株式会社富士通ゼネラル様
SAP S/4HANA®への移行と同時並行で経費精算クラウド「Spendia」を導入。
社内のプロジェクトマネジメント人材不足の課題をTISのきめ細かな伴走支援で解決。
背景
基幹システムのERP移行を契機に、経費精算機能のクラウドへの切り出しを計画
株式会社富士通ゼネラル(以下、富士通ゼネラル)は、空調機事業を中心として100カ国以上で事業を展開する電機メーカー大手。フィルター自動清掃機能を備えたエアコン「nocria(ノクリア)」シリーズに代表される 、“世界初・業界初”の技術に基づく独創的なプロダクトを世界市場に送り出している。
事業規模が拡大していく中、2010年代から社内基幹業務システムについてはクラウド化を目指し、30年以上基幹業務に利用していたホストコンピュータ(メインフレーム)をERP「SAP S/4HANA®」(以下ERPと表記)に移行する計画に着手した。
DX推進統括部の三輪雄一郎氏はこう語る。「クラウド型ERPへの移行と同時に、ホスト上で稼働していた経費精算システムを、単独の機能としてクラウド化することとしました」。
同社では、国内グループ会社のうち約3,000人が、日常的に経費精算システムを利用して経費申請を行っていた。その流れは、システムからプリントした帳票に領収書を貼り、承認印をもらい経理部門に提出するというもの。「クラウドへの移行で、ペーパーレス化とともにスマホでも申請可能にすることで、社員の手間軽減に期待しました」(財務経理統括部IT推進室 松田保氏)。
また、要件の一つとして、航空券・新幹線乗車券やホテルなど、外部の予約サイトとの柔軟な連携を掲げた。「年間の国内出張は3万件、海外出張は500件。出張者が国内出張であれば各交通系のサイト、海外出張であれば旅行代理店で予約し、人事部で各社のチケット代金を毎日手入力して精算処理を行っていました。クローズドなシステムをクラウド化して外部サイトとの連携の自由度を高め、申請者も人事部も手間が少なくなることを目指しました」(人事統括部人事部 難波美智子氏)。
選択
社内のプロジェクトマネジメント人員が不足する中、TISの導入支援に期待
同社は2021年より、複数のクラウド経費精算サービスを候補として、情報収集を開始した。候補の一つに、TISが提供するACTIONARISEの「Spendia(スペンディア)」が加わった経緯を三輪氏はこう語る。「TISとは以前から業務システムに関する提案で交流があり、営業担当の方に相談したところ『Spendia』を紹介いただきました」。
そして、選出した複数製品の比較検討を実施。「候補の中で『Spendia』は、経費精算に関する十分な機能を備えていることに加え、ノーコードで設定ができ運用の内製化にも最適。さらに、コストパフォーマンスのよさが際立っていました」(三輪氏)。
最終的に「Spendia」を採用した大きな決め手となったのが、TISによる導入支援への期待であった。今回、富士通ゼネラルが他のSIerと協力して進めるERP移行プロジェクトと並行して経費精算のクラウド化を進めることになるため、プロジェクトマネジメント人材不足が危惧されていた。「TISに状況を説明したところ、『Spendia』導入プロジェクトで当社の手が回らないところがあれば、伴走して支援するという提案をいただきました」(IT統括部ERP推進部 鈴木大輝氏)。
TISのプロジェクト支援により、人手不足の課題を回避しつつ、ERPと足並みを揃えた導入の実現性が高まることが期待された。こうして2022年10月、「Spendia」の採用が決定した。
導入
TISとユーザー部門が直接意見交換をしながらプロジェクトを円滑に進行
そして、先行してスタートしていたERP導入プロジェクトに続くかたちで、「Spendia」の導入プロジェクトが開始となった。「TISに託した役割は、たとえばユーザー部門である人事部・経理部のメンバーからの要件ヒアリング。また開発で問題が起きた際、“いつまでにどう対応するのか”という課題管理についても、TISに踏み込んでもらって一緒に考えていただきました」(鈴木氏)。
