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パイオニア株式会社様

業務全般を支えるVMware仮想基盤を短期・確実にクラウドリフト。
“L2延伸”技術で、現行のIPアドレスの継続使用を実現。

パイオニア株式会社様

背景

基幹業務の基盤を短期・確実にクラウド移行する高難度ミッション

パイオニア株式会社(以下、パイオニア)は、カーエレクトロニクス事業を主軸としつつ、近年は“コト”の価値を提供するAIプラットフォーム事業等も展開。全社的にシステムを順次クラウド化するという戦略により、多様化する事業への柔軟な対応を目指している。
しかし、社外のコンシューマ向けサービスでSaaS化が先行する一方、基幹業務や社内ポータルなどの業務システム群は、データセンター仮想基盤ハードウェアへの依存が続いていた。加えて、オフィス文書や図面の保管に利用する約40TBのストレージ(NetApp)も、同じくオンプレミス環境に置かれ、容量拡張が限界を迎えていた。
そのため、2023年半ばからこれらレガシーなITインフラのクラウド移行計画を本格化した。情報システム部の有馬健二氏はこう振り返る。「仮想基盤およびストレージのハードウェアが2024年春から順次保守終了となるため、残された期間は実質1年弱。クラウド移行は時間との戦いでした」。理想は、移行と同時に各システムをクラウドネイティブ化する“シフト”であったが、すべての業務システムの構造を検証し再設計する時間が絶対的に不足。情報システム部の吉田和久氏は「そこで、業務システム基盤が使えなくなる事態を回避するため、まずは既存環境をそのままクラウド移行する“リフト”で猶予期間を確保する現実的なアプローチを選択しました」と説明する。
こうして目標に定められたのが、計162台の仮想マシンが稼働するVMware基盤とストレージを、実質8ヵ月という短期間でクラウドへ移行する計画だ。「タイトなスケジュールに加え、既存システムへの影響を最小限に抑えて、確実に進める必要があり、極めて難易度の高いミッションでした」(有馬氏)。

選択

クラウド移行後もIPアドレスが変わらない「L2延伸」の技術的優位性

まずパイオニアは、業務基盤の移行先として、VMware仮想基盤をそのままアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行できる「VMware Cloud on AWS(VMC)」を選択。同様にNetAppの移行先として、AWS上で提供されるクラウドストレージ「Amazon FSx for NetApp ONTAP(FSxN)」を選定した。
そして2023年後半、プロジェクトを託すパートナー選定を実施。TISの提案は、複数候補の中でさまざまな点で際立っていたと吉田氏は振り返る。「TISは、当社の主要な採点基準『実行力』『問題回避能力』『実行体制』の3点で傑出していました。まずは“リフト”を短期間で成功させ、次のステップの “シフト”へ進むという、当社のクラウド戦略の全体像を理解したうえでの具体的提案には、非常に説得力がありました」。
今回、パイオニアの最大の目標は、短期間でのクラウド移行の実現。そのために、“仮想マシンのIPアドレスを変更しないこと”を条件に加えていた。「IPアドレスが変わると、各システムの管理者は多くのネットワーク設定変更や連携テストが必要になり、予期せぬトラブルにもつながりかねません。IPアドレスを継続利用することは重要度の高い条件でした」(吉田氏)。
この難題に対して、TISはオンプレミスとクラウドを同一ネットワークとして扱える「L2延伸」技術の活用を提案した。「過去にL2延伸で大規模プロジェクトを成功させた実績。加えて、通信の輻輳リスクを回避するため専用線を新設するという、安全性を重視したネットワーク設計も盛り込まれていました。経験に裏打ちされた提案は、さすがだと感じました」(吉田氏)。
こうして、技術的な実現性と、パイオニアのクラウド戦略に対する深い理解度が総合的に評価され、TISがパートナーとして選定された。

