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旭有機材株式会社様

AI OCRで過去の研究開発文書をデジタル化。技術伝承を円滑化するDXで、製品競争力を向上。

本社 台東区上野3丁目24番6号 上野フロンティアタワー21階
設立 1945年
事業内容 管材システム事業、樹脂事業、水処理・資源開発事業
URL https://www.asahi-yukizai.co.jp/
旭有機材株式会社

背景

膨大な技術資料から、情報を探し出す時間・手間の削減を目指して

旭有機材株式会社(以下、旭有機材)は創業以来、有機材料※1を利用したものづくりに取り組んできた。三つの主力事業のうち樹脂事業では、熱を加えると硬化するフェノール樹脂を利用し、自動車部品の鋳型材料などの製造を手がけている。管材システム事業では、腐食に強い塩化ビニルを利用した、工場のバルブなどで高シェアを獲得。また、水処理・資源開発事業では、排水処理から地熱発電までを手がけている。
同社は2019年より、全社横断型のITツールを活用した業務効率化プロジェクトをスタートさせた。チームリーダーとなった事業企画部の千田芳也氏は、こう振り返る。「現場からヒアリングした効率化の要望の一つに、“過去の紙の情報を探す手間を効率化したい”というテーマがありました」。
この課題を抱えていたのは、愛知工場にある樹脂事業部の樹脂技術開発部。古いものでは1960年代から、配合テストの結果や、顧客への報告書など膨大な紙の書類が蓄積されていた。
同部の小川文幸氏は、過去の技術文書が必要になる場面をこう説明する。「新たな樹脂の開発にあたり、過去に実施した同様の配合研究の結果が参考になります。加えて、自動車メーカーなどお客様から、素材の性能などについて質問を受けた際、過去情報が必要になるケースが多々あります」。
バインダー約250冊分の技術文書は、書庫専用の部屋に保管されている。「その中から必要な情報を探し出すため、丸1日かかることもあり、本来業務の研究開発に専念しにくい状況でした」(小川氏)。また、過去の研究開発を知る熟練社員は定年で年々数が減少し、情報リソースを容易に共有できない問題は、技術伝承の障壁にもなっていた。

※1 有機材料は、プラスチックなどの石油化学製品に代表される、炭素を主要元素とした物質の総称。

選択

認識精度の高さと、透明テキスト付PDFの利便性を兼ね備えた「ドキュメントAI-OCR」

旭有機材のチームは2019年、まず約1万枚の文書をPDF化するスキャン作業を社外委託で実施した。「この段階では、電子ファイル化が目標でしたが、実地検証の結果、規則性を持たせてファイル名を付けるだけでは目的の情報を見つけるのは困難。そこで、全文検索を可能にするAI OCRを追加導入し、検索性を高めることとしました」(千田氏)。
そして複数のAI OCRの製品・サービスを比較検討した結果、チームはTISの「ドキュメントAI-OCR」※2を最有力候補に絞り込んだ。その理由は手書き文字の認識精度の高さに加えて、次の二つがあった。
まず一つが、OCR化する文字の範囲を手動で指定する必要がなく、対象の原本PDFに含まれる文字が、自動ですべてテキストデータ化される点。もう一つが、解析結果がPDFに透明テキストとして埋め込まれ、原本自体を直接検索できるという点であった。
そして2020年11月に初めてTISにコンタクトし、PoCの支援を依頼する運びとなった。既にスキャン作業で原本PDFの作成は完了しており、その中から複数のファイルを抽出し、解析テストへと進んだ。2021年1月〜4月にかけて実施されたPoCの結果、「ドキュメントAI-OCR」は求めていた認識精度と、全文検索への適性を備えていることが確認でき、正式採用となった。

※2 TISのAI-OCRトータルサービス「Paperoid®」で提供されるメニューの一つ。手書き/活字に関わらず、紙や画像でしか残っていない資料をテキストデータ化し、検索・データ活用を可能にする。

