株式会社ティージー情報ネットワーク様

東京ガスの業務基盤「Oracle EBS」
メジャーアップグレードとプライベートクラウド移行で、大幅なコスト削減を実現

東京ガス株式会社(以下、東京ガス)は、2000年代初頭に導入したERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」(以下Oracle EBS)のメジャーアップグレードを計画。保守を手がける株式会社ティージー情報ネットワーク(以下TGアイネット)は、TISの協力のもと、4つの基幹システムのアップグレードの完遂と、プライベートクラウドへの移行による大幅なコスト削減を実現した。

設立 1987年
事業内容 ITコンサルティングからシステム計画・設計、システム開発・構築、ネットワーク構築、維持管理・運用保守に至る一貫したシステムインテグレーション
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株式会社ティージー情報ネットワーク様

課題

東京ガスのバックオフィスを支える「Oracle EBS」

 首都圏を中心とした1,000万を超えるお客様に、エネルギー供給を通じて「快適な暮らしづくり」と「環境に優しい都市づくり」に貢献している東京ガス。東京ガスは企業行動理念の一つである「絶えざる革新により、低コスト構造で、しなやか、かつ強靱な企業体質を実現する」という考え方のもと、バックオフィス・システムと業務の改良に取り組んできた。
 業務基盤である人事・給与、経理、購買などの基幹システムは、90年代まではすべて独自に開発し、自社のホストコンピュータ上で運用されてきた。2000年代初頭から、大規模なリノベーションに取り組み、そこで採用されたのが「Oracle EBS」だった。「Oracle EBS」の導入後、保守を担ってきたのが、TGアイネットだ。同社は、1987年に東京ガスの情報システム部門から分離独立した100%子会社であり、東京ガスグループを中心とした情報通信サービスとソフトウェア開発などを手がけている。東京ガスの「Oracle EBS」を最も熟知するシステムインテグレーターである。

サポート切れを前にメジャーアップグレードを決断

 2010年当時、東京ガスは「Oracle EBS」のバージョン11iを利用していたが、3年後の2013年にサポートが終了することが通知されていた。「サポートが終わったバージョンについては、対応パッチが提供されなくなります。給与計算に関連する保険料率の変更や税金などの法改正はほぼ毎年行われるため、業務を継続するための対策を検討する必要に迫られました」(TGアイネット ITソリューション2部 コーポレートサポートグループ 桑原靖氏)。
 そこで、TGアイネットは東京ガスと協議を行い、5年後10年後を見据えた、基幹業務システムのロードマップを検討する。「その際に最重視したのが対応期限の遵守、全社的な方針としてプライベートクラウドへの統合によるコスト削減の2点でした」(桑原氏)。この条件を踏まえ、他製品への乗り換えやスクラッチ開発などを比較検討した結果、拡張性と安定性を高めつつ費用対効果に優れるR12へのメジャーアップグレードに決定した。
 今回の「Oracle EBS」のメジャーアップグレードではハードウェアとOSの変更も伴い技術的な難易度が高くなることが想定された。そこで、プロジェクトをより確実に遂行するため、EBS関連の開発実績およびメジャーアップグレード実績を持つベンダーの協力を仰ぐこととなった。

準備

4つのシステムを同時期にアップグレード

 東京ガスとTGアイネットは共同で、EBSアップグレードの仕様書作成に着手した。当初は、業務部門ごとの個別アップグレードを予定していたが、一括アップグレードへと方針を転換する。「プロジェクトの規模は大きくなりますが、一括アップグレードに加え、プライベートクラウドへの統合を合わせて実施することで、トータルコストを大幅に削減できると判断しました。」(桑原氏)。
 こうして仕様書に盛り込まれた計画は、まずは第1フェーズとして、比較的規模の小さい「グループ会計システム」「人事・給与システム」の2つをそれぞれ2011年8月・9月にカットオーバー。その後に、第2フェーズとして、東京ガス単体の大規模な「会計・購買・在庫管理システム」「物流システム」の2つを、2012年5月にカットオーバーするというものであった。

