阪リージョンへの切替を検討しています」。
DR構築用のツールとして、重要度の高い一部の仮想マシンはVMwareの「Site Recovery Manager(SRM)」により、データセンター間のバックアップを実施する。その他の大多数は、TISが提案したSaaS「Druva Phoenix」を採用することで、コストを抑えつつ安全なバックアップ・復元が可能になっている。
効果
柔軟にリソースを拡張できる業務システム基盤の完成で、加速するDX
第1フェーズの約10台の仮想マシンは、2021年9月にAWS上の仮想基盤への切り替えが実施された。「グループウェアのシステムについては、業務時間中にダウンタイムゼロで切り替えに成功しました。ユーザーである社員は、基盤がクラウドに移行したことにも気づいていないはずです」(吉岡氏)。
続いて、残りの仮想マシンのAWS移行も順調に進み、2022年8月に移行計画は完了。実感するメリットを吉岡氏は「やはり、サーバリソースの拡張性の向上です。各部門がDXを進めるにあたり“こういう仕様のサーバがほしい”といった要求が増えていますが、迅速に対応できるようになりました」と語る。
また、アップデートパッチの適用など、運用管理の負荷軽減の効果も大きいという。「先日、VMwareからアップデート情報が告知されましたが、我々がパッチを適用する作業は一切不要。手間をかけず自動的にセキュリティ面が強化されたことに、感動すら覚えました」(時森氏)。
今後は、AWSのネイティブ環境の活用も構想に上っている。「たとえばデータ分析用のシステムなど、機動性重視の場合は最初からAWSのネイティブ環境上に構築することも選択肢になってくるでしょう」(吉岡氏)。
最後に、吉岡氏はプロジェクトをこう総括する。「TISは、先回りの技術検証や質問へのレスポンスなど、スピード感が印象に残っています。“プロジェクトを成功させたい”という強い意志が感じられ、同じチームとして共通の目標を達成できたことは、とてもよい経験になったと思います」。
お客様の声
株式会社GSユアサ
情報システム部 担当部長
情報インフラグループ
グループマネージャー
吉岡 明義氏
株式会社GSユアサ
情報システム部
情報インフラグループ
リーダー
時森 友樹氏
株式会社GSユアサ
情報システム部
情報インフラグループ
リーダー
朝倉 寛氏
当時はまだVMware Cloud on AWS の導入例が少なく、複数の新技術を組み合わせることもあって、正直不安はありました。しかし、TISが先手先手で各技術を検証し、しかもその成果をTISのニュースリリースとして公開してくれたことで、安心してプロジェクトを進められました。今後もTISには、VMware Cloud on AWS の新機能の活用提案や、他社の先進的な事例紹介など、引き続き支援をいただければと思います。
TIS担当者から
TIS株式会社
IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部
IT基盤コンサルティング部 エキスパート
野口 敏久
TIS株式会社
IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部
IT基盤コンサルティング部 主査
平尾 剛司
TIS株式会社
IT基盤技術事業本部
IT基盤技術事業部
IT基盤営業部 主任
山田 渥士
GSユアサ様の主要な仮想基盤の一つをクラウド移行するという、重要なミッションをお手伝いできて満足しています。お客様は非常にポジティブで、こちらからのリクエストに迅速かつ真摯に対応いただいたことが、円滑なプロジェクト進行につながりました。今後は、大規模災害への対策のさらなる強化や、AWSのネイティブ環境の構築ご支援なども提案させていただければと考えています。
TISでは、仮想化基盤のクラウド移行をお考えの企業の皆様に向け、VMware Cloud on AWSを実体験できるハンズオンイベントも開催しています。ぜひお気軽にお声がけください。
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