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君津市様

君津市とTISが一致協力してPHRの普及を促進。
スマホで自身の健康・医療情報を管理する「ヘルスケアパスポート」で健康都市づくりを目指す。

*PHR:個人が、自分自身の医療情報や健康情報(バイタルデータ)を一元管理する仕組み。パーソナルヘルスレコードの略。

君津市様

背景

将来にわたって地域医療のサービスの質を向上させるためPHRに着目

房総半島のほぼ中央に位置する千葉県君津市は、2011年に「健康都市宣言」を掲げ、誰もが健康で安心して暮らせるまちづくりに取り組んでいる。君津市の統括参事 中村文明氏はこう語る。「少子高齢化が急速に進む中、限りある地域の医療資源を効率的に活用して健康寿命を伸ばし、病気を予防する取り組みがますます重要になっています」。
君津市の石井宏子市長は、就任前の障がい福祉との関わりの中で「PHR」Personal Health Record(パーソナル・ヘルス・レコード)のコンセプトに出会った。これは、各医療機関が保有する個人の医療情報や、日々記録する血圧や体温などのバイタルデータを自らが一元管理する仕組みの総称。石井市長は2018年に就任してから、地域医療における可能性を模索していた。
そして、君津市はPHRの普及促進に向けて動き出した。きっかけは、2022年から君津市においてスタートした官民連携で新事業を実証する制度K-SIPへのTISの応募。その提案内容は、同社のPHRアプリ「ヘルスケアパスポート」を軸として地域医療連携を図る事業モデルであった。
これは君津市の構想に合致する提案であるとともに、TISには企業としての信頼性の高さも感じたと中村氏は振り返る。「クレジットカードの決済基盤など重要なインフラを担っている会社。個人情報を扱う際のセキュリティが担保でき、医療機関や市民に安心してお勧めできると感じました。また、ヘルスケアパスポートは君津市との関係が深い千葉大学病院との協業開発である点も、大きな安心材料でした」。
審査の結果、TISの提案は採択され、2022年10月から実証プロジェクトを実施する運びとなった。

※K-SIP:君津ソーシャルイノベーションプラットフォーム。新たなビジネスモデルの実現・社会実装を目指す民間企業等と、その支援者となる君津市を結ぶ窓口。

普及

医療機関や薬局を訪問してヘルスケアパスポート導入施設を拡大

実証プロジェクトの最初の目標となったのは、できるだけ多くの医療機関・薬局にヘルスケアパスポートを導入してもらうこと。君津市はまず、地元の医師会や薬剤師の部会の場で、PHRのコンセプトや導入メリットを説明していった。「アプリを利用する本人の同意があれば、基幹病院で診察・検査した結果を他の医療機関が共有できるようになり、症状の申告をすることなく、速やかな処置が可能になる点をアピールしました。また、市長が説明会に出席したことで、普及に向けた市の“本気”が伝わったのではと思います」(中村氏)。
加えて、医療施設との間の信頼関係が、耳を傾けてもらえる下地になったと、健康づくり課の入江秀臣氏は説明する。「コロナ禍でワクチン集団接種を実施した際、医師の方々と何度も話し合い、危機に臨みました。ほとんどの医師の方と顔見知りになり、今回のプロジェクトでは“市がそれほど言うなら協力する”という声もあがっています」。
そして、興味を示した医療機関や薬局に対しては、後日に面談の機会を提供いただけるよう依頼した。「基幹病院には、我々とTISが一緒に面談の現場に参加することでスムーズにご案内できました。市役所のチームは少人数ではありますが、市内医療機関約70のクリニックや薬局への展開を目標としています」(中村氏)。TISは、地元をよく知る医薬品卸売の会社や医薬品検査会社の営業活動への同行や情報展開を行いつつ、並行して協力事業者とともに訪問・説明を実施した。
こうした地道な活動の結果、市内に4つある大規模な病院のうち2施設がヘルスケアパスポートを導入。加えて、クリニックと薬局あわせて10施設への導入も実現した(2024年4月現在)。「TISには『市の健康づくり推進に対してここまで熱心にやってくれるんだ』と感謝しかありません。我々が最初の道筋をつくり、TISにエリアで推進するためのリード役をお願いするというチームの連携で、さらなる導入施設拡大に取り組んでいます」(中村氏)。

