システム・ロケーション株式会社様

海外での金融系Webサービス展開を高品質クラウド基盤で現地サポート

今、自動車メーカーが注力する「残価設定ローン」。その仕組みを支えるのが、システム・ロケーション株式会社(以下、システム・ロケーション)による、将来の中古車価格を算出するシステムだ。中国において、そのSaaS型サービスの提供を目指す同社は、TIS(天津TIS海泰<ハイタイ>)が中国で展開するクラウドサービスと、天津のデータセンターで提供する運用サービスによって、中国市場向けサービスを成功させた。

社名 システム・ロケーション株式会社
本社 東京都目黒区東山2-6-3
設立 1992年
資本金 1億9,144万5千円(2014年9月現在)
事業内容 ファイナンス事業者向け業務支援
URL
システム・ロケーション株式会社様

課題

“将来の車の価値”を算出する独自システム

伸び悩む個人向け自動車販売のカンフル剤として、国内自動車メーカーが力を入れているのが「残価設定ローン」だ。この仕組みをユーザーが『300万円』の新車を購入する例で見てみよう。ローンが終了する3年後の車の価格(残価)が『100万円』と予測される場合、その残価を引いた『200万円』がローン支払いの対象となる。そのぶん、ユーザーは月々の支払い額を抑えられる仕組みだ。ローン終了後の車は、返却あるいは残価で購入するといった選択肢から選べる。
自動車メーカー系列のファイナンス事業者が残価設定ローンを設計する際、3年後、5年後といった将来に、中古車価格(残価)がいくらになっているかを正しく予測することが重要となる。システム・ロケーションは、この“車の将来価値”を標準的に算出するためのシステム開発を手がける会社だ。
常務取締役の前田格氏は、「当社は1992年の創業当初から、法人リースが満了した車両を輸出業者等に販売する『入札会』を運営してきました。自社運営のオークション会場は全国7カ所で、国内に流通するリースアップ車両が売買されています。残価算出システムは、実はこの事業から派生したものです」と、同社の歩みを説明する。
オークションにかけられる車は、車種やモデル別に、使用年数・走行距離・外傷等の条件によって落札価格が変動する。「この取引情報を統計的に分析することで、新しいビジネスが始められないかと考えました。試行錯誤を経て、2000年に完成したのが、当社独自の残価算出システムです」(前田氏)。
数年先の残価を正確に予測するための基礎データは、約500万件におよぶ入札会とオークションの取引情報。さらに、メーカーや車種ごとの傾向をモデル化して分析を行うことで、より精度の高い予測が可能となる。今でいう、ビッグデータの考え方を先取りしたような斬新なビジネスモデルだ。
さらに同社では、統計をより正確に行うため、統計に利用する取引情報を、過去10年間の全車種の情報を集積した「車種カタログデータベース」と照合。取引情報の車種名やグレード種別などに誤表記がないかを余す所なくチェックし、補正を行っているという。「この地道な作業により、基礎データから“ノイズ”を取り除くことで予測精度の高さを実現しています」。

未知の挑戦となる中国SaaS事業

システム・ロケーションは、2000年に残価算出のシステム「RV Doctor」を開発後、2006年からはASPサービス「シスろけっと for オートリース」の国内提供を開始した。「RV Doctor」の精度が評判を呼び、残価設定ローンを扱う国内外の大手自動車メーカー系列のファイナンス事業者等が続々と採用に踏み切った。
近年、自動車メーカー各社は、中国でまだ認知度が低い、残価を活用した販売に商機を見出していると前田氏は語る。「当社でも独自に、2000年代前半より、巨大マーケットである中国で残価算出サービスを提供できないか、調査を行っていました」。これまで日本で蓄積した取引データは、中国市場では利用できないため、まずは現地の中古自動車の取引情報を蓄積するために現地会社との協力体制を構築。2013年6月には、中国ビジネスの足がかりとなる拠点を北京に開設した。
「2013年後半のシステムリリースを目指して、中国での残価算出サービスの提供を検討していました」(前田氏)。この時点では、中国内のデータセンターを基盤としてSaaSのかたちで提供するという構想がある程度だった。「当社初の中国ビジネスであり、当局からサービスの許認可が得られるのか、中国のネットワーク事情はどうなっているのかといった実情がつかめませんでした。まずは中国の現状を正確に把握したうえで、現地プロジェクトの方向性を固めていく必要があると考えました」(前田氏)。