EBSアップグレードの経験豊富なTISを選定

 そして2010年10月、ベンダーの参加を募り、東京ガスとTGアイネットが各社の提案書を精査した結果、選定されたのがTISであった。その理由をTGアイネット ITソリューション2部 コーポレートサポートグループの西村順氏は「金額が優位であり、提案も全システムを網羅して的確でした。ハードウェアのメーカーや、サードパーティーの製品に対する柔軟な支援体制、そして当社の要求以上のきめ細かな提案内容でした」と語る。
 また、桑原氏は、TISを選んだもう一つの理由として、長年築いてきた信頼関係をあげる。「TISは、過去に多くの開発案件をともに手がけており、TGアイネットの重要なパートナーの一社。品質面でも進行管理面でも高く評価しています。今回の提案も、複数のシステムのアップグレードのスケジュールが緻密に練られており、信頼を裏付ける内容でした」。

開発

TISが参画しプロジェクトがスタート

 こうしてTISが開発チームに加わり、プロジェクトが幕を開けた。第1フェーズのピーク時には、東京ガスの作業用フロアで最大80名の開発スタッフが作業を実施。途中、大きな問題が発生することもなく、2011年8月と9月に計画どおりカットオーバーを迎えた。
 TGアイネットとTISは、それまでの作業で発生した課題と、対策プロセスを整理。西村氏はこう語る。「同時に進行中の第2フェーズの作業をよりスムーズに遂行できるよう、体制の見直しを行いました。小規模な第1フェーズで蓄積した経験・ノウハウを、より大規模な第2フェーズに活かすことで、発生が予想される課題に対して事前に備えることができました」。
 第2フェーズは、第1フェーズの約10倍の1.1TBのデータを移行する必要があるため、業務システムを9日間にわたって停止できるゴールデンウィークを利用したカットオーバーを目指した。

総合テスト前に膨大な数の修正パッチがリリース

 今回のプロジェクトにおいて、一つの課題となったのが、オラクルからリリースされたR12のパッチの存在。アップグレード開始時に、適用するパッチの規模とレベルを想定し、その後のアドオン修正を進めてきたが、総合テストに入る直前になって、2011年夏頃より大量のパッチが出ていることが分かったという。「新たなパッチを当てることで、単に品質が上がるだけならよいのですが、業務システムによっては不具合が発生するケースもあります。その検証作業が追加になることで、全体スケジュールが遅れる可能性も大きく、品質と納期のジレンマに陥りました」(西村氏)。
 ここでものを言ったのが、TISがそれまでEBSアップグレード案件で蓄積してきたノウハウだったという。「TISでは、TEEMsフレームワークに、EBSアップグレードのノウハウを蓄積しています。この情報を活用しつつ、総合テスト開始直前まで、パッチを当てるか否かの意思決定をTGアイネット様と協力して判断していきました。特にOracle EBSはパッチ適用の必要性が企業によって異なることが多く、不具合の内容によって企業の業務にどの程度の影響があるのかを説明しなければなりません。テストを行ってパッチを1つずつ慎重に見極めながら適用を判断していくことが必要でした」(TIS 塩野)。
 また、TGアイネット ITソリューション2部 コーポレートサポートグループの川口健二氏は、「テスト結果が思わしくない場合でも、TISがリカバリーの方法を社内で検討するなど、後方支援を行ってくれたことがきわめて有効に働きました」と、TISの対応を評価する。

