三洋化成工業株式会社様

TISテンプレート活用によるシンプルでスピーディーなクラウド型SAP ERP導入で
海外拠点のガバナンスを強化

機能化学品を手がける三洋化成工業株式会社(以下、三洋化成)は、グローバル経営のさらなる推進に向け、7カ所の海外拠点の業務基盤の統一を計画した。TISは、独自のSAP ERP導入テンプレートをベースとして、シンプル化したグローバル標準モデルを開発するとともに、自社データセンターによるクラウド運用で、その海外展開を支援した。

社名 三洋化成工業株式会社
本社 京都市東山区一橋野本町11-1
設立 1949年
資本金 130億5,100万円(2014年9月現在)
事業内容 機能化学品(パフォーマンス・ケミカルス)の製造・販売
URL
三洋化成工業株式会社様

課題

総売上の約4割を占める海外拠点

京都に本社を置く三洋化成は、高吸水性樹脂や界面活性剤など、特殊な機能を持つ化学品 “パフォーマンス・ケミカルス”を手がける業界大手だ。同社の強みを取締役 兼 専務執行役員の吉野隆氏はこう語る。「社員の約3割がR&D(研究開発)に従事し、さらに営業部門はほぼ全員が研究職を経験したことのある化学者(ケミスト)です。お客さまであるメーカーから“こんな働きをする化学品が欲しい”というニーズを受けて素材を開発。それに別の技術を融合させて新製品を生み出し、市場へ提案していくことで、製品数を約3,000種にまで拡大してきました」。
同社は1989年、米国に初の海外拠点を開設した。「当社のお得意先である国内メーカーが、米国での生産を本格化したことがきっかけです。お客さまのサプライチェーンに近いところで、内装や塗料の原料となる化学品を現地生産できる体制を構築しました」(吉野氏)。これを機に、日本企業の海外進出と歩みを合わせて、現地法人を次々に開設する。現在、同社の連結売上高約1,651億円のうち、海外比率は39%の約642億円にまで高まっている(2014年3月期)。

情報の精度と鮮度が課題に

従来、海外拠点では、会計・販売・購買などの基幹業務のために、各国それぞれで定評のあるERPパッケージを利用してシステムを構築。そして売上などの情報は、月次および四半期単位で日本本社へレポート提出されていた。「海外事業の成長にともない、各拠点から上がってくる情報の精度および鮮度の課題が顕在化していました」(吉野氏)。
各拠点の月次報告時は、月内に行った取引内容をまとめてERPに投入するケースも多かったという。その際、日付や金額、仕訳の入力ミスが起こりやすく、誤りは日本側が監査によって情報の補正を行っていた。「これまでの、現地の会計担当者に任せきりの体制では、大きな改善は困難であり、日本側から何らかのハンドリングが必要だと感じていました」(吉野氏)。
そこで三洋化成は、2011年より、米国3法人、タイ1法人、中国3法人の計7拠点のERPパッケージを、統一された業務基盤へ移行する計画を本格化させる。「各国の事情に合わせた個別システムをやめて、業務そのものを日本本社が決めた共通ルールで行ってもらうことで、ガバナンスを強化しようという狙いです」(吉野氏)。
また、新たな業務基盤では、IFRS(国際財務報告基準)対応も目標のひとつだったと、CPシステム部部長の中村五月男氏は説明する。「計画を進めていた2011年半ばに、日本におけるIFRS強制適用時期は先送りが決定しましたが、グローバル連結会計を重視する当社にとって、IFRS対応が重要テーマであることに変わりはありませんでした」。