導入

SIerならではの技術力による柔軟な対応で、導入を支援

こうして2021年10月より、旭有機材の樹脂事業部において、原本PDFをOCRエンジンで処理する本番作業がスタートした。その手順は、まず退社前や空き時間を利用して、OCRの変換エンジンに原本PDFをアップロードする。この時、一度に数百ファイルをまとめて指定することが可能。翌日にはOCR変換の処理が終わり、透明テキストが埋め込まれた原本PDFをダウンロードできる。
この時に一つの技術課題となったのが、処理済みのPDFをダウンロードする際、ギガバイト級のデータ受信で社内ネットワークに負荷がかかること。「そこでTISの技術担当者から、RPAによる自動化で、夜間に自動ダウンロードする案をいただきました」(千田氏)。プロトタイプをTIS側で作成し、実際のRPA構築は旭有機材側で実施することとなったが、千田氏は「RPAが有効というヒントと、その道筋までを提示いただけたことに感謝しています」と、検討材料の提示があった点も評価する。
また今回、原本PDFのファイル名が長すぎて、アップロード対象として選択できないという課題にも遭遇したが、TISがサービス自体をカスタマイズすることでこれを解決。「柔軟にプログラムに手を加える対応力は、さすがSIerならではだと感じました」(小川氏)。

効果

蓄積されてきた技術・ノウハウを次世代へ伝承することで、競争力を向上

約1万枚の手書き文書をOCR化する作業は、2022年秋に終了。現在、旭有機材では、完成した透明テキスト付きPDFを業務で本格利用するため、全文検索の手段確立に取り組んでいる。「Windowsの標準機能でも、PDFをインデックス化すれば全文検索が可能ですが、対象ファイルが多いと検索に数分を要します。そこで、別途ファイル検索に特化したツールの導入を検討しています」(千田氏)。
旭有機材は中期経営計画において、“違い”をつくり付加価値を高め、利益率を向上させることを経営方針の一つに掲げている。今回デジタル化した過去の技術文書は、そのための有力なリソースになると小川氏は期待する。「新素材の開発にあたり、ベテランも新人も過去の似たようなテスト結果をすぐに閲覧できれば、開発スピードを向上できます。これが付加価値の高い素材を次々に生み出し、市場での優位性を確保することにつながっていきます」。
今後、愛知工場以外の拠点が保管している過去文書についても、デジタル化の道が見えてきたと千田氏は言う。「今回の成功事例は、他の拠点・部門と共有していきます。技術資料だけでなく、伝票や稟議書、図面といった紙の情報も、全文検索が可能になる意義は大きいと思います。TISには、これからもAI OCRの技術力を生かしたアドバイスをいただければと思います」。

テキスト化の流れ(イメージ)

テキスト化の流れ(イメージ)

お客様の声

千田 芳也氏

旭有機材株式会社
事業企画部
千田 芳也氏

小川 文幸氏

旭有機材株式会社
樹脂事業部
樹脂技術開発部
素形材技術グループ
小川 文幸氏

TISには、PoCの段階から、AI OCRに関する技術的な質問に真摯に対応いただきました。現場が円滑に作業を行えるよう、マニュアルを提供いただくなど、運用のフォローにも感謝いたします。
実際に運用を開始して、OCR変換する範囲の指定が不要な点は、「ドキュメントAI-OCR」の大きなメリットだと実感しました。その一方で、手書き文書の行間が狭すぎると2行が1行に誤認識されるケースもあり、さらなるAIの進化に期待しています。

TIS担当者から

園田 健太郎

TIS株式会社
ビジネスイノベーションユニット
AI&ロボティクスサービス部 主査
園田 健太郎

小山 光

TIS株式会社
ビジネスイノベーションユニット
ビジネスイノベーション事業推進部 主査
小山 光

お客様からは、「ドキュメントAI-OCR」の認識精度の高さと、透明テキストを埋め込んだPDFを社内共有できる利便性を高く評価いただいています。
現在、旭有機材様の他部門のご担当者から、新たにAI-OCRの導入検討の提案機会をいただいています。今回のプロジェクトの経験を踏まえて、さらに付加価値を追求したご提案でご要望に応えたいと考えております。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

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更新日時:2023年10月4日 23時41分