選択

TISから最新の中国事情をヒアリング

こうして2013年末から、システム・ロケーションは、中国の最新事情に精通した国内ITベンダーを探し始める。そこで候補として名前があがったのが、TISだったという。「当社の顧問弁護士から“海外案件に強い”と推薦され、まずは連絡をとってみることにしました」(前田氏)。
コンタクトから数日後、TISの海外事業企画室によるコンサルティングが実施された。「当日は、具体的なシステムに踏み込んだ話ではなく、中国ビジネスについての質疑応答が中心でした。まだTISにシステム構築を依頼することも決まっていませんでしたが、快く相談に応じてもらえました」(前田氏)。TISの担当者が、自らの経験に基づき明快な説明を行ったことで、前田氏の中国ビジネスへの懸念の多くが払拭されたという。
「この折、TISが天津に自社データセンターを持っており、クラウド基盤を提供していることを初めて知りました。魅力は感じましたが、正直なところ、中国ローカル事業者のデータセンターという選択肢も考えていました」(前田氏)。ローカル事業者は、やはりコストの低さで有利。システムの顧客数は確定しておらず、できるだけ費用を抑えたい事情があった。
「とはいえ、当社がデータセンターに求める一番の条件は、品質と安定性です。日系企業のお客様に、“データセンターが止まったからサービスが使えない”という言い訳は通用しません。そこで、実際に両方のデータセンターを社員の目で見比べたうえで、最終判断を行うこととしました」(前田氏)。

「日本品質」のデータセンターの信頼性

システム・ロケーションは2014年3月から5月にかけ、まず北京にあるローカル事業者のデータセンター、続いて天津TIS海泰のデータセンターの見学を実施した。取締役 IT技術室担当の林雅大氏は、そのときの印象をこう振り返る。「実際にサーバルームに入ってみると、両者の差は大きかったですね。TISの天津データセンターでは、当然のことながらケーブル類は床下のスペースに収納されていますが、ローカル事業者は天井や床にむき出しの状態。さらにラックの扉もケーブルを通すために開け放しで、施錠もされておらず不安を感じました」。
林氏とともに見学を行った企画開発部の鄭德宇氏は、次のように語る。「ローカル事業者のデータセンターでは、メインのビルと敷地内の空きスペースに置かれたコンテナ型データセンターも紹介されました。我々に拡張性の高さをアピールする狙いだったようですが、屋外のコンテナ型はセキュリティ面で不安を感じました。一方TISは、日本式のデータセンター専用に設計されたビルで、セキュリティ・空調・非常用電源など、細かな配慮はさすがだと思いました」。
コスト面でも、ローカル事業者はTISとそれほど大きな差がなかったと林氏は言う。「ローカル事業者は、最後まで料金表を見せてくれませんでした。相手を見て価格を決めていると思われても仕方なく、これも評価のマイナスポイントとなりました」。
二人は帰国後、コスト・安全性・品質などを総合的に比較し、検討を重ねる。そして2014年6月末、SaaS基盤として天津TIS海泰(ハイタイ)のクラウド基盤 「飛翔雲(フェイシャンユン)」の採用が正式決定した。

導入

カスタマイズした運用サービスで安定稼働を実現

2014年7月からは、天津データセンターにおいてクラウド基盤の準備がスタートした。これと同時に、サービス開始後の運用面の体制について、システム・ロケーションとTISの間でディスカッションが行われた。「当社の中国拠点には、専任のシステム担当者を置いておりません。担当者に負担をかけずに、確実なサービス運用を行うために、TISに相談しました」(林氏)。
システム・ロケーションからの一番の要望は、残価算出サービスが正常に稼働していることを確認できる仕組みだったという。「サーバの死活監視はオプションで組み合わせることができましたが、これではサービス自体が動いているかどうかまでは分かりません」(林氏)。そこで、TISが提案したのが、SaaS自体の稼働状況を監視可能とするメニューだった。
林氏は、TISの柔軟な対応を高く評価する。「当初このような相談をしても『メニューにないからできません』と言われるかと思っていましたが、当社向けにメニューをカスタマイズしてくれるとは、きめ細かい対応だと感心しました」(林氏)。

