サイト内検索
サイト内検索を閉じる

株式会社ベイシアグループソリューションズ様

約600万ステップの基幹系システムをオープン基盤に移行。
COBOLからJavaへの高精度な自動変換で、大規模レガシーマイグレーションを短期間で実現。

株式会社ベイシアグループソリューションズ様
株式会社ベイシアグループソリューションズ様
株式会社ベイシアグループソリューションズ様

背景

基幹系システムのオープン化により、保守性・拡張性の向上を目指す

ベイシアグループは、カインズやワークマンをはじめとする小売店からなる、流通小売グループの大手企業。事業を支える業務システム群は、1990年代よりCOBOLを開発言語としてメインフレーム上に構築し、増改築を重ねてきた。
2000年頃、同グループは将来的な“脱メインフレーム”の検討をスタート。その理由を、グループのIT領域を担うベイシアグループソリューションズの平田稔ソリューション統括本部オープン化推進部部長はこう説明する。「一つが、COBOL技術者の確保が年々厳しくなり、システム改修の人材を集めにくい問題。もう一つの理由が、長年の改修・増改築で機能面の限界を迎え、システム基盤がグループ成長の足かせになる恐れがあったためです」。
そして2000年代から、メインフレーム上のPOS集計や会計・人事などのアプリケーションを順次、パッケージ製品やクラウドサービスへと切り出していった。最後に残った大物が、取引先への発注や在庫管理を司る基幹系システム。「COBOLプログラム約2万2千本と、それらを順番に動かすためのJCL(ジョブ制御言語)ファイル約1万4千があり、総ステップ数約600万。80以上の外部システムと連携する、巨大かつ複雑なシステムです」(平田氏)。
計画の骨子は、基幹系システムの機能を変えずにJavaで再構築し、Linuxサーバへ移管する、マイグレーションを実現すること。同社の執行役員を務める重田憲司ソリューション統括本部本部⻑は「過去の設計書は欠落が多く、難航が予想されましたが、2025年の崖を回避するためにも、絶対にやり抜こうと決断しました」と振り返る。

※経産省は、IT人材の不足やレガシー化したシステムが引き起こす諸問題を“2025年の崖”と呼び警鐘を鳴らしている。

選択

変換ツールを活用してJavaへ移行するリライト手法を選定

2018年、移行チームは、基幹システムのオープン化を短期間・安全に実現するための、移行手段の選定を開始した。まず複数のパッケージ製品への置き換えを検討したが、巨大化・複雑化した基幹系システムはパッケージとの親和性が低いと判断した。また、Javaで全面的にスクラッチ開発する方法は、現行システムの解析に多大な期間を要するため断念。「他にも、オープンCOBOL環境への移行を検討しましたが、技術者不足という将来の課題解決に繋がらないため、採用に至りませんでした」(平田氏)。
検討のための残り時間が少なくなる中、有力候補となったのが、変換ツールでCOBOLをJavaに機械的に変換するリライトの手法であった。「目にとまったのが、TISが公開していた、1,000万ステップの大規模マイグレーションを支援した導入事例でした。詳細を知りたいと思い、2018年夏、TISに初めてコンタクトしました」(平田氏)。
そして、TISの変換ツール「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」(以下、Xenlon~神龍)の説明を受け、実際のデータを変換するPoCを実施。「その結果、Javaへの変換は99%を超える変換率に達しました。変換ツールを提供する会社は他にもありましたが、変換率はよくても80%程度でした」(重田氏)。こうして、優れた変換ノウハウと実績を有するTISが、プロジェクトの一員として正式採用された。

開発

「Xenlon~神龍」を活用したリライトで、すべてのCOBOLプログラムをJavaで完全に再現

プロジェクト開始後、TISはまず2019年2月〜4月にかけて、移行対象となるレガシー資産の棚卸しを実施した。プログラム間の呼び出しの関係やログを解析することで、業務で使われていないものを除外し、移行対象を半分程度にまで絞り込んだ。また並行して、メインフレームで実現していたアーキテクチャを新システムで再現するための方式検討も進められた。
続く「Xenlon~神龍」による変換作業は、まず99%を超える精度でCOBOLからJavaへ自動変換後、残りの部分を新たなオープン基盤上で正しく動作するよう改修する進め方で、完全な再現性を目指した。TISの鈴木啓也はこう振り返る。「機械変換自体にかかった時間は、延べ12週間程度です。TISの稼働の大部分は、各プログラムの動作検証と調整作業であり、ピーク時には最大60人のエンジニアを投入して対応しました」。そして約1年後、新システムの部品として必要な、すべてのJavaプログラムの開発が完了した。
そのスピード感について平田氏は印象をこう語る。「通常、これほど大規模なマイグレーションで、開発フェーズが1年で終わることはまずあり得ません。おかげで、最も手のかかるテストの工程へ早期に入ることができました」(平田氏)。
テストフェーズは、実際にJavaプログラムを稼働させ、同じデータを投入して、変換前と同一の結果が出力されるかを確認する「新旧比較テスト」が中心となった。ジョブや画面機能単位で稼働させる単体テスト、複数ジョブの順序立てた動作や外部システムとの連携を確認する結合テスト、そして最終的に日次・週次・月次といった実業務を想定した総合テストと、範囲を徐々に拡大して行う慎重な進め方が採用された。

