愛知製鋼株式会社様
法対応を契機に経理部門自らが主導し経費精算をクラウド移行。
「Spendia」導入とTISの伴走支援で、会計DXの第一歩を踏み出す。


背景
経費精算のペーパーレス化に向け、クラウドサービスへの移行を計画
愛知製鋼株式会社(以下、愛知製鋼)は、トヨタグループ唯一の素材メーカーとして1940年に創立。特殊鋼やステンレス鋼などの開発から鍛造品生産まで「鍛鋼一貫」の体制で、自動車の軽量化・高性能化に寄与するさまざまな部品を送り出している。
同社は2000年代初頭より、ホストコンピュータ上のスクラッチ開発したシステムで、社員の経費精算に対応してきた。対象ユーザーは、愛知県東海市の本社をはじめ、国内3営業拠点・5生産拠点に従事する約2,700人。同社の経理部は2022年半ば、このシステムからクラウド型経費精算サービスへ移行することを決定した。
クラウド化の背景を経理部経理室の田之内基晴氏はこう説明する。「一番の理由は2024年1月施行の改正電子帳簿保存法です。電子取引で受領した領収書等の電子データ保管が完全義務化されるのを機に、通常の経費精算でも紙の領収書等を電子化したいと考えました」。既存システムを改修する方法は時間・コストを要することから、クラウド移行が最良の手段であると判断した。
この取り組みは、愛知製鋼として初めて、経理部が自らクラウドサービスの導入から運用までを主導するというもの。「当社の間接部門におけるDXの第一弾となるものです。そもそもDXは、ユーザー部門が“ほしい仕組みを自分たちで導入する”ことに意義があると思います。今回の導入は極力IT部門に頼らずに、我々が主導でプロジェクトを進める方針としました」(田之内氏)。
選択
ノーコード設定が可能で、導入後の保守性にも優れる「Spendia」への期待
田之内氏を中心とする経理部チームは、クラウド型経費精算サービスの候補をピックアップし、3製品に絞り込んだ。ITパートナーの一社であるTISから紹介を受けたACTIONARISEの「Spendia」もその一つ。比較検討の結果「Spendia」を選択した理由を田之内氏はこう説明する。「コストパフォーマンスのよさに加え、ノーコードで設定ができる点を評価しました。運用開始後、会計ルールを変更する場合など、プログラミングのスキルを必要とせず設定変更できる保守性の高さに魅力を感じました」。
また、国内ベンダーのTISが提供するサービスであり安定した品質が期待できる点と、導入支援の体制が充実している点も、チームの評価を集めるポイントとなった。「経理部主導でクラウドサービスを導入するのは初めての経験です。電子帳簿保存法の改正は約半年後で、スケジュールはかなりタイト。しかし、TISの支援によって、不安なく目標を達成できると思いました」(田之内氏)。
こうして2023年5月に「Spendia」の採用が決定。2024年1月の改正電子帳簿保存法と同時スタートを目指し、プロジェクトに着手した。
導入
IT部門の力に頼ることなく経理部初の会計DXを完遂
「Spendia」導入にあたっては、まず経理部からの要望と社内規定に基づいて要件定義を実施。それをもとに、TISが「Spendia」の設定と承認ワークフロー構築を進めていった。
全社で利用を始める1カ月前には、経理部が説明会を実施。「オンライン参加と現地参加を併用したハイブリッド形式での説明会を4回開催し、実際に『Spendia』に触れてもらい意見を募りました。それに対する細かな会計ルールの反映やUIの微調整などをTISにお願いし、使い勝手をブラッシュアップしました」。また、TISが提供した簡易マニュアルをベースとする基本操作マニュアルも作成し、電子ファイルを配布した。
こうして、改正電子帳簿保存法の施行と同時に「Spendia」の全社利用がスタート。通常はIT部門が担当するユーザーサポート業務も、経理部自らが実施することとした。「自分たちが選んだサービスなので、サポートの責任を果たしたいという思いがありました。最初の1~2カ月は、申請手順の質問が多く寄せられましたが、今では1日数件程度に落ち着いています」。
「Spendia」による経費申請では、当初の目標どおりペーパーレス化が果たされている。社員が紙で受領したレシート・領収書・請求書を複合機でスキャンあるいはスマホで撮影。そのデータを添付して「Spendia」上で経費伝票を作成し申請する。申請後はワークフローで定めた承認者への自動送信を経て、経理部へ情報が渡される手順となる。
効果
TISの継続的なサポートで「Spendia」運用保守の負荷を軽減
「Spendia」の利用開始から約3カ月が経過。領収書等のペーパーレス化により、社員の申請の手間軽減、経理業務の効率化の効果を実感しているという。「電子データにした領収書等をOCR解析し、店舗名・商品名・金額などを自動入力することも可能です。この機能の利便性が徐々に知られるようになり、誤入力の防止にも役立っています」(田之内氏)。
間接部門として初のDXを経験した感想を田之内氏はこう語る。「一貫して経理部主導で進めたプロジェクトなので、必ず成功させなければという責任感を感じていました。TISの支援で、改正電子帳簿保存法の施行に遅れることなくリリースでき満足しています」。
また、「Spendia」の保守性については、こう感想を口にする。「申請画面に新たな入力欄を追加するといった細かな変更はノーコード設定が可能なので、経理部内で完結できます」(田之内氏)。より複雑な条件を設定する際は、TISに質問することで、IT部門の力を借りることなく保守が可能になっている。
最後に、TISへの期待を田之内氏はこう語る。「2024年4月からの新年度も、TISには今よりライトなかたちでの支援継続をお願いしています。今後も、経理部のDXのパートナーとして支えていただくことを期待しています」。
お客様の声

愛知製鋼株式会社
経理部 経理室
田之内 基晴氏
TISの導入支援は、Webミーティングやメール・電話など、ほぼリモートで行われたため、時間・場所に縛られることがありませんでした。問い合わせに対する迅速なレスポンスにも感謝しています。TISの担当者は会計業務の知識に長けており、スムーズにコミュニケーションができたと思います。
TISとは既に、新しいシステムについて相談が進行中で、DXのパートナーとして大いに期待しています。
TIS担当者から

TIS株式会社
デジタルイノベーション第2営業部 チーフ
鹿島 章義
今回、無事サービスインを迎えられ安定稼働していることは、担当営業として非常にうれしく感慨深い気持ちです。これも、経理部の皆様の本プロジェクト成功への熱意と責任感があってこそだと思います。特に、中心メンバーの田之内様には、日々の業務と並行したプロジェクト推進、そしてサービスイン後の安定稼働に至るまで、ご尽力いただき感謝いたします。
Spendiaは継続して機能強化や業務領域を拡大しているTIS独自のサービスです。今後もお客様からのご意見・ご要望にお応えし、Spendiaのさらなる成長につなげていきたいと思います。
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