クラウド基盤の準備は3日で完了

クラウド基盤 「飛翔雲(フェイシャンユン)」上に、システム・ロケーション用の仮想サーバのリソースを確保する作業は、3日という短期間で完了。サーバやCPUのリソースを柔軟に変更できるクラウドならではのスピード感だ。あわせて、残価算出サービスを利用する企業との間の通信回線はVPNにより、不正アクセスや情報漏えいを防ぐセキュアな経路が設けられた。
「残価算出サービスのプログラムは、中国向けに当社が新たに開発しましたが、基盤を早期に用意できたことで、インストールからテスト環境の構築までを短期間で済ませることができました」(林氏)。
林氏は、システム・ロケーションにとって初の中国ビジネスだけに、大がかりな設備投資を必要としないクラウドは最適な選択肢だったと振り返る。「オンプレミスでシステムを構築する場合、中国でサーバを購入したり、データベース設定作業を行うなど、コストも期間も今回の比ではありません。クラウドであれば、スモールスタートでありながら、顧客数の増加やサービスの高機能化にあわせてリソースを拡張することもできますから、先が予測しにくい海外ビジネスには最適です」。

効果

日系企業が求める「高品質」SaaSが実現

中国におけるSaaS型算出サービスは2014年10月から稼働を開始。当初、日系の自動車メーカー系列のファイナンス事業者など数社に向けて提供を行い、まずは10社程度へ拡大していくことを目標としている。
TISの天津データセンターで稼働するクラウド基盤の品質については、現在のところトラブルもなく、国内で提供しているサービスとまったく変わらない感覚だという。「中国では、金融機関のシステムのトラブルが珍しくないほど、品質への要求はそれほど高くありません。しかし、日系企業のお客様には、中国の常識よりも一段上を行くサービス品質は有効と考えています」(前田氏)。
なお、中国向けの残価算出サービスの基礎データとして、中国各地の中古車取引情報が継続的に投入されており、統計対象の蓄積情報は、約250万件になるという。「当社が目指すサービスのあるべき姿は、将来の残価算出を適切に行えること、そしてお客様に安定した品質でご利用いただけること。このどちらが欠けても成立しないものだと考えます」(前田氏)。

ASEAN現地でのサービス展開も視野に

今後は日系企業に限らず、中国企業にも残価算出サービスを提供していきたいと、前田氏は構想を語る。「まだ中国では『残価設定型ファイナンス』をはじめとする『残価の活用方法』全般が知られていません。今後、消費者ニーズが高まり、数万におよぶ現地の自動車販社やリース会社等が残価設定ローンの取り扱いを始めれば、当社サービスの需要もそれに伴って拡大していくと見込んでいます」。
さらに、今回の中国を端緒として、ASEAN等への展開も計画しているという。「たとえばインドネシアは人口が世界第4位で、日本の自動車メーカーにとって有望なマーケットとして成長を続けています。当社は、自動車メーカーのお客様の動きに即応できるよう、既に現地マーケットの調査に着手しています。TISには今後も、グローバルパートナーとして、海外現地における基盤構築・運用を支えていただきたいと思っています」(前田氏)。

システム概要

クラウド基盤「飛翔雲(フェイシャンユン)」

お客さまの声

前田 格氏 林 雅大氏 鄭 德宇氏
左から
システム・ロケーション株式会社
常務取締役 企画開発部長兼グローバル事業室長 前田 格氏
取締役 IT技術室担当 企画開発部 事業開発室長 林 雅大氏
企画開発部 事業開発室 グローバル事業室兼任 鄭 德宇氏

クラウド基盤の選択は、一時的にモノを買うのとは違い、将来にわたって事業に関わってくるものです。今回、安全性と品質に重きを置き、日系ベンダーのTISをパートナーとして選んだのは正しい選択だったと思います。
当社の北京の拠点はまだ人員が少ないため、TISが当社用にカスタマイズしたサービスメニューが、運用面で効果を発揮しています。おかげで、現地のお客様に、突然のサービス停止等でご迷惑をかけることなく、ご利用いただいています。

TIS担当者から

TIS株式会社
IT基盤サービス本部
グローバルIT基盤ソリューション部

システム・ロケーション様には、実際にTISの天津データセンターに足をお運びいただき、ファシリティや運用面を高く評価いただき、感謝いたします。お客様の現地拠点におけるスムーズな運用の実現に向けては、サービスの正常稼働を確認できるメニューをはじめ、手順書の作成、スキルトランスファーまで対応させていただきました。
現在TISでは、海外進出されるお客様に向けて、各国の最新の法制度や市場動向に関する情報を定期的にご提供しています。システム・ロケーション様が今後、新たな国へ進出される際も、こうした継続的なサポートを通じて、さらなるグローバルビジネスの拡大をお手伝いできればと考えています。

  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。

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更新日時:2016年10月6日 16時58分

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