アズワン株式会社様
「SuperStream-NX」バージョンアップ+クラウド移行を2カ月半で実現。
夜間・休日のCPUオフ運用で、基盤運用コストも抑制。
背景
インボイス制度対応のため「SuperStream-NX」のバージョンアップを計画
アズワン株式会社(以下、アズワン)は、研究者や医療従事者が日常的に使用する商品を中心に取り扱う総合商社。10万点超の商品を収録したカタログや、900万点掲載のWebでオーダーを受け、全国4,700社以上の提携販売店と連携し、商品を速やかにデリバリーする体制を設けている。ビーカーやフラスコのような少量・多品種のロングテール商品から、再生医療研究用の最先端装置まで、多岐にわたる商品ラインナップを強みとする。
同社は、2000年代初頭に会計システム「SuperStream-CORE」(スーパーストリーム株式会社 提供)を導入しバージョンアップを重ねつつ、財務会計や経理業務に利用してきた。そして2022年夏、最新版である「SuperStream-NX 2022-06-01版」へのアップグレードを計画した。
そのきっかけをDX推進部の箱田真一氏はこう説明する。「経理部から、2023年10月施行のインボイス制度に備えて、前倒しで準備したいと要望がありました。そこで、同制度に対応した最新版へのアップグレードを急ぐこととしました」。
経理部では、2022年11月からの新バージョンの運用開始を希望しており、残された期間は約2カ月半。アズワンは「SuperStream-NX」の保守を約5年担当してきたTISをITパートナーとして、アップグレードプロジェクトに臨むことにした。
選択
オンプレミスの作業期間短縮のため、クラウド上のOracle Databaseの利用を発案
スケジュール上の最大の課題となったのが、新バージョン「SuperStream-NX 2022-06-01版」が動作要件としているOracle Database 19cの準備であった。同社はオンプレミス環境において、前バージョンのOracle Database 11gを運用中であり、そのままでは「SuperStream」の新バージョンには対応できない状況であった。「当社はOracle Databaseを利用しているシステムの数が多く、既にその時点で19cへの移行計画はある程度進めていました。しかし、バージョンを上げることによる影響の検証は予想以上の時間を要し、作業は難航していました」(箱田氏)。
このままでは「SuperStream-NX」のバージョンアップに遅れが生じるため、TISとともに代替案を検討。その結果、利用するデータベースを、オンプレミスのOracleDatabase 11gから、オラクルのパブリック・クラウド「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)で提供されているデータベース・サービス「Oracle Base Database Service」を利用してOracle Database 19cへバージョンアップする方法を採用することにした。
「OCIを組み合わせるアイディアは、本件の直前にTISが手がけた基幹系の別プロジェクトが参考になりました。OCIの利用が工期短縮とコスト圧縮をもたらした成功体験が裏付けとなり、今回も同様の手法を採用しようと決断しました」(箱田氏)。
なお、OCIは、Oracle Databaseがライセンスを含めて従量制で利用できる点、アップデートパッチがワンクリックで適用できるなど運用管理が効率化される点、他のオラクル製品との親和性が高い点などが、他社クラウドに対する優位性であった。
開発
アプリケーションのバージョンアップと、クラウド環境構築を2チーム体制で進行
こうして始動したプロジェクトの目標は、クラウドとオンプレミスを適材適所で組み合わせたハイブリッドクラウドのかたちで、最新版の「SuperStream-NX 2022-06-01版」の早期利用を実現すること。
レスポンス重視のアプリケーションについては、社内のオンプレミス環境に残してバージョンアップ作業を実施する。一方、「SuperStream-NX」が利用するデータベースとなるOracle Database 19cをOCI上にセットアップするとともに、会計・財務のすべてのデータの保存先となる基盤をOCI上に構築・移行する。
この、2つの場所での作業を円滑に進めていくため、TISは2チーム体制での同時進行を計画した。「メンバーとして当社システムを熟知した方を多くアサインいただき、技術面での不安はありませんでした。また実際の作業にあたるエンジニアの人的リソースは十分と説明を受け、同時並行の作業も安心して任せられました」(箱田氏)。
なお、オンプレミス環境で実施する「SuperStream-NX」のバージョンアップ作業にあたっては、経理部門の使い勝手が変わらないことを最優先とした。TISでは、事前に経理部門に新バージョンの変更点を説明する場を設けるとともに、ヒアリングした要望に基づき既存アドオンの改修や帳票画面の変更などに取り組んだ。
成果
夜間・休日のCPUオフ運用で、クラウド基盤のコストを抑制
こうして「SuperStream-NX」のアップグレードおよびクラウド化は、計画どおり2カ月半で完了。「経理部門の希望どおりのスケジュールで、アプリケーションのインボイス対応を果たすことができました。既に経理部では制度の本施行に備えて検証がスタートしています」(箱田氏)。
品質面の問題もなく、前システムと同様のパフォーマンス・同じ手順で経理業務を継続できている点は、ユーザー部門から非常に好評だという。
箱田氏は、本件の大きな効果として、Oracle Databaseのクラウド化によるコスト削減を強調する。「OCIでは、データベース・サービスも含めて、リソースを柔軟に増減することでコスト最適化を図れます。たとえば、経理業務が行われない休日や夜間時間帯はCPUを停止する運用を行うことで、24h365d稼働させるより約60%の費用削減ができています」(箱田氏)。
このようにOCIは、クラウド基盤の運用側がコストを見える化しやすいため、「今後もし、社外向け有償サービスを提供するDXを実施するといった場合、マネタイズの考え方も組み立てやすくなるでしょう」(箱田氏)。
最後に、今回のプロジェクトを通じて印象に残っているのは、TISのスピード感だと箱田氏は総括する。「当社ビジネスの根幹は、研究者や医療従事者が必要とするモノを迅速にお届けすること。このスピード重視の考え方に、TISの動きはとてもフィットしていると感じました。同じ価値観を持つパートナーとして、長くお付きあいいただければと思います」。
お客様の声
アズワン株式会社
DX推進部
DX推進グループ
グループ長
箱田 真一氏
これまで、社内システムをOCIと連携させて拡張するにあたり、ITパートナー数社に相談しましたが、TISの対応が最も的確で安心できるものでした。他社事例や、事前設定のための書式を提供してくれたのはTISだけで、多くの知見を持っていると感じました。
今後、ECサイトやDXによる新サービス提供の基盤はOCI、モノの調達や配送を支えるシステムは堅牢なオンプレミスといったように、両基盤を組み合わせていく構想です。最良のシステムづくりに向け、TISからの提案にも大いに期待しています。
TIS担当者から
TIS株式会社
DXビジネスユニット 経営管理サービスユニット
経営管理サービス第3部 副部長
寺本 寛
TIS株式会社
DXビジネスユニット DX営業ユニット
DX第4営業部 主任
田中 梨恵
限られたスケジュールの中で、求められる品質のシステムを構築できたのは、アズワン様とTISの意思がしっかりと噛みあった結果だと思います。箱田様には、ご提案に対し常に的確かつ即時にご判断いただき感謝いたします。
今回アズワン様には、「SuperStream on Oracleデータベースクラウド移行運用サービス」をご活用いただきました。TISは、SuperStreamとOracle基盤の両方の知見に基づき、最短移行かつ低コスト運用の実現をお手伝いいたします。SuperStreamのクラウド化を検討されている企業の皆さまは、お気軽にお問い合わせください。
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