株式会社明電舎様
DRサイトのOracle Exadata Database Machineをクラウドサービスへ移行。
オンプレミス環境の維持コスト50%削減を実現。

背景
2つのオンプレミス環境の維持にかかる高額なコスト削減を目指す
株式会社明電舎(以下、明電舎)は、電気・鉄道の電力インフラや、水のろ過・処理システムなど、社会のライフラインを支える重電メーカー大手。加えて、国内トップシェアの自動車試験装置(ダイナモメータシステム)や、電気自動車のモーターなど「電気」に関わる事業を幅広く展開している。
同社は、売上や納入実績データを蓄積・管理するデータウェアハウス(DWH)強化のため、2017年に初めてOracle Exadata Database Machine(以下、Exadata)を導入した。「設置場所はメインの西日本にあるデータセンターです。ExadataをDWHとして運用開始した後、10以上の業務システムもこのExadataに乗り、基幹業務を支える統合DB環境となりました」(DX推進本部 天野純一氏)。
その後、サブの東日本データセンターに2台目のExadataを導入し、災害・障害に備えるDRサイトを構築、BCP対策の強化を図った。
この、2台のExadataを運用するコスト面の課題を同部の小出光浩氏はこう説明する。「2つのデータセンターでそれぞれ、5年ごとのExadata更改費用、そして月々のデータセンター維持費用が必要です。次の保守期限を迎えるまでに、このコストの課題を改善したいと考えていました」。
そこで同社は2021年末から、クラウドを組み合わせることを視野に入れ、次世代のネットワーク構成の検討をスタートした。
選択
データベースサービスをパブリッククラウドで提供するExaDB-Dを採用
検討は、オラクル製品の豊富な知見を持つTISの協力のもと進めることとなった。「既存の2台のExadataも、TISの導入支援によるもの。その際に、当社のエンジニアを対象に、Exadataのチューニング方法や、性能評価の実施方法などの勉強会も開いていただき、データベースに関する知識と技術力に大きな信頼を寄せていました」(小出氏)。
意見交換を重ねた結果、基幹業務に影響が及ぶリスクを考慮して、西日本データセンターの本番環境はそのまま継続し、東日本データセンターのDRサイトのみを見直し対象とすることとした。
そして、既存のExadataを継続する選択肢も残しつつ、Exadataをクラウドサービスに変更する複数の案を比較検討。品質・コスト・運用面などで条件を満たしていたのが、「Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure」(以下、ExaDB-D)による新DRサイト構築であった。このExaDB-Dは、Oracle Databaseを含むExadataを、パブリッククラウド「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)のサービスとして提供するもの。
検討案の中には、オラクル社がプライベートクラウドを提供する「Oracle Exadata Cloud@Customer」(ExaCC)もあったが、データセンターコストがかかり、コスト削減効果が小さいため、採用が見送られた。
こうして、本番環境は既存のオンプレミス、DRサイトはOCI上のExaDB-Dという、ハイブリッドクラウド型の構成を目指すことが決定した。
導入
運用までをトータル支援するTISの「Oracle Exadata クラウドマイグレーションサービス」を活用
2022年5月からスタートした本プロジェクトは、TISの「Oracle Exadata クラウドマイグレーションサービス」を利用して進行の円滑化が図られた。このサービスは、オンプレミスのExadataをOCI上のExaDB-Dへ移行するために必要な、コンサルティング・移行支援・運用保守をTISがワンストップで提供するもの。
プロジェクトでは、OCI上のExaDB-Dの環境構築をTISが担当し、本番環境からの接続先を東日本データセンターからExaDB-Dに変更する役割を明電舎のチームが担った。
約6カ月にわたるプロジェクトの終盤では、新DRサイトの運用保守体制について話し合いが行われた。「ExaDB-Dは定期的なセキュリティパッチの自動適用で最新の状態に保たれますが、その際にユーザー企業側で保守作業が必要になると想定されました」(小出氏)。
具体的な作業は、パッチ適用後にサーバが再起動した際、本番環境/DRサイトを同期させるOracle Data Guardを起動し、リアルタイムの複製を確実に継続させるというもの。
「そこでTISに、こうした定期的なイベント時の保守作業を中心に、パフォーマンス改善のための継続的な支援についてもお願いすることにしました」(同部 福地智子氏)。
そして2022年12月、DRサイトは従来の東日本データセンターのオンプレミス環境から、OCI+ExaDB-Dで構築したクラウド環境へと切り替えられた。
効果
DRサイトとしての安定性を維持しつつ、維持コスト約50%削減に成功
DRサイトをクラウドへ移行したメリットを小出氏はこう語る。「BCPの安全性のレベルを下げることなく、コストを抑制できたことに最も満足しています」。具体的な効果として、オンプレミスのExadataを継続した場合と比べて、データセンターの年間費用等を約半分に削減することに成功した。
なお、ネットワークの遅延などのクラウド移行による影響はないと小出氏は評価する。「DRサイトはバックアップ用途だけでなく開発環境としても利用していますが、どの拠点からもレスポンスの低下はなく快適に接続できています」。
また福地氏は、TISが運用支援の一環として実施している、定期的な性能評価のメリットをこう語る。「西日本の本番環境とクラウドのExaDB-D間のデータ転送量を、日次や月次で視覚化したレポートをいただいています。突発的な転送量増加が予測しやすくなり、ネットワークの帯域を拡大するといったプロアクティブな対応に役立っています」。
今後のクラウド活用の方針について、天野氏はこう語る。「当社の業務システムの大半は、西日本と東日本のデータセンターに置いたサーバの仮想化基盤で運用しています。基盤を変えることでコスト削減/保守の手間軽減が見込めるシステムは、OCIへの移行が選択肢になっていくでしょう。今後もTISには、クラウドシフトの計画から運用面まで、明電舎をよりよくするためのご提案をお願いしたいと思います」。
お客様の声

株式会社明電舎
DX推進本部
デジタル化推進部長
天野 純一氏

株式会社明電舎
DX推進本部
デジタル化推進部 基盤技術課
専任部長
小出 光浩氏

株式会社明電舎
DX推進本部
デジタル化推進部 基盤技術課長
福地 智子氏
TISには、データセンターにおける仮想化基盤の運用についても長年ご協力いただいており、当社の業務を最も熟知したITパートナーであると感じています。今回のプロジェクトも、技術面でしっかり支えていただき、無事にExaDB-D上の新DRサイトへスムーズな移行ができました。
将来的には、現在データセンターの物理サーバ上にある仮想化基盤についても、クラウド移行することが最終目標になると思います。本プロジェクトはそのための第1ステップであり、無事に完遂できたことは大きな成果です。
基幹業務のクラウド移行は、品質面・安全面でさまざまな技術課題を乗り越える必要がありますので、TISに継続的に相談をさせていただければと思います。
TIS担当者から

TIS株式会社
デジタルイノベーション事業本部 サービスプラットフォーム事業部
サービスプラットフォーム第3部 エキスパート
池谷 有理
明電舎様には、2017年にオンプレミスのExadata導入をお手伝いして以来、運用支援も承っています。これまでの経験で得た、データベースに求められるシステム特性への理解と、明電舎様のエンジニアのみなさまの優れた技術力があってこそ、プロジェクトを円滑に推進できたのだと思います。
今回の明電舎様と同様に、オンプレミスのExadataをクラウド移行したいというお客様ニーズは確実に高まっています。クラウド移行はメリットにばかり目が行きがちですが、運用面などで留意すべきポイントもあります。TISは、Exadataクラウド化の計画立案・移行支援、そして運用までトータルでご支援いたしますので、お気軽にご相談ください。
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