人事部の旅費精算担当として週次会議に出席した難波氏はこう振り返る。「会議前に“こういう機能はありますか?”“こんな使い方はできますか?”といった質問表を提出。その場で直接TISから回答をいただくことで、スムーズなプロジェクト進行につながったと思います」。
こうしてプロジェクトチームの意識を合わせつつ、TISは「Spendia」の設定やワークフロー構築を進めていった。また、今回の要件の一つであった航空券・新幹線乗車券・ホテルなどの予約サイトと「Spendia」を連携させる開発を実施。申請者が自ら各サイトへ遷移して予約可能にするとともに、利用実績データが後日「Spendia」に自動連携される仕組みも設けられた。
プロジェクトの終盤では、富士通ゼネラルと他のSIerが進めているERPプロジェクトの進捗を見ながら、データ連携の仕組み構築に取り組んだ。
そしてERPが完成に近づいた段階で連携テストを実施。双方のチームがスケジュールをすりあわせつつ、正しくデータ連携ができているかを慎重に確認していった。
効果
基幹系と経費精算を同時にクラウド化することで、あらゆる現場で利便性が向上
こうして2023年10月、ERPと「Spendia」の導入プロジェクトは、ほぼ同じタイミングで完了。本稼働から約半年が経過し、「Spendia」は社員からも好評だという。「ペーパーレス化で、帳票が不要になり、請求書や領収書も電子化されて、PCでもスマホでも申請が簡単にできるようになった点。また、承認者にとっては、以前のようにシステムにログインして承認要請を確認する必要がなく、自動でメールが通知される点が好評です」(松田氏)。
また経理部門においては、保管した紙の証憑を取り寄せる手間がなく、見たい領収書画像が画面で確認できるようになった。加えて、全社から提出される領収書を保管する負担が解消するといった、プラスの効果があらわれている。
三輪氏は、本件におけるTISの役割をこう振り返る。「今回もしTISの支援がなかったとしたら、マネジメント人材不足や、全体のスケジュール遅延につながったかも知れません。いろいろな経費精算クラウドの候補がある中、SIerにしっかり導入を支援してもらえる『Spendia』を選んでよかったと思います」。
また最後に、TISへの期待をこう語る。「ERPと経費精算を同時にクラウド化するというチャレンジでしたが、さまざまな現場で利便性向上の効果が出ており、当社にとって一つのDX事例と言えるでしょう。TISには今後もビジネスパートナーとして、ご協力をお願いしたいと思います」(三輪氏)。
お客様の声
株式会社富士通ゼネラル
DX推進統括部長
三輪 雄一郎氏
株式会社富士通ゼネラル
財務経理統括部
IT推進室長
松田 保氏
株式会社富士通ゼネラル
人事統括部
人事部長
難波 美智子氏
株式会社富士通ゼネラル
IT統括部
ERP推進部
鈴木 大輝氏
「Spendia」はノーコードで柔軟に設定を変えられるので、運用のしやすさでも優れていると感じます。当社では働き方の変化にあわせて、出張費の基準など社内規定の変更も発生します。その際、外部ベンダーに依頼しなくても社内で自ら設定を変更できるのは大きなメリットです。
高度な設定が必要なところはTISに支援いただきつつ、それ以外はセルフセットアップで内製化することで、スピード感を持ち会計DXに取り組んでいきたいと思います。
TIS担当者から
DXビジネスユニット 経営管理サービスユニット
経営管理DX企画部 Spendia事業推進室
セクションチーフ
清水 孝行
お客様が同時進行しているERPプロジェクトの状況が、「Spendia」側のスケジュールや品質に影響することから、両プロジェクト間の調整に注力しました。ERPチームのPMの方と密にコミュニケーションをとりつつ、週次会議の場で、最新の状況や課題を逐次報告して共有するようにしました。両プロジェクトのチームが足並みをそろえることで、無事にカットオーバーを迎えられてうれしく思います。
今後は、日々の業務における“従業員フロント”としての「Spendia」のご利用など、経費精算にとどまらないサービスのご提案をさせていただきたいと考えています。
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