導入

高度な技術力と“寄り添う姿勢”で、困難なプロジェクトを確実に推進

実際にプロジェクトが始まると、TISのプロジェクト推進力の高さが際立っていたと吉田氏は振り返る。「特にプロジェクトリーダーの方は、我々が伝えきれていない要求を会話の中から巧みに引き出す、ファシリテーションのスキルが非常に高い。当社のシステムの背景を深く理解しようとする姿勢、我々に寄り添う姿勢をありがたく感じました」。また、DXシステム部の岩﨑徹氏は「当初予定に含まれていなかった要望に対しても『無理です』と一蹴するのではなく、何とか歩み寄ろうとしてくれたことが印象に残っています」と続ける。
162台に及ぶ仮想マシンの移行は、各業務システム単位でグルーピングされ、効率的に進められた。「たとえば、ある業務システムを構成する仮想マシンはまとめて同日に移行することで、管理者が移行の準備や検証で何度も手間をかけることがないよう配慮しました」(吉田氏)。
有馬氏は、TISの総合的なプロジェクト遂行力についてこう評価する。「クラウドやネットワークに関するナレッジが非常に豊富で、各分野の有識者が的確にアサインされていると感じました。大規模なプロジェクトなので、停滞しかけた時もありましたが、常に親身になって対応してくれたのが印象的です」。
こうしてVMware基盤とストレージをAWSへ移行するプロジェクトは、予定通り約8ヵ月という短期間で無事完了した。

効果

“インフラの崖”を回避し、今後のクラウドネイティブ化に向けて大きく前進

本プロジェクトの成功でもたらされた成果のひとつが、事業継続を脅かす“インフラの崖”を回避できたことだ。有馬氏は「単なるITインフラの延命ではなく、パイオニアの全社クラウド戦略を進めていくうえで、極めて重要なマイルストーンを刻むことができました。TISには、本番稼働開始後も定期的に相談に乗っていただき感謝しています」と語る。
もうひとつの成果は、ITインフラのクラウド移行により、情報システム部門の運用負荷が軽減された点。「物理サーバとは異なり、パーツが破損するたびデータセンターへ足を運ぶ必要もありません」(吉田氏)。パッチ適用もAWS側で自動的に行われるため、常に最新の状態が保たれ、安全性も向上した。
また岩﨑氏は、情報システム部およびシステム管理者の意識の変化をあげる。「これまで保守に費やしていた時間を、次世代のITインフラへと進化させる革新的な取り組みに割り当てようという、前向きな意識に変わってきたと感じます」。
最後に有馬氏は、TISへの期待についてこう締め括る。「近い将来、クラウド移行した業務システム群を、クラウドネイティブ化していく計画です。AWSのどのサービスを組み合わせれば目的の機能を実装できるかといった、自社だけでは解決が難しい課題に直面した際には、また相談に乗っていただければと思います」。

お客様の声

吉田 和久氏

パイオニア株式会社
情報戦略統括グループ
情報システム部
インフラ統括課 主事
吉田 和久氏

有馬 健二氏

パイオニア株式会社
情報戦略統括グループ
情報システム部
インフラ統括課
有馬 健二氏

岩﨑 徹氏

パイオニア株式会社
情報戦略統括グループ
DXシステム部
クラウドインフラ課
岩﨑 徹氏

最初の提案時に、トップエンジニアの方から丁寧にネットワーク構成や移行方式を説明いただいた時から、TISは一貫して“安心して任せられるパートナー”でした。
特に印象的だったのが、プロジェクト終盤の出来事です。当社が管理するデータセンターのネットワーク機器の設定に問題があり、接続障害に見舞われました。TISの担当領域外であるにも関わらず、技術的な観点から、早期復旧に向けて的確な助言をしてくれました。顧客本位で行動してくれるその姿勢は、本当にありがたいと感じました。

TIS担当者から

樋口 塁

TIS株式会社
IT基盤ビジネス事業部 IT基盤営業部 シニアアソシエイト
樋口 塁

髙山 優

TIS株式会社
IT基盤サービス事業部 マルチクラウドサービス部 チーフ
髙山 優

野口 敏久

TIS株式会社
IT基盤サービス事業部 セキュリティソリューション部 エキスパート
野口 敏久

保守切れのタイムリミットが迫る短期間のプロジェクトでしたが、パイオニア様の多大なご協力により、インフラのクラウド移行を無事に完遂でき大変うれしく思います。
本プロジェクトでは、IPアドレスを変更しない「L2延伸」技術の活用が、既存システムへの影響を最小限に抑え、安全かつ迅速な移行を実現する上で大きな効果を発揮しました。
現在、AWS上でVMware基盤を稼働させる選択肢は、今回パイオニア様が採用されたVMware Cloud on AWS以外に、「Amazon EVS(Elastic VMware Service)」も登場しています。TISはお客様の要件に応じ、どちらのサービスも支援可能ですので、VMware基盤のクラウド移行をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

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更新日時:2025年12月26日 15時31分