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地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立広尾病院様

自宅療養の“見えない苦痛”をPHRで可視化。
患者の治療過程(ペイシェントジャーニー)に寄り添い、早期社会復帰を支援。

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背景

日々の体調の可視化で患者経験(PX)の更なる向上を目指す

渋谷区恵比寿の東京都立広尾病院(以下、都立広尾病院)は、400床以上を有する都の基幹病院。救急医療や島しょ医療で重要な役割を担っている。その中で病院総合診療科は、特定の疾患や臓器の種類を限定せず、幅広く総合的な初期診療を行う部門である。
病院総合診療科部長の小坂鎮太郎氏は、診療方針をこう説明する。「私は患者さんを一人の人間として深く理解し、治療過程(ペイシェントジャーニー)に寄り添う『伴走型医療』を心がけています。単に病気が治ったかどうかだけでなく、検査結果を待つ不安な時期や自宅での心細い時間をなくすこと。その過程をトータルで支え、『患者経験(PX)』を高めたいという考えで患者さんと向きあっています」。
近年、高齢者が複数の専門医にかかることが一般的となり、ペイシェントジャーニーが見えにくくなっていると小坂氏は指摘する。「複数の病院にかかる中で、自宅での過ごし方や体調変化といった情報が分断され、患者の『ヒストリー』が見えなくなってしまっているのが現状です」。
この状態を解決するため、小坂氏は新たなアプローチが必要だと考えた。「患者さん自身が情報のオーナーシップを持ち、バイタルデータや血液検査の結果を自ら管理する。それに基づき治療方針を選択して、主体性を取り戻す。これこそが、真のペイシェントジャーニーを描くための第一歩です」。そのための手段として注目したのが、PHR(Personal Health Record)であった。

選択

情報共有プラットフォーム型の「ヘルスケアパスポート」を選択

PHRとは、日々測定する体温・血圧などのバイタルデータや、医療機関の受診歴・健診結果などをスマートフォンで集約し、生涯にわたる健康情報を自ら管理する仕組みの総称。米国での診療経験を持つ小坂氏は、現地での体験をこう振り返る。「米国では患者が自らタブレット端末等でカルテや検査結果を管理し、医師と主体的にやり取りする風景は当たり前です。日本でも“患者協働”の医療体制づくりを急ぐべきだと感じていました」。
そして2024年、日本医療マネジメント学会の展示ブースで、TISのPHRサービス「ヘルスケアパスポート」に出会った。「大きな特長は、クラウドに患者の“ヒストリー”を記録・共有できるプラットフォーム型である点。また、医療機関が導入しやすい料金設定や、現場の要望に応じて入力メニューをカスタマイズできる柔軟性に魅力を感じました」。そして、TISと東和薬品株式会社の共同提案を経て、採用を決定。
都立広尾病院は2024年夏より、まずは病院総合診療科において「ヘルスケアパスポート」の導入を開始した。対象としたのは主に、診察時の検査データだけでは把握しにくい“見えない苦痛”を抱える患者である。「ヘルスケアパスポート」のアプリで登録したデータを都立広尾病院の医師らがブラウザ管理画面上で共有し、それを早期介入や適切なアドバイスに活用することを目指した。

導入

検査では把握しにくい“見えない苦痛”を可視化

自宅療養中のモニタリングは、患者が日々、血圧や脈拍、体温などのバイタルデータを計測し登録するかたちで行われる。情報の登録は、スマートウォッチで計測した値の自動連携も可能。さらに痛みの度合い、倦怠感、睡眠時間といった情報をフリーコメントで記載してもらう。
小坂氏は、導入効果が特に大きかった2つの事例を挙げる。1例目が「線維筋痛症」などの慢性疼痛疾患。「ブラウザ管理画面で報告内容を確認し、あとは電話で少し追加ヒアリングをするだけで、適切な薬の調整が可能になりました」(小坂氏)。
2例目が、十代・二十代に多い「起立性調節障害(POTS)」の例。自律神経の不調により、起立時に頻脈などが生じる病気である。この疾患は、原因が精神疾患によるものか、あるいは身体的なPOTSなのかの判断が非常に難しく、細かな体調変化を継続的に観察することが極めて重要になる。「PHRによる報告を見て、バイタルサインと症状の相関関係を可視化でき、適切な診断ときめ細かな薬の処方が可能になりました。自宅療養を数カ月継続した結果、学校に通えるようになったり仕事が継続できるようになったりと、社会復帰の助けとなる成果につながっています」。

※詳しくは「第45回医療情報学連合大会 イブニングセミナーレポート(https://www.tis.jp/inq/healthcare-passport_DL02_JAMI_seminar_report)」をご参照ください。

効果

地域のかかりつけ医と連携するチーム医療のかたちも構想

「ヘルスケアパスポート」の導入は患者経験(PX)向上だけでなく、医師・医療スタッフの「働き方改革」にも寄与している。「事前に患者さんの状態を把握できることで、外来診療が効率化できました。更にAI問診などの他のツールも併用することで、私の診療時間は1日あたり約1時間短縮されています」(小坂氏)。
この医療DXによって生まれた“余暇”の活用こそが重要だと小坂氏は強調する。「医師が自身の研鑽に励んだり家族と過ごしたりと、心身にゆとりを持つこと。それが結果として、より丁寧な患者対応と患者経験(PX)の更なる向上につながるのだと思います」。
今後の目標として、院内の他の診療科・部門へ「ヘルスケアパスポート」を横展開することに加え、院外における地域医療や多職種連携も見据えている。「たとえば起立性調節障害(POTS)の患者さんなどは、地域のかかりつけ医と連携して診ていく『二人主治医制』が理想的であり、PHRの情報が共通言語として役立つでしょう。また、行政が生活習慣病検査の結果や、学校健診データを共有するプラットフォームとして『ヘルスケアパスポート』を活用し、地域医療連携が次のステージへ進んでいくことにも期待しています」(小坂氏)。

お客様の声

小坂 鎮太郎氏

地方独立行政法人
東京都立病院機構
東京都立広尾病院
病院総合診療科 部長
小坂 鎮太郎氏

日々のモニタリングで状態の安定を確認することで、通院回数を減らしたり、患者さんが不安から救急外来を受診するといったケース減少にもつながっています。こうした受診行動の適正化は、患者さん個人の負担減にとどまらず、重複する検査や処方、不要な救急搬送を減らし、国の課題である医療費の削減・適正化にもつながることも期待できます。
現在私は、都内の主要医療機関が参画する「東京総合診療推進プロジェクト(T-GAP)」のリーダーとして、若い総合診療医の育成を行っています。次世代を担う医師にもPHRのメリットを理解してもらい、新しい医療のかたちを一緒に広めていきたいと考えています。

TIS担当者から

中村 太一

TIS株式会社
デジタルイノベーション事業本部
ヘルスケアサービス事業部
ヘルスケアサービス企画室
セクションチーフ
中村 太一

医療の最前線で、患者様の体調変化を可視化するツールとして「ヘルスケアパスポート」を活用いただいていることを大変うれしく思います。小坂先生からは特に、PHRとして求められる“シンプルかつ標準的な機能”と、導入のハードルを下げる“低コスト性”を高く評価いただいています。
今回の取り組みは、「健康寿命の延伸」と「地域包括ケアの実現」を目標に掲げる東和薬品株式会社様とのパートナーシップにより実現しています。今後も、ITと製薬の知見を融合し、新たな「ヘルスケアパスポート」のユースケース創出に注力していきたいと思います。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

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更新日時:2026年4月7日 12時55分