旭有機材工業株式会社様

TISのコンサルティングで
既設ERPの活用状況を評価・分析

旭化成グループの旭有機材工業株式会社(以下、旭有機材)は、SAP ERP導入から10年が経過。数年後のERPの“あるべき姿”を検討するため、ERPの状況を把握するための定性的・定量的な分析が必須となった。TISは豊富なERP実績に基づく「ERPケイパビリティ分析評価サービス」により活用状況を客観的に診断し方向性を示すことで、IT投資計画の最適化を支援した。

本社 宮崎県延岡市中の瀬町2-5955
(東京本社:港区浜松町2-4-1)
設立 1945年
資本金 50億10万円(2015年6月現在)
事業内容 塩ビ製配管製品および鋳造用樹脂材料の製造・販売、水処理・資源開発 など
URL
旭有機材工業株式会社様

課題

2000年代初頭にSAP ERPを導入

旭有機材は、主に製鉄・化学工場のケミカルライン等で用いられるプラスチック製バルブにおいて、国内外でトップシェアを有する化学系メーカー大手である。腐食が起きないプラスチック製バルブは、化学工場や上下水道などで水・液体の流れを制御するインフラとして広く活用されている。また、自動車エンジンなどの鋳型に欠かせないフェノール樹脂をはじめとする樹脂事業も、中核事業のひとつ。同社は創業の地である宮崎県延岡市と東京の2つの本社体制を敷き、全国4工場、13営業拠点、米国・欧州・中国などの海外拠点で事業を展開している。
2004年、旭有機材はスクラッチでシステムを組んでいた会計、販売・物流、生産管理、購買業務をSAP ERPへ移行した。管理本部 情報システム企画グループ課長の田爪健氏氏は「ERP導入の目的は、決算処理の迅速化や、在庫のリアルタイム管理、納期短縮など。また、BIツールもあわせて導入し、経営情報のタイムリーな抽出も狙いとしていました」と当時を振り返る。

「継続」か「リプレース」か

SAP ERP導入から約10年が経過した2013年。旭有機材は、SAP ERPの製品保守期限が2020年までとなるベンダーのリリース計画※を受け、将来のERPへの投資計画を改めて見直すこととした。

  • ※SAP社は、その後2014年10月に、SAP ERPの製品保守期限を2025年末まで延長することを発表した。

その背景について、管理本部 情報システム企画グループ部長の亀井 学氏は「将来的にSAP ERPを継続するのか、別のERPパッケージにリプレースするのか。どちらにしても大きなIT投資を伴うため、会社として明確な方針を定めておく必要がありました」と語る。
だが、社内で合意を形成するには、既存ERPの状況を正確に把握することが不可欠であった。「ランニングコストに見合う業務効率化や経営情報の活用などの効果は得られているのか。また、ERP導入前に立てた目標はどこまで達成でき、現在どんな業務課題が発生しているのか。“実際はどうなのか”を正確に把握する必要がありました」(亀井氏)。
そこで情報システム企画グループは、ERPに精通したコンサルタントを入れ、活用状況の分析・診断を行うことを計画。「社内で分析するには長い期間を要するだけでなく、先入観から誤った判断を下すリスクがあります。外部のコンサルティングを受ける方が、よい結果につながると考えました」(亀井氏)。

選択

経験値に基づくコンサルティングに期待

旭有機材が計画したコンサルティングの大枠は、まず第1フェーズでERPの現状を分析・評価して、導入効果と課題を把握。続く第2フェーズでは、第1フェーズの結果を踏まえて、SAP ERPを継続利用するか他製品にリプレースするかの方向を策定するというもの。2013年7月からは、コンサルティング業務を託す事業者の選定に着手した。
候補となったのは、コンサルティングを専門とする会社ではなく、ERPの導入・保守実績に加えて、ITコンサルティングサービスを展開しているSIベンダー。その理由を亀井氏は「当社が最も重視したのは、他社と比較してSAP ERPをどの程度活用できているのかを明らかにすること。そのため、SAP ERPの導入・保守経験に裏付けされたITコンサルティングにこそ価値があると考えました」と語る。
こうして、SIベンダー数社が候補となったが、「そのなかでもTISは、SAP ERPをはじめ大規模なERP実績が非常に多い。また、独立系であることから、ERPパッケージをゼロベースで選定する際の公平な視点に期待しました」(田爪氏)。
2013年8月には、各社からの提案書が出そろった。TISの提案には、旭有機材の業務内容を踏まえた診断・解析の進め方、他社SAP ERPの利用状況と比較した分析手法など、独自の工夫が盛り込まれていた。そして提案内容を総合的に評価した結果、コンサルティング業務はTISに発注されることになった。