選択

SAP ERPの経験豊富なTISに期待

三洋化成は2011年後半より、統一された新たな業務基盤となるERPパッケージの選定に着手した。「多言語対応で、各国の法・通貨に対応しているERPパッケージは、SAP ERP以外に有力な候補となる製品はありませんでした。もちろんIFRSにも標準対応しており、世界的に見てデファクトスタンダードと言える製品です。最終的には、実際にSAP ERPを導入している地元京都の化学会社や機械製造業を数社訪問させていただき、自分の目で確認したうえで決断しました」(吉野氏)。
吉野氏は、SAP ERP導入にあたっての条件として、クラウド型の運用形態に強い思い入れがあったという。「国内データセンターに海外向けの業務基盤を置き、それを海外拠点から利用するかたちをイメージしていました」。当時、SAP ERPをクラウド型で利用している企業は、国内にほとんど存在していなかったが、吉野氏はクラウド型SAP ERPに大きな可能性を感じていた。「海外7カ所の拠点でオンプレミス構築を行うことを考えると、コストも手間もクラウドが有利。さらに、現地社員がローカルシステムのように手を加えることがないため、最大の目的であるガバナンス強化に適していると判断しました」(吉野氏)。
こうして、目指すシステムの姿が見え始めた2011年夏、三洋化成は複数のITベンダーに声をかけ提案を募る。「TISは、SAP ERPの案件を多く手がけているとの評判を耳にしており、その経験と技術力を活かした提案に期待しました」(中村氏)。

シンプル化したグローバル標準モデルに共感

ITベンダー各社の提案を比較した結果、TISの提案は次の点で優っていたと、中村氏は振り返る。「もっとも特徴的だったのは、TISの経験に基づく化学業界向け『SAP ERP導入テンプレート(TCM-G)』をベースにして、シンプルなグローバル標準モデルを作成するという考え方でした」(中村氏)。
TISがこの提案に至った背景には、今回対象の拠点がいずれも比較的小規模であり、同じようなものを生産しているという現状への理解があった。シンプルかつ可能な限り統一化を図った標準モデルを作成することで、各国へスピーディーに展開を図ることを狙ったのだ。
「国によって異なる言語・法・通貨などは、TISがアドオンを作成して対応しますが、現地法人ごとの業務に合わせた細かい対応までは行わないという、割り切った案でした。他のベンダーでは、各社の業務に合わせて際限なくアドオンを作る案もありましたが、シンプルさを追求したTISの案の方が、我々の理想に近いと感じました」(中村氏)。
さらにTISの提案には、クラウド型SAP ERPの運用基盤として、TISのデータセンターを利用することも盛り込まれていた。「TISのデータセンターで運用を行うとともに、保守サポート部隊が近くにある安心感は、TISを後押しする材料となりました」(中村氏)。こうして、各社の提案内容を評価した結果、海外拠点のクラウド型SAP ERP移行のパートナーとして、TISの採用が決定した。

TCM-G:TIS Corporate Model-Global

導入

「メイドインジャパン」の業務基盤を海外展開

プロジェクトは2011年10月からスタートし、まず2カ月をかけて海外7カ所の海外拠点のシステムの詳細が確認された。その後、約1年をかけて、各国向けのSAP ERPの共通部分となる、グローバル標準モデルを作成。その後、各国の言語・法・通貨などに対応する部分を作りこむ、国別の業務基盤の開発フェーズへと進んだ。
今回、三洋化成とTISがこだわったのは、“メイドインジャパン”の、厳格な業務基盤を海外展開することだったという。「要件はすべて日本で決め、各国へ業務基盤を展開する前に運用テストを実施しました。テストでは本番と同じデータを使用し、決算数値が1円単位で合致していることを確認して慎重を期しました」(中村氏)。テストをクリアした後は、役員レベルによる重要事項の承認を経て、初めて各国に導入された。
2013年1月、こうして中国の3法人でSAP ERP導入が完了。その1年後の2014年1月には、タイ法人での切り替えも完了した。タイ向けのSAP ERPでは、現地の税務署に提出するための、タイ語の入った帳票を出力するアドオン開発が難所だったという。「Webテレビ会議で現地と何度も帳票の体裁を確認しては修正を繰り返しました。その際TISには、現地スタッフとの通訳としても動いてもらい、大変助かりました」(中村氏)。また、TISは海外におけるSAP ERP導入サポートのため、たびたび三洋化成社員とともに現地へも飛ぶ。「中国とタイでは、SAP ERPのトレーニングをはじめ、運用テスト、本番フォローなど、当社だけでは対応できない移行作業をTISに手伝っていただきました」(中村氏)。

