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artience株式会社様

チャットからAIエージェントへ “3段階進化のロードマップ”を伴走支援。
現場自走の生成AI活用で、年間16万時間の労働削減へ。

artience株式会社様
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Summary

  • AIエージェント時代を見据え、LangGraphなど将来志向の技術をTISが提案。
  • 回答精度やガバナンスに関する個社要件に応える「Agentic AI Platform」の柔軟性。
  • AIに読み込ませる機密情報の選別や、組織別の閲覧権限管理など運用ルール制定を支援。
  • 海外拠点への生成AI展開についても、構想段階から伴走支援。

背景

――2024年に従来の社名(東洋インキSCホールディングス株式会社)から変更された背景をお聞かせください。

上野: 新しい時代が必要とする提供価値や向かうべき方向を明確にし、世界の人々に先端の技術で先駆の価値を届ける会社へと変革するという強い決意のもと、社名を変更しました。新社名「artience(アーティエンス)」は、“art”と“science”の融合を意味し、感性に響く新たな価値を創造していく企業姿勢を示しています。

――新領域の開拓において、生成AIに期待した役割は何でしたか?

上野: 生成AIやAIは単なる業務効率化の手段ではなく、素材開発のスピードを加速させ、グローバル競争に打ち勝つための『生存戦略』そのものだと位置づけています。CEOの高島からも、「AIを活用して革新的なものづくりを推進する」という強いメッセージが出ており、全社をあげて取り組んでいます。

――生成AIの導入にあたり、3段階のステップを踏むロードマップを策定された狙いは?

上野: 化学メーカーとして機密情報を守りつつ堅実に導入を進めること、そして現場社員の習熟度にあわせて着実にステップアップしていくためです。「フェーズ1」は業務の効率化、「フェーズ2」は外部システムとのAPI連携による生成AIの業務への適用、そして「フェーズ3」はチャットのかたちを脱却し自律型エージェントが素材開発など価値の創造を行っていく段階と、一歩ずつ進化させていくロードマップです。定量的な目標として、まずは2027年度に国内で年間16万時間の業務効率化効果を掲げています。

上野 慎司氏

選択

蓮見 哲李氏

――「フェーズ1」を実行に移すにあたり、課題となったことは何でしたか?

蓮見: 「フェーズ1」の前から生成AIを使える環境はあり、メール作成程度には活用できていました。しかし、現場からは「社内資料をもとに回答してほしい」というニーズが強く、特に技術・研究部門では、当社独自の専門知識をAIが理解していなければ実務にならないという課題がありました。また、扱うドキュメントは秘密性が極めて高いため、利便性と強固なセキュリティを両立した環境構築が不可欠となり、技術面で深く支援してもらえるパートナー探しを急ぎました。

――複数の候補からTISを選ばれた決め手は何でしたか?

上野: 最大の決め手は、将来的なプラットフォームの拡張性です。“既存のパッケージを入れて終わり”ではなく、TISの「Agentic AI Platform」をベースとし、伴走スタイルで検索精度や権限管理機能を進化させていく。この“共創”のスタンスは、他社にはない大きな魅力でした。また、「フェーズ3」を見据えた、LangGraph※1をベースとしたAIエージェント技術の具体的な提案をしてくれたのもTISだけでした。

※1 LangGraph:AIエージェントに社内データや外部ツールを連結させ、自律的に複雑なタスクを実行する生成AIアプリケーションを構築するための要素技術。

――機能面・セキュリティ面でどのような要件を伝えましたか?

蓮見: 最優先の要件はRAG(検索拡張生成)の精度です。社内の多種多様な形式の文書から、質の高い回答を生成できることが大前提でした。次に、ナレッジグラフ※2などの拡張性です。当社独自の専門用語をAIに正しく理解させ、実務に即した活用を実現したいと考えました。
また、複数のLLM(大規模言語モデル)を登録して、目的によって切り替えられる環境構築をお願いしました。進化スピードが速いLLMの最新技術を常に享受したいと考えてのことです。

遠藤: ガバナンスの確保も、TISの知見に期待しました。プロジェクト開始後、まず「秘密情報統制シート」の素案作成協力をお願いしました。これは各部門長の判断でAIに入力してはいけない情報をリスト化したものです。このシートを利用者がいつでも確認できるよう整備し、本来入力してはならない情報がAIに入力されるリスクを最小化しようという狙いです。

※2 ナレッジグラフ:言葉の意味やつながりをデータベース化し、人による表現の揺れをAIが正しく解釈して回答精度を高める仕組み。

遠藤 朋子氏

導入

寺田 大地氏

――「フェーズ1」が進み、現場の業務はどう変化していますか?

