株式会社阪急交通社様

オラクルテクノロジーを活用して、大規模基幹DBの短期アップグレードと分析処理性能の大幅向上を実現

阪急阪神ホールディングスグループで旅行業を手がける株式会社阪急交通社(以下、阪急交通社)は、増え続ける予約に対応するため、インフラ基盤の刷新を計画した。TISは、Oracle Database アップグレードに伴う、約5,000本のSQLの動作テストを自動化して工期を短縮。さらに、データ抽出/検索に用いる参照系データベース(DWH)の併設で負荷を分散することで、パフォーマンス向上を実現した。
DWH:データウェアハウス。業務システムのデータを1カ所に集積し、目的に応じて情報の抽出・分析を可能とするシステム。

本社 大阪市北区梅田2丁目5-25 ハービスOSAKA
設立 1948年
資本金 1億円(2014年12月現在)
事業内容 旅行業
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課題

DBのパフォーマンス改善が急務に

阪急交通社は、ツアー商品を『通販型』で提供するパイオニア的存在である。添乗員付きパックツアー「トラピックス」などの商品は、新聞広告や会報誌で紹介を行い、ここ数年は全業種を通じて新聞広告の出稿量1位を続けるほど大規模なPRを展開。これを受けた予約申込みの約7割はコールセンター経由、約3割がWeb経由となっている。
同社は2005年にTISの支援により、旅行業務の基幹システム(HBOS)を導入。データベースを1カ所に統合し、乗車券・航空券の仕入れ、予約受付、精算などを同システム上で行ってきた。新商品や法制度に対応するため、毎年膨大な数の追加開発を行ってきた同社だが、2011年になって大きな課題に直面していた。「予約数はシステム導入時に比べて約2倍、累計の登録利用者も約3,500万人へと増加。データベースの処理能力が追いつかない状況になっていました」(総合管理本部情報システム部 石塚創氏)。
最も影響を受けたのが、ツアーの販売状況に応じて広告出稿量やDM送付を検討するため、データベースから最新データを抽出する作業。さまざまな条件による抽出を毎週始めに300~400回程度行うが、コールセンターに電話が集中する月曜日の朝は、オペレータの端末操作の速度が低下しないよう、抽出作業を控えなければならなかった。「既存サーバの保守終了も迫っていたこともあり、この機にインフラ基盤の刷新を決定しました」(石塚氏)。

準備

SQL動作テストの自動化で工期を短縮

プロジェクトのパートナーに選ばれたのは、従来の基幹システムで実績を重ねてきたTISであった。「万が一、開発に失敗して予約受付が止まった場合、1日の損失は億単位。当社のシステムを熟知し、信頼のおけるTISにしか任せられないと判断しました」(石塚氏)。
計画の骨子は、データベースのハードウェアを約2倍の処理速度の機種にリプレイス、加えてOracle Database 9i を11gR2へアップグレードするというもの。また、データベースサーバは耐災害性に優れたTISの都市型データセンター(GDC御殿山)に移設することも決定した。
「一番の懸念は、Oracle Database 9iで動いていた約5,000本のSQLが、11gR2へアップグレード後も問題なく動作するかということでした」(石塚氏)。SQL の全量テストを人手で行うには膨大な時間を要し、目標とした8カ月の工期では不可能。そこでTISは、Oracle Database 11gR2に標準搭載されている検証ツールOracle Real Application Testing(以下、RAT)を用いたテストの自動化を提案する。「RATの機能のひとつのSPAを利用すれば、事前に11gR2の検証環境で全SQLを自動的に実行できます。実行速度が低下したSQLがひと目で分かり、作業効率を大幅に高められるため、当社が望む工期で完了する目処が立ちました」(石塚氏)。
SPA: SQL Performance Analyzer