分析に用いる情報を現場から収集

TISと旭有機材はまず、今回のコンサルティングの評価軸を定める作業に着手した。「ERPの導入効果と課題を分析するには、定量的・定性的なさまざまな切口が考えられます。そこで、まずはプロであるTISに出してもらった評価軸の案と計画に基づいて準備を進めました」(亀井氏)。意見交換を重ね、ERP導入前の目標の達成度、経営への活用度、ITコスト、仕様変更の頻度など、計画時点では8つの評価軸が定められた。
続いて、分析に用いる情報の収集・整理を開始。情報システム企画グループとTISは、2013年11月から2カ月間、全国の経理・財務部門、購買・生産・物流・営業部門など約30カ所を訪問。担当者のヒアリングを実施した。「現場からはかねてより、ERPが使いにくいという意見が寄せられており、実際はどうなのかを調査することも目的のひとつでした」(田爪氏)。
この訪問に先立ち、過去にERPへ投入した伝票件数やシステムの処理時間などを部門ごとに解析し、データに基づいたヒアリングが行われた。「ERP製品を変えてほしいという声は、事前に予想したほど多くはなく、パッケージはそのままで機能改良を望む意見が多数を占めていました」(田爪氏)。
また、並行して経営層やSAP ERP導入当時の主要メンバーにヒアリングを実施し、導入時の背景や目標がどの程度達成できているか等について、情報収集が行われた。

分析

他社と比較した客観的な評価

現場から収集した情報に加え、導入以来のすべての仕様変更と開発費用の情報も、分析作業の対象となった。2014年1月には、TISの分析結果をいったん情報システム企画グループと共有し、認識のズレがないか確認していく作業に入る。「この段階で、ヒアリング先のすべての部門を再度訪問し、作成中の報告書の内容に事実と異なる点がないかを確認してもらい、報告内容の正確性に万全を期しました」(田爪氏)。
こうして、2014年2月に第1フェーズの報告書が完成。そのなかには、TISの開発・保守経験に基づく他社のSAP ERPの活用事例も盛り込まれた。
この報告書に目を通した役員からも、内容の分かりやすさは高く評価されたという。「この第1フェーズの最大の意義は、経営層から、現場でERPを扱う社員までが、ERPの現状を正しく共有できたことにあります」(田爪氏)。

中立視点によるゼロベースの製品選定

2014年5月からは第2フェーズがスタートし、重要課題をひとつずつ深掘りしていく作業に着手する。「その課題は、SAP ERPで解決可能なのか、あるいは他の製品にリプレースする必要があるのか。最終的に、将来のERPの方向性を策定することが目的です」(亀井氏)。
ここで必要となるのが、SAP ERPを含む複数のERPパッケージの性能比較を行い、課題解決に適した製品を選定すること。この作業は、旭有機材の提案依頼をもとにTISがまとめたRFI(情報提供依頼書)に沿って、製品の機能・性能を検証するかたちで進められた。
「系列にERPパッケージの会社をもつSIベンダーの場合、どうしても特定製品を推奨する傾向がある。最適な製品をゼロベースで見直すには、独立系であるTISの中立的な視点は欠かせませんでした」(田爪氏)。その後パッケージの性能検証は順調に進み、中間報告では、対応可能な製品として、SAP ERPを含む3製品に絞り込まれた。

