株式会社パル様

AIによる骨格診断で “似合うファッション” 選びをサポート。
新しい購買体験の提供で、顧客満足度を向上。

株式会社パル様

背景

ファッション選びの新しいメソッドとして定着した「骨格診断」

株式会社パル（以下、パル）は、10代〜30代をメインターゲットとした「CIAOPANIC TYPY（チャオパニックティピー）」、「Kastane（カスタネ）」など数多くのアパレルブランドを展開。近年は生活雑貨にも注力し、300円の雑貨で人気の「3COINS（スリーコインズ）」も急成長を続けている。
同社の販売チャネルは、全国900以上の店舗と、自社ECサイト「PAL CLOSET」を2軸としている。2016年頃より取り組みを始めた、店舗スタッフ自らがSNS（Instagram、WEAR等）でスタイリングやコーディネートの情報を発信するマーケティング手法が、集客・売上増を牽引。「現在では約1,800人の店舗スタッフが個人アカウントで情報発信し、総フォロワー数は1,500 万人を超えています。店舗スタッフの趣味や好みに対するお客様の熱い“共感”を獲得することが、当社成長の原動力となっています」（取締役専務執行役員堀田覚氏）。
同社は2021年頃より、ファッション好きの人の間でトレンドワードとして急上昇していた「骨格診断」に注目した。これは、一人ひとりの身体の質感やラインの特徴から、ストレート／ウェーブ／ナチュラルの3つの骨格タイプを判定し、似合うファッションアイテムやコーディネートを導き出すメソッド。
骨格診断への関心の高まりを受け、パルは設問に答えて骨格タイプを判定するチャート式診断のコンテンツをサイト上に開設した。その後も骨格診断は一過性のブームで終わることなく、ファッション選びの常識として急速に定番化が進んでいった。「そこで、従来のチャート式診断よりも一歩進んだ骨格診断を提供して、お客様にもっと喜んでいただきたいと考えるようになりました」（堀田氏）。

選択

写真を送ると5秒で診断結果が分かる「AI骨格診断サービス」を採用

2023年春頃、パルはTISがアパレル業向けに「AI骨格診断サービス」の提供を開始したという情報をキャッチした。これは、ユーザーが自分の全身をスマホで撮影し、正面・背面・右手など5枚の写真を送信すると、AIが骨格タイプを判定して約5秒で結果を画面表示する仕組み。本サービスは、TISのファッション関連プラットフォーム「NIAiNO（ニアイノ）」のサービス群のひとつとして提供されている。
同サービスをレビューした第一印象をWEB事業推進室の渡辺早矢香氏はこう振り返る。「従来のチャート式診断では、自分の手首が細い／太いといった選択肢を選ぶ際、判断基準が分かりづらいという声がありました。AI診断なら写真を送信するだけで済み、ご自宅で手軽に診断できるので、お客様にとって使いやすいサービスだと思いました」。
SaaS型であり、サービス導入効果の測定から機能改良などPDCAサイクルを迅速に回せる点も、パルが求めるスピード感にフィットしていた。
本サービスは、骨格診断の提唱者である株式会社アイシービーの二神弓子氏が監修を担当している。豊富な経験・知識をAIの教師データとすることで、高い診断精度が実現した。
総合的なサービス品質の高さを評価し、パルは、PAL CLOSETでのトライアル導入を決定。2023年9月から3カ月、一般公開する運びとなった。