浸透

TISが地域にしっかり根を下ろしアプリ普及促進に取り組む

こうして医療施設への導入に取り組む一方、市民に向けたスマホアプリの勧奨がスタートした。「知っていただきたい一番のメリットは、自身の診療・健診結果や薬の処方の履歴をいつでもどこでも確認でき、家族とも共有できる点。また提携医療機関に情報を共有すれば、より適切な医療が受けられることにつながる点をご理解いただきたいと考えました」(中村氏)。
市民への周知活動では、TISが君津市用に作成したオリジナルのチラシを活用。君津市がこのチラシを各世帯へ配付するとともに、TISは医療機関や薬局の窓口へのチラシ設置を依頼、市民への認知度アップを図った。
また、市民が参加するイベントの場でも情報提供を実施。民間主催の子育て世代向け交流イベントで、TISがヘルスケアパスポートを紹介したところ、参加者約60名がアプリをインストールする効果が得られた。
健康づくり課の杉谷佳昭氏は、TISの地域に根を下ろした周知活動のエピソードを紹介する。「市民の方から『インストールがうまくいかない』と連絡があったとき、すぐにTISの担当者がご自宅に向かってくれました。これがきっかけで親しくなり、今ではカフェで一緒にお茶をすることもあるそうです。さらに、その方が自身のSNSでヘルスケアパスポートを紹介してくれるという好循環も生まれています」。

目標

一生涯の医療履歴をアーカイブすることで、安心して暮らせるまちづくりを

実証プロジェクトから本事業化へと進んだ今、君津市はヘルスケアパスポートの活用モデルとして “子どもの生涯にわたる医療情報アーカイブ”を構想している。「訴求対象は子育て世代の方です。最近、幼少期のはしかなどの予防接種記録を把握できないことが社会課題となっていますが、ゼロ歳からの医療履歴をデジタルで残せれば、このような不安もなくせます。お子さんが成人を迎えた際に、親御さんが医療データをプレゼントするといった利用シーンも考えられます」(中村氏)。
また、健康づくり課が検討中の別の活用法について、入江氏はこう説明する。「たとえば、保健師が市民一人ひとりの体調や既往症に応じて、健康診断受診をアドバイスするといった使い方。このように、データを利用して“健康診断を受ける”“運動・ウォーキングする”といった行動変容を促すことができれば、健康づくりに貢献できるはずです」(入江氏)。
2023年11月には、ヘルスケアパスポートの新機能として、マイナンバーに紐づく各種情報を一元管理する「マイナポータル」との情報連携が可能になった。マイナポータルでは健康保険を利用した診療・健診・薬剤情報の閲覧が過去3年に限られているが、ヘルスケアパスポートに取り込むことで期間制限なく閲覧可能になる。
杉谷氏は、この連携への期待をこう語る。「現在はヘルスケアパスポートの導入施設が限られている状況ですが、未導入の施設を利用した場合でも、保険医療や保険調剤の情報を取得して記録を残せます。利便性は大きく高まり、普及を後押しする魅力の一つとして期待しています」。
最後に中村氏は、君津市の将来の目標をこう語る。「高齢者にスマホが普及しつつあること、医療情報のデジタル化が進んだことで、PHRを普及促進させる前提条件がようやく整いました。そのためのツールとしてヘルスケアパスポートは最適な機能を備えていると思います。今後もTISとしっかりタッグを組んで “生涯にわたって君津市に住んでよかった”と言ってもらえるまちづくりに取り組んでいきます」(中村氏)。

お客様の声

中村 文明氏

千葉県君津市
統括参事
(地方創生担当)
中村 文明氏

入江 秀臣氏

千葉県君津市
健康こども部
健康づくり課
課長
入江 秀臣氏

杉谷 佳昭氏

千葉県君津市
健康こども部
健康づくり課
副課長
杉谷 佳昭氏

君津市は、近隣の袖ケ浦市・木更津市・富津市と一つの医療圏を構成しており、隣接市の基幹病院に通院している君津市民は少なくありません。そのため、4市が足並みを揃えてPHR普及促進に取り組むことが大切になると考えています。同じPHRの仕組みで統一すれば、医療圏のどの施設でも同じ情報を共有できる地域医療連携で、医療サービスの向上・効率化が期待できます。
既に昨年から、4市が集まる会議の場で、君津市のPHR普及の取り組みと進捗を報告しています。君津市としては、引き続きTISとしっかり連携し、ヘルスケアパスポートによる成功モデルを早期に確立し、近隣3市に協力を呼びかけていきたいと考えています。

TIS担当者から

中村 太一

TIS株式会社
デジタルイノベーション事業本部 ヘルスケアサービス事業部
ヘルスケアプラットフォームサービス部 セクションチーフ
中村 太一

首長である石井市長のリーダーシップのもと、君津市のみなさまとTISが一丸となって共走し、PHR普及の確かな手応えを感じ始めています。
最初の準備段階で、市長も参加いただいて医師会や薬剤師会への説明会を実施しご理解を得られたことが、その後のスムーズな訪問説明につながったと思います。
市民の方にお会いして説明した際、年齢に関わらずご自身の健康・医療情報への高い関心が伺え、事業推進の励みになりました。
直近の目標としては、君津市役所様の協力のもと、君津医療圏内の三次救急病院および基幹病院へのヘルスケアパスポート導入。そして地域住民へのさらなるアプリ普及に注力していきたいと思います。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

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更新日時:2024年7月26日 11時4分