成果

ERPの“あるべき姿”を明らかに

こうして2015年3月、第2フェーズは完了した。TISは、他製品へのリプレースではなく、SAP ERPを改良しつつ継続利用することが最良の選択肢であると結論づけた。そして、情報システム企画グループも、この考えに同意する。「当社がERPで直面している重要課題の大部分は、SAP ERPのアドオン開発などで解決可能と分かりました。そのぶんコストはかかるものの、これから他製品にリプレースするよりも費用は抑えられます。また、現状の課題であるランニングコストの高さについては、ライセンス費用の削減などで可能な限り対処し、今後のIT投資に備えて余力を確保する。このように、総合的に判断を行い、SAP ERPの継続が最適な選択であると判断しました」(亀井氏)。
この第2フェーズの結果は、2015年4月に設けられた最終報告の場にて、役員クラスの判断を仰ぐこととなった。その席には、亀井氏とTIS社員2名も出席。「SAP ERPに対して、コストが高いといった、マイナスの印象を抱いている役員もいました。しかし、旭有機材においてSAP ERPがどのように活用されているか、また、改善の方向性についてTISが説明を行ったことで、円滑に承認を得ることができました」(田爪氏)。

ERPの投資計画にはコンサルティングが有効

今回のTISによるコンサルティングは、SAP ERPの保守・運用コストの抑制という、副次的な効果ももたらしている。「TISが、当社が年間に行う仕様変更の件数、電話の問い合わせ件数などを他社のケースと照らし合わせ、妥当と思われるコストを試算。当社はそれを参考にしてSAP ERPの保守を委託しているベンダーと交渉し、費用の一部見直しで合意することができました」(亀井氏)。
外部のコンサルティングをIT投資計画の意思決定に活用する意義について、亀井氏は次のように総括する。「いまや大手企業にとってERPは業務の生命線であり、将来の方向性を定めるには、きちんとしたプロセスで得た情報に基づき合意を形成することが重要。今回、TISは数字や現場の声などに基づき客観的な分析を行ったことで、当社の基幹システムの“あるべき姿”が明確になりました」(亀井氏)。
今後、旭有機材のSAP ERPは、業務改善や機能拡張、そしてERPの高度化というSIのフェーズを迎える。「TISには、特に戦略的なIT投資計画を策定する意思決定の部分で、力になってもらえればと思います。ERPのスペシャリストとして、我々が気付かないところにまで光を当てていただきたいですね」(亀井氏)。

コンサルティングのイメージ

お客さまの声

左から
旭有機材工業株式会社
管理本部 経営企画室
情報システム企画グループ 部長
亀井 学氏
情報システム企画グループ 課長
田爪健氏氏

TISのコンサルティングの手際のよさ、正確で分かりやすい分析結果に大変満足しています。これ以上の成果は、どのコンサルティング専門会社やSIベンダーに依頼しても得られなかったと思います。
これまで、ベンダーは総じて顧客の業務に対する知識が浅い印象がありましたが、TISは短い期間のなかで理解を深めてくれました。工場を見学させてほしいと言われたのは初めてで、うれしかったですね。その姿勢も、良質なコンサルティングにつながっているのだと思います。

TIS担当者から

左から
TIS株式会社
ITソリューションサービス本部
IT戦略コンサルティング部
神原博史
宋澤皓

ERP導入当時の背景や、目標の達成状況、将来の事業展望などのヒアリングでは、社長をはじめ経営層の方々にも貴重な時間をいただき、心より感謝いたします。情報システム企画グループの皆様が、さまざまな社内部門との調整をしていただいたおかげで、円滑にコンサルティングを遂行することができました。
今後は、お客様の“ものづくり”と密接に関わるITキーワード「Industry4.0」や「IoT」などを踏まえ、長期的なビジネス変革につながるアイデアも出していければと思います。お客様と一緒に汗をかきながら、新しいビジネスを創っていくお手伝いができればと考えています。

  • ※TIS、TISロゴはTIS株式会社の商標または登録商標です。
  • ※その他の会社名、商品名、サービス名は各社の商標またはサービスマークです。

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更新日時:2016年10月6日 17時12分

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