導入

骨格診断を起点とした購買モチベーション向上の導線を構築

トライアル導入にあたり、パルは骨格診断にとどまらず、この診断を起点として、“自分に似合う”商品に出会える導線を検討。診断結果の画面には、同じ骨格タイプを登録している店舗スタッフを一覧表示し、すぐにSNSへアクセスできるようにした。「自分と同じ骨格タイプの店舗スタッフが、どんなファッションの悩みを持ち、どうコーディネートを工夫しているのか。それを参考にして、お買い物をより楽しんでいただきたいと考えました」（堀田氏）。
また、診断結果画面には、パルが骨格タイプ別にセレクトしたお勧め商品も表示し、ダイレクトに商品を購入できるようにした。
トライアル期間中に診断を利用したユーザーは約2,500人。「アンケートでは“自分の骨格タイプがすぐに分かってよかった”という声も多く、お客様ニーズにあったサービスという手応えが得られました」（渡辺氏）。
また、トライアル期間のデータ分析結果について、堀田氏は次のように振り返る。「診断を利用された方は、購買に至ったコンバージョン率の数値が平均で約2割上昇していました。購買のモチベーション向上にどこまで寄与できたかまでは数値化できませんが、導入効果を裏付ける明確な材料になりました」。
こうしてトライアルの検証を経て、約半年後の2024年4月から、再びAI骨格診断サービスを提供することを決定。似合う商品選びをサポートするパルの新コンテンツ「PAL NIAU AI」のメニューのひとつとして、PAL CLOSETで公開された。

効果

デジタル技術を活用してユーザーに“心地よい体験”を提供することを目指す

AI骨格診断サービスの導入メリットを堀田氏はこう言う。「自分に本当に似合うファッションが分からず悩んでいるお客様は多いと思います。スピーディーな診断とともに、同じ骨格タイプの店舗スタッフのSNSを参考にしながら、気持ちよくお買い物を楽しんでいただけるようになりました。これまで、自分に似た店舗スタッフを探す条件は『身長』が一番でしたが、『骨格』がこれに並ぶ鉄板の要素になったと感じます」。
将来的な、NIAiNOの進化への期待もこう口にする。「時代の変化に合わせて、求められる診断メソッドが変わっていく可能性があります。そういった顧客ニーズの変化にもタイムリーに対応いただき、一人ひとりに似合う商品をご提案できるよう進化することを期待しています」（渡辺氏）。
今後は、骨格診断に限らず、デジタルを活用した新サービスを積極的に提供していきたいと堀田氏は意気込みを語る。「ブランドやECサイトはたくさんの選択肢があり、その中からPAL CLOSETを選んでいただくには“自分のことを知ってくれている”という心地よい購買体験・接客体験の提供が何より大切。今後もTISと協力して、さまざまな接点で集めたお客様の特性に合わせて、きめ細かなおもてなしができる仕組みづくりにトライしていきたいと思います」。

お客様の声

株式会社パル
取締役専務執行役員
WEB事業推進室室長
コミュニケーションデザイン室室長
堀田覚氏

株式会社パル
WEB事業推進室
SNSデータアナリスト
渡辺早矢香氏

これまでの骨格診断は、専門家の対面診断や、チャート式のセルフ診断など手段が限られていました。お客様の手間を軽減できること、さらに精度の高さという点でAIは非常に有効であり、今後の新しいサービス開発を支える技術として積極的に挑戦したいと思っています。
骨格診断のご利用にあたり、氏名やメールアドレスといったお客様情報を登録しないと診断できない仕様でした。今回、当社からの追加要望により、そうした情報を登録しなくても診断できるように改修いただきました。よりお客様の使いやすいサービスづくりのため、TISには柔軟な対応をいただき感謝いたします。

堀田様、渡辺様インタビュー動画

TIS担当者から

TIS株式会社
デジタルイノベーション事業本部
エンタープライズサービス事業部
エンタープライズDXサービス企画部　チーフ
山口　尚宏

TIS株式会社
デジタルイノベーション事業本部
エンタープライズサービス事業部
デジタルマーケティングサービス第2部シニアアソシエイト
常増　誠

パル様の「お客様にとってうれしいこと」を提供したいという真摯な姿勢が、とても印象に残っています。診断ご利用者へのアンケートで、満足度が高いという結果が出ていることもうれしく思います。
TISの「NIAiNO（ニアイノ）」は、AIを活用した高度なファッション提案により、集客から販促、さらにデータ利活用までつなげられるプラットフォームです。
今後は骨格タイプ以外の身体特性や趣味嗜好、購買行動の特性などのデータも組み合わせて利活用できる多機能ツールへと発展させる予定です。これにより、EC上でのより的確なレコメンドや、店頭でのパーソナルで心地よい接客を実現し、お客様のロイヤリティ向上や新しいブランドの出会いをお手伝いしたいと思います。

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