成果

オープン化により保守性と処理パフォーマンスが大きく向上

約2年のテストフェーズを、平田氏は次のように振り返る。「新旧のデータが一致しない問題に何度か遭遇しましたが、いずれもTISが開発したJavaプログラムの品質には問題はなく、複数プログラムを走らせる順番に起因するものでした」。ベイシア側はこの問題に対し、旧システムのソースとログを解析し、正しいプログラムの起動順を見出してテストを再試行。プログラムの調整をTISが実施する体制で、新システムの品質確保に取り組んだ。
そして2022年5月、Javaにリライトされた新システムへの本番切替が実施された。それから約半年が経過し、システムの品質の感想をこう語る。「大規模な移行なので、ある程度のトラブルは覚悟していましたが、業務に支障が及ぶような障害はまったく起きていません」(重田氏)。
今回、旧システムの機能をそのまま引き継いだマイグレーションではあるが、「Xenlon~神龍」による最適なJavaコードへの変換で、処理速度の高速化ももたらされた。「以前は12月の繁忙期、店舗の発注が集中してレスポンスが低下し、これが店頭の欠品につながることもありました。移行後は処理速度の低下は起きておらず、今期の年末年始商戦の好調な数字に貢献できたと思います」(重田氏)。
今後の目標を重田氏は次のように語る。「基幹システムをマイクロサービス化したり、外部に別システムを立てるといった、モダナイゼーションがテーマとなります。また、今回は見送った基盤のクラウド移行も、今後の目標となります。TISはオープン化やクラウド化で多くの知見、大規模実績をお持ちなので、今後も協力をいただければと思います」。

お客様の声

重田 憲司氏

株式会社ベイシアグループソリューションズ
執行役員 
ソリューション統括本部 
本部長
重田 憲司氏

平田 稔氏

株式会社ベイシアグループソリューションズ
ソリューション統括本部
オープン化推進部 
部長
平田 稔氏

今回、もし全プログラムを人間が解析しJavaでリビルドした場合、ここまでの精度を同じ期間で実現するのは相当難しかったでしょう。「Xenlon~神龍」の貢献度は、非常に大きかったと思います。
プロジェクトで印象的なのが、コロナ禍のもとで実施した、群馬拠点(旧ワークマン本部)での結合テストです。同拠点の大ホールの中に、十分なソーシャルディスタンスを確保して座席を配置したうえで、メンバーを集めてテストを実施しました。当時、東京からの出張も簡単ではない社会状況でしたが、TISのご担当者には何度も足を運んでいただき感謝しています。

TIS担当者から

鈴木 啓也

産業ビジネス第3事業部
モダナイゼーションビジネス開発部
シニアエキスパート
鈴木 啓也

小売業界を代表するベイシアグループ様の基幹システムを、重大な障害を起こすことなく移行完遂でき、とても満足しています。3年以上にわたって、プロジェクトメンバーが一丸となって作業にあたり、無事にゴールを迎えることができうれしく思います。
TISの「Xenlon~神龍」は、COBOLやPL/1などのレガシー資産からの移行をお考えのお客様に有効な選択肢です。特許技術を取得した独自のメモリキャッシュ機構等により、変換後のオープン環境下のJavaプログラムで、メインフレームと同等以上の性能を実現します。レガシーマイグレーションを検討されているお客様は、お気軽にご相談ください。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

PAGE TOP

サービスに関する資料をご希望の方は、フォームに必要事項を入力いただき、ご送信ください。

資料を請求する

お問い合わせ
各種お問い合わせページ
お問い合わせフォーム
サービスに関するお問い合わせ
お電話
0800-600-9810
携帯電話
050-5816-9805
受付時間 9:00~12:00 13:00~17:00(土・日・祝日を除く)
株式会社ベイシアグループソリューションズ様のケーススタディ(事例)です。TIS Direct Webは、ITソリューションによってビジネス課題の解決策をご提供する情報サイトです。

更新日時:2023年10月4日 23時34分