中部テレコミュニケーション株式会社(ctc)様
“Oracle EBSアップグレード”とともにマルチベンダーによる基幹システム再構築をPMO支援
中部5県の光ファイバー網を中心に通信事業を手がける中部テレコミュニケーション株式会社(ctc)は、ERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」(以下Oracle EBS)のメジャーアップグレードを計画。TISは豊富な実績とツール群の活用でアップグレードを実現するとともに、複数ベンダーが参加する基幹システム再構築をPMOとして支援した。
本社 | 愛知県名古屋市中区錦一丁目8番8号 |
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設立 | 1986年 |
資本金 | 388億1,648万円(2014年9月現在) |
事業内容 | 電気通信事業法に基づく電気通信事業 等 |
URL |
背景
基幹システムの“あるべき姿”を目指す
中部テレコミュニケーション株式会社(以下ctc)は、KDDIグループの一員として、中部エリアの個人・法人向けに通信サービスおよびソリューション事業を展開している。自社の光ファイバー網を利用した「コミュファ光」は、65万契約(2014年7月現在)を突破。法人向けには、名古屋市内の都市型データセンターを基盤としたSI事業にも注力している。「通信事業者・インフラ事業者の枠を超えた“トータルソリューションプロバイダー”として中部地区ナンバーワンを目指しています」(情報システム部長 坂川和男氏)。
同社は2007年、会計・購買業務の基盤となるERPパッケージ「Oracle EBS」を導入した。「紙の帳簿ベースの業務からERPへ移行し、情報を経営判断に活用することが目的でした。そこで、多くの企業で導入実績があり、BIツールも充実している同製品を選択しました」(情報システム部 宮野彰氏)。
導入から4年が経過した2011年秋、情報システム部は、「Oracle EBS」のサーバが保守切れとなる2013年秋に向けて“基幹システムのあるべき姿”のロードマップを描いていた。「計画の骨子は、ハードの刷新と併せて『Oracle EBS 』をバージョン11iからR12にアップグレードし、早期のIFRS(国際会計基準)対応を目指すこと。そして『Oracle EBS』で行っていた購買業務を切り離し、より現場の業務にフィットする購買システムを開発するという計画です」(情報システム部 市川雅一氏)。
選択
アップグレードの実績と技術力を評価
パートナー選定は2012年初頭からスタートし、最終的に、初回の「Oracle EBS」導入を手がけたベンダーと、TISの2社が候補となった。「TISは、当社の別部署と取引を始めたばかりでしたが、オラクルから“『Oracle EBS』アップグレードに強い”と推薦されたこともあり、提案参加を依頼しました」(市川氏)。
両社の提案を受けた情報システム部は「TISは、大手企業での『Oracle EBS』新規導入・アップグレードを数多くこなしており、実績は申し分ありませんでした」(宮野氏)と振り返る。また、技術面で高く評価したのが、「Oracle EBS」アップグレード専用の移行ツールやテンプレートを集大成したフレームワーク(TEEMs)の存在だったという。これは、TISが自らの経験に基づいて開発したソリューションであり、確実かつ短期間での移行を可能とする。「たとえば、11iで使用しているアドオンをR12に移行した際、どの程度のシステム負荷が発生するかを事前に分析するツールも用意されていました」(市川氏)。
さらに坂川氏は、日頃から大小さまざまな業務課題に臨む情報システム部のパートナーとして、TISに期待を抱いたという。こうして、2012年6月、「Oracle EBS」アップグレードのベンダーとしてTISが選定された。
TEEMs: TIS ERP Enhanced Management service
導入
基幹システム再構築をPMO支援
今回の基幹システム再構築では、TISが手がける「Oracle EBS」アップグレードと並行して、2つの開発プロジェクトを走らせる計画となっていた。「ひとつは購買業務の新規システム導入、もうひとつが勤怠管理の勤務システム(電子ワークフローパッケージ)のアップグレードで、RFPにより提案を募り、ベンダー2社を選定しました」(宮野氏)。