導入

負荷分散のために参照系データベース(DWH)を併設

阪急交通社とTISは、2012年1月から作業に着手、8月のカットオーバーを目指す。SQLの事前テストの結果、速度低下が判明した約30本についてはTISがチューニングを行うなど最適化を図った。「テストは自動化できても、最終的なSQLの調整は人間の経験に頼る部分が多いため、オラクル製品と当社システムの両方を熟知するTISの存在は大きかったですね」(石塚氏)。
インフラ基盤のパフォーマンスを最大限に向上させるため、サーバのハードウェア刷新に加えて、新たに参照系データベース(DWH)を併設する工夫も行われた。データ抽出・参照の作業はDWHにアクセスすることで、コールセンターに予約が集中する時間帯の負荷を分散することを狙いとしたものだ。
「Oracle Database 11gR2のオプション機能であるOracle Active Data Guardを利用することで、短期間・低コストでDWHを構築できました」(石塚氏)。本機能は、システムの計画停止・計画外停止に備えるスタンバイ環境を構成するために使われるケースが一般的だが、TISは今回、DWH構築によるレスポンス向上という目的に特化して採用に踏み切った。
なお、このOracle Active Data Guardは、大阪に置かれた災害対策用のDRサイトとの間でも、データ保護の手段として用いられている。「ほぼリアルタイムなので、以前のような数時間のタイムラグがなくなり、DRサイトの信頼性はさらに高まりました」(石塚氏)。

効果

コールセンターの応対時間が平均3割短縮

本番のデータベース移行は、2012年8月13日から14日にかけて実施された。「予約受付の休止を最小限に抑えるため、48時間以内の移行を目標としました」(石塚氏)。TISは、まず移行の前日までに、Oracle Database9iの機能のOracle Data Guardを利用して、新旧のデータベースサーバ間で、その時点の最新データを同期。そして移行当日は、システム停止後に11gR2へアップグレードを行った後、当日の差分を反映する手順で、作業を32時間で完了した。
レスポンス改善の効果は大きく、「オペレータが使用する予約システムの反応速度が速くなったことで、電話1件あたりの応対時間が3割程度短くなりました。インターネットを通じたWeb予約も同様に、効果が体感できるほど反応速度が向上しました」(石塚氏)。
また、抽出・参照業務ではDWHにアクセスするようになったことで、「顕著なケースでは、以前は一晩を要していた複雑な抽出作業が、わずか20分で完了して驚きました」(石塚氏)。
阪急交通社は、インフラ基盤を刷新した2012年度、近年では極めて高い取扱高(売上高)を記録。1日に最大で約48,000件の予約を処理した。「たとえば外国人旅行者の訪日観光(インバウンド)への取り組み強化など、事業内容に対応するシステムの機能追加は随時行われています。それと同時に取り扱うデータ量も急増しており、TISには今後もその経験と技術力で、インフラ基盤の拡張に協力いただければと思います」(石塚氏)。

システム概要

お客さまの声

総合管理本部
情報システム部
情報システム課長 石塚 創氏

TISには10年以上にわたって、基幹システムを支援いただいていますが、最大の持ち味はフットワークの
軽さだと感じます。他の大手ベンダーと比べると、はるかに動きが早く、修正依頼への対応も非常に迅速です。
プロジェクト開始前、導入する製品・機能の選定理由や潜在リスクなどを説明いただき、それを双方がしっかりと共有できたことで、開発フェーズは万全の体制で迎えられました。今回、TISは我々が期待した以上の結果を残してくれたと思います。

TIS担当者から

左から
TIS株式会社
産業事業本部 東日本産業事業部
ネットコミュニケーション第2部 主査 井上 淑臣
産業事業本部 東日本産業事業部
ネットコミュニケーション第2部 椿原 伸夫

移行当時、RAT、Oracle Data Guardは比較的新しい機能であり、TISとして大規模案件での採用は初に近い試みでしたが、阪急交通社様のご協力で計画どおりの効果を上げることができ感謝いたします。
今回、Oracle Database 9iから11g R2へのメジャーアップグレードでしたが、2013年半ばには最新バージョンの12cがリリースされています。データ参照時に特定の情報のマスキングができるなど、優れたセキュリティ機能は阪急交通社様にとって導入メリットが期待できますので、ぜひ次のインフラ拡張の折にはアップグレード提案を行えればと思います。

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更新日時:2016年10月6日 17時3分

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