稼働

早期の安定稼働を達成

 第2フェーズも、予定どおり2012年のゴールデンウィークにカットオーバー。今回のプロジェクトが完了するまでに要した期間は約1年半で、「Oracle EBS」を使用する国内企業の中でも、最大級の規模のアップグレードとなった。稼働後の状況について、西村氏は「作業量が非常に多かったにも関わらず、本番稼働開始後に大きな障害は発生しませんでした。TGアイネットとTISが一体となった稼働後フォロー体制を作ったことで、早期に安定稼働させることができました」と感想を語る。
 また東京ガスの加藤氏は、「Oracle EBS」が11iからR12へアップグレードしたことによるメリットについて、「これで従来バージョンの11iの保守切れの心配がなくなり、将来にわたって法改正対応のパッチが提供される安心感は大きい」と口にする。
 システムを安定運用するための取り組みについて、桑原氏はこう語る。「安定稼働を最優先の方針とし、既にアップグレードの前からワーキンググループを立ち上げ、安定稼働のための予防保全や早期復旧への手順化など、地道な活動で準備を進めていました」。なおプロジェクト終了後、TISは人事・給与システムの維持管理業務に加わることとなった。その経緯について桑原氏は「今回、共にEBSアップグレードを成功させたことで、TISへの信頼はより深まりました。東京ガス様とも協議し、人事・給与システムの保守について、技術面で協力を仰ぐことにしました」と語る。
 プロジェクトを無事に終え、加藤氏は次のように振り返る。「総合テスト直前の急なパッチ対応など難しい局面もあったが、東京ガスの業務と東京ガスにおけるEBSの利用方法を熟知しているTGアイネットと、オラクルEBSの新しいバージョンとアップグレード作業を熟知していたTISの協力体制があってこそ、計画どおりの稼働ができたと考えます」。

一括アップグレードと統合サーバー移行で、コストを大幅に削減

 今回のプロジェクトでは、個別アップグレードから一括アップグレードに変更することで、ハードウェアの構成も見直すこととなり、東京ガスのプライベートクラウドである統合サーバーにERPのサーバー群も統合することとなった。
 「Oracle EBS R12へのアップグレードは、当初はサポート切れに対する受動的な動機でスタートしましたが、一括アップグレードにプロジェクトを方針転換することでサーバー統合も進めることになりました。従来のERP全体で稼働していた専用サーバー32台が、プライベートクラウドに集約することでわずか3台へと削減することができ、コア数も121コアから47コアへと減少したことで、全体的に大きなコスト削減効果が得られました」と打ち明ける加藤氏。
 OSが変わり、その修正のために新たなコストが発生したものの、4つのシステムのバージョンアップをまとめて発注したことやサーバーの統合により、基本計画終了時点の見積金額から3割弱のコストダウンにつながったという。「こうしたバックオフィス・システムのコストダウンも、エネルギーコストの低減に寄与していると考えています」(加藤氏)。

お客さまの声

左から
株式会社ティージー情報ネットワーク
ITソリューション2部 コーポレートサポートグループ
マネージャー 桑原 靖氏
西村 順氏
川口 健二氏

東京ガス株式会社
IT活用推進部 IT戦略グループ
主幹 加藤 史義氏

フェーズごとの終わりに不具合を調整し、それを反省材料としてTISと話し合い、次のフェーズでは結果を向上させていくなど、プロジェクトが進むにつれて全体的な質のレベルが高まっていったのが印象的でした。その結果、大きなトラブルもほとんどなく、プロジェクトを成功に導くことができました。(TGアイネット 西村氏)

TIS担当者から

TIS株式会社
東日本産業事業部 東日本産業システム第3部 主査
塩野 星

東京ガス様、TGアイネット様のご協力で、スケジュールどおりにプロジェクトを終えることができ、感謝いたします。今後も、東京ガス様のOracle EBSの安定運用に貢献できればと思います。
なお、TISでは、EBSアップグレードの事前アセスメントから移行作業、その後の保守までをワンストップで提供する統合ソリューション「TEEMs」(ティームズ)を提供しています。Oracle EBSのメジャーアップグレードあるいは新規導入をお考えのお客様にもお勧めのソリューションです。

  • ※東京ガス、TGアイネットにおける組織名称はプロジェクト当時のものです。
  • ※TEEMs:TIS ERP Enhanced Management service
  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • ※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2017年7月19日 11時31分

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