株式会社ノエビアホールディングス様
多彩な分析軸を持つBIツールをクラウドサービス上に短期導入し
データ量の増加に柔軟に対応
株式会社ノエビアホールディングス(以下、ノエビアホールディングス)は、多彩な商品分析、顧客分析の実現を目指していた。TISは、BIツール「SAP BusinessObjects Business Intelligence, Edge edition」をクラウドサービス上に導入するプロジェクトを支援し、高度な分析環境を構築した。
社名 | 株式会社ノエビアホールディングス |
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本社 | 兵庫県神戸市中央区港島中町6-13-1/東京都中央区銀座7-6-15 |
設立 | 2011年 |
資本金 | 73億19百万円 |
事業内容 | 化粧品、医薬・食品事業を中心とするグループ各社の経営管理及びそれに附帯する業務 |
URL |
課題
長期間のデータに基づく顧客・商品の分析
ノエビアホールディングスの化粧品事業を担う株式会社ノエビア(以下、ノエビア)では、全国の販売代理店によるカウンセリングを中心とした対面販売を行っている。営業部門がデータに基づく売上分析を目的にBIツールを導入して以降、経営企画や商品企画、マーケティング部門などにも展開し、資料作成やマーケティング分析などを行ってきた。
物理サーバーの保守期限切れを機に、ノエビアホールディングスはBI環境の見直しを検討。ノエビアホールディングス 情報システム部 課長の滝川奈緒美氏は「従来の環境では、データの増大に対してインフラリソースの対応に限界がありました。業務部門からのデータ抽出の要望に対しても、もっと柔軟に対応したいと考えていました」と語る。
ノエビアが取り扱う化粧品は、商品のライフサイクルが短いメイク用品から、最長で5年のスキンケア化粧品まで幅広い。データの保存期間に限りがある旧BI環境では、商品リニューアル時に過去の商品の売上をもとに分析ができないのが悩みだった。
「従来の環境では利用できる分析軸が限られ、データの蓄積期間にも限度があったため、長い年数をさかのぼることができませんでした。そこで長期スパンでさまざまな分析軸に対応できる、拡張性の高いツールの導入を検討しました」(滝川氏)。
選択
クラウドを活用して大量データ、多彩な分析軸に対応
ノエビアホールディングスは、複数の製品を比較した中から、TISが提案した「SAP BusinessObjects Business Intelligence, Edge edition(SAP BusinessObjects BI)」の採用を決定する。決め手となったのは、「自由検索機能」と「マルチデータソース対応」の2つだった。「ビジネス用語で検索できる自由検索機能は、ユーザー部門からの強い要望でした。データベース用語をビジネス用語にマッピングするユニバースという仕組みにより、データ構造の知識がなくても自由に分析ができます。また、マルチデータソース対応であれば、今まで使っていたサーバーの運用ノウハウも活かせると考えました」(滝川氏)。
SAP BusinessObjects BIを稼働させるインフラには、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウドを採用。大量のデータを載せても低コストで済み、必要に応じてリソースを増減できる柔軟性と、初期コストがかからないことにメリットを感じたという。
TISの採用については、タイムリーな導入提案に加え、日本語による手厚いサポートが評価された。「海外のコールセンターよりも日本語できめ細かなサポートが受けられることは大きなメリットです」(滝川氏)。
導入
設計支援とユーザー教育を連動させた導入サポート
2013年1月から始まった導入プロジェクトは、システム環境の構築、データの追加、ユーザー教育を経て同年3月から本格稼働が始まった。開発過程では、当初500GBでサイジングしていたディスク容量が不足したため、途中で500GBを追加した。「電話で運用会社に容量追加を依頼して30分足らずで追加できたときには、あらためてクラウドの柔軟性を実感しました」(滝川氏)。
また、短期間で開発を終わらせるために、基幹データベースのデータをすべてアップロードするのではなく、必要なデータのみをAWS上のSQL Serverに移行し、基幹システムで蓄積されたデータは、夜間バッチでAWS上に転送する運用とした。
TISは、誰がどのように使うシステムなのか、どの単位でユニバースを作るのか、どのようなセキュリティが必要かなど、ヒアリングした要件に対する実装案の提示によるコンサルティング、それに基づくトレーニングを提供。ユーザー向けの教育では、まず概念への理解を深めた後、画面上で練習問題を解きながら実践に即した教育を行った。情報システム部門への教育については、データベース用語をビジネス用語にマッピングするユニバースの作成支援がポイントになった。
「SAP BusinessObjects BIの自由分析は、ユニバースの活用が大きなカギになるため、情報システム部のユーザーや、業務部門のキーマンに対する作成支援を重点的に行いました」(滝川氏)。
このような工夫により、製品機能の理解、技術検証、設計などの期間も短縮でき、わずか2カ月という短期間での本稼働につながっている。
効果
ビジネス用語で探せる「自由検索」で分析レベルを向上
ノエビアでは現在、経営企画、商品企画、販売企画部門で、約30名のユーザーがAWS上に導入したSAP BusinessObjects BIを利用している。経営企画部門は経営層向けのレポート作成、商品企画や販売企画部門は、営業資料や商品資料作成などを中心に行っている。
分析については、導入当初のスコープとして、最も利用頻度の高い販売代理店別の日別/月別実績の分析機能、明細の出力機能を実現。今後はユーザーの要望に応じて、商品軸での分析など、新たなKPIを追加していく予定だ。
導入効果は、AWSの採用によるシステム保守コストの低減など、インフラ面でのメリットが大きい。クラウド化によって、システムを資産でなく利用料金として計上ができるため、会計上のメリットも得られた。
活用面では、「ユニバースの作成環境の整備によってユーザー自身が分析できる領域が拡大したことで、ユーザーからのデータ抽出の依頼が大幅に減り、情報システム部門の負荷がかなり軽減されました」(滝川氏)。
ノエビアホールディングスでは今後、SAP BusinessObjects BIの機能拡張として、経営指標をグラフなどで可視化する経営層向けダッシュボードの提供も検討しており、BIツールの実績が豊富なTISのさらなる支援に期待を寄せているという。さらにインフラ面では、ファイルサーバーのデータバックアップや、膨大なログの保存用途として、AWSのストレージサービスの利用も検討し、さらなるコスト最適化に取り組む方針だ。
お客さまの声
情報システム部 課長
滝川 奈緒美氏
インフラ準備からSAP BusinessObjects BIの構築まで1カ月、教育期間を入れて2カ月で本稼働できたのも、TISの支援のおかげです。特に、ユーザー教育とサポートの手厚い支援によって順調にスタートを切ることができ、導入後の操作にも戸惑わずに済みました。今後は新たな分析軸を追加しながら活用レベルを高め、マーケティング、商品開発、経営分析に反映させていきたいと考えています。
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