寺田: 議事録作成や翻訳などの日常業務用として、グループ情報システム部の方で「共通アプリ」を開発し、展開しています。ユーザーは詳細なプロンプトを作成することなくメニューからすぐに呼び出して利用ができるので、非常に活発に利用されています。
同じ議事録でも部門や会議体によって重視するポイントや流儀が異なるので、なるべく最大公約数的なものが出せるように工夫をしています。最終的に当社フォーマットでのファイル出力ができる点が大変好評です。

――専門性の高いアプリについては、現場主導での開発を目指しているそうですね。

上野: はい。各部門が保有する業務ノウハウをもとにして、社員からの質問に回答する「RAGアプリ」の開発が現場主導で始まっています。たとえば製造部門の若手社員が、作業の安全基準をAIに質問すると、経験則に基づいた回答が返ってくる。何でも遠慮なく聞ける“やさしい先輩”のような存在をイメージしています。

寺田: こういった生成AIアプリ開発や現場業務へのAI適用を、すべて我々情報システム部門が対応していては手が回りません。そこで、各社・各部門が自らAIの業務適用を推進できるように、核人材を育成するための研修を2024年より提供しています。2026年までの3カ年で延べ200人の核人材を育成することを目指しています。

――セキュリティ強化は、現場の自走を支えるためにどのように役立っていますか?

遠藤: 組織単位で閲覧権限を管理できる仕組みが各部門でのRAGアプリ開発の活性化につながっています。グループの事業会社間や組織間で共有すべきではない情報も多く存在しますが、「Agentic AI Platform」では、組織単位で閲覧権限を管理できるので、部門の秘密情報も積極的に活用することができています。

展開

――「フェーズ2」について、進捗はいかがですか?

蓮見: 外部システムと連携した業務自動化の先行事例として、RPAを組み合わせた「論文監視システム」を構築済みです。新規事業領域への参入時の、素材等に関する学術的な最新情報をキャッチアップする手間が大幅に削減できました。
基本的な仕組みは、RPAが論文サイトから収集した情報を「Agentic AI Platform」に渡して翻訳・要約するというものです。両者のAPIレベルの連携は、TISの技術支援があってこそ実現しました。

――その先の「フェーズ3」における、AIエージェントの活用構想をお聞かせください。

蓮見: 目標のひとつが、数十万ページに及ぶExcelやPowerPointなど技術資料の構造化です。AIエージェントが自律的に膨大なファイルを解析・抽出し、MI※3で扱える形式に変換する。これにより、新素材開発のスピードを劇的に引き上げたいと考えています。

上野: 経営判断の領域でも有効だと考えています。たとえば、新規事業への投資可否を社内審査する際に、自社LLMを活用してAIが客観的に判定する仕組みです。製造業にとって、AIを活用した経営戦略は生き残りの鍵になると見ています。

※3 MI(マテリアルズ・インフォマティクス):AIや統計学を駆使して新しい素材を探索・開発する取り組み。

――最後に、TISとのパートナーシップについてお聞かせください。

上野: 現在、海外拠点への生成AI展開についてもTISにご協力いただいております。スペシャリストとして、先を見越したアドバイスをもらえることを非常に心強く感じます。プラットフォームを熟知するパートナーとして、今後もロードマップに寄り添ってもらいたいと思っています。

Company Data

artience株式会社
本社:東京都中央区京橋2丁目2-1 京橋エドグラン
設立:1907年(創業1896年)
事業内容:色材・機能材関連事業、ポリマー・塗加工関連事業、パッケージ関連事業、印刷・情報関連事業等
URL:https://www.artiencegroup.com/

TIS担当者から

香川 元

TIS株式会社 ビジネスイノベーション事業部
ストラテジー&デジタルコンサルティング第1部
ディレクター
香川 元

artience様の「セキュアかつ先進的なAgentic AI Platform」というニーズに寄り添い、ともにかたちにできたことをうれしく思います。技術面では、最新LLMへの対応やLangGraphの実装、MCP対応といった先端技術を、安全・確実に、かつタイムリーに取り入れることが大きな挑戦でした。今後は、日本で培ったノウハウを海外拠点へ展開する流れをともにつくり、グローバルな生産性向上に貢献したいと考えています。
今回artience様と取り組んだ「ベテランの暗黙知や過去資料の安全な統合」は、属人化に悩む多くの製造業にとって一つの指針となるはずです。生成AIが本格活用フェーズに入る中、TISはガバナンス設計から現場定着まで一貫して支援し、継続的な競争力強化へとつなげるパートナーであり続けます。

※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または、登録商標です。

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更新日時:2026年5月29日 10時55分