TISの支援でスキル移転を実施

この中国とタイにおけるSAP ERP導入プロジェクトを通じて、三洋化成とTISの両社はスキル移転(スキルトランスファー)にも取り組んだ。これは、TISのエンジニアが三洋化成の情報システム担当社員に対し、SAP ERPの開発や保守のノウハウを教示するというもの。「さすがに新たな言語圏へのSAP ERPの展開はTISの力が必要ですが、すでに進出している国に拠点を増やす際は、当社のチームだけで対応できるよう社員のスキルを引き上げたいと考えました。TISには最初の発注時に、スキル移転について打診したところ、快く引き受けていただきました」(吉野氏)。
スキル移転は、導入作業と保守作業をテーマに実施された。基本的な作業は三洋化成の社員がOJTのかたちで取り組み、アドオンなど高度な技術を要求される場面は、TISが中心に作業を行う体制で進められた。「最終フェーズとなる米国では、スキル移転の集大成として、当社のチームがSAP ERPへの移行を推進。2014年7月に、無事にカットオーバーを迎えることができました」(吉野氏)。

効果

業務基盤とルールの統一で情報の精度が向上

海外拠点の業務基盤が統一化されてからまだ日は浅いものの、効果は目に見えてあらわれはじめているという。「SAP ERPは、恣意的な伝票日付変更や、月末の一括入力を許さない “厳格さ”が特徴のひとつ。これが、海外へガバナンスを効かせるうえで非常に効果を発揮しています。現地社員が、月末ではなく、取引が発生した日に情報を入力するようになったことで、金額や日付の入力ミスが減りました。これによって、以前は日本から見えなかった、日次の売上も把握できるようになりました」(中村氏)。
また、決算工程において異常値が発生した場合、SAPデータベース検索を利用することで、海外ナショナルスタッフ独自で、容易に原因(仕分けミス、投入ミス等)を発見できるようになり、海外でのガバナンス向上が当初の狙いどおりに高まっているという。
吉野氏は、クラウド型SAP ERPによるメリットについても触れる。「これまでは、現地社員が社内サーバとERPの保守を行う必要がありましたが、この作業負荷がなくなり、本来の会計等の業務に集中できるようになりました」(吉野氏)。

次の狙いは経営戦略への情報活用

今回の業務基盤の統一は、海外拠点へのガバナンス強化、IFRS対応が主目的であったが、「グローバルの業務基盤が完成したことで、売上や会計情報を収集する下地はでき上がりました。次のステップとして、集めた情報をリアルタイム分析し、意思決定につなげていきたいと考えています」と吉野氏は語る。
「経営層が視覚的に把握できるかたちで情報をアウトプットすることで、より的確な意思決定をタイムリーに行えるでしょう。現在、TISからいくつか提案を受けており、スピード感を持って実現を目指しています」(中村氏)。
今後、さらに成長が見込まれる海外事業について、吉野氏はこう語る。「米国・タイ・中国に続く新たな国に拠点を設ける際、今回作成したSAP ERPのグローバル標準モデルをベースとすることで、事業立ち上げが円滑に行えます。TISには今回、スキル移転に協力いただいたように、発注側と受注側という関係を超えたパートナーとして、引き続き支援いただきたいと思います」。

システム概要

お客さまの声

吉野 隆氏,中村 五月男氏
左から
三洋化成工業株式会社
取締役 兼 専務執行役員 吉野 隆氏
CPシステム部 部長 中村 五月男氏

今回、TISにはグローバル案件の経験が豊富なSEを配属していただき、その技術の高さには心底感心しました。また、スキル移転のリクエストに対しては、4名のSEが講師役となり、当社の情報システム担当社員の技術力を大きく引き上げていただきました。
近年、海外各国の法制や税制はめまぐるしく変化しており、当社だけですべての情報を把握するのは困難です。TISはグローバルに強みを持つITパートナーとして、情報収集の面でも引き続き力になっていただければと思います。(吉野氏)

TIS担当者から

三洋化成様には、TISの提案コンセプト『小さく入れて大きく育てる』、『グローバルテンプレートをベースとしたシステム』に共感いただき、重要な案件を任せていただいたことに感謝いたします。 グローバルレベルでの業務基盤統一を成功させる鍵は、標準モデルの「シンプル化」にありますが、三洋化成様とともに、それを徹底したことが移行の成功に結びついたのだと思います。
今回のプロジェクトではスキル移転のお手伝いをさせていただきましたが、我々のような専業でも困難な作業内容を、CPシステム部の皆さまがマスターされたことに驚きました。その努力と情熱には頭が下がる思いです。

  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。

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更新日時:2016年10月6日 16時59分

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