マルチベンダー参加の大型プロジェクトはctcが初めて経験するもので、しかも3つのシステムは連携を前提とした開発が必須となる。「そこで、2012年7月のキックオフを前に、全体的なプロジェクト管理や要件調整を行うPMOを設けることとし、PMO経験を持つTIS
に支援を依頼しました」(市川氏)。
具体的には、TIS社員2名および情報システム部メンバーがPMOとなり、3つの開発プロジェクトを管理・統括する進め方だ。課題やトラブルが出るたび、ベンダー3社に会議を招集して調整を行った。「これによって、全社が協力して速やかに解決に向かう、よい流れができました」(宮野氏)。
一方、T I S が開発を受け持つ「O r a c l eEBS」アップグレードについては、トラブルはほとんど発生せず、進行は非常に順調だったと語る。「TISの緻密な手順書に添って、確実に作業が進められました。R12への移行テストも、最初は手順書の所要時間に収まらなかったのですが、最終テストでは数分以内の誤差になるほどの正確さでした」(市川氏)。
効果
IFRSの早期対応が可能に
開発開始から約1年後の2013年10月、「Oracle EBS」アップグレードをはじめとする3つのプロジェクトはすべて完了し、基幹システムの再構築が果たされた。
稼働を始めた「Oracle EBS」R12について「サーバの処理能力が向上したこともあって、以前は丸2日かかっていた決算業務における計算書出力のバッチ処理が、1日に短縮されました。また、『Oracle EBS』を起動する際、Webインタフェースの立ち上がりが圧倒的に速くなりました」(宮野氏)。
また、早期のIFRS対応に向け、R12で新たに採用したモジュール「FAH(FinancialAccounting Hub)」への期待は大きいという。「IFRSでは、日本基準の総勘定元帳とIFRS基準の総勘定元帳を『Oracle EBS』上に作成することになります。FAHは、ある取引が発生した際、それぞれの総勘定元帳に対応する仕訳を自動生成し、記入することができるモジュールです」(宮野氏)。
前バージョンから取り組み中のBIによる経営情報の“見える化”については、「BIツールは他社製品に切り替えましたが、サードパーティから連携アダプタが豊富に提供されているのも『Oracle EBS』のメリットです。現在、社員・役員の使いやすい操作インタフェースの実現と、検索のさらなる高速化のブラッシュアップに取り組んでいます」(市川氏)。
最後に坂川氏はこう締めくくる。「TISのPMO支援で、『Oracle EBS』アップグレードをはじめとする基幹システム再構築を実現することができたほか、マルチベンダー参加型の大型プロジェクトを進めるうえでの“開発パラダイム”を形成することができました。情報システム部のメンバーが、このプロセスを実践するなか、スキルを蓄積できたことも大きな成果です。これらをベースにTISには、今後もフェイス to フェイスで相談できるITパートナーとして、力になっていただければと思います」。
お客さまの声
左から
中部テレコミュニケーション 株式会社
情報システム部長 坂川 和男氏
情報システム部 コーポレートシステムグループ
グループマネージャー 市川 雅一氏
情報システム部 コーポレートシステムグループ
主任 宮野 彰氏
「Oracle EBS」R12へのアップグレードにより、IFRSの早期対応が可能となったことに加え、経理部の業務の効率化が実現できました。KDDIグループの一員として、連結会計への対応強化が図れたことにも満足しています。今回TISはPMO支援の際、専用の管理ツールで複数プロジェクトの進行管理を行いましたが、この手法は情報システム部にとって大いに参考となりました。現在、当社内で走っている複数のプロジェクトで同様の管理手法を取り入れており、効果を発揮しています。(坂川氏)
TIS担当者から
TIS株式会社
ITソリューションサービス本部
エンタープライズソリューション事業部
エンタープライズソリューション営業部
情報システム部様が、ベンダー3社のコミュニケーションの場を設けていただいたこと、「一緒に取り組もう」という雰囲気を作ってくださったことが、PMO支援に成功した一番の要因だと思います。ご協力に心より感謝申し上げます。 今回、ctc様の「Oracle EBS」アップグレードで利用した「TEEMs」は、経験を元に開発した各種ツールやタスク定義等で構成されるTIS独自のソリューションです。 今後も、様々なお客様のアップグレードのご要望に応えられるよう、さらなる